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株式会社NOMADはホルムガードやカイ・ボイスン デンマークなど、デンマークのインテリアブランドを扱う総合代理店。会社と個人がお互いに成長し進化していく、共存共栄という考え方を実践している会社です。

仕事内容は受注対応や商品管理などのデスクワークから、からだを使った作業までさまざま。
ただ雇われるだけじゃなく自分で責任を持って動いていきたい、もっと自分にできることの幅を広げていきたいと思っている人に、ぜひ続きを読んでほしいです。
渋谷区、富ヶ谷。
マンションやオフィスビルが立ち並ぶ大通りを抜けて脇道に入る。閑静な住宅街のゆるやかな上り坂を登っていくと、一際目を引くデザイナーズマンションの中に株式会社NOMADはある。
社員は現在5名。まだまだ成長過程の会社だ。
2階には、今年リニューアルしたというショールーム兼ミーティングスペースがある。

この場所で、まずは代表取締役の斎藤さんにお話を伺った。
社員のみなさんからは熱い男と評される。しっかりと目をみて、自分の言葉で思いを伝えようとしてくれる姿が印象的な方だ。

人口は少ないのに経済性が高く、社会保障がしっかりしているデンマーク。学びやすい環境も整えられていて、暮らす人の幸福度が高い国としても有名だ。
デンマークに強く惹かれた斎藤さんは、語学やビジネスに関する知識を身につけ、大学卒業後にNOMADが日本総代理店をしているインテリアブランド「ローゼンダール デザイングループ社(以下ローゼンダール)」に入社した。
2007年にローゼンダールの日本市場からの撤退が決まり、会社を離れることになるまではアジア統括部長として、主に日本と韓国の市場開拓を担当していたという。
「ローゼンダールは、社員数100名ほどでけっして大きい会社ではない。でも5000平米もある広々とした社屋で働いていて、お抱えのシェフが毎日スタッフのためにランチをつくってくれていたんです」
「社員が会社にいる時間を、ストレスなく楽しめるようにするにはどうすればいいか。それを会社がすごく考えていることが伝わってきて。小さい会社でも、工夫次第でいいパフォーマンスが出せるんだとすごく刺激になりましたね」
根底にあったのは、共存共栄という考え方。より快適な仕事空間をつくったり、個人に成長してもらうことが、結果的には生産性や効率の向上として会社に還ってくる。

「ただ商品を扱うのではなく、自分がデンマークで過ごしたときにいいなと思った文化を共有して、広めていければと思っています」
仕事も含めて人生を楽しむ。そんなライフスタイルが、会社運営の土台になっているそう。
さっそく今年の3月から、毎週金曜日に料理家の方を呼び、社員のランチをケータリングしてもらう取り組みをはじめた。今日もこのあとランチ会の予定とのこと。

ランチのほかにも、取り入れていることはありますか。
「12月からは人材教育の一環として、定額セミナーに申し込みました。内容はセールスマーケティングやマネジメント、健康管理など。毎月いろいろなセミナーが企画されていて、受けたいと思ったものを社員が好きなだけ受けることができる」
仕事とプライベートをしっかり切り分けるというのも、デンマーク流。
自分が好きな仕事なら、無理に切り分けなくてもいいような気もするのですが。
「好きなことだけ続けていれば幸せかというと、そうではないと思っていて。たとえば好きなものばかり食べて、最終的には飽きちゃうってこともあると思うんです」

ここで働くってどういうことなのだろう。実際に働いている方にもお話を聞いてみた。
オペレーションチームで働く宮島さん。入社して1年になる。

「前職のアパレル会社で、自分が好きなものを扱っている会社で働くことが楽しいと感じていたんです。だからここでならモチベーション高くいられると思って」
日々どんな仕事をしているんですか?
「メインは受注対応になります。小売店の方からご発注いただいたものをシステムに入力する。受注伝票をおこして、倉庫に出荷指示を出す。ほかにもメールや電話での問い合わせ対応や、雑誌など各メディアへのサンプル商品の貸し出し窓口も仕事の一つです」
特に問い合わせ対応は、商品の情報を教えてほしいというものや、出荷したものに不良品があった場合など、内容は多岐にわたる。
どんな問い合わせでも大切なのは、相手の目線に立ちながら行動すること。
「たとえば商品の写真データをくださいって言われたときに、価格やサイズも一緒に送ったら喜んでいただけて。なにに使うのか想像して、これも必要かなっていう情報を先にお渡しするようにしています」
お客様と接する機会が多いぶん、オペレーションチームはNOMADの印象を担っている部分も大きい。
やり方に正解はない。宮島さんのように常にアンテナを張り巡らせて、自分でやり方をさがしていく。相手から少しでも何かを感じとろうとする力が必要になるかもしれません。
ときには会社の近くにあるトランクルームまで商品のサンプルを取りに行ったり、展示会の準備をすることも。意外と体力をつかう業務もあるという。

どういう人が向いていると思いますか。
「明るく素直に、人の話に耳を傾けてくれる方がいいですね。自分で考えることは大切なのですが、わからないときは素直に聞いてもらえたら。仕事のやり方や扱っている商品への愛着は、後からでもついてくると思いますよ」
もう一人、同じくオペレーションチームで働く福岡さんを紹介します。

実際入ってみてどうでしたか。
「正直、ここまでいろいろと任せてもらえるとは思いませんでした。私はそっちのほうが好きですし、そこにやりがいを感じるので日々楽しみながら働いています」
「海外から商品を輸入しているからこそ、想定外のこともよく起きますね」
想定外のこと?
「たとえば一部のお客様に納品する商品は、輸入してから倉庫で指定のラベルを貼り付けてもらうんです。でもメーカーからの出荷遅延で、倉庫を通していては間に合わないときがあって」
「スタッフ総出で、遅くまでかかってラベル貼りをしたのをよく覚えています」
そんな事態に直面したとき、福岡さんはどう思ったんですか。
「どうすれば納期に間に合うかを考えて、とにかく自分たちにできることがあるならやるしかない!という思いで行動しました。柔軟に動くことを厭わない人じゃないと、うちの会社では難しいかもしれません」
一方で、どんなことがやりがいになっているのでしょうか。
「日本にいながら海外のことが身近に感じられるのが、面白いところだと思います。実際にデンマークに行くこともあるんですよ」
デンマーク研修では、斎藤さんがいたローゼンダールの本社を訪ねたり、商品を扱うお店を見に行く。斎藤さんがモデルケースとしているローゼンダールを実際に訪れたことで、会社が目指しているものが、明確に感じられたという。
「これが目指す方向の最終形態なんだなってわかって。NOMADはまだまだつくり上げている段階なので、私も一緒につくっていきたいなとあらためて感じましたね」
仕事のやり方やルールなど、まだまだ整っていない部分も多い。
書類のフォーマットや業務フローをつくったり、チームで試行錯誤を続けながら少しずつかたちにしてきたといいます。

スタートはオペレーションチームでの業務が軸になるけれど、自分のやる気と能力次第では営業や広報など、さまざまな分野に活躍の幅を広げていける環境があります。
取材がひと段落したときには、すでにお昼過ぎ。ランチ会の時間になったので、私も参加させていただきました。
この日ゲストとして招かれていたのは、駐日デンマーク大使のスヴェイネ大使。斎藤さんとはローゼンダールで働いていたときからのお知り合いだそう。
ランチ会には、取引先の方や扱うブランドのデザイナー、メディアの方など社外からもいろいろな方が参加しているという。

なんだか日本にいることを一瞬忘れてしまうような、ゆとりと自由な空気を感じる空間だった。純粋に新しい文化や考えに触れて、自分の世界が広がっていく感覚もうれしい。
食事が終わるころ、スヴェネ大使が話していた言葉がとても印象的でした。
「デンマークにはヒューマンセントリックという考え方があるけれど、この会社はそれを体現しているね」
ヒューマンセントリックとは、人間中心、人間主体という意味。
確かにこの会社は、ちゃんと“人”が見える会社だと思う。働いている人たちは、みんな“自分”を持っていきいきと主体的に働いている人ばかりでした。

働き方を含め、自分の夢や想いとNOMADの目指す方向が重なっていれば、いっしょに力を発揮してより良い循環を生んでいけると思います。
(2015/12/23 並木仁美)