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ありのままを受け入れて

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「生まれた時、人の価値はみんな等しいはずなんです。でも算数の成績が悪かったり、親に言われた言葉で、僕はダメなんだって感じるようになっていく。本来はマイナスの評価なんてついていないのに、みんな自分でつけていくんですよね」

これはキンダリーインターナショナルを運営する、一般社団法人子供教育創造機構の理事、赤井さんの言葉です。

キンダリーは、子どもたちが自分の新たな可能性を発見し、人生を切り開く力を育もうとしている民間学童施設です。

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前回の募集に続き、一緒に働く仲間を募集します。

ここで子どもたちと向き合うことは、自分のあり方を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

今回も、勝どき校を訪ねる。この日は東京で初雪が降り、中に入るとスタッフのみなさんが対応に追われていた。

「もう朝からバタバタしちゃって大変」と笑いながら迎えてくれたのが、赤井さんです。

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赤井さんがキンダリーを立ち上げたのは2013年のこと。

広告や人材紹介などの情報サービスを手掛ける大手企業で、中学生のキャリア教育に関わったことが教育の世界に足を踏み入れるきっかけだった。

「私自身はいわゆる私立の女子校出身で、なんの疑問もなく大学に進学しました。でもキャリア教育プログラムを実施するために学校にいったら、公立と私立の差に愕然としたんです」

公立の学校では、子どもたちにパソコンで作業をしてもらおうと思っても「そんな難しいことできるわけない」とやる前から先生に否定されてしまう。一方私立では「早く終わってしまい、授業がもちません」という言葉が返ってきた。

幼い頃から大きな差が生まれていると実感した赤井さんは、その差に対して自分に何ができるのか考えはじめる。

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「子どもたちは『僕は体育が5で他の成績は1だから、体育しかできない』とか『数学が苦手だからなりたい職業には就けない』って言うんです。でも学校の成績と自分がやれることって別なんですよね」

そんなに早く、自分に見切りをつけてしまわないでほしい。学校の成績やまわりの評価が、すべてではないはずだから。

そんな思いで、キンダリーではMiEP(ミープ)というプログラムをはじめた。

MiEPは毎日1回60分程度の、遊びながら学ぶプログラム。内容を考えているのは、ここで働く学童保育スタッフたちだ。

たとえば賛成派と反対派にわかれてディベートをしたり、長期休みにはロボット教室やキャンプ、稲刈りにも出かける。さまざまな体験を用意し工夫しています。

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一方で、3年間の運営を通して痛感したこともあった。それは子どもたちと、まわりにいる大人たちが自己を肯定的にとらえる気持ちを手放してしまう現実。

「キンダリーに来るお子さんの保護者は、ほとんどが働いているお母さん・お父さんです。普段からお金や仕事をものさしにして、無意識に自分には価値があるのか考えているんですよね」

だから「価値があるように」「いい大学にいけるように」「自分と同じ苦労をしないように」と、小さな頃から子どもたちを塾に通わせたり、さまざまなスキルを身につけさせようとする。

「子どもたちも両親のために頑張らなきゃと思うんだけど、心からやりたいと感じていないから、100%のパフォーマンスは出せないんですよ。そうして競争社会の中で、自分と他者を比べるようになる」

結果、どんなに頑張っても上には上がいるから、頑張ること自体を諦めてしまう。悪循環ですね。

「でも世の中で良いと言われる学歴も就職先も、時代とともに変わっていく。それなら自分がやりたいことを心から楽しくやっていて、幸せを感じているほうがいいですよね」

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キンダリーが学童保育施設に加えて力を入れていこうとしていることは、大きくわけて2つある。

1つは自然の中で自分を見つめ直す「リトリート」プログラム。子どもたちのお母さん、お父さんが対象だ。

「子どもたちの環境をつくっている、私たち大人が変わらないといけないなと改めて思っていて。このプログラムでは“妻”“夫”や“親”、“会社員”という肩書きから離れて、ひたすら自分のことを考えるんです」

今年度に初めて開催し、「うまくできない自分に腹が立って、子どもに八つ当たりしていた」と気づいたり、会社を辞める決心がついたお母さんもいるそうだ。

もう1つは中高生向けの地域創生プログラム。

現在進行中の「創生カレッジ」は、それぞれ1泊2日で全3回の開催。熊本県阿蘇郡の中高生たちが自分の生まれたまちを元気にするべく、新たなビジネスプランをゼロから考え、地域の人とともにつくっていく。

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草原を守るために野焼きフェスを開催する案や、林業を活かして木の結婚指輪をつくる案などさまざまな案が出ているそうだ。

最終的には、自分たちで考えたビジネスをまちでトライアル実践する。

「キンダリーで自己肯定感を育んでも、その後の中高6年間で潰れてしまっては意味がないんですよね。だから背伸びしたことでもやり切る体験がすごく大事で。どうせ俺なんかって諦めるんじゃなくて、いろんな人が関わると1+1が100になるっていう経験をしてもらいたいんです」

ゆくゆくは、新しく入る人にこれらのプログラムにも関わってもらいたいとのこと。

そのために、まずはキンダリーでじっくりと人と向き合うことからはじめてもらいたい。

「幼児から小中高生、親御さんたちと幅広く関わりを持っているので、いろんな段階から関わることができると思います」

こうして聞いていると、なんだか人生のほとんどに関わっていくような感じですね。

「教育を通じて、人のあり方やコミュニティを変えていくことができたら、日本も良くなっていく。その土台をつくっているイメージなんです。興味を持って、一緒にやってくれたらうれしいですね」

日本仕事百貨の募集を見て、キンダリーに入社したお二人にも話を聞くことができました。

まずは、フランス出身のジョアンさん。

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来日後は保育園で働いていた。奥さんが日本仕事百貨でキンダリーの求人を見つけたことが縁で転職してきました。

「子どもだから深い話はしないと思っていたけど、大人みたいに話すからびっくりした」と流暢な日本語で教えてくれる。

ジョアンさんが働く上でなにより大切にしているのは、子どもたちの心に寄り添うこと。

「子どもたちの心を、理解できるときもすれ違うときもある。でも一番大切なのは話すことです。いつも学校どうでしたか?家はどうですか?って聞くようにしています」

「毎日少しずつ声をかけて、最初はあまり話さない子も話すようになってくる。先生っていうよりは、友達みたいにどんな話でもしていいって感じてくれたら、うれしいです。難しいけど、そういう関係でありたい」

学童保育スタッフは、お昼ごろに出勤してからおやつの準備をして、14時くらいに子どもたちを学校に迎えにいく。宿題や、MiEPをやっているとあっという間に夕方になってしまうそう。

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それでも学童施設は、子どもたちにとって第2の家庭と同じ。うれしいことだけでなく、ときにはお母さんに話しにくい「さびしい」「いじめられて悲しい」という思いも共有する。素直に感情を表せる場でありたいと考えています。

子どもたちの言葉や行動の背景にはどんな想いがあるのか、想像を巡らせながら関わってほしいです。

続いて、小山田さん。

ふんわりとした笑顔が印象的で、話しているとなんだか安心するような方です。

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どうしてここで働くことになったのか聞いてみると、「学生時代からずっと葛藤していた」とのこと。

「大学を受験するときは、安定した職を得るために学部を選んで。本当は教育学部に興味があったけど、先生になれないかもしれないとか、向いてないって言われて情報系の学部を選んだんです」

入ってみたら、やっぱり自分のやりたかったことではなかった。それでも自分の本当の気持ちを優先させることは難しかったという。

「就職はまた安定したところを選ばなきゃと、学校の事務を選びました。でも挫折して、結局自分が楽しいと思えることしか続かないんだなってここにきて感じています」

実際に働いてみてどうですか。

「記事を読んで、体力的にも精神的にも大変なんだろうとは思っていたけど、生半可なことじゃなかったなって思いました」

たとえば、キンダリーでは毎日子どもたちが帰るときに、喧嘩をしたら本人同士で話し合う、相手が嫌がることはしないといった基本的なルールを確認する時間がある。

「自分の意思は関係なく、やらなきゃいけないことだと思っていたんです。でも子どもにはそれじゃ通じなくて、『なに偉そうに言ってるんだよ』とか『嘘っぽい』って言われちゃって」

働く中で生まれる悩みや不安は、1日のはじまりとおわりに開催するミーティングで共有します。

「ミーティングで、『自分が本当にやりたいと思っていないと伝わらない。そう思えないときは無理にやらなくてもいいよ』と言われて。そうなんだってすごくショックでした」

子どもたちと向き合うために、まずはスタッフ自身が自分を受容できるようになっていくことが大切。

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不安を開示することで、まわりも納得してフォローができるし、自分の思考の癖に気づくようになる。赤井さん曰く、その多くは自分の過去に起因しているという。

たとえば運動が苦手なスタッフが、子どもたちを自分と同じように運動嫌いにしてはいけないと、あえて運動のプログラムをやろうとしていたり、小さな頃から時間を守るようにと言われてきたスタッフは、無意識のうちに子どもにもそれを強制していたり。

まわりの人たちと接する中で自分の癖を自覚すると、自然と手放せるようになるそうだ。

「自分を許せる感じはありますね。今までは子どもの前では元気でいなきゃ、ちゃんとしてなきゃって思っていて。でも頑張れない日もあるなって思えるようになりました」

「どんどん自分や人生が変わっていく感じはあります。いいのか悪いのかはわからないですけど。今は子どもたちが楽しそうにしてたり、何かに集中しているのをみるとすごくうれしい。やっぱり自分がやりたいことを選んだほうが楽しいと思うな」

キンダリーは「子ども」や「おとな」という枠にとらわれず、人との関わりで一番大切なことを思い出させてくれる場のような気がします。

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良くも悪くも本来の姿で子どもたちと向き合うことになるので、正直な言葉に傷ついたり、苦しむこともあるかもしれない。

だけどここでの経験は、きっと自分らしく生きていくための第一歩になる。

「私には向いていないかも」と諦めてしまう前に、ここで子どもたちとあなた自身の可能性を信じてみてほしいと思います。

(2017/2/10 並木仁美)