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自分の住んでいる街のこと、どう思いますか。いい面も悪い面も、そこで生活しているからわかることは、きっとあると思います。
石塚計画デザイン事務所は、ワークショップなどを通じて、住民が誰でも参加できるようなまちづくりに取り組む会社です。
まちづくりの仕事は建築や都市計画のことだけではありません。
市民が参加するまちづくりは、暮らしやすさや街の性格にも関わること。だから、教育や商業が関わることまで、テーマも様々です。時には海外のチームが参加することもあります。
今いるフィールドや得意なこと、一見関係ないような専門性からも、まちづくりのためにできることがあると思います。
今回はプランニング、コミュニティデザインを担うスタッフを募集します。
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エレベーターで4階に上がると、石塚計画デザイン事務所があった。
インターホンを押して中に入って覗き込むと、すぐに事務所全体が見えた。
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すると代表の野渕さんが説明してくれた。
「これは札幌本社のオフィスです。もともと東京事務所は出張に来たときにだけ使う無人の事務所だったんですが、今は東京勤務の社員も増えてちょっと手狭になったし、引越しを考えているところなんです。新しく入る人の最初の仕事は、事務所の物件探しになるかもしれませんね」
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会社は今、野渕さんのほか、千葉さん、安富さんの3人が代表という少し変わった体制で再スタートを切ったところ。
「代表の3人はデザイン、住民とのコトづくり、都市計画のコンサルタント、というように、それぞれ得意分野が違うんです」
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フラットで自由な関係性。でも経験が少ないうちから、現場に立たされるということ。
この春、新卒で入社したという上城さんは、この働き方をどう感じているのだろう。
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今は、入って最初に担当した仕事が一段落して、少しホッとしているところだという。
「町田市にある鶴間公園で『公園のがっこう祭』というイベントをやりました。公園が、駅前のショッピングモールと直結する工事でリニューアルされるので、その前に一度、市民のみんながつくりあげる公園の新しい使い方を実験してみたんです」
参加者の興味や関心によって6つのチームに分かれて、半年かけて準備を進めてきた。木の実を使った工作や、食、音楽など、チームがたくさんできた分、個別のリスクを考えたり、安全に気を配るのは大変だったそう。
「でも、市民のプロジェクトなので、私たちが手を入れすぎてはいけないんです。これをきっかけに、自分たちでもやれると感じてもらいたかったから」
公園の実験をするというプロジェクトは、上城さんだけでなく、会社としてもはじめての経験で、誰に相談していいか迷ったこともあった。そんなときに助けとなったのは、地域に元からあったネットワーク。
「自分のチーム以外のことでも、サツマイモを調達するために地元の農家さんを紹介してくれたり、公園で伐採している枝を工作で使えるように管理担当者に頼んでくれたりしたんです」
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まちづくりは、その街の性格や市民の状況に合わせて、やり方を変えて行くことも大事、と野渕さんは言う。経験を身につけても、新しい出会いがあるたびにセオリーそのものが進化していくような感覚があるのかもしれない。
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「そこで商店街でパフォーマンスをやりたいという方に出会ったんです。僕は限られた予算での取り組みだったので『身の丈にあったやり方がいいよ』っていうアドバイスをしました」
それでも、どうしても大型クレーンを入れた撮影までやらなければ意味がないと、その方は譲らなかったそう。
「その方に、『クオリティが高いものでなければ、みんなで一緒に“すごい成果を得る” というモチベーションが下がってしまう』と言われてガツンときたというか、意識が変わりましたね」
その熱意に、街の人たちも突き動かされる。
カメラマンや資金の調達は進んでいき、難しいと思われたパフォーマンスは成功。次の年からも、商店街から公園までパレードしたり、竹で楽器や小道具をつくり、それを用いた新しいパフォーマンスをつくり上げることにつながった。
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「このプロジェクトがはじまったときは、まずやりたいという気持ちで社会性はなかったんです。でも今は活動が街の中で人を動かすうねりのようなものを生み出している」
「まず小さくはじめて育てていくほうがいいと思ってきたけど、あそこまで思いの強い人にはそうじゃなかった」
隣でうなずきながら聞いていた佐藤さんは、まちなかパフォーマンスを応援していた一人。
「市民活動だからと言って、身内の子供の発表会みたいな感じだとつまらないですよね。まちづくりには正解がないので、ある程度思い切ったことをしてもいいと僕は思ってるんです」
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人見知りをしないという佐藤さんは、取材中も積極的に話をしてくれた。他の方が話しているときは、その資料を探してきたり、仕事中のアルバイトさんの様子を見て声をかけたりして、会社にとって中間管理職のように全体をうまくつなぐ人のよう。
そんな佐藤さんが、まちづくりのプロジェクトに関わる中で実感したのは、街の未来像を具体的なイメージで共有することの大切さだという。
「ある商店街で、景観のルールを設けようということになって、街の若い人たちと、ワークショップをやりました」
「まずは商店街の喫茶店に集まって、みんなでいろんな店先空間の写真を見ました。それを参考に描いた自分の店のイメージをCGでつなげると、まだない街の姿が見えてきたんです」
参加者の目の前で、屋根の高さを揃えてみたり、看板の色を変えてみたり、アレンジを加えながら景観のイメージ完成させていく。
「それがちゃんと実現できるようにルールブックもつくりました。そういう条例がなくても、みんなで一緒に考えながら決めたルールのほうが、いい街並みをつくっていけると思うんです」
実は、この地域では以前から駅前の区画整理が計画されていたものの、なかなか事業が進まず、長い時間がかかっていた。
もともと中心的役割を担っていたまちづくり協議会の人たちは、若い人が中心になってはじめたこの新しい取り組みに対して、最初は半信半疑だったそう。
「厳しい質問にも、ひとつずつ真摯に答えていきました。それで最後にCGを見せたら、『こういう街になってくれるんだったらうれしい』って、一緒に展示会を開くことになりました。
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「イメージをビジュアルで共有することで、事業の中で固まっていたコリもほぐれた気がします」
街並みをつくるという目的に向かって気持ちを共有することで、景観が良くなるだけでなく、隣人として関係も深まっていく。
まちづくりにはそういう役割もあるのかもしれない。
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「自分のやりたいことをどういう形でやるか、もちろんこの会社も含めて、その都度考えられる働き方ができたらいいなと思っているんです」
代表の野渕さんたちはそんな佐藤さんのことを、「最近仕事に脂が乗ってきた」と評価しているだけに「やりたいことあるなら、うちでやりなよ」と笑っている。
もちろん、会社としては佐藤さんに主戦力として残って欲しいという思いもあるはずだけど、外での活動も応援しているようだ。
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課されたタスクをこなすだけでなく、やってみたいと思う仕事に挑戦できることも、生活の豊かさだと思う。小さい事務所だからこそ、社員が外に出ていくことが会社のネットワークを拡張するきっかけにもなる。
代表が3人になったり、ダブルワークの社員がいたり、会社のあり方はこれからも少しずつ変わっていくかもしれない。
今回は、同じ業界からだけでなく、まちづくりとは少し違う経験がある人にも応募してもらいたいという。
「英語力がある人が加わると、海外のチームと仕事もしやすくなる。マーケティングの経験がある人なら、商品開発の話ができるようになる。そういう出会いでチームに新しい展開が期待できると思うんです」
その出会いのことを野渕さんたちは“ワクワク感”と呼んでいます。
自分たちの部下としてのマンパワーを補うことより、自分たちと違うパートを担当できるメンバーと一緒に、チームをもっと面白くしていきたい。そんな期待が込められているように感じました。
ノウハウや縦割りの関係に頼らず、現場を自分で動かしていきたいという人には、チャンスの多い仕事だと思います。
(2017/11/17 取材 高橋佑香子)