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つくり手が込める想い。贈ってくれた人の気持ち。これから先の楽しみ方。目には見えない色んなコトが詰まったモノに触れると、思い入れは深まり、大事にしたいという気持ちが生まれるように思います。
モノがもつ背景を伝え、未来につづくモノとのつきあい方を発信しているのは、ライフスタイルショップ「CIBONE」。
運営する株式会社ウェルカムは、「GEORGE’S」や「TODAY’S SPECIAL」、「DEAN & DELUCA」などのブランドも展開し、食や雑貨を通して豊かなライフスタイルを提案しています。
今回募集するのは、CIBONEの新しい発信拠点として4月にGINZA SIXにオープンするお店で働く人。そして、本社でマーケティング・販促企画を担当する人。
人とモノとの関わりを丁寧に伝えたい。そう考える人に、続きを読んでほしいです。
外苑前駅から青山通り沿いを歩いてすぐのビルに、CIBONE青山はありました。
階段を上って店内に入ると、さまざまな商品が生活の1シーンのように並んでいる。どんなふうに使っていくか想像しながら見ていると、あっという間に時間は過ぎていきそう。
店内を回るお客さんも、モノと触れ合う時間をじっくり楽しんでいるようだった。
CIBONEが掲げるコンセプトが、”New Antiques , New Classics”。
アンティークというと年月を積み重ねた古いもの。クラシックというと昔からある定番的なものといったイメージがある。
では、「New Antiques , New Classics」とは一体どんなものだろう。
答えてくれたのは、今川拓人さん。店頭に立ちながら、MDとしてエキシビションの企画や商品のセレクトなどをしています。
「言葉にするのは難しいんですけれど…。今までアンティークやクラシックとして『いいモノ』とされてきたものの価値を認めながら、10年後100年後の未来を見据える」
「どういうモノが将来のアンティーク・クラシックになっていくかを模索しながら、アイテムをセレクトしたり、デザイナーさんとものづくりをしていきたい。”New Antiques, New Classics”には、そうした想いが込められています」
消費したり風化させるのではなく、長く付き合えるモノを提案していく。
「そのなかで、お客さまには、自分自身が愛着をもって触れあえるようなモノを選んでほしい」
1つのコップがあるとして、そのコップでコーヒーを飲みたいと思う人もいれば、一輪挿しにぴったりだと思う人もいるかもしれない。
お客さま一人ひとりにとって、いちばんいいモノとのつきあい方を見つけてもらいたい。
「その人に必要がないものなら、それはそれでいいんです。自分の家でこういうふうに使いたいなとか、あの人にあげたいなと思う気持ち。それは、モノを選ぶときのモノサシとして、何年経っても変わらずその人のなかに持ちつづけてほしい」
「そのためのお手伝いとして、つくり手さんがどういう想いを抱きながらモノをつくっているか、背景やストーリーをきちんと伝えていかないと」
まずは伝える自分たちが、どういうモノなのか、どんな想いでつくられたモノなのかを汲みとってお客さまへ届けていく。
「そんなふうにメンバーが同じ方向を向いて、みんなでお店をつくっているという感覚をもって運営していきたいと思っています」
そう話すのは、マネージャーの鈴木雄平さん。
とはいえ、メンバー一体となってお店をつくるのは、エネルギーが必要なこと。
「常にチャレンジしたいというモチベーションが強いチームなので、どんどん新しい仕事が生まれていきます」
「トップダウン型ではなく、自分も納得して、わくわくしながら取り組みたい。メンバーのモチベーションをどう高めて、チャレンジする方向に巻き込んでいくか。そのアウトプットの方法は難しいですね」
ここで鈴木さんが、高知に窯を持つ器作家・小野哲平さんのエキシビションを行ったときの話をしてくれました。
エキシビションの開催が決まり、「窯入れ」という三日三晩陶器を焼きつづける工程を見に、窯元を訪ねることになった。
窯元を訪れて最初に問われたのは、「あなたたちがここへ来た目的は何か?」「なぜCIBONEは私の器を選んだのか?」ということだった。
相手は作家さん。魂を込めてつくる作品をあつかう人であれば、納得したうえで引き受けたいと考えるかもしれない。
「窯入れを見てから、夜に食事をご一緒させていただいて。そこでお話できたことで、小野さんの言葉の一つひとつから奥行きや重み、作品に対する想いを自分自身で感じることができたんです」
話をするなかで、小野さんは「ふと手を伸ばしたくなるような器をつくりたい」という想いで器をつくりつづけていたことを知る。
「そうしてつくられた器が、すごくかっこいいんですよ。かっこいいという言葉が正しいかわからないですけど。一つひとつの密度が高く、作品としての重みがあるというか」
ものづくりの現場で受けとった作家さんの想い。東京にいるメンバーにも同じ温度で行き渡らせるには、どうしたらいいだろう。
「写真や動画を撮ったりもしていたんですけど、それだけじゃきっと伝わらない。考えた結果、みんなにもつくり手さんと直接お話できるような時間を設けることにしました」
ちょうど小野さんが都内にいらっしゃるタイミングに合わせてお店に招き、小野さんの器をつかった食事会をひらいた。
「食事をしながら一人ひとりと話をして、みんなも小野さんの想いを直接聞いたり、人柄に触れるような時間になって」
その後も都内で小野さんの展覧会があれば足を運ぶなど、少しずつ、メンバーそれぞれが小野さんの作品に一歩踏み込んで感じようとしはじめていた。エキシビションがはじまるころには、スタッフ全員が器を味わうことができるようになっていた。
エキシビションに合わせて焼き上げられた1000点を超える器は、店舗メンバーの方の言葉を介して多くの人の手に渡ったそう。
「いいエキシビションになりました。それは、お店のメンバー全員で、つくり手さんの声を直に聞いたり、自分の手で器に接する時間があったからこそ、想いをお客さまに届けられたと思うんですよね」
鈴木さんの話を受けて、店舗メンバーの熊谷緑さんも反応します。
「ただモノを売るだけじゃなくて、モノの背景やつくり手さんの想いを、直接自分で感じて、自分の言葉に置き換えてお客さまに伝えられる。そういうところが他にないCIBONEの特権だと思っています」
自分の言葉で伝える。そのためにはどうしたらいいのだろう。
「たとえば自分だったらこれはどういうときに使いたいとか、誰にあげたいとか。どういう人が使っているところを想像できるなとか。常に、その商品が誰かの手に届いた後、どう暮らしに溶け込んでいくかというところまで考えるようにしています」
お客さまからプレゼントの相談を受けることも多いそう。
熊谷さんが、結婚式の引き出物を選びにいらしたお客さまとの話をしてくれました。
「その方は大阪に住んでいらっしゃる方で。京都で結婚式を挙げることになり、わざわざCIBONEに引き出物を選びに来てくださったんですね」
以前から、東京に来たら必ず立ち寄っていたというお客さま。
「ほかのお店でも選べたと思うんですけれど、『CIBONEだったらきっといいギフトボックスを提案してくれると思って』と言ってくださって」
相談を受けるなかで、一緒に選んだのが『2016/arita』というブランドのお皿とマグカップのセット。
それは、披露宴会場で実際に料理を提供するときに使われているものだった。
「挙式前に会場で食事をされたとき、そのお皿を見て、『素敵だね』と話していたそうで」
式に向けて、お客さまとメールでやりとりを重ねた熊谷さん。
予算を考慮しながら、ギフトボックスに上手におさまるよう組み合わせ方を工夫して、納得いく形に仕上げた。
挙式後、お客さまが熊谷さんに、結婚式の写真を送ってくれたそう。
「お客さまのハレの日を祝福できました。店内での接客にとどまらず、お店の一歩外に出てもつながりを感じられるような深い関わり方ができたことが、うれしかったですね」
学生の頃から、自身も誰かへのプレゼントを選んだりするときには、よくCIBONEを利用していたという熊谷さん。
「ここを訪れると、はじめて知るものがたくさんあって。来るたびにお店のレイアウトやディスプレイも変わっているので、何度来ても楽しいお店でした」
お客さんとして利用する立場から、次第に商品やデザインについて、そして商品がお店に並ぶまでの過程や、働いている人に興味を持つようになったといいます。
当時、新卒採用は行っていなかったけれど、熊谷さんは自分から想いを伝え、働くことになりました。
入社して4年経った今も、やりたいと思ったら挑戦してみる気持ちは変わらない。
最近は商品ディスプレイや発注、お客さまへの接客のほか、オンラインストアの担当もしたいと申し出たそう。
それは、店頭に立っているからこそ活かせることがあると思ったからなんだとか。日々の気づきを大切に、自分で仕事をつくっていました。
最後に、どんな人が向いていると思うか聞いてみます。まずは熊谷さんから。
「いろんなカテゴリー、テイストの商品があります。何に対しても興味があること。それから『これは誰にも負けないくらい自信をもって好きです』というこだわりをもった人がいたら、強みになると思います」
マネージャーはどうでしょう。鈴木さんに伺います。
「いちばんはCIBONEが好きなこと。そして、常にアンテナを張って、いろんな情報を柔軟に吸収することができる方ですね」
「あとは良くも悪くも自分でやれることがたくさんあるブランドなので。CIBONEにとって必要なことに気づき、形にしていくような主体性は、もっていてほしいです」
これからオープンする場所では、人やモノ、文化、そして時代とのコミュニケーションを生み、大切な誰かや自分にとっての日常を特別にするような空間をつくっていくそう。
その場所を訪れる人たちが過ごす時間を、モノの背景を伝えていくことで、より豊かなものにする。
人がモノと大切に関わっていく形をつくる。
そんな仕事になるのだと思います。
(2017/03/10 後藤響子)