※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
どんなものにも、いま自分の目の前にやって来るまでのストーリーがあると思う。世界を巡ってものがつくられる時代だからこそ、地球環境にも、生産者にも、使う人にも、みんなが幸せであれる方法を選びたい。
その選択はきっと、これからの未来へ続いていくもの。
そんな考えでつくられているタオルがあります。

タオルの原材料になる綿は、インドやタンザニアの農家さんに農薬と化学肥料を使わずにつくってもらい、適正な値段で仕入れる。日本に届けられると、今度は今治で職人さんが丁寧に織ってゆく。
そうしてつくられたIKEUCHI ORGANICのタオルは質が高いだけでなく、安心して使えるもの。
今回は、タオルを通してIKEUCHI ORGANICの考え方を伝えていく、ショップスタッフを募集します。
お話を聞くため、京都店を訪ねました。
烏丸御池駅から10分ほど歩くと、あたりはお洋服や雑貨、カフェなどのお店が立ち並んでいる。通りに面したビルの1階にIKEUCHI ORGANIC京都店はありました。
「こんにちは」と迎えてくれたのは、店長の益田晴子さん。明るくて、すっと背筋の伸びた立ち姿が印象的でした。

はじめに、タオルを紹介してもらいました。
「IKEUCHI ORGANICで使われる綿は、オーガニックコットン100%です。けれど、タオルの種類はお店に並べきれないほどあるんですよ」
よくみると、タオル一つひとつに「120」や「732」などの番号がついている。
「これは『番手』と呼ばれる糸の太さを表す数字を組み合わせ、品番として表したものです。さまざまな方の好みや用途に合うように、吸水性に優れたタオル、軽さにこだわったタオルなど、たくさんの種類をつくっています」

「この吸水性のよさがうちの特徴なんです。柔らかさと吸水性は、適切に洗えば何年も続くんですよ」
普段あまり意識していなかったけれど、同じタオルでもこんなに違うのだな。
「すごいでしょう」と、まるで我が子を自慢するかのようにうれしそうな益田さん。
じつは、この会社に勤める前からIKEUCHI ORGANICのタオルの大ファンだったといいます。
「品質のよさももちろんですが、この会社の考え方に魅了されたんです」
「インドやタンザニアの綿花農家さんからはじまって、流通してくださる方々、タオルを織る職人、伝えて売る人、使ってくれはるお客さままで…。ここにあるタオルは『1枚のタオルに関わるみんなが、どれだけ笑顔でいられたか』にとことん正直で惹かれたんです」
どれだけ笑顔でいられたか。
「たとえば、IKEUCHI ORGANICで使われる綿はオーガニックコットン100%です。このことだけでも、すごく環境と人に配慮しているんですね」

「そのオーガニックコットンに“より”をかけ、糸になったものが日本の今治に届きます。今治では、さまざまな好みや用途を想像してタオルが“設計”され、職人さんによって丁寧に織られる。なかには、オーガニックコットンの素材を考慮して、高速の織機ではなく、ゆっくりゆっくり時間をかけて織るものもあるんですよ」

そう話す益田さんはもともと、繊維の輸出やアパレルの輸入などの仕事に携わってきた方。
ものが海を渡っていく面白さを知る一方で、中国やバングラディシュで大量生産され、日本で大量に消費されている現場も目の当たりにしたという。なかにはきちんと縫えていないという理由だけで破棄になってしまうものもたくさんあった。
「それも考え方のひとつだと思います。けれど、IKEUCHI ORGANICのように、手間やコストがかかるけれど、一枚のタオルに関わる環境や人が幸せであれるやり方を選ぶ。そんな“無理のない”考え方もあるということを、タオルを通して伝えていきたいと思ったんです」
会社に4年間もアプローチし続け、2年前に入社しました。

「たとえば、一枚のバスタオルがつくられるには約20坪、ちょうどこのお店くらいの広さの綿花畑が必要なんです。いまお店に並んでいるタオルをつくるだけでも、とても広大な土地が必要になる。そこに、綿花を一気に刈り取るための枯れ葉剤を撒いたら…。やっぱり、地球や土地は痩せていってしまいますよね」
「そんなふうに、実は日常で使うものすべてにそれぞれの物語があることを思い出す。そのひとつのきっかけとしてIKEUCHI ORGANICのタオルを伝えていけたら、ゆっくりゆっくりやけど、みんなの見方も変わっていくんじゃないかな」
販売というよりも、伝えていく仕事なのかもしれません。
とはいえ、お客さんに対していきなり背景を説明したりはしないそう。
ここで働くみなさんは、まずはタオルを感じてもらうことを大事にしているようです。
お話を聞いたのは、入って1年半になるという西垣さん(写真左)と、パートで働いている藤波さん。

「品番が多いし、それぞれに特徴もあるので、はじめは覚えるのが大変でした。お客さまも最初はどれがいいのか迷われます」
そんなときは、お客さまがどんなタオルを求めているのか、寄り添うようにして一緒に探していくそう。
「タオルひとつ選ばはるにしても、人によって好みがぜんぜん違うんですね。そもそも、日常でタオルをじっと見たり、感じたりすることはあまりないと思います。まずはいろんなタオルを試していただいて、どんな触り心地がお好みか、どういったシーンで使われるものなのか、その方にぴったりのタオルを探していくんです」
丁寧に選ぶために、1〜2時間かけることも少なくないのだとか。

どんなものを選ばれるのかなと思っていたら、少しの間西垣さんと談笑して、すんなりと買われていった。
「今の方はリピーターさんなんです。以前ギフトで贈ったものがとてもよろこばれたから、今日は自分用にって。前回お話させていただいて、気に入っていらした品番を覚えていたので、すぐにお渡しすることができました」
京都店はリピーターや常連のお客さまが多く訪れる。その日聞かせていただいたお話やタオルのお好みはできるだけスタッフで共有し、スムーズにお手伝いができるように心がけているという。
「タオルを買われなくても、ふらりとお店に寄って『今日はスーパーでこんなものを買ってきてね』とお話しに来てくれる方がいたり、ときにはケーキを差し入れていただくこともあります。土地柄、常宿を持つ海外の方もお見えになりますよ」
「そうやって、また来ていただけるのはうれしいです」という西垣さん。
さまざまな方がお店に訪れるから、人と話すことが好きな人だとよいかもしれません。
続けて、藤波さんにもお話を聞いてみます。
藤波さんは「毎日洗濯をして、タオルのよさを実感している主婦にいてほしい」と益田さんに誘われたのがきっかけなのだとか。

「友だちにオススメしたくてハンドタオルを贈ったら『使い心地がいい』って覚えてくれて。会社の方の快気祝いとか、自分でも使ってみたいから、とタオルを頼まれることがあるんです。身近なところだけれど、いいものを伝道できたかなって思います」
販売で伝えていく以外にも、IKEUCHI ORGANICではタオルにまつわるイベントなどを行っている。
この間は、京都市と一緒に「オーガニックコットンくんの旅」という子ども向けの紙芝居をしたり、大人向けには「タオルがふっくらと仕上がる洗濯講座」を開いたそう。

そう伝えると、益田さん。
「京都の人って、100年続いてようやく『長いことやってはるね』といわれるくらい時間感覚が長いんです。そんな中でも『お豆腐屋さんやったらあのお店』『着物やったらこのお店』って言うように『タオルやったらIKEUCHI ORGANICさんやね』って言ってもらえるようになったら、京都の歴史のなかで続いていけるんじゃないかなと思うんです」
最近は少しずつ、近隣のホテルさんからの注文も増えてきたところ。
企業向けの仕事が多くなってきた益田さんに代わって、今回はとくに、京都のお店を切り盛りしていってくれる人に来てほしいと思っています。
ゆくゆくは1店舗を任されることになるから、接客だけでなく、売上の管理や商品の発注など、求められる仕事の幅は広いと思う。
益田さんは、どんな人にきてほしいですか?
「また会いに来たいと思ってもらえるような、笑顔の素敵な人がいいですね」

「わたしたちは、その中間地点にいるんですよね。みんなが愛情こめてつくったタオルだからこそ、そのタオルたちに恥じないように愛情をもって送り出す。そんなふうに『みんなでつくっている』という感覚をもって、ここで伝えていってほしいです」
それはきっと、自信をもって「未来に続く」と言えるものだと思います。
なにか惹かれるものがあったら、まずはぜひIKEUCHI ORGANICのタオルに触れてみてください。
(2016/5/25 倉島友香)