※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
ふと手元を見ると、あるときの出来事を鮮明に思い出す。そんな思いを刻む役割が、ジュエリーにはあるように感じます。
流行を追い求めるのではなく、いつでも身につけられるジュエリーをつくり続ける「noguchi」は、まさにその思いを大切にしているブランドです。

ものを売る仕事であると同時に、なんだか一緒に想いも届けているように思いました。
表参道駅から歩いて数分、ビルの一角に青山店はありました。
店内は、派手な建物に囲まれた周囲の賑やかさとは異なった落ち着いた空間。

そう話すのが佐藤さん。2004年の設立からnoguchiの世界観を築き上げてきた。
noguchiのジュエリーは、カジュアルスタイルにも、ドレスアップしたシーンにも馴染むように思う。
「ジュエリーって心に近いものだと思っているんです。生活の中では実用性は低いですが、『きれいだな』とか、『大切な人の証になる』といった、そのときの気持ちを込められるんです」
ジュエリーだけではなく、家具や什器の配置、生けられた花、スタッフの接し方。
心に近いものだからこそ、その世界観に向き合えるような空間づくりに一層の工夫が見られました。
「ジュエリーの印象って、見るときの湿気や寒さなんかも関わってくると思うんです。なので、空間に対して敏感になるのは当たり前だと思っています」
お客様が汗をかいてれば、まずは飲み物を差し出し一息ついてから見てもらう。迷っていれば、一日時間をおいてあらためて見てもらうこともあるという。
店舗によってお客様の年齢層も異なるため、自然とお客様との関わり方にも意識が向かう。

「ディスプレイや発注まで一通りスタッフがおこなうので、みんなジュエリーを良く見せるために常にアンテナを張っている気がします」
世界観という形のないものをお客さまに伝える。それは言葉だけでは伝えきれないものかもしれない。
話を聞いていると、繊細な意識を持つことが大切だと思いました。
「そうですね。そんな意識は、今回募集する海外営業スタッフにも共通します。noguchiで吸収したものをどう海外へ発信するかが大事なんです。だからはじめはお店に立ってもらうんですよ」
「お店はお客さまの反応がすぐわかるので、気づくことも多いです。ディスプレイの仕方をひとつ変えるだけでも、ジュエリーの良さがより伝わるようになることもあります」

「たとえば、ブランドのコンセプトでもある洋服とのコーディネートを意識していくと、視野が広がって、空間や食など興味の幅もだんだんと広がっていくと思います。何事にも好奇心を向けられる方であれば、自然とnoguchiでの販売も海外の営業もあってくるのかな」
「感覚的なことになってしまいますが、やっぱり海外でも良いと思ってくれる人は洋服や雰囲気にしても、似たようなものを感じます」
思いは言語と関係ない。
「そうですね。『海外・日本』で括るのではなく、いろんな国の人と接することができる人がいいのかなと思います。でも本当に、『これいいよね』って思う人は『これもいいよね』って一緒に思うことはあって」
「世界の街を歩きながら『なんか好きな感じ!』って思ったら売り込みに行ってみようとか、そういう感覚がある人って日頃から自然と一つのことだけにとらわれず、好奇心が豊かなのかなと思います」
自分たちで見せ方を考えるからこそ、自分の感覚を養うことは大切だと思います。
ほかのスタッフにも話を聞きます。
はじめに浜田さん。現在は恵比寿、青山の店長を担当しています。

「どうしても気になったので新宿伊勢丹店へ訪れたんです。そのときに実際に見て、より素敵だなと感じ、興味がわきました」
「入社してから色々なことを覚えていって、意見も少しずつ形になってくると、自分を受け入れてくれた気がしてうれしかったですね。自分の考えを認めてもらえたので、自信にも繋がったと思います」
そんな環境をつくっているひとつに、共感できる人が集まっていることがあるとのこと。
「ディスプレイをつくる際も、バランス感覚や見せ方といった感覚的な話を共有できるんです。ジュエリーにとどまらず、日々の暮らしで良いなと思ったことや気になったことについては積極的に調べて、足を運ぶ人が多いですね」
「うつくしい」や「きれい」といった感覚を日常の中で感じとれるような感性や考え方は求められるのかもしれません。
「どの店舗でもそれぞれ見せ方は違いますし、お客さんも違います。その場を自分で判断し、ちゃんとコミュニケーションのとれる接客ができるといいですね」
たとえば、恵比寿店は空間全体を手がけているため、今の気分や好きなデザインを並べて見せることができるけど、伊勢丹では百貨店の限られたスペースで販売するため、見せ方も変わってくる。
より大人の方へ向けてつくられたジュエリーを取り扱う青山店は、コンセプトもデザインもがらっと変わる。
「美しく繊細なデザインが多いですね。お客様から言葉をお伺いして、その言葉をデザインに起こしたり、お子さんが大きくなったときに受け継げるようなベビーリングだったり」
それぞれのジュエリーには、デザイナーの想いがあり、お客様の想いが込められる。
「販売も前に出る必要はないと思っています。noguchiがつくり出すものとお客さんが向き合うために私たちができることを一緒に考えたいです」
続いて伊勢丹の店長とプレスを担当している室崎さん。

たとえば恵比寿店では、ジュエリーの位置が目線の高さにあったり、照明や什器にもこだわりがあったりする。
「それに比べると、百貨店という限られた空間では制約が大きいです。そんな環境でも、『noguchiらしさが出ているね』と思ってもらえるような演出ができるように日々考えています」
noguchiらしさ。お店に入ったときも、その世界観を感じました。
「百貨店なので人通りも多いですし、強い照明の下で販売をします。ホッとできるように、っていうのはなかなか難しいです」
「でも、ジュエリーを見ている瞬間だけでも、周りを忘れられるように、素材や色味に気を使っています」
暖かくなってきたらディスプレイにグラスを多くしたり、春めいた色を使ったり。そして季節を感じる花を飾る。

「スタッフとお客さんという関係ではあるけれど、久しぶりに会った知り合いみたいな感覚で接客しています。会話を楽しみながらついでにちょっとジュエリーを付けたりして。購入したジュエリーをそのまま付けて帰っていかれるときは、すごくうれしいですね」
お店というよりは、家に招くような感覚に近いのかもしれません。
どういった方が向いているんでしょうか?
「noguchiの環境は、スタッフの考え方やアイデアにすごく重きを置いてくれます。いいと思ったらすぐに行動に移せる環境です。結果はもちろん大事なんですけど、そういう行動に移せる環境を楽しいと思える方だといいですね」
「ある意味すべてを自分でやらないといけないので、責任感も伴いますが、なにより一番ここにいたい理由はnoguchiが好きっていうのが大きいですね」
最後に山田さん。彼は日本仕事百貨を通してnoguchiを知り、働きはじめた方です。

「自分が夢中になれるときって何だろうと考えたとき、いい作品や映画に巡り会った瞬間だということに気がついたんです」
そんなとき、記事を見て思わず夢中になっている自分がいたといいます。
「前の会社では、常に『ライバル会社よりいいものを』とか『あの同期よりもっと数字を伸ばす』というような、ピリピリしていた環境でした」
「だけど、noguchiの自分たちが良いと思ったものを信じて追求するといった、充実した環境に魅力を感じました」
感覚的な部分も多い環境だと思うのですが、ギャップなどはありませんでしたか?
「ギャップはありませんでしたが、入ったばかりなので日々勉強ばかりですね」
「たとえば、接客のうえで話をしても、緊張感や嫌らしさを感じさせない距離感をうまくつくれることってありますよね。noguchiのお店は本当に居心地のいい空間なので、そんな接客ができるよう常に努力しています」
ここで、佐藤さんがあるエピソードを話してくれました。
「山田さんとの面接のとき、『レター』というブレスレットの商品を見て、『タトゥーみたいですね』と言ってくれたんです」
「レター」とは、お客様の好きな言葉を、デザイナーの野口さんが書体をデザインしてリングに刻む商品。
「『レター』ができた当時、商品をどう表現していいかわからなくてデザイナーの野口と話し合ったことがあるんです。そのときに出た答えがタトゥーだったので、面接のときはお互いの感覚がピタッとあった気がしましたね」

「自分のそういう感覚的な部分を認めてくれる人と仕事で出会えたっていうのは、なんていうか、生きててよかったなと思います」と山田さん。
「同じ感覚を共有できる人に出会えたっていうのは、後から振り返ったときに、すごく貴重なことだったと思えるのかな」
今は目の前の状況が当たり前と思ってしまっているのかもしれない。
けれども、たとえば10年・20年経ったとき、その環境がターニングポイントになっていたり、いままでの記憶で一番色濃く残っていたりすることもきっとあると思います。

noguchiで働くということは、そんな気持ちを何よりも大事にできることが大切なのかもしれません。
少しでもnoguchiが気になった方がいれば、まずはお店を訪れてみてください。美しさや想いをかたちにしていける場所だと思います。
(2016/7/22 浦川彰太)