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たのしく暮らそう

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

どんなことをしたら、村は元気になるだろう。

外から人を呼ぶことも考えられるけど、もうひとつ。

「村の人たちがしあわせであることが一番なんです」と話すのは、よもぎさん。白川村の地域おこし協力隊の2期隊員です。

「しあわせであることって仕組みにしづらいし、結果が数字に出ないからわかりづらいですよね。でもきっと、長期的な目でみると一番大事なところなんじゃないかな」

岐阜県の白川村は、世界遺産の合掌造り集落「白川郷」のある村。

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世界中から年間150万人以上の観光客が訪れるこの村でも、水面下ではゆっくりと高齢化と過疎化が進んでいる。

村はおととしから計7名の地域おこし協力隊員を迎えました。

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おととしに入った3名の1期隊員は、外の視点から村の魅力を見つけ情報発信をしたり、空き家を整備し移住を促進したりと村の外の人を呼ぶ活動を担当。

それを受けて翌年入った4名の2期隊員は「村の人が楽しく暮らせることが大事なのでは」という思いから、こども劇団や村の女性達が集まる女子会、一人暮らしのお年寄りの訪問など、村の内側に向けた活動も始めました。

今回は3期目の協力隊として、情報発信をする人と、地域の人がどうしたらたのしく暮らせるかを考える地域福祉コーディネーターを募集します。

まずはどんな雰囲気で、どんなことができそうか。イメージしながら読んでほしいです。

東京から新幹線で金沢駅へ行き、そこからバスに揺られること1時間半。白川郷バスターミナルに着きました。

バスを降りて顔を上げると、悠々とした山々。ここで迎えてくれたのは、2期隊員の前盛よもぎさん。

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一緒に村のあちこちをまわると、どこへいっても「よもぎー」「よもぎちゃん」と村の人から声がかかる、気さくな女の子です。

「私は石垣島の生まれです。はじめて来たときに降り積もった雪を見て『こんな白いところに住むのか』と怯えました。でも、住めています(笑)」

白川村は世界遺産「白川郷」のある荻町のほかにも、南部や北部、温泉地である平瀬などから成り、地区ごとに人の雰囲気も景色も違うそうです。

はじめに、荻町の合掌造りに住んでいるという1期隊員の大倉さんに会いにいくことにした。

大倉さんの家は、茅葺の屋根に届きそうなくらい積もった雪で埋もれていました。

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「これでも今年は雪が少ないんですよ」

そう迎えてくれた大倉さんは、名古屋の生まれ。東京や名古屋でネットベンチャーの仕事に勤めた後、1期隊員してこの村へ来た。

もともと登山やスノーボードが好きで、よく地方へ遊びに行っていたそう。その場所でしか味わえない自然や文化に魅力を感じ、観光や地方に興味をもつようになります。

「なんとなく世の中の人も、そういった生の文化や肌感のある情報を求めているように思ったんです。一方で、地域の人も観光のように表面的なところだけじゃない、村自身のことも知ってほしいと思っている。その間をつなぐ存在って、なかなかないなと思ったんです」

そうしてマーケティングと情報発信の募集があった白川村に飛び込んだ。

「ここへ来て、すごくいろんなことを感じたり、考える時間が増えました。地方に来る前って、地域の人は狭い世界で生きているんだろうなと思っていたけれど、狭いぶん深い世界が広がっている感じがあるんです」

村に暮らすそれぞれの人たちが生きてきた時間や経験、培ってきた文化。大倉さんはそういった生の情報を発掘してSNSなどで発信したり、村を深く知ってもらう交流の場をつくってきました。

そのひとつが、昨年7月に開催したシネマキャラバン。

シネマキャラバンとは、「地球と遊ぶ」をコンセプトに野外にスクリーンを立て、五感で体感できる移動式映画館のこと。

白川郷のバスターミナルに古民家の材でつくったスクリーンを建て、同じ岐阜の特産である美濃和紙でスクリーンをつくり映画を映し出した。鑑賞中は、川のせせらぎや虫の声が混じり、時折夏の夜の涼しい風が通り抜ける。

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このイベントは来場者数1800人を越え、村のすべての宿が埋まったそう。

白川郷を見たら1、2時間ほどで去ってしまう普段の観光客と違って、村にゆっくり滞在するお客さんが多く、手応えがあったといいます。

そんな1期隊員の活動をうけて、2期隊員のよもぎさんたちはまた違った視点をもちます。

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まずはよもぎさんに、ここへ来た経緯を詳しく聞いてみる。

「直感でした(笑)わたし、大学を休学して来てるんですけど、1年生のとき毎日自分の仲のいい友人たちと好きな話ばかりしていることに疑問を覚えて。石垣にいたころは子どもたちやおじぃおばぁ、いろんな世代の人と会っていろんな会話をしていたので、いろんな人たちに会いたいなと思ったんです」

「今、本当にたくさんの人に会えているので楽しいです。それだけで十分なくらい」

村へきてすぐ、お祭りなどで村の人と関わることが多かったという2期隊員。そこでストレスを抱えた女性が多いことや、子どもの楽しむ場所がないことを肌で感じたそう。

「とくに1期隊員は3人とも男性で、2期隊員は女性3人と男性1人。女性目線の新しいことをいっぱいはじめたいよねっていうのが私たち3人のなかにあったんです。女性や子どもの居場所をつくることがやっとなんとなく形に見えてきて、楽しくなってきたところです」

よもぎさんは「かやっこ劇団」をつくって子どもたちに歌や踊りを教えています。

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「小学校から高校まで地域の子ども劇団をやっていたんです。その劇団があったから私は島のことがすごく好きになったし『島が私の原点だ、島のために何かしたい』と思うようになったんです」

「いろんな考え方があると思うんだけど、地域活性のいろんな取り組みをする大前提として、地元の子がポジティブに地元に帰ってくることがとても大切で、それがきっと地域にとっても一番幸せなことなんじゃないかな、と石垣で感じて。子どもが帰ってくる理由って、地域に仕事があるかどうかより、自分の子ども時代がどれだけ楽しかったかとか、地域に大好きな人がいるっていうことが一番のきっかけなんじゃないかなと思うんです」

こどもたちが故郷に帰ってくる循環を白川村でもつくりたい。かやっこ劇団には、そんな思いも込められていると言います。

よもぎさんたちは他にも、村の女性だけを集めたイベントを開催したり、お年寄りのもとを訪ねておしゃべりしたり、村の人や生活に深く関わっている。村の人たちにとって、協力隊の存在は大きくなりつつあると思う。

責任の重さを感じることはないですか?

「人の気持ちを聞くから、最初はしんどかったです。重たっ!って。できもしないくせに背負って、けっこう泣いてた。でも、石垣島にいるときみたいにひとりの20代の女性として暮らしを楽しんで、村をよくしようって思えるようになってからは楽しかった。いま、楽しいです」

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この村にくる人は、どんな人が向いていると思いますか?

「対話の時間が楽しいと思える人ならきっと楽しい。四六時中対話してるから、この村(笑)」

「そうだね」と大倉さんが続ける。

「人と話す時間はすごく大事で、エンターテイメントみたい。雪国なので、冬はみんなで肩を寄せ合って雪を降ろしたり食べ物を分け合ったりして暮らしてきたんだろうな。だから必然的に人との関わりがすごく濃くなる。それを面倒だと思うときもあるけど、噛めば噛むほど味が出て、すごく面白いと思う」

「あとは、自分で何かを見つけてトライアンドエラーが繰り返しできる人。それから、ほんとうに山の中なので自然が好きな人かな」

「やりたい!」と思ったことを真剣に聞いてくれる心強い味方、とふたりが言う観光振興課の高島さんにお会いしました。

左に座るのは村民課の吉實よしざね)さんです。今回募集する地域福祉コーディネーターが所属するのは村民課になります。

村で会議をすれば「ねばっこい(=アツい)」と評されるお二人だそう。

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高島さんは、協力隊が来てからすごく変わったなと実感することがあるといいます。

「うちの子もかやっこ劇団に入っているんですけど、子どもたちの幅が広がったなあと感じていて」

幅というと?

「ちょっとしたことですけど、こういう土地柄なんで親の職場は役場や建設業、土産物屋くらい。子どもたちもそういう選択肢しか知らないんです。でも、協力隊の人たちは年も近いし、子どもたちにとっては刺激的なんですね。『今日ヒゲの人が学校にきたよ。あれもお仕事なの?』とか『将来、よもぎちゃんみたいに踊りを教える人になりたい』とか」

「そんなふうに、村の中でもいろんな生き方があるって早い時点で示せると子どもたちの幅はすごく広がるし、今後Uターン率がぐっと上がっていくと思うんですよ」

すると、隣で聞いていた吉實さん。

「地域おこし協力隊っていうと、地域活性とかあたらしい村民の受け入れとかに目が向きがちになるんですけど。2期の人たちを見ていて、村の内向きの活動に思いを持っている人がいるんだ、と思ったんです」

「彼女たちがやっているのは、独居老人をただ訪問して『元気ですか、はい、元気ですね』じゃなくて、おしゃべりをして楽しいとか、みんなで一緒にご飯を食べること。私たち役所仕事では気づかなかった『こういうのが楽しい』『こうやって笑顔が生まれる』ということをいっぱい教えてくれるんです」

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そこで今回、村の内向きの活動にさらに力を入れる地域福祉コーディネーターの募集もすることになった。

地域福祉コーディネーターは、社会福祉協議会として働くことになります。協力隊3年の任期後も継続して働くこともできるそう。

社会福祉協議会はメンバーも資金もやることも決まっていないから、ゼロから立ち上げて運営していく。村の人と対話し行動していく大変さはあるけれど、裏を返せば、お年寄りや女性、子どもを切り口にアイディア次第で自由に取り組める環境があると思います。

高島さんは、いまの状況をこう話す。

「1期隊員は情報発信のような外向きの活動を、2期隊員は内向きの活動を。おたがいに補い合うように動いてくれているんですよね。そんな彼らの熱はたしかに村の人に伝わって、自分でゲストハウスを始める人もでてきました。少しずつ何かが起こりそうな雰囲気になってきているんです」

どちらの活動も、村にとってとても大切なことのように感じました。

今回の3期目でも、情報発信と地域福祉コーディネーターを募集します。何かやれそうだと思う人がいたら、ぜひ一度みなさんに会ってみてほしいです。

3月27日(日)には、新しいリトルトーキョーで白川村ナイトを開催します。

7名の協力隊員をはじめ、役場の高島さんや村長さんまで。おいしい料理と地酒を用意してお待ちしていますので、ぜひ遊びにきてみてください。

(2016/3/17 倉島友香)