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東京・蔵前。下町情緒あふれるこのまちに、5年前から仲間入りした大きな扉のお店。
名前を「KONCENT」といいます。

これらの商品には、共通のある想いが込められています。
「デザインを活用して、世の中を元気にしたい」
必需品ではないかもしれない。けれども、毎日をそっと支えてくれたり、ふとした瞬間にクスッと笑わせて元気をくれる。そばにいてくれる“恋人のような”商品を生み出し続けるアッシュコンセプト株式会社。
今回は、蔵前本店や湘南T-SITE、nonowa国立やBunkamura、東京駅地下のグランスタなど、各地のKONCENTショップで働くスタッフを募集します。
取材当日は雨。
地下鉄都営浅草線の蔵前駅を地上に出たら、小走りでKONCENT蔵前本店に向かう。

そこへ迎えてくれた代表の名児耶秀美さんは、ラフで親しみやすい雰囲気を醸し出す方。
軽快な語り口は、少年のようでありながら、まるで落語家のようでもある。

実家は150年続く老舗生活用品メーカー。高島屋の宣伝部に勤めたあと、年商3億円だった家業を40億円まで引き上げ、独立することに。こうして14年前、四畳半の事務所からアッシュコンセプトははじまった。
「ぼくらが一番やりたいのは、デザインを活用して世の中を元気にすること。“利用”は嫌いだから、活かして用いて、元気にしたい。モノを売ることがメインじゃないんだよね」
そこでまず最初に目を向けたのは、日本のデザイナーたちだ。
「日本のデザイナーって、本当に恵まれていなかった。世界の中で日本人で有名なのはたった数人で、大企業のインハウスデザイナーなら絶対に名前が出ないよね」
「自分は絶対にデザイナーの名前を出したモノづくりをしたい、と思って『+d』っていうブランドを立ち上げてね」
「+d」では、マーケティングやパッケージなどあらゆる面でデザイナーをサポートしながら、一緒に商品をつくっていく。すべてのパッケージの裏面には、デザイナーの顔写真とともに、その商品に対する想いやストーリーを日英表記で掲載している。
「そしたらすごいんだよ。デザイナーのためにやったつもりが、『あそこにいけば自分の顔と名前も知ってもらえるよね』ってことで、どんどんデザイナーがやってくるようになった。次何つくろうか?って悩むメーカーも多いだろうけど、うちは温泉掘り当てちゃったみたいに次々と面白いアイディアが出てくるんだよね」
その結果、14年間で100名以上のデザイナーとコラボし、今や世界35ヶ国でアッシュコンセプトの商品が取り扱われている。
さらに、デザイン事務所のような機能も持つようになった。全国各地の産地やメーカーのモノづくりを、デザインやPRの面からプロデュースするような仕事も増えているという。

加えて、最終的に使う人のことを考えるというのも、アッシュコンセプトの大きな軸のひとつとなっている。
「デザインっていうのは、つくった人自身が気持ちよければいいもんでもないんだよね。使う人がよろこぶと返ってくる。合気道みたいなものだから」
合気道。
「デザイナーや工場、小売店やぼくらはみんな、使う人をよろこばせるためのプロジェクトチームみたいなもので。誰が偉いというのは全然ない」
「個々人のしっかりとした点が集まると、すごくおもしろい面になるじゃない?販売も単なる販売ではなくて、『この色で売れるんですか?』とか、『こういった要素を入れてほしい』って意見を出してほしい。みんなでモノづくりをしていきたいんだよね」
「指示待ちではなく、自分で仕事をつくっていける人がいいですね」
そう話すのは、ショップ統括の中森さん(写真左)。同じくショップ担当の小森さん(写真右)とともにお話を伺う。

現在は蔵前のほか、湘南T-SITEやnonowa国立、Bunkamura渋谷や東京駅地下のグランスタにもKONCENTショップがある。さらには、メルボルンやマレーシア、台湾など、海外にも少しずつ進出をはじめている。
「生活必需品というより+αのモノが多いので、販売は難しいですね。逆に、たまたま立ち寄ったお客さまが購入されるという巡り合わせもあります。一期一会なところが難しくもあり、楽しいところでもありますね」
お客さんに対しては、どんなふうに接するんですか。
「まずは『こんにちは』と声をかけて、反応を見ます。昔は『いらっしゃいませ』と言っていましたけど、それだと返す言葉がないんですよね」
たしかに。「こんにちは」という挨拶なら、反応の仕方もいろいろと考えられるから、お客さんがどう過ごしたいのかも自ずとそこから見えてくるだろう。
「何か作業しながらではなくて、ちゃんとお客さまの目を見て、返ってくるように挨拶できるかどうか。基本は明るく元気で素直な人ですね。それさえあれば大体のことは乗り越えられますし、ほかは特に求めません」

「やっぱりここの商品が好きだなと思って。一つひとつにメッセージがあるので、ただなんとなく売るよりも伝わりやすいですし、好きなモノだと接客もしやすいんです」
ある日、Bunkamura渋谷の店舗で勤務していたときのこと。地方から訪れていたお客さんが立ち寄って、小森さんの身につけていたエプロンを1着購入してくれたという。
「ちょうど夏休みの時期で。『孫がきて一緒に料理つくるのよ』『そうなんですね!わたしも母が料理好きで』という何気ない会話を通じて、買ってくださって。『すごく楽しかったから、また来ます』と言ってくださったんです」
その数週間後、同じお客さんが再びやってきた。
「『エプロンが良かったから、今度はポーチを買いにきました』とおっしゃって」
「施設の特性上、一度来たら次は来年という方が多いなか、一回の接客をきっかけにリピートしてくださった。販売する身としてとてもうれしかったですね」
デザイナーのメッセージを伝えるだけでなく、自分で使ってみたときの視点や、その商品の基本性能に関する知識も大切だ。

デザイナーに共感して、実際に使ってみて。モノの魅力を多角的に伝えられる人がいると、ここで過ごす時間もより楽しくなりそうだなと思う。
続いてお話を伺うのは、国内営業の名児耶海さん。父である秀美さんの背中を見て育ち、ここで働くことを決めた方だ。

「野菜でも、誰がどんなふうにつくったかを知れたほうがおいしいですよね。それをモノづくりでもやっていきたいんです」
紹介してくれたのは、「TSUN TSUN」という商品。シリコン製の剣山のような形をしたソープディッシュだ。

「これだと、石鹸と水が触れにくいので、石鹸が1.5倍ぐらい長持ちするんです。素材もやわらかく、ふわっと雲の上ですくうような感じで。そういうアイデアから生まれたという意味でも好きですし、使ってもシンプルで無駄がなく、よく考えられたデザイン。本当に三拍子揃った製品だなと思います」
海さんの言葉には、一言一言に愛を感じる。このときのお話がなぜか頭から離れなくて、後日思わず購入してしまった。
「わたしたちは、一個の製品を生み出したら100年売っていきたいという想いでやっています。単発的につくって廃番にしていくよりは、ロングライフの商品をずっと大切に、お客さまに届けていきたい」
「TSUN TSUNはめちゃめちゃ売れるわけでもないんですが、13年間ずっと変わらず愛していただいて。ファンの多いアイテムなんです。わたしもファンのひとりなんですけどね(笑)」
最後にお話を伺ったのは、海外営業担当の木村さん。彼女もまた、+dの商品のファンだという。

「いつも外国の人にいいね!って言われるんですけど、日本にしか売ってないよって教えてあげてます(笑)」

「“クールジャパン”で売り出していくんじゃなくて、いいと思って手に取ったら、『これ日本のものだったんだ!』って。そう思われるモノをつくり続けていきたいですよね」
最後に、印象的だった秀美さんの言葉を紹介します。
「社名のh concept(アッシュコンセプト)は、hではじまるいろんな言葉を意味しているんだけど、大事な言葉が3つあって」
「一番がハッピーだよね。それからハロー。挨拶しないって絶対ダメだと思う。あとはハハハ!って笑える。この3つがやっぱりポイントだな」

そのために自分の力を活かせそうだと思った方は、ぜひ応募してください。
(2017/9/25 中川晃輔)