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セタガヤをつなぐひと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

地域の中で働きたいと思ったことはありますか?

まちの人の暮らしに寄り添い、地域の人と話すなかで仕事をつくっていく。そうやって顔の見える人たちに喜んでもらいながら仕事ができたら、自分にとってもうれしいことだと思います。

そんな働き方は、地方に行かなければできないかというと、どうやらそうではないようです。

これから先は、都市でも地域でもそこに暮らす人たちが、自分たちでまちの魅力や価値をつくり出し、発信したりコミュニケーションしていくような働き方が増えていくのではないか。

話を聞きながら、そんなことを考えていました。

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東京は世田谷のほぼ真ん中“世田谷ミッドタウン”。ここで「まちとひとに伴走する」という想いのもと、まちのインフラづくりに携わってきたのが株式会社松陰会舘です。

主な事業は、LPガスの供給と不動産業。地域とのつながりや時代の変遷のなかで、近年はコミュニティスペースや、まちの情報サイト「せたがやンソン」の運営もしています。

今年4月には、新たに地域に暮らす人たちに寄り添った場として「松陰PLAT」もオープン予定。

前回の広報の募集に続き、今回はデザイナーとして松陰会舘やまちのことを発信してくれる人を募集します。グラフィックだけでなく、webデザインについても知識があるとより良いとのこと。

まちの人や社内の人たちと一緒に考えながら、自分で仕事を生み出していくというスタイル。地域と深く関わりながら、柔軟に挑戦していきたいという人に、ぜひ続きを読んでみてほしいです。

世田谷線を松陰神社前で降りる。

踏切をはさんで、両側に個人商店の立ち並ぶ商店街が広がる。ゆったりと落ち着いた雰囲気が心地よい。

商店街からもほど近い、線路沿いにある事務所で常務の佐藤芳秋さんにお話を伺います。

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世田谷で生まれ育ち、今まで一度も定期券を持ったことがないのが自慢だそう。とても気さくで話しやすい方です。

創業は今から78年前。佐藤さんのお祖父さまが、世田谷で石炭事業を興したのがはじまりだという。さまざまな事業展開をして会社が成長していく中で「地域の人が集まれる場をつくりたい」という思いから松陰会舘が生まれた。

時代の流れとともに、扱うものは石炭から石油、ガスへと変化していく。

「最盛期には4000件くらいガスの供給をしていました。だけど僕らが扱うLPガスの市場は小さくなり、主流は都市ガスに変わっている。それはある程度わかっていたことなので、30年ほど前に住まいを提供する不動産事業をはじめたんです」

ところが住まいの需要も少しずつ縮小傾向へ。自分たちにはなにができるのか、とあらためて考えることになった。

「それまで世田谷のまちや仕事のやり方について、ちゃんと考えたことがなかったんです。当たり前にそこにあるものだったので。でもよくよく見直してみると、お客さんとのつながりも、祖父がずっとこの地に根付いてくれたことも大切な資源だと気付いて」

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「つながりを強めて信頼してもらうことで、ガス以外の家の中のこと。エアコンや電球の取り替えも、任せてもらえるんじゃないかと思いました」

より細やかにお客さんのニーズに応えることが、自分たちの幸せにもつながる。そんな考えから取り組みをはじめたのは、今から10年前のこと。

たとえばLPガスの検針でお宅を訪ねたときに、さまざまなお願いに応える。ドアの立て付けが悪いからと修理したり、作業が終わってから1時間近くお客さんとお茶をすることもある。

じっくり話を聞くことで、抱えている問題が見えてきて新たな提案が生まれる。取材に伺った日には、お客さんからお土産をいただいてきたという営業さんも見かけた。これらはすべてごく当たり前の風景なのだそう。

「不動産のほうでも、ただ貸すだけじゃなくて借りる人と一緒にカスタマイズできる物件をはじめたり、僕らがやっていることやこの地域で起こっていることを発信する『せたがやンソン』をはじめたり。試行錯誤を続けています」

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「非効率だという人もいるけど、僕らはずっとこの地域に伴走したいとやってきて。つながりを育てながら新しい価値を生み出すことで、これからも関わっていけると思うんです」

それはただ相手の考えていることをそのまま形にすることでなく、その先にあるもっと深いところまで探って、新たな提案をすることで実現しているのだと思う。

これからはじまる松陰PLATについても聞いてみる。

話に加わったのは、リノベーション事業部の坂田さん。

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松陰PLATはもともと木造二階建て、築50年のアパートのような建物だった。駅と事業所のちょうど間に位置している。

「一般的な駅のプラットホームは100mくらいあるけど、世田谷線は小さな路線なので30mくらいしかなくて。駅から線路沿いにあの建物と、うちの会社までをつなげてようやく一般的な駅のプラットホームくらいの距離になるんです」

「だからあの場所を民間のプラットホームとして、まちの人に開いた場所にしていこうっていうのがつくった理由です」

民間のプラットホームとは?

「たとえば駅のプラットホームってアンテナショップや駅ビルがあって、普段地元にはないおもしろいものを見つけたり、移動中にもちょっとした買い物ができたりしますよね」

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「そんなふうに商店街だけじゃなく、松陰PLATにも立ち寄って話をしたり、今までこのまちになかったものを見たり、知ったりするような場になればいいなと思っています」

1階は4区画、2階は5区画にわけて、作家さんのアトリエ兼販売店や飲食店、せたがやンソンの編集部も入る予定です。

編集部はこの建物の案内所であり、まちの案内所でもある。今回加わる人もここで働くので、せたがやンソンの編集なども含め、毎日訪れた人たちと話をしながら、賑やかに働いていくことになると思う。

「イベントごとのイラスト作成や編集作業のほかにも、僕がいるリノベーション事業部でも一緒にできることがあると思いますよ」

たとえば、どんなことがありますか。

「今は賃貸でも、カスタマイズやDIYができるという流れが生まれています。デザインの目線からこういう部屋があったらおもしろいと提案してもらったり、インテリアコーディネートでもセンスを発揮してもらえたらいいですね」

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「部屋ごとにロゴデザインをつくるのもおもしろいかも」と話しながら新しいアイディアがどんどん湧いてくる。

坂田さんはどんな人にきてほしいですか。

「スピード感がある人だといいですね。『これがほしいってことは、こういうのもいいんじゃないですか』ってぱっといくつかパターンを出してくれるとか。一つのことに執着するより、幅広く関心を持って関われる人がいいと思います」

もう一人、これから加わる人と一番近い距離で働くことになるのが伊藤さんです。

日本仕事百貨での前回の募集をみて、仲間に加わった方。せたがやンソンの企画から取材、編集、それに会社全体の広報を担当しています。

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大学では地域社会について学び、これまでフリーマガジンをつくる会社やweb制作会社で働いていたそう。東京にいながら地域の中で働くことができる、というのが転職の決め手だった。

「転職時はちょうど30歳だったということもあって、自分にとって働き方や暮らし方が現実的かということをすごく考えたんですよね。たとえばこれから離島に移住するというのは、私にとってはあまりリアルじゃなかったんです」

「でも世田谷は、東京なのにローカルな感じがある。松陰会舘はその中で地域のために仕事をして、地域の人にも愛されている。良い循環をしている会社だと感じました」

実際入ってみてどうですか。

「持っていた印象は間違いなかったなと思います。すごく仲良くしてくれるので、こんなに早く馴染めるんだと逆にびっくりしたくらい。飲み会もよくありますけど、ベタベタするわけではない、家族みたいな感じです」

ギャップは感じませんでしたか?

「今、社内のルールを整備し直しているところなんです。大企業のように決まりきっていない部分があるから、そこは柔軟に対応できるといいかもしれません」

現在は主に、松陰PLATのイベント企画全般に携わっている。建物をつくっている段階から地域の人に一緒に成長をみてもらおうと黒板を設置したり、イベントを開催しているという。

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「この前は大工さんに鬼役をやってもらって、豆まきイベントをしたんです。普通の建築現場って外に開かれることや、大工さんと交流する機会もなかなかないけど、より建物に親近感を持ってもらえたらと思っています」

一方で、社内広報にも力を入れていきたいと伊藤さん。

「私自身も各部署を横断して仕事をしているので、それを活かしてそれぞれがやっている仕事を届けたいと思っています。たとえばガスの営業のことや、松陰PLATをどういう目的ではじめたのか。部署が違うと、よくわからないこともあるかもしれない」

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「お互いの仕事を知って、それぞれの仕事に生かしてもらえたらと思います」

これから働く人も、伊藤さんのようにセンスと実行力でどんどん仕事を形にしていくことになると思う。そうやって必要とされる存在になることで、まちも会社も居心地のいい場所になっていくんじゃないかな。

ちなみに伊藤さんは今、世田谷で暮らしている。佐藤さんは新しく入る人にもぜひ世田谷に住んでみてほしいといいます。

まちに一緒に暮らす人のこともより身近になって、仕事というより自分ごととしてとらえているから、生き生きと働けているんだなと感じました。

最後に、伊藤さんがこんな話をしてくれた。

「松陰PLATの黒板に、おととい入籍報告が書いてあったんです。ここに書いてくれるんだ、とびっくりして。この黒板が、まちの人の一部になりつつあるんだなと知ることができました」

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最初は壊されたら嫌だなと、不安も大きかったという。質問を投げかけても、答えてくれる人はいないと思っていた。

「でも通りすがりに絵を書いていってくれる親子や、更新を楽しみにしてくれるおばあちゃんがいる。この変遷を数ヶ月みてきて、すごく印象的な変化でした」

「松陰PLATも、待ち合わせや一休みをすることが当たり前の景色になっていくといいなと思います。ちょっとずつ交流していく中で、できるのが楽しみになってくれたり、自分に関係のある建物だと感じてくれたら一番素敵ですね」

10年、20年後。その先も続くまちの未来をつくっていく。

まちに暮らす人たちの想いに添った松陰会舘のやり方は、これまでの流れを無理に変えるようなことはないからとても自然だし、まちにもそこで暮らす人にもやさしい。

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松陰会舘で、この世田谷のまちで。自分にもできそうなことがあると思ったら、ぜひ応募してみてください。

まずは松陰神社前を訪ねて、まちを歩いてみるのもいいと思います。

(2016/4/6 並木仁美)