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いつもNAOTと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「いい靴は、素敵な場所へ連れて行ってくれる」

ヨーロッパにはこんなことわざがあるそうです。

“いい靴”って、どんな靴だろう。高級なもの?かっこいいもの?

NAOTの靴に出会ってから、それは「育てるもの」だと思うようになりました。

イタリア製の本革とイスラエルの職人の技が組み合わさることで、NAOTの靴は生まれます。

コルクでできたふかふかのインソールは、履くうちに足の形に合わせて変形し、革は手入れ次第で表情がまったく違うものに。一緒に時間を過ごした分だけ、その人に寄り添うような靴です。

ぼくはかれこれ2年ほどNAOTの靴を履いていて、今ではすっかり日々の生活に馴染んでいます。

そんな「育てる靴」を日本で唯一輸入・販売しているのが、株式会社loop&loop

奈良の直営店「NAOT NARA」で働く販売スタッフとWebコーダー、金・土の週2日のみ開く東京店「NAOT TOKYO」でアルバイトスタッフを、それぞれ募集します。

この会社の大事にしていることに、まずは触れてみてください。

ふんわりとした雪が舞う、1月終わりの奈良。

近鉄奈良駅から南に向けて商店街を通り抜け、「ならまち」と呼ばれるエリアへ。

このあたりは昔ながらの町家が点々と残っていて、町全体としてゆったりした空気が流れているように感じる。

世界遺産の元興寺を過ぎ、角を曲がって細い路地を進むと、NAOT NARAのお店が現れた。

実は、今履いている靴と出会ったのがこのお店。

靴以外にも作家さんの器やコーヒー、靴下やシャツなどが並んでいる。

もともと雑貨や服飾を扱うお店「風の栖」をすぐ近くで経営していて、そのなかの人気商品のひとつがNAOTの靴だった。

代表の宮川さんは、奥さんとともに4年間で50カ国を旅したあと、NAOTのお店をはじめた方。

ぼくの足元を見るなり、「あっ!」とうれしそうな表情の宮川さん。まわりにいたスタッフのみなさんの視線も足元に集まる。

「いい色に育ってますねえ」「いつから履かれてるんですか」「お手入れってどんなふうにしてます?」

質問攻めにあいながら、こちらもついつい自慢したくなる。

靴のおかげで打ち解け、心地よい雰囲気のなかで話を聞きはじめられた。

「ぼくは10年ぐらい履いてる靴もあるんです。10年といったら、ぼくの人生の4分の1を一緒に過ごしてる。今さらっと言いましたけど、それってすごいことですよね」

そうですね。それだけ愛着も深まります。

「長く履いてもらいたいから、お客さんに合うと思うものを正直にお伝えします。ぼくたちがめちゃくちゃ大事にしているのは、フィッティング。そこはとくにがんばっている、と言い切っていいかな」

NAOTの靴はもともと馴染みやすい素材とつくりなのだけど、一人ひとり足の形は違うから、どうしても個人差は生まれてしまう。

そこで店頭では、革調整というものを行っている。

足の大きさを計測したり、足の形を見極めたり、ヒアリングをしながら、専用の器具を使ってぐいっ、ぐいっと形をつくっていく。

また、靴底のすり減りなどに応じて修理も行う。

壊れたら買い換えてもらうほうが、短期的な利益にはつながるかもしれない。それでも修理をするのは、少しでも長く、大切に履いてほしいから。

そんな気持ちが伝わっているからなのか、お客さんからよく手紙が届くという。

「『この靴に出会わせてくれてありがとう』って、わざわざ手書きで送ってくれるんです」

「自分たちの好きな靴を紹介したらありがとうと言われて、期待に応えるためにまたがんばろうと思える。こんな仕事、なかなか巡り合えないですよ」

loop&loopという社名に込めた意味は“ありがとうの循環”。

このお店の空間といい、スタッフのみなさんの表情といい、全体に気持ちのいい爽やかさを感じるのは、根底にこの想いを共有しているからなのかもしれない。

「もし手紙が届かなくなったら、ぼくはこの仕事をやめようと思っています。そのときは、きっと何かが間違っているので。それぐらいの覚悟で、一人ひとりに喜んでもらえるよう最善を尽くしたいんです」

今回は、この奈良のお店で販売や企画運営を担当するスタッフと、Webのコーディングができるスタッフ、そして東京のお店でアルバイトスタッフを募集する。

店内を見る限り、みなさんで接客をされていますよね。

「そうですね。うちの会社は、スポーツでたとえるなら全員攻撃・全員守備のような感じです」

たとえば、靴を発注すると、一度に200箱もの荷物が運ばれてくる。それを全員で店内に運び込み、箱から一足ずつ出して検品。お客さんとのメールのやりとりや接客、修理まで、基本的には全員で担当する。

何よりもまず、体力が必要になりそうだ。

「もちろんぼく自身も全部やります。常にお客さんの近くにいないと、誰のため・何のために自分の時間を費やして仕事をするのか?という本質に立ち戻れないと思うんですよね」

全国各地で開催している出張受注会「NAOTキャラバン」でも、必ずスタッフが現地まで足を運ぶ。

それは、直接自分たちの手で届けたいという想いがあるから。

今回の募集も、店舗運営+αで自分なりの仕事をつくっていくことになる。

たとえどれだけ秀でたWebやデザインの能力を持っている人でも、完全に分業することはないという。

ほかにはどんな人が働いているんだろう。

続いて話を聞いたのは、Webディレクションを担当している神谷さん。

大阪の百貨店で、婦人服コーナーのマネジメントやイベントスペースの運営を担当していたそう。

「そこで働くことは学生時代からの夢でしたし、人も環境もよくて。何かひとつ違っていたら、きっと定年まで勤め上げていたと思うんです」

いろんなことが重なり、ある日突然退職を決意。有休消化の2ヶ月間、実家から3駅隣のならまちエリアを何度か訪ねたという。

ふらりと入った風の栖で、NAOTの靴と出会った。

「そのときは単にいいお店やなって思っただけでした。でも、家に帰って少し経ってから、不思議と働く意欲が湧いてきたんですよね」

ならまちで働きたい。そう思ってサイトを見ると、風の栖でちょうど求人募集がかかっていた。

「そこで勝手に縁を感じて。3日ぐらいかけて渾身の履歴書を書いたんです」

ちょうどそのころはNAOT NARAがオープンし、イベントなどにも声がかかるようになってきたタイミング。ところが、スタッフの産休や留学などでかなり人手が不足していたそう。

「すごい船に乗ってしまった、と思いましたね。入って3ヶ月で東京店の運営を任されて。修理の知識もあやふやなのに、アルバイトさんのことも受け止めなきゃいけない。記憶が曖昧なくらい、怒涛の日々でした」

サイトのリニューアルを担当することになったのも、別に経験があったからではないという。

独学でWebを学び、少しずつできることを増やしていった。

「経験なくはじめたんですけど、今ではすごくいい仕事をもらったなと思っています。常に新しいものを探したり、いろんな人と関わったりっていうことは、仕事以外でもそういえば好きやったなって」

そんなふうに苦労しながら育ててきたNAOTのサイトには、靴にまつわるさまざまなコンテンツが並ぶ。

たとえば、スタッフ一人ひとりにNAOTとの出会いや想いをインタビューしたコラム「私とNAOT」や、靴がテーマの読み切り漫画「くつラヂヲ」、経年変化した靴の表情を写真のみで伝える「How old?」など。

それに混ざって、音楽や詩のような短文など、靴とは一見関係ないコンテンツも載っているのが面白い。

「Webには、わたしたちの『好き』という気持ちがたくさん詰まっています。そして関係なさそうに見えても、かたわらには常にNAOTの靴があるんです」

今は「こんなふうにWebを変えたい」というスタッフからの要望があっても、一部を外注しているため、すぐに反映するのが難しい状況。

さらに今後は、風の栖のWebリニューアルやloop&loop全体のWebサイト制作、ループ舎という名前の出版社をはじめる計画もある。

幸い、デザインの得意なスタッフはすでにいるので、今回はWebコーディングのできる人に来てほしいそう。

「企画は雑談から生まれることが多いですね。たとえば、今度の冬休みはみんな『写ルンです』を持って旅に出ようと思っています。バラバラに旅行して撮った写真、ミスった写真も含めて全部記事にしたら面白いねって」

「その企画は、わたしが『インスタントカメラって、めっちゃいいですよね』って話していたところから、それええやん!とはじまって。とにかくみんな、よくしゃべるんですよ」

最初はもしかしたら、会話量の多さに驚くかもしれない。

代表の宮川さん含め、なんでも思った通りに話せる風通しのよさを感じる。

「会社の忘年会には旦那さんや子どもたちも一緒に参加します。キッズが踊りまくって、このお店もダンスフロアみたいになるんです(笑)」

みなさんの親しみやすさは、Webにもにじみ出ている。

「わたしたちは日々NAOTの靴を履いていて、こういうふうにしてますよ、みたいな。友だちに紹介するような気持ちで、リアルな言葉と写真を使って伝えたいですね」

スタッフ同士の座談会のコラムなど、顔の見えるコンテンツが増えているおかげで、店頭で直接声をかけてくれるお客さんも増えたという。

「顔が見えるというか、顔しか見えない。靴見えてるのかなって、たまに心配になりますよ(笑)」と宮川さん。

loop&loopは、NAOTの靴を売っているというより、NAOTのある暮らしを発信している感じがする。

だからこそ、どんな人がそこで働き、暮らしているかはとても重要なことだと思う。

最後に、昨年の4月に入社したスタッフの岩崎さんにも話を聞いた。

「企画を立てるにしても、何案出せとか強制はされないんです。その代わり、純粋に何がしたいんや?という問いは、常に向けられているのを感じていて」

「ほかの人が書いた企画書でも、“てにをは”までチェックして『こうしたほうがもっと伝わらないかな?』ってアドバイスしたり。お互いにものすごく興味を持ち合うんですよね」

今まさに、岩崎さんが主体となって進めている企画がある。

「一昨年、東京でとあるアーティストさんのライブに参加したんです。その方にオファーして、OKをいただいて。東京ではいちファンやったのに、奈良で一緒に仕事ができるなんて、夢みたいですよね」

企画の内容は、NAOTの靴を履いたその人とともにまちを散歩するというもの。

何を見て、どんなことを感じながら、その人は歩くのだろう。岩崎さんは、春ごろに公開予定というその企画について、うれしそうに紹介してくれた。

「小さなことからでもいいんです。誰かを思いながら、好きなものを届ける。それってすごくいい仕事だなと思います」

帰り道はいつもより少しだけやさしい気持ちが増して、一歩一歩を大事にしたくなるような。そんな取材でした。

育てる靴と、歩みませんか。

(2018/1/25 取材 中川晃輔)