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わたしはたのしい

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

自分がいいと感じるものを人に伝えることは、矛盾がなくて気持ちのいいことだと思う。

受け取る人が共感してくれたら、伝える自分も一層楽しくなる。

そんな循環を生みながら働く人たちに出会いました。

TISTOU(ティストゥー)株式会社は、ベルギーフランダース地方で生まれたフラワーベースや家具ブランドを中心に、モノに込められた想いを多くの人に紹介するべく、日本の総代理店としてインポートを行っています。

ミラノサローネ

あつかうのは、DOMANI(ドマーニ)、Henry Dean(ヘンリー・ディーン)というブランドのフラワーベースと、アウトドア家具ブランドextremis(エクストレミス)、照明インテリアブランドBROKIS(ブロッキス)の商品。

今回は、extremisとBROKISをメインに、ブランドの魅力を広めていく営業スタッフと、蔵前ショールームのスタッフを募集します。

モノを売るというより、背景にある想いを伝える。

どんなモノをどんな人が紹介しているか、続きを読んでみてください。



蔵前駅を出て左に曲がり、国際通り沿いを歩いて5分ほどのところに、TISTOUの蔵前ショールームがあります。

中に入ると想像していたよりも奥行きのある店内で驚いた。

1F店内

黒塗りの壁に、色鮮やかで質感豊かなフラワーベースが映える。

迎えてくれたのは、代表の平田倫子さん。

2階へ案内してもらうと、1階よりさらに広々とした白い空間で、陽の光が差し込むなかアウトドア家具が並ぶ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ここは、2年前にオープンしました。

「やっぱり実際に見て、触れてもらわないと、魅力が伝わらないかなと思って」

お客さんだけでなく、今では蔵前界隈でものづくりをする人たちなど、20代から70代の方までが集まる場として、よく活用されているとか。

「なんか、いいですよね、人が集まってくれると」

平田さん2

もともとは、花屋さんを目指していた平田さん。

高校を卒業後、短大で園芸を学ぶ。その後、何のつてもなかったけれどドイツへ渡り、語学学校に通いながら花屋さんで働いた。1年経って、とあるベルギー人のデザイナーと出会い、ベルギーの花屋で働くことに。そこは、世界一の花屋とよばれるお店だった。

「3年ちょっとの間、一応お給料は出たけど、丁稚奉公みたいな感じで修行していました」

住み込みで、毎日夜遅くまで働く。そんな日々を3年過ごしたあるとき、自分の天職は花屋ではないと感じたそう。

やりきったからこそ気づけたことだと、平田さんは話す。

24歳で日本に帰国。

一文無しだし、親にお金を借りることはしたくない。さらに、当時は就職難の真っ只中。

それでも、生きていかなきゃいけない。

そんなことを考えながら、花屋さんを巡っているうちに、ある疑問が浮かんだ。

「なんでこんなにヨーロッパの花屋さんと、日本の花屋さんが違うのかな?って。理由を考えてみたら、フラワーベースがないんだと気づいて」

ベルギーのお店では、バケツに至るまでとにかくすべてプラスチック禁止。理由は「美しいものではない」から。水換えするにも、重くて苦労したという。

一方日本では、たとえ有名な花屋さんであっても、当時は黒や緑色のバケツに入って花が陳列されていた。

どうして日本の花屋さんでは、フラワーベースが使われていないのか。

「そもそも売っていないんだと思いました。ヨーロッパの花屋さんで働くなかで、フラワーベースのブランドをたくさん知っていたので、私が輸入しよう!って」

平田さんは、当時から仲よくしていたDOMANIのデザイナーに、「日本でフラワーベースを販売したい」と声をかけた。すると、立ち上げたばかりだった彼らからも「一緒にはじめよう」と返事が返ってきた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

何から何まではじめてのこと。まずは、銀行でお金を借りることに。

事業計画書は、数え切れないほどの原稿用紙に手書きして、仕入れ値や販売価格・販売個数などもわからないなりに熟考して銀行に提出した。

立ち上げの傍、アルバイトもしていたという。

「やっとお金を借りられて。はじめの仕入れは50万。カタログも、今だったら絶対に使わないような、すごくいい紙を使って100冊くらいつくりました。それを、気になる花屋さんにおいてもらったんです」

反応はすぐに返ってきた。そうしてだんだんとお客さんが増えていった。

1999年に会社を立ち上げて18年経った今でも、当時のお客さんとは関係が続いている。

 

ずっと大切にしているのは、わからなくてもまずは目の前のことを一つずつ選択し、やってみること。

専門でなかったアウトドア家具や照明も、そうやって広がってきた。

平田さんショールーム

アウトドア家具ブランドextremisの商品を扱うことになったのは、10年前のこと。

きっかけは、ベルギーの大使館で行われた、TISTOU、DOMANI、extremisが一緒に庭を飾ってインスタレーションするイベント。

そのとき平田さんたちは、1人だけで作業をしていたextremisのオーナーを手伝ったり、毎晩いっしょに食事に行ったりした。

2ヶ月後、インポーターになってくれないかと、声をかけられる。

「家具なんて扱ったことがないし、どうやって売っていいか全然わからない。それに、アウトドア家具でこんなに大きなものが、日本で売れるわけがないと思いました。けど『ミチコにしかできない気がする』と言ってくれて」

「迷ったけれど、何より彼らのコンセプトが面白く、この家具が日本にあったら、日本が楽しくなるんじゃないかと思って」



extremisのコンセプトは、人が集まって楽しむための場所をデザインすること。

「オーナーでありデザイナーのディルク・ワイナンツは、自分たちの子どもや家族のために家具をつくりはじめました」

最初につくられた「gargantua」という家具は、椅子の高さが変えられる。

gargantua

「子どもと大人が、同じ目線の高さで座れるようにデザインされています。丸いテーブルだから、みんなとの距離も同じで話しやすい」

椅子の部分は外すこともできて、車椅子でも一緒にテーブルを囲むことができる。

誰もが一緒の時間を共有できる。

「デザインやモノ自体はもちろん、モノの裏側にある彼らの想いを、日本に一緒に伝えてくれる人がいてくれたらなと思っているんです」



営業担当の岩田寿々奈さんは、まさにそんな存在。

岩田さん1

岩田さんがextremisに出会ったのは、学生時代に訪れた展示会のとき。

「『DoNut』という、それまで見たこともない、浮き輪に机がついた宇宙船みたいな家具があって。その、未来感みたいなものが忘れられませんでした」

それから4年後、当時勤めていたリフォーム会社で、図面のなかにふたたびextremisの家具を見つけたのがきっかけとなる。

はじめはショールームの一スタッフとして加わる。その後、平田さんに「自分で営業したい!」と申し出たそう。

今では商品についていちばん知っている存在だと、平田さんは太鼓判を押す。

「いま座っているのは、『KOSMOS』という名前のものです。デザイナーのディルクはボートに乗るのが趣味で。海から帰ってきてピットの上でみんなとお酒を飲みながらリラックスできるような空間を、家のなかでも楽しみたいとつくりました」

KOSMOS

真ん中の机部分が下がるようになっていて、寝転がることができる。ファブリックはモーターボートと同じ素材だから、水に濡れても平気。

ストーリーをもちながら、機能面まで突きつめて考えられている。

下の写真のベンチの名前は、「ロミオとジュリエット」。

romeo&juriet

「最近、他の家具を検討しにショールームに来られたお客さまがいて。この商品についても、『脚となるようにベンチに植えられた2本の木は、決して一つになれない。けれど、木と木の間に座った2人は仲良くなるといったコンセプトがあります』と、お話したんですね」

「そうしたら『うちは社内恋愛が少ないから、このベンチを置いたら何か変わるかもしれない』と、追加で購入してくださって」

素材や取り扱いの注意点について説明する以上に、家具を通して人がどういう過ごし方をできるか想像しながら伝えてあげる。

「そうすることでブランドの魅力が伝わると思っています。営業とはいえ、自分の好きなものをみんなに紹介しているという感覚のほうが強いです」

今ではたくさんの相談や依頼が岩田さんに届くようになった。

屋外だけでなく、オフィスや大学のコミュニケーションスペースや食堂、個人のお宅など、さまざまな場所で需要は増えている。

西武池袋

話している岩田さんは、楽しそうで誇らしげな表情。

一方で、大変なことはないのでしょうか?

「うーん、私はあんまりないですね。ただ、仕事の幅が広いので、人によっては大変に感じるかもしれません」

納品、見積り作成、HPの更新、メール配信…

展示会のディスプレイもするし、イベントを企画することも。

展示会2

また、商品に不具合が起きたときは、原因を究明して対応する。

納品先で職人さんと一緒になって、徹夜でメンテナンス作業したこともあったそうだ。

でも、自分でやってみるからこそ、気づくことがある。それが商品の品質改善にもつながる。

たとえば、それまではベルギーからの指示通り日本でも木材をつかった商品にオイルを塗らないまま納品していた。

けれども高温多湿の日本の環境だと木が反ってしまう。岩田さんは、納品前にオイルをするのはマストで、そうしないなら日本で絶対的な品質は保障ができないことを話した。

それから日本ではオイルを塗ることがスタンダードになった。

華やかな世界がつくられる裏側には、それを支える仕事がある。

岩田さんにとっては、メンテナンスでお客さんに会えることも楽しみの一つだそう。

「バーベキューすごく楽しかったよとか、たくさん人が来ちゃうからもう1台ほしくなっちゃった!とか。オフィスのお昼休みは、人気スポットで取り合いなんだよとか。どう過ごしたかって話も聞かせてもらえるのが楽しいです」

隣で聞いていた平田さんも反応します。

「もっともっと広がったら楽しいのにって。保育園に納品したりもしたよね。お客さんとextremisやDOMANIの工場見学ツアーに行くのもいいんじゃないかな」

現地にて

楽しいことを考えたら、それが仕事になった。関わる人ともいい関係が生まれた。そんなことが起きているように思う。



最後に、岩田さんがTISTOUで働くなかで感じていることを話してくれた。

「TISTOUに集まってくる人たちは、それぞれ一流の仕事をしている方ばかり。けれど、苦しい思いをして働いているというより、自分のやりたいことを貫いて、楽しんでやっているように感じます」

「そういう人たちに、私はこの2年間でたくさん出会って。こういう輪がもっと広がれば、日本はもっと盛り上がるのに、と思いながら、自分も楽しんで働くことをテーマにしています」

人が集うことが好き。それぞれのモノについて、もっと知りたい。

そんな人は、これからのTISTOUをつくる仲間になれると思います。

(2017/1/23 後藤響子)

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