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自分の仕事もプライベートも、一つの人生としてまるごと楽しむ。そうやって考え動いたことが、誰かの暮らしを豊かにすることにもつながっていく。仕事を通して気持ちのいいサイクルが生まれたら素敵なことだし、なんだか自分もうれしい。
「&Livlan (アンドリブラン) 」で、そんなふうに働く人たちに出会いました。
&Livlanは、東武東上線沿線エリアで不動産事業を展開する株式会社リブランが運営するカフェ。飲食を提供する以外に、不動産の紹介や暮らしにまつわるさまざまなワークショップも開催しています。
今回は、ここで一緒に働く人を探しています。
ただ、いわゆる普通の「カフェ」での働き方とは違うものになると思います。イベントの企画などを通して、暮らし方の提案や住む人同士のコミュニティをつくることもある。
自分ならどんなことができるか、想像しながら読んでみてください。
東武東上線、志木駅から歩いて3分ほど。
中を覗くと、平日にもかかわらず、&Livlanはお客さんで賑わっている。
靴を脱いで室内に入ると、寒い日なのに床がひやっとしない。あぁ木の床なんだな。
棚にはたくさんの本や雑貨が並ぶ。カフェの一角には、「てまひま不動産」というスペースがあり、住まいのことを相談することもできる。
「ここは宣伝部が運営しています。最終的な目的は、ここで自社の分譲マンションや建売住宅、賃貸マンションの購入、リノベーションをしてくださるお客様を探し出して、各セクションに送り出すことです」
そう教えてくれたのは、宣伝部部長の菅原さん。
不動産屋さんって、入ったら買わないといけないような、なんだか少し怖い雰囲気がある。
だけどここは、ただ家を売ることだけを目的にしている場所でも、売って終わりという会社でもないようです。
「不動産屋は家というハコを売っているから、ハコの宣伝しかしないですよね。マンションのモデルルームにいけば新築マンション、建売住宅のモデルハウスにいけば、その物件しかすすめない」
「そこでどんな暮らし方ができるのかっていうのは、あまり気にしない。でも我々は、暮らし方も提案したいと思っているんです」
そのために、一見不動産には関係ないようなワークショップが、ここではたくさん開催されている。
たとえば、ベビーマッサージや離乳食の講座、引越し講座にアクセサリー講座というのもある。
「教えてくれる講師の先生やキッチンで働いてくれている方は、うちのマンションの入居者が多いんです。住む人ともお付き合いを続けながら、この場所をつくっています」
なるほど、ゆるやかに食と住、暮らしがつながっていく場所なんだな。
ところで、そもそもリブランのつくる家とはどういうものなのだろう。
そう聞くと「実はここで体感できるんですよ」と菅原さん。
「この店舗自体が、リブランの家づくりの特徴である『エコヴィレッジ』という商品と同じものでできているんです」
エコヴィレッジは、リブランがプロデュースする自然の力を住環境に取り入れた体と心に優しい分譲マンション。2000年からはじまり、これまで約1,200戸が提供された。
「エコミックス・デザイン」が採用されていて、都市の中でも自然の力を利用して快適に暮らせる工夫がされている。
たとえば、新築マンションでも木曽ヒノキを使った無垢の床、壁には珪藻土を塗るなど自然素材を使う。
木や珪藻土は湿気を吸ってくれるので、夏は涼しく冬は暖かい。エアコンを使わずに湿度の波を緩やかにコントロールし、カビも生えにくいので、人に優しい家になる。
「生きた素材を使うので、メンテナンスが必要です。木の床は反りや隙間がでるし、水をこぼせばシミになる。ただ、手を掛けるほどに快適な暮らしに結びつく。手間と捉えるのではなく、家に愛着を深めてもらいたいんです」
リブランでは入居前からメンテナンス講習会を行ったり、自宅となる壁に職人さんとお施主さんが一緒になって珪藻土を塗る企画を実施している。
補修方法を住む人自身が知ること、そしてなにより住まいづくりに参加することで家に愛着を感じてもらうことが目的だ。
ほかにも、各住戸ではつる性の植物を育てた緑のカーテンによって日除けができる。楽しくカーテンを育てながら、ご近所さんとの会話のきっかけにもなるそう。
「創業者の鈴木靜雄は、住宅づくりは人間づくりだっていう思想を持っていて。住宅は人に大きく影響するものなので、人生を豊かにするものであるべきだ、という考え方なんです」
だから、旧来のような価格や最新設備だけを追求するやり方や、「売ったら終わり」という付き合い方はしてこなかった。それは創業してから今まで、49年間変わっていない。
今年で、入社25年を迎えるという菅原さん。この会社にどういう印象を持っていますか?
「こういう会社だから、やりたいと思ったことは自分で力を出せばできます。そこはおもしろい。ちょっとおじさんっぽい言い方をすると、若い子たちが一生懸命やっている会社だと思います(笑)」
実際に&Livlanを運営しているのは、宣伝部に所属する2名のスタッフ。
お一人はまもなく産休に入られるとのことで、今回は店長の三ツ口さんにお話を聞きました。
「もともと僕は農業やってた人間なんです。大学では獣医学部に所属して、中国の奥地の砂漠を羊をつかって緑化するという研究をしていました」
「だけども、自分では羊を飼ったこともないし、トラクターも運転できない。そういうことになんか違和感があって。自分の体で植物を育てることも必要だと思うし、将来青年海外協力隊に行きたかったから大規模な農場で学ぼうと思いました」
大学卒業後はアメリカで農業経験を積み、帰国。農業生産法人を立ち上げ、都内で農園レストランや農業塾の運営を手掛けるようになる。
聞けば聞くほど、今リブランで働いているのがなんだか不思議に感じられる経歴。
きっかけは、現在もリブランに勤めながら続けている、NPO法人の活動だという。
「NPOの理事長は、今のリブランの社長で。あるとき、うちに入らない?って誘われて。僕も、農業、食、教育と暮らしをとりまくものに関わってきて、僕が何かすることで誰かの暮らしが楽しくなるようなことができたらいいな、とぼんやり思っていたんです」
けれども、当時はリブランのことを「ただのマンション屋さん」だと思ってたそう。
話を聞くうちに、人の暮らしを届ける仕事を真面目にやってきた会社なんだと気付く。同時に、もったいない会社だとも感じた。
「活動が人々に知られていない。なぜかと考えると、家を買うって一生に一回のことだから、接点が少ないんだと思った」
「じゃあマンションは売れないけど、僕の得意なことで会社のためにできることはなんだろうって考えたんです」
そこで2008年に立ち上げたのが、ファンクラブ「エコミックスクラブ」。今では2500人が交流する一大組織だ。
「今の入居者さんと、これから入居者になるであろう町の人を集めて、毎月いろんなイベントをやったんです。屋上菜園でとれた野菜を使った料理教室や、リブランが所有する『妙高リブランの森』という場所でのキャンプ。キャンプは季節を変えながら毎年続けていて、今年も5月に開催します」
なぜ、こういう機会を設けようと思ったのですか。
「口でどれだけ言っても、体感していないと『へー』で終わりなんですよ。だから実際に心地よい暮らしをしている人や場所に、直接ふれて体感してほしいと思ったんです」
その後、&Livlanをはじめたのは2013年。会社の指示ではなく、やりたい人が集まって自主的にプロジェクトがつくられた。リブランには、部署を横断して人を集め、プロジェクトをつくることができる制度がある。
とはいえ、お店を開くためには、内装工事や人手集めなど、なにかと時間がかかるもの。
「エコミックスクラブのつながりを活かして、すぐに店を立ち上げることができたんです。シェフは、もともと僕が企画したワークショップで講師をしてもらった人で。入居者さんたちも『三ツ口くん面白いことやってるね』って集まってくれました」
話を聞いていると、「リブランの人」ではなく「三ツ口さん」として、入居者さんや関わる人たちとの間にいい関係ができていることが感じられる。
仕事だから、という捉え方ではなくて、三ツ口さんがいつも自分ごととして楽しみながら仕事をつくってきたから、こういうつながりが生まれるんだろうな。
「そうですね。仕事でも、本気で遊ぶことは大事かな」
たとえばね、と最近実施した企画の話もしてくれた。
「この場所で声をかけた男性が、たまたま隣の朝霞駅の中にある本屋さんだったんです。その縁で、ある本の著者の方と、僕と本屋さん、出版社の方やリブランの社長も呼んで、父親と子育てについて考える『家族が幸せになるオトン・スタイル』って対談をしたの」
対談を聞きにきてくれた方とのつながりはもちろん、著者の方は広告代理店に勤めている方で、イベント後も広告をつくってもらうなど仕事のつながりが続いている。
「一見遊びのように興味があることに関わっていくと、すごくインタラクティブに人の交流が生まれて。不動産屋さんじゃなくて、暮らしを届ける会社っていう位置づけで関われば、ただのお客様と売主ではない関係が築けるんです」
「そうして集まった人が、また自分たちの口でリブランを語っていってくれる。3人しかいない宣伝部なんだけど、僕らにとってはここにいる人みんなが宣伝部員みたいなものなんです」
新しく入る人も、三ツ口さんと同じように自分で考えてどんどん行動していける人がいいと思う。
「どんな場があったらいいのか」、「どんな仕掛けがあればこういう暮らしが実現できるのか」と考えながら、自分の日常やネットワークもうまく活かして思いを形にしていってほしい。
企画の仕事のほかにも、店内での接客やウェブ上に物件の記事を書いたりと、やることは多岐に渡ります。
大変なこともあれば教えてください。
「カフェでホールをやることが、意外と負担になっちゃうときがあるんです。今日あの企画を考えなきゃいけないのに、サラダ盛り付けてるとか。どちらも仕事なんだけど、そういうせめぎ合いはあります」
オーダーを聞いて、料理を出して、と動き回っていたら、あっという間に1日が終わってしまうこともあるのだとか。
仕事も時間も自分でつくるもの。目の前の忙しさにのまれずに、常に目的意識を持って働くことが必要だと思います。
最後に、三ツ口さんはこう話していました。
「とにかくいろんな方と出会いたいですね。お会いした人とまた新しい仕事が生まれるかもしれないし、そういう関わりがおもしろい。自分と社会の接点を、仕事を通じて見つけてほしいし、僕もそういうふうに働いていきたいと思います」
次の一歩がワクワクするような、自分の仕事と働き方を、ここでぜひ見つけてください。
(2017/4/7 並木仁美)