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やんばるの大地で、もう一度

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「ここでもう一度、沖縄らしい農業を再構築することによって、ブランドをつくっていきたい。沖縄の農業や食文化を元気にしていこうと考えています」

そう力強く話してくれたのは、新たに農業生産法人 株式会社 あいあいファームの代表に就任した木村さん。

あいあいファームは、野菜やくだものなどの生産から加工、そしてレストランなどを通じた消費まで一貫して手がける「6次産業」に取り組んできた会社です。

廃校になった小学校を再活用してレストラン・直売所・豆腐づくりなどが体験できる工房を備えた宿泊施設「あいあい手づくりファーム」を運営しています。

そして今、より良い事業展開を目指して新たな方向に舵を切ろうとしているところ。まさに、第二の創業期を迎えています。

このタイミングだからこそ、新たな仲間に出会いたい。これまでの経験は問いません。

食や農を軸に仕事をしてみたいという人や、いずれは独立して自分のお店を持ちたい人。とにかく沖縄が大好きだという人も。

さまざまな想いを形にするヒントがここにはあるかもしれません。

ファームのある今帰仁(なきじん)村までは、那覇空港から車で1時間半ほど。

基地がなく自然も豊かな今帰仁村は、沖縄の中でもゆったりと心地のいい、独特な空気があるように思う。

「ここはいい村です。いっぺんに癒されてのんびりしたくなってしまう。今日やる仕事も明日でいいじゃないかって思ってしまいますね(笑)」

そう気さくに話しかけてくれたのは、今年1月から代表に就任した木村さん。

まずは、あいあいファームにやってくることになった経緯から教えてもらうことに。

「私はもともと、三重県にあるもくもく手づくりファームという施設の創業者です。この場所は、実はもくもく手づくりファームをモデルにしてつくられているんですよ」

もくもく手づくりファームでは、手づくりのハムやウィンナーを食べたり、自分でつくってみることも可能で、温泉や宿泊施設まである。

人口わずか8000人ほどの典型的な過疎の町にありながら、年商50億円を売り上げ、なんと4万人もの根強いリピーターが存在するそう。

自ら生産して、加工したのち販売する。 6次産業を実践する新しい形の農業施設として生まれたもくもく手づくりファームは、多くのメディアに取り上げられ、全国から視察団が訪れる施設となった。

今帰仁村も視察にやってきた地域のひとつ。その後20年以上交流が続き、2014年にあいあい手づくりファームが誕生した際には木村さんも事業運営のアドバイスや出資を行った。

あいあいファームは、観光客だけでなく地元の人にも愛される施設になってきたものの、経営は順調とは言えなかったそう。

「そんなときに、前社長からあいあいファームをより良い場所にしていくために、社長を交代してもらえないかという打診を受けたんです」

すぐには決断できなかったという木村さん。だけど、ぜひ一緒にやってほしいというスタッフからのオファーに心打たれて参加を決めた。

具体的には、これからどんなことをしていくのでしょうか。

「僕の事業の方向性は、沖縄にしかできないことをやるということなんです」

沖縄にしかできないこと。

「これまでオーガニック野菜に力を入れていましたが、それは東京でも食べられる。今帰仁らしさとは何だろうと考えたとき、生産が盛んな南国フルーツがその一つでした」

早速フルーツ農園をつくる工事が始まっていて、パッションフルーツやドラゴンフルーツはもちろん、沖縄ならではのおもしろいフルーツも育てていく予定だそう。

たとえば、と木村さんが紹介してくれたのが、ジャボチカバという見たことのないフルーツ。

「黒く熟した実を食べてみて」と言われて口に入れると、ベリーとライチをミックスしたような不思議な味わい。

「ブラジル産の南国フルーツなんです。沖縄でなぜブラジル産かというと、ハワイやブラジルへの移民が多くて関わりが強いからなんだそうです」

実がなるまでには10年かかるから、これまで誰にも注目されてこなかった。それでも木村さんは、初めて見たときにこれは面白い!と直感で感じたという。

「この収穫体験はあいあいファームでしかできないこと。そういう体験って一生忘れないんですよね。食べ物に対してもっと興味を持ったり、環境や農業を考えるきっかけづくりにもなる」

さらに南国フルーツとあわせて、木村さんが柱に据えているのが大豆の栽培。

「沖縄って、島豆腐とかゆし豆腐とかたくさんの豆腐を食べますよね。だけど意外にも大豆はつくっていなくて、すべて本土から仕入れているんです。それではいかんだろうと私は思います」

「長年培ってきた食文化を守ろうとも、継続しようともしていない。かつては長寿県で、体にいい食事があったはずなのに。だから沖縄の家庭料理を再現したメニューをつくって、スローフードレストランにしていきたいと思います」

自分たちでつくった大豆の種が育ったら、今度は村の人たちにもつくってもらい、そのすべてをあいあいファームで買い上げるつもりだ。

「ここを訪れる人には、食べ物をもっと学んでほしいんです。どうやってつくられたのか、どんな効能があるのか。価値をもう一度見直して、日本の農業をもっと見直してもらう。そうして日本の農業の応援団をつくっていくというのが僕の持論なんですよ」

この島には人々の営みがあって、脈々と受け継がれてきた独自の文化や価値観がある。

体験や商品を入口に、もっと奥にある、本質的な沖縄の魅力を伝えていきたい。それらをブランディングしながら伝えることで商品の付加価値も上がり、事業の自立にもつながると木村さんは考えている。

「なんだかね、創業時に戻ったような感じですよ。汚いし稼げないという今までの農業イメージではダメだと思う。僕は本気で、農業は可能性のある仕事だと思っているし、ここには夢とロマンがあると感じています」

この新たな展開を楽しみにしているのがスタッフの“梅ちゃん”こと梅垣さん。

「沖縄の自然も大好きなんですけど、パッションフルーツの美味しさがフルーツ界一じゃないかと思っているんです。だから自分でも育ててみたくて」

農業に関わりたいと今年4月に入社。まずはファームの全体像をつかむために、宿泊施設のフロント業務を担当しながら、畑仕事や動物の世話をする毎日だ。

この仕事のどんなところに面白さを感じているのだろう。

「うまく言葉にできないけど…一つひとつ、自分で体感できるのが面白いのかなって」

自分で体感できる?

「たとえば、鶏の産みたての卵って本当にあったかいんですよ。あとヤギが草を食べているときには、しゃくしゃくってすごくいい音がするんです。それもここに来て初めて感じたこと」

「知識として知っているものが、ここでは一つひとつ体感できる。そうすると植物とか動物の力、生命力みたいなものを実感できるんですよね」

梅ちゃんは今後、もっと自分で何かを育てる仕事をしていきたいという。

ファームではここからここまであなたの仕事、という明確な割り振りがあるわけではないから、大変なこともあると思う。

それでも梅ちゃんを見ていると、いろいろな仕事を体験する中で自分の好きなことややってみたいことが明確になってきているように感じた。

続いて、直売所の店長として働く松澤さんの元へ。3人のお子さんを持つお父さんであり、穏やかな雰囲気が印象的な方。

神奈川県から今帰仁村に移住したのは、東日本大震災がきっかけだった。

「もともとは食にも無頓着でした。でも震災があってから、世の中で当たり前とされている情報には嘘がすごく多いんだなと気づいて。放射能や食について、きちんと知りたいと思ったんです」

「自分で調べて納得したことを受け取らないと、子どもたちを傷つけてしまう。いいものを食べていれば体の調子が良くなるという実感もあって、体に入るものにはこだわるようになりましたね」

沖縄産の食材をできるだけ使い、加工品などは手づくりで製造の過程もわかるクリアな仕組みのファームは、家族で移住を考えていた松澤さんにとってもいい環境だったという。

「自分がお客さまに販売するときにも、畑の場所や栽培条件まで細かくお伝えしています。近隣のマンゴー農家さんが直接くだものを持ってきてくれたり、生産者さんの想いもじかに聞いているから、新鮮で美味しいうちにしっかりと届けたいと思いますね」

嘘偽りなく、自信を持って紹介できる商品を扱う。それは何よりも気持ちがいいと松澤さん。とはいえ、今のような環境は最初から整っていたわけではなかった。

「動物たちを育てるために、家畜衛生のことを一から勉強しました。ほかの人が忙しければ自分もパンをつくることもあるし、お弁当を配達することもあります」

わからないなりにも、まずは自分でやってみる。そんな姿勢が求められるみたい。

「辛いと思う人もいるかもしれませんが、伸びしろや幅をもたせてもらえる場所。僕はそこに面白みを感じています」

まずは、任された仕事を一人でできるようになることから。その後は、自分の得意なことや好きなことを活かしながら働くことができるそう。

「たとえば果物の買い付けに同行してもらってもいいですし。情熱を持ってきてくれたら、僕らも応えられるような余白はいつでも残してあります」

中戸さんは、まさにそんな余白を楽しんでいる人。

自身の経験を生かして、入社後すぐにファームでヨガのイベントを開催した。

「ただヨガをやるんじゃなく、あいあいファームらしさを取り入れようと考えました。子連れのママさんたちがヨガをしている間は子どもたちにクッキーづくり体験をしてもらったり、手づくりの飲み物やお菓子を用意したり。僕らもすごく楽しかったですね」

夜の校庭で映画を上映したこともあった。まだまだ活用しきれていないスペースがたくさんあるので、アイディアがあれば実現しやすい環境だという。

一方で、イベントを通して課題も見つかった。

「まだまだ、会社も出来たばかりでいろいろなことが目まぐるしく変わっているタイミング。だからこそ、もっとスタッフ同士のコミュニケーションをとることが大事だなと感じています」

そもそも、なぜファームにやってきたのか。どんなことに興味があるのか。もっと共有できたら、仕事だってやりやすくなるはず。

「まずは、みんなで集まって話す時間を設けようと動いています。急に大きなことははじめられないけど、小さなことからはじめようかなって。少しずつ、みんなでつくっていきたいですね」

これからあいあいファームは、体験や商品を通して沖縄の暮らしや価値観を伝える場になっていくのだと思います。

とはいえ、はじまったばかりのブランドづくり。

まだまだ馬力を上げなきゃいけないし、根気強さも求められている。

今こそ、一緒になって盛り上げていける人が必要だと思いました。

(2018/5/16 取材 並木仁美)

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