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小豆島で待ってます

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「また来てくださいね」

その何気ない一言がうれしかった。

送り出してくれたのは、島宿真里のみなさん。

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島宿真里は、香川県小豆島に続く一軒の宿。

先代の眞渡里枝さんが民宿をはじめ、後を継いだ息子の康之さんが7室の旅館としてリニューアルしたのは17年前のこと。今年で創業50年を迎える。

小豆島でとれた食材にこだわり、魚も野菜も、毎朝仕入れに向かうのが康之さんの日課。休みの日に貝を掘ったり、釣りに出かけたり。「誰よりも島を楽しんでいるのは、ぼくら真里のスタッフだと思うんよ」と、康之さんは話していた。

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そして、来年の春から順次、小豆島内に別館のオープンを予定している。

本館が山手側にあるのに対し、別館が建つのは海の正面。敷地内には、客室のほかに温泉やスパ、レストランや船の発着できる桟橋、オリジナル商品や着地型観光ツアーを試作開発するファクトリーなどを併設する計画だそう。

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「チェックイン・チェックアウトって、『14時以降に来て、11時までには帰ってください』って言ってるようなもんやん。その時間軸だけでなく“その間”や“その後”も喜んでもらえるようなプランって、もっとつくれるよね」

滞在中から、宿を出たその後まで考える。

目の前のお客さんとともに“地域のこれから”も楽しくなるよう、島暮らしを楽しみながらもてなす。

そんな島宿真里の一員となる人を募集します。

今回募集するのは、別館の料理長候補と調理師見習い、そしてファクトリーでの商品・ツアー開発を中心に接客や清掃などにも携わるスタッフ。いずれも、別館のオープンまでは本館で経験を積むことになります。

小豆島をよく知らない人でも大丈夫。ここで働くうちにきっと好きになると思いますよ。

小豆島へは、兵庫・岡山・香川の3県からフェリーが出ている。もっとも近い高松港からの所要時間は1時間。高速艇なら35分で着いてしまう。

近年は瀬戸内国際芸術祭の人気もあって、インバウンドが増加。真里でも、宿泊者全体の1割ほどが海外からの観光客だという。

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島内ではオリーブの栽培やそうめんの製造、漁業など食にまつわる産業が盛んに行われている。なかでも真里のある地域一帯は醤の郷(ひしおのさと)と呼ばれ、かつては400もの醤油蔵が軒を連ねていたという。

ほんのりとした醤油の香りを感じつつ、港から山のほうへ歩いていくと、20分ほどで島宿真里が見えてきた。

迎えてくれたのは代表の眞渡康之さん。

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趣の異なる7つの客室からなる島宿真里。

康之さんはこの宿で生まれ育った。

「ほかにも離島はいっぱいあるけど、ここは不便さは少ないと思うよ。コンビニも病院も学校もあるし、東京までスムーズにいけば3時間ですよ。去年のインバウンド増加率は香川県が日本一やしね」

移住者が新規出店したり、年に数回移住者同士の集まりもある。お遍路さんを受け入れてきた歴史的な背景もあって、外から人が入りやすい土壌ができているという。

宿のあり方もその都度柔軟に変化してきた。その一方で、康之さんが変わらず大切にしてきたことも。

「大間のマグロをうちで出してもしかたないわけで。地のもの、ここでしか食べられないものを出していきたい」

毎朝市場に足を運び、新鮮な魚や野菜を仕入れる。自身も料理人として経験を積んできた康之さんのこだわりだ。

今回募集する料理人も、康之さんの仕入れには度々同行することになると思う。

「都会は、地方から食材を集めて高単価で売る。そうじゃなく、素材がある土地で技術を発揮して、生活もそこですることが島の料理人の魅力なんよね」

料理‐お造り

島にどっぷり浸かり、海の幸も山の恵みも身近に感じるからこそ、料理にも深みが出る。

それは同時に、暮らしと仕事が密接に関わっていることも意味する。オンオフを明確に分けたい人には向かない仕事かもしれない。

「境目がないことを面白がれるか、わずらわしく思うかですよね」

そう話すのは、マネージャーの中野さん。

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「暮らしのなかに仕事があるとか、仕事のなかに遊びを見つけるとか。わたしは岡山から移住してもう12年になりますけど、区切りをつけないから楽しめるんだと思います」

島内各地の生産者さんを訪ねて回ったり、帰り道の夕日に息をのんだり。車の鍵を開けておいたら、みかんやいなり寿司がどっさり乗っていたこともある。

中野さんの話すエピソードからは、仕事もプライベートも、境目なく楽しんでいる様子が伝わってくる。

「宿は、島とお客さんをつなぐ接点になります。わたしたちにしかない目の付け所って、あるんじゃないかなと思うんですね」

たとえば、真里では火入れ前の醤油を蔵から特別に仕入れ、使っていたりもする。

つくり手からすれば「完成前なのになんでほしいの?」という感覚かもしれないけれど、それこそ小豆島に来ないと味わえないもの。お客さんからは好評だそう。

タレやつゆなどの合わせ調味料も、宿の料理に合わせて独自に配合している。そうめんは太さや食感、原料まで製麺所に特注したもの。

次第にお客さんから「お土産にしたい」という要望が増え、オリジナル商品として販売するようになった。

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「こんなことやってみたいとか、あったらうれしい、楽しいってところがはじまりで。机の上で考えているわけじゃないんです」

着地型観光ツアーも、「オススメの場所はありますか?」というお客さんの声に応えていくなかで生まれたという。旅行業の許可も得て、準備は万端。

季節の移ろいを感じられたり、関わりのあるオリーブ園や醤油づくりの現場を訪ねたり。別館は海に面しているので、船で沖に出たり、磯遊びもできるかもしれない。

島とともにありながら外との接点でもある宿のツアーは、きっと面白い。

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「あくまで宿の企画するものづくりやツアーなので、“企画部”という形で独立することはないと思います。清掃や接客といった宿の仕事もやることになるでしょうし」

「分担を決めて動くというよりは、その人の得意や想いに応じて自然と役割が決まっていくという感じ。多岐にわたる業務を経験したうえで、『わたしはこれ!』と言えるポジションを見つけてほしいですね」

パートタイムや契約社員のなかには、味噌屋さんや漆の作家さんなど、別の生業を抱えながら働く人もいる。

それも単なる収入源としてではなく、宿の料理に味噌が使われたり、器に入ったヒビを継いで使えたり、海外からの観光客の対応で英会話が活きたりと、それぞれの人がやりがいのあるポジションを見つけられているから、いい関係で働き続けられているのだと思う。

新卒入社3年目にして接客・総務のリーダーを務める祖母井(うばがい)さんも、この宿に自分の居場所を見つけたひとり。

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「よく社長が言っているのは、真里が魚をとってくるわけでも、オリーブをつくるわけでもないと。人と人、人とモノをつなげる役だと話すんですね」

接客やフロント業務など、祖母井さんがリーダーとして任されているのは宿の内側の仕事のように見える。

ただ、目指しているのは、より地域に開けた宿だという。

「別館の予定地は、小豆島のなかでも過疎化の進んでいる地域です。今よりもさらに顔の見える距離感で、地域と関わることになります」

地域の人たちを招いて、夏はBBQをしたり、冬は鍋をしたり。オープンに向けて、丁寧に関係を築いてきた。

「この間も地区のお祭りに参加して、島で和太鼓の活動をしている人たちと一緒に演奏会をしようという話になって。宿泊されている方も地元の方も、気軽に参加できるものです」

「地元の人が犬の散歩しているとき、宿泊されている方と立ち話になる、みたいな。そんな些細なことが大事だと思うんですよね」

芸術祭によって瀬戸内の島々が活気づいたように、そこに真里があることで地域が明るくなるような存在でありたい。

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「仕組みづくりですよね」と、隣で聞いていた中野さん。

「自分が生まれ育ってきた場所が評価されたり、喜んでもらえたら、誇らしいじゃないですか。島の奥まったところまで全国から人がやってきて、道に迷っていたら案内したりとか。そういう自分たちも何か一緒にできそうな“関わりしろ”があることで、地域を元気づけられると思うんです」

「それも一時的な刺激や盛り上がりではなく、永続する仕組みにしたい。お客さまも地域の方も、一緒に喜べるような宿をつくっていきたいですね」

そんなこれからの島宿真里を一緒につくっていく人をもうひとり紹介したい。

康之さんの息子である、眞渡寛(ゆたか)さん。

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「ぼくが中学生ぐらいのときから、父が宿を少しずつ大きくしていって。長男なので、親戚とか周りの方も継ぐんやなって思ってただろうし、ぼくもそれに対してなんの違和感もなく、自分がするんやなと思いながらきたんです」

高校卒業後は、料理を学ぶために京都へ。

しかし、そこで別のやりたいことが見つかってしまった。

「音楽関係のマネジメントの仕事がやりたくて。当時駆け出しだったアーティストと一緒に、ゼロからいろいろと勉強させてもらいました」

そのアーティストは、今や国内外のフェスに呼ばれるほど成長したという。「後ろ髪を引かれないことはないですよ(笑)」と笑う寛さん。

それでもここに戻ってきたのは、なぜだったんでしょう?

「小さいころから、いろんなお客さまが真里を求めて来てくれるのを見てきて。もしもこの場所がなくなったらいやだなと思ったんです」

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「それに、マネジメントの仕事をしてきて、自分は人が喜んでるのを見るのが好きやなって気づいて。アーティストとお客さんを真ん中でつなぐ仕事なんですよ。その意味では、宿の仕事もすんなり受け入れることができました」

10年ぶりに帰ってきて、お客さんと地域をつなげる真里の面白さに気づいたそう。

現在は厨房に入り、修行を重ねているところ。

「毎日仕入れをするので、新鮮な食材を扱えるのはうちの強みですね。ただ、余分な材料のストックがないので、調理する側としてはいつもハラハラしてます。これミスったら足りんよなって(笑)」

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食材と近いぶん、生産者との距離も近いという。

「『こんな野菜つくれます?』っていうようなぼくらのリクエストに応えてもらえたり、『やるんやったら農機貸したるわ』とか。都会に比べてモノの選択肢は少ないですけど、距離の近さ、自由度がここにはあるので。料理人としてやりたいことを形にしやすいのかなと思います」

この地に根をはり、日々を楽しむみなさんの言葉には、説得力と安心感がありました。

自分の生活に疑問を抱いていたり、何かモヤモヤした気持ちを抱えているなら、ここで働くことは自分を見つめ直すことにもつながるかもしれません。

小豆島で新しい日々をはじめませんか。

(2017/10/11 中川晃輔)