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「経営者って世の中を変えようと思っている人が多いんです。僕たちは彼らの志を実現するためにどう表現するか、どう伝えるかを考えています」これは、株式会社スタイルメントの野村さんの言葉です。

ただかっこいいものをつくるのではなく、経営に最適なタイミングでのブランディングやデザインを提案する。だから、ちゃんと成長するためのデザインになる。
今回募集するのはディレクターやWEBデザイナーとして仲間に入る人。経験は問いません。
スタイルメントの事務所は、恵比寿駅から歩いて5分。飲食店が並ぶ通りを進んでいき、ピザ屋のあるビルを9階に上がります。
エレベーターを降りてまず目に入ってくるのは、パキッとしたピンク色のカウンター。中ではスタッフのみなさんが働いています。

「僕は営業とプロデューサーの役割をしています。提案していきたい案件はたくさんあるので、実際に仕事を動かしていくディレクターの人数を増やしたいんです」

まだインターネットがなかった時代。洗練されたデザインが紙面をかざる雑誌を野村さんはむさぼるように読んでいた。
「バブルの頃だから、ものに囲まれている生活が幸せだと思っている時代で。こんなにかっこいいものが世の中にあって、生活は豊かになる。ものをつくって人を感動させることができるんだ、と思ったんです」

「僕、すごい生意気だったの。自分でも天才デザイナーって言ってたからね」
「でも学生のころに考えていた方法論が、会社では通用しないんだよね。組織の中でうまくやるためにはコミュニケーションが必要だった。会社で働いて学んだことは、急がば回れっていうことかな」
がむしゃらに働き続けたけれど、30歳のとき、ふと焦燥感を感じるようになった。
「コンペに出すものは、アイディアで勝負する“コンペ用のデザイン”なんだよね。でも、本当のデザインってなんなんだろうって。人よりも優れたものをつくることではなくて、ユーザーのことを考えてデザインするほうがいいだろうと思ったんですよね」

「ちょうどインターネットの技術が出てきたころで、おもしろくて、ものすごく可能性を感じたわけ。当時はまだデザインをする人があんまりいなかったから、チャンスあるんじゃないのって思ったりしてね」
ウェブやグラフィックデザイン、映像制作まで、とにかく幅広く仕事をした。ときには何百冊ものカタログをスキャンしたり、データのリネイム作業を頼まれることもあった。
「なんでもやりましたね。生きていくためっていうこともあるし、その仕事がきっかけになって、いい仕事につながっていくから。基本的にはどんな仕事も、そういう姿勢でやってきたね」
いい仕事へのチャンスをつかむために、基本的に仕事は断らない。そのスタンスは今でも変わらずに持ち続けている。

けれど経営をする人は、言葉やビジュアルで表現することが得意なわけではない。想いを伝え、事業が成長していくために、デザインという側面から支えていくのがスタイルメントの仕事。
創業をするタイミングで、ロゴのデザインをしてほしいと依頼が舞い込むこともある。
「でもね、最初はロゴマークなんかつくらなくていいって言うんです。自分がやろうとしていることが認められる前にデザインにお金をかけても時期尚早っていう場合も多い。試してみないとわからないからね、大事なのはデザインよりも中身だから」
デザインをするということは、誰かになにか伝えたいことがあるということ。そのタイミングは事業のステップによって変わってくるし、内容だって変わってくる。
スタイルメントではロゴの制作だけでなく、ウェブや紙媒体、そのほかのツールに関しても、企業のライフサイクルや事業全体を考えたロードマップから提案をすることも多い。
頼まれたタイミングではなくて、必要なときに、必要なデザインをつくっていくことが、事業をちゃんと伝えることにつながる。

スタイルメントは今年の3月で20周年を向かえた。実は10年ほど前、会社を続けるか迷った時期があったんだそう。
「それまで右肩上がりだったんだけど、リーマンショックの影響を大きく受けたんです。売上もがくんと下がったし、自分でやっていける子たちには辞めてもらった時期もありました」
それから10年、ふんばりながらも会社を続けてきた。この先を考えたとき、会社の体制を変化させようと考えているところだという。
「僕、今51歳なんだけど、やっぱり死ぬときには『ありがとう』って言われたいと思ったんだよね。そのためには僕が考えてきたお客さんへの想いみたいなものを1人でも多くの子に伝えていきたい。だからもう少し拡大しようと思っているんです」
今働いているスタッフは23名。2020年までに30人以上に拡大し、スタッフがより成長できる組織環境を整えていきたい。
「自分で目標を立てて、それが達成できればちゃんと評価されるように変えているところです。だからやりたいことがあるスタッフは、どんどん言ってもらいたいね」
実際にディレクターとして働いている金子夕紀さんと徳増勇太さんにもお話を伺います。

「ミーハーなので、地道なプロダクトデザインよりも派手なグラフィックがやりたいと思ったんです。経営者、その先のユーザーがどう幸せになるか。ちゃんと問題解決できる姿勢がリンクしていたので、ここに入社しました」
徳増さんが入社したのは10年前。大変だったことを聞くと、2週間家に帰れず徹夜をした仕事の話をしてくれた。
「当時はつらかったですね(笑)大きな仕事を任せてもらったんですが自分にはキャパオーバーで。今は突破できる力がついて、マネジメントまでやらせてもらっています。あらためて、仕事ごとに人をどうアサインするか、どうチームをつくっていくかは大事なんだなって思います」
今は自分でデザインをしながらも、チーム全体のマネジメントからディレクターの役割まで、幅広く仕事をしている。
「俯瞰して全体が見えるようになりました。プロデューサーや経営者になると、また視野が変わってくるんだと思います。お互いの気持を汲み取りながら、チームで気持ちよく仕事ができるようにしていきたいですね」
金子さんにも、スタイルメントに入るまでの話を聞いてみる。

やる気に火がついた金子さんは、通信制のスクールでデザインを勉強。アルバイトからはじめられる会社に入社し、デザイナーになった。
「クリエイティブっていいなって、とりあえず5年間デザイナーとして働きました。でも、クオリティの限界を感じまして」
限界、ですか。
「すごいデザインをつくる人って、上を見たらきりがなくて。自分が10年後そこにいけるかというと、無理だと思ったんです。でもこの業界はたのしいし、離れたくなかった。それでディレクターとして入社したのがこの会社です」
金子さんが入社したのは3年前。当時のこと、徳増さんは覚えていますか?
「彼氏とすごいケンカした人だっていう話がまわってきて、それが金子さんの第一印象でした」
「そこか!」
「(笑)でもしっかりしている人が入ってきてくれて、うれしかったです」
スタッフ同士、プライベートの話をすることはよくあるそう。2人の話し方と事務所の静かな雰囲気から淡々とした印象を受けていたので、ちょっと意外だった。
「殺伐としているんじゃないかって言われることあるんです(笑)でもけっこう仲が良くって、社内のイベントも多いんですよ」

「ディレクターって、なんでも屋さんみたいなところもあるんです。進行管理、設計からデザイナーのことも俯瞰してみないといけない。もちろんお客さんのことも考えます。規模の大きな仕事だと、正直全部やりきれないこともありますよ」
「いつもなにかしらに挟まれてるよね」と徳増さん。
スタイルメントのディレクターは、お客さんとの窓口も担う。お客さんの「こうしたい」と制作側の「こうしたい」のあいだで、最適なものを判断していかないといけない。
形のきまったものをつくっているわけではないので、なにがゴールなのかわからなくなることもある。そんなとき、ちゃんと道筋を決めて進めるのが、ディレクターの仕事。
「根底は、みんないいものつくりたいって思っているんです。けれどどちらかの意見だけを通してしまうと、一方の士気が下がってしまう。ゴールや軸がなんなのかを忘れないように進めることを心がけています」

人と人のあいだで動きながら、妥協をせずにつくるべきものをつくっていく仕事だと思います。
なんのためにクリエイティブをつくっているんだろう。そう思いながら働いている人は、ぜひ1度話を聞きに行ってみてください。
(2017/2/16 取材 中嶋希実)