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試すことからはじめてみる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

私たちが働くときにはあらかじめ役割が与えられることがほとんどです。

ただ、言われたとおりに役割を全うするのは当たり前のことだけれども、それだけではちょっとつまらない。

与えられた役割を思い切って飛び出してみる。何か思いついたら実際に試してみる。

日光珈琲では、そんなふうにして自分の仕事をつくるカフェスタッフを募集します。

「カフェスタッフ」と聞いて想像する働き方は、普通はお店でお客さまをもてなす毎日が続くようなものだと思います。

けれども、今回は仕事内容も考え方も、少し違うように感じました。

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東京・北千住から特急電車で一時間ほど。栃木県の新鹿沼駅に到着した。

日光珈琲の風間さんが駅前の小さなロータリーまで車で迎えに来てくれました。そこからカフェ「饗茶庵」までは車で数分ほど。風間さんは饗茶庵を含め、現在4店舗のカフェを運営しています。

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はじめて自分のお店を開いてから、今年でもう17年目とのこと。

「大学を卒業したら東京で働き、お金が貯まったら自分でお店でもはじめようと思っていたんです。それが思うように進まず、結局地元の会社に就職して。その会社も自分が想像するような憧れの環境とはかけ離れていて、半年で辞めてしまったんです」

会社を辞めたあとのことは考えていたんですか。

「その先のことはまったく決めていなかったんです。何かしなくちゃと思い、バーテンダーのアルバイト募集を見て、面接を受けにいきました。その場で採用と言われたのですが、まだお店自体が工事中だったので、内装工事の手伝いからはじまりした。偶然にもバーの開業から経験できたんですね。そのときに『お店ってこういうふうにつくれるんだ!』ということを一通り教わりました」

「バーテンダーとして働いていると、この街には面白い人がたくさんいるという発見もあったんです。自分は地元のことを勝手につまらないところだと思い込んでいたけど、ここで何かはじめたいな、と思うようになりました」

そんなときに思いついたのがカフェだった。

「学生時代に世界を旅していたとき、いつも知らない街を訪れたら、まっさきにカフェにはいって情報収集していました。アルバイトしていたバーとはまた違った場所になる気がしていたんです」

まずは自宅の一部を自分たちの手で改装して、カフェをはじめることに。これならお金もあまりかからずにすむ。そこから少しずつ改装や増築をして、お店も増えていった。

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17年間お店をやってきて、変わったことはありましたか。

「そうですね。カウンターを外したことがありました。お店を続けていく中で、カウンターに立つのは早すぎると思って。カウンターを売りにするにはまだ人間的にも若すぎるということに気づいたんです。それに、カウンターに座るお客さん以外に目が届かなかったら意味がないとも思ったんですよね」

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試行錯誤しながらの店づくり。

試してみてから考えるというスタンスは、失敗することもあるけれど、学べることが大きく、何かしら役に立っているとのこと。

「つくっては壊しての繰り返し。そういった中でカウンターも外したし、たくさんのお客さんと話すことで、まちの良さも発見できて」

「とりあえず試してみるというスタンスは今も変わりません。やってみて良ければ続けるし、失敗したらまた考える。こんなふうに繰り返していましたね。試さないと、わからないですから」

開店から17年目にさしかかり、仕事の幅はカフェから大きく広がってきているという。

「思ってもみないことに挑戦し続けたら、切り口がどんどん広がっていったんです。今までのようにカフェに専念するならば、自分の手がいき届くのですが、最近はさまざまな分野に広がっているのが現状です。カフェからまちづくりにつながってきているんです」

風間さんが「試し」に自宅を改装してはじめたカフェは、駅からも遠い住宅街にある。

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でもいつのまにか、まわりにはカフェやフレンチレストランがオープンした。周辺は空室だらけだったけれども、今では「自分もお店を出したい」という人たちの行列ができている。

さらにいろいろな地域やお店から相談が届くようになった。

はじめから必ず成功しようと思っていたら、こうはいかなかったかもしれない。失敗したらやり直し、トライ&エラーを積み重ねたからこそ、今がある。

そんな風間さんが次にはじめようとしているのが「古い旅館」を使ったプロジェクト。

「近くの古い旅館をつかって、今までなかった新しい場所をつくろうとしています。そういった場所つくりも一緒に考えていきたいと思っています。カフェスタッフという肩書きだけに収まらない、柔軟に対応できる発想が欲しいなと」

そういって案内してくれた場所は、カフェから歩いて数分のところにある元旅館の建物。

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風間さんはこの場所から、まちの良さを発信していきたいと話します。

「この地域を知るきっかけになる場所をつくろうと考えているんです。ここに何かきっかけをおくことで、鹿沼に宿泊してもらいたい。そうするとこの街の見え方も変わっていくと思います。ですから、たとえばカフェで働きつつも、週一で宿のあり方を考えることもあるかもしれません」

この宿を通して、いろんな人に来てほしいと風間さんは考えている。働く人も同じ。カフェスタッフとして働くだけでなく、いろんな知識や経験の人が働くことで、それぞれが自分の仕事をつくってほしい。

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「宿ってどうしても街の外から訪れる人しか出入りしないイメージがあると思うんです。地元の人たちも同じように出入りして、交流するような場所をつくろうと思っています。ワークショップをはじめたり、泊まった人も何かしら学べるような、体験できる場所へと成長していけたらいいかな」

「せっかく人のつながりが強い地域なのだから、外から訪れた人にもまちの人と出会ってほしいんです。私も出会いを通じて、今の自分がいると思っています。はじめて会った人と一言や二言くらいしか話をしなかったとしても、その相手と一生関わる関係にまでつながることもあり得る。関わりを大事にしてほしいですね」

話を聞けば聞くほど、風間さんのイメージは面白く広がっていきます。どれも実現しそうな、まちや人につながる提案。風間さんの姿を見ていると、自分も何か試したくなるという意欲が湧いてきます。

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「バーテンダーを手伝ったときに感じたんですが、新しいことに挑戦している人と一緒に考えながら行動すると、見えなかったことも見えてきて、自分もできるのではないかなと思えるんです。でもきっかけって、そういった些細なことだと思うし、その流れにみんなが個々で取組むことによりスキルが上がっていけば、おのずとまち全体もよくなっていくんです」

ひとりひとりが試してみることで、地域はもっとよくなっていく。

たとえばどんな自分の仕事をつくることができるのか、風間さんに聞いてみる。

「現在は全店舗のスイーツも饗茶庵の厨房でつくっているのですが、お土産としてのニーズもあるように思います。珈琲の焙煎も今まで自分がしてきたけれど、手伝ってほしいな」

「アイデアが生まれたら試してほしい。どんなことも試すことからはじまっていると思いますよ。スタッフにも『自分がやってみたいことは試してみなよ』ってよく言ってます」

 

宿をはじめようとしている物件を見たあとに、車で日光東照宮の手前にある日光珈琲に向かう。

車は例幣使街道の杉並木を抜けていく。車内でも風間さんの話はつづく。

「もちろん、いろんなことを試してほしいですが、まずはカフェの仕事を大切にしてほしいですね。繁忙期はどうしてもカフェの仕事だけで忙しいかもしれませんし」

お店の前で車を降りると、高原に来たようで空気がおいしい。

まず目に入ったのは「NIKKO COFFEE」の看板。とても上品に感じる。

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古家を改装してつくられた日光珈琲からは、木のぬくもりと、立派なたたずまいを感じられます。ゆっくりと時間が流れ、居心地の良い空間が生まれていました。

このお店で働く清野さんにも話を伺った。彼女は日本仕事百貨を通して日光珈琲を知り、働きはじめた方。

「日光珈琲に入ったとき、風間さんに『どんどん自分を売りこんで良いんだよ』と言われたことがあって、とてもうれしかったんです。この環境では自分らしくふるまうことがいちばん大切なんだなと思いました。それからは、働くことによって自分らしさを毎日感じられる場所なんだなという想いがつよくなっていきましたね」

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特別な日ではなく、日常の中でそういった発見が出来る場所。風間さんのいろんなことを試す働き方が、ほかのスタッフにも広がっているのかもしれません。

実際に日光珈琲で働いてみて、いかがでしたか。

「カフェスタッフとして店舗に立つと、自分自身の立ち振る舞いによってまわりとの関係が決まってくるんです。良くも悪くも自分次第といいますか、私が日光珈琲のカフェスタッフとしてできる『まちづくり』ってなんだろうと思ったんです」

まちづくり?

「このまちで働く人や、住んでいる地域の人とのご縁は大切なものだし、変化していくもの。だからこそ、その与えられた環境の中で自分は何ができるのかということを常に考えています」

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訪れる人との関わりが、まちづくりなんですね。

「そうですね。このカフェはまちの人にとっては日常の中のお店かもしれませんし、観光でいらっしゃっている方からすれば、非日常的な特別な場所だと感じるかもしれません。そういった場所に立ち会えるということは一期一会の経験だと思います」

「お店が忙しいときは大変ですが、それ以上にお客さまの暮らしと、自分の暮らしが日光珈琲を通して向き合うんです。こんな経験は今まで味わったことがありません。素晴らしい体験だと実感しています」

カフェで働く毎日を通して、いろんな人と関わることが、お店や街、それに自分たちの暮らしにつながっているように感じられる仕事なんだと思う。

 

最後に、日光駅まで送ってくれた風間さん。

さまざまなことに挑戦する人の近くにいると、周りにいる人たちの気持ちにも影響していく。そうすると、いろんなことを生まれて広がっていく。

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試すことって、不安なことだと思います。でも試している人の横にいると、自分も不思議と試したくなるもの。

まずはこの週末にお店に訪れてみてください。

(2016/01/26 浦川彰太)