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都会の出口、世界の入口
里山でサイクリングツアー
新しい世界につながる仕事

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

城下町を抜けると、風に揺れる青々とした田んぼが目の前に広がった。

その向こうには深い緑におおわれた山々、白い雲、そして青い空が見える。

毎日、変化する風景。

サイクリングツアーのガイドをするときも、通勤時間も、季節の変化を感じる。日が昇り暮れていくように、1日の間でも刻々と景色は移り変わっていく。

株式会社美ら地球(ちゅらぼし)は、飛騨古川を拠点に、サイクリングなどのツアーを提供している会社です。8割以上は外国人がお客さん。サイクリング以外にも、街歩きやスノーシュー、食文化などのツアーがあります。

今回はこんなツアーを担当する、エコツアーガイドを募集します。

この会社を通して、多くの人が飛騨に移住したり、新しい世界への入口となりました。都会を出てみたい人にはぜひ知ってほしい職場です。

富山で北陸新幹線を降りて、高山本線に乗り換える。外国人旅行者が多くてびっくりした。みんな飛騨を目指しているのだろう。

平地を抜けると、狭い谷にへばりついて電車は進んでいく。

眼下には川が流れていて、その美しさに、何度もシャッターを切ろうと思った。でも車窓の変化は早くて途中であきらめる。ゆっくり景色を楽しむことにした。

しばらくすると、空が広くなる。もうすぐ飛騨古川だ。

飛騨は日本でも最も美しい里山なんじゃないか。訪れるのは、これで4回目。

山の中にある盆地なので、空が広くて気持ちよく、明るい印象。まるで『日本昔ばなし』の世界。岩手の遠野でも、同じように感じたことを思い出した。

飛騨古川駅で降りると、今も暮らしと同居した、古い街並みが広がっている。白壁の土蔵。町を流れる瀬戸川。

ゆっくり歩きたくなる。ここからもう少し南に行ったところにある、飛騨高山よりも静か。

駅から10分ほどで美ら地球の事務所に到着した。

自転車が並んでいる。

中に入ると、ツアー参加者の受付場所。その奥に事務所がある。

少し遅れてやってきた、代表の山田拓さんに話を聞く。

「ぼくらは仕事ありきじゃなくて、まずここに住みたい、というのがはじまりだったんです。2年くらい世界を放浪して、南米やアフリカなどの、いわゆる地球の田舎みたいなところをまわって」

「そこで感じたのは、日本のパワフルなところ。そしてもう1つは環境に適応して住んでいる人たち。たとえば、日が昇ったら起きて、日が暮れたら寝る、みたいなもの。その2つを掛け合わせて、日本の田舎に住みたいと考えた」

ところがなかなか住む場所が見つからない。そんなときにご縁ができたのが、飛騨古川だった。

ここの良さってどんなところでしょう?

「人の濃厚さは、いい意味も悪い意味もありますけど、いいところだと思いますよ。客と店の関係以外に、いろんな関係性が重なっているから、モンスター化しないんですよ」

モンスター化?

「たとえば、娘の先生が近くに住んでいるから、先生と生徒という関係だけじゃなく、ご近所さんでもある。お米屋さんもそこに住んでいるから頼めば精米してすぐに持ってきてくれる。いろんな関係が重なっているから、お互いに相手のことを考えることになるんです」

もちろん、濃い関係だからこそ、逃れられないものもある。

明後日は河原の草刈りや側溝の掃除なんだとか。さらに翌週は2つの会合があり、顔ぶれはほとんど同じだけど、内容はまた違うそう。

どういう人が合っているんでしょうね?

「1つは日本を客観的に見れる人。もう1つは東京のスタンダード以外を許容できる人ですかね」

東京のスタンダード?

「田舎は不便なんですよ。ただ、世界中を旅していると、東京がスタンダードじゃないことはよくわかるんですよね。つまり、海外経験がある人、ということかな」

「あとは人付き合いが得意じゃないと難しいだろうし、英語も大切です。ガイドの経験は必要ないかな。これまで働いたガイドたちを含めても、経験者は一人だけだったから」

山田さんが美ら地球を創業して10年以上。今では大学で授業をするくらい、インバウンドやエコツーリズムの分野でトップランナー。

はじめた当時の訪日外国人旅行者数は800万人ほど。それが2018年には3000万人を超える見込みだと言う。

なぜ美ら地球はうまくいったのだろう。

まずすごいと思ったのが、トリップアドバイザーの評価がほぼ満点だと言うこと。

「それは満足していただける人が来ているからですね。低い評価というのは、ミスマッチのときに起きるんです。つまり、期待値が高すぎるときに起きやすい」

期待値を適正に保つということですか?

「たとえば、わたしたちは日本語と英語でしか情報発信していない。旅慣れている人は英語くらいできるし、旅慣れているからこそ期待値が高すぎるということはないんです」

「あとは日々研鑽です。無理難題には答えられないけど、できる限り頑張る。最近はガイドをしていないので、ぜひガイドの話も聞いてください」

ということで、エコツアーガイドの佐々木さんにも話を聞いてみる。

今日は何をしていたんですか?

「午前中はカナダからの4名のご家族をウォーキングツアーにご案内しました。その4名様は、そのまま午後はサイクリングツアーに参加する予定だったのですが、雨なのでウォーキングツアーになったんですよ」

もともと秋田出身の佐々木さん。

大学は長野で、そのまま地域の小学校で教員になる。その後、青年海外協力隊になって、2年間パラオに行ったあと、日本に帰国した。

「もともと書道や茶道、華道をやっていたので、日本文化が大好きです。だけど、パラオに行っている間、なかなか着物を着れなかったんです。着物を着たいという思いが強かったので、帰国後は京都に行きました。本当は舞妓さんをやりたかったんですけど、27歳だったので、仲居をしていました。すごい居心地が良かったです」

「そのあとに転機があり、大阪に行き、私立の中高で先生をしてから飛騨古川に来たんです」

どうして飛騨古川に来たんですか?

「大阪では地下鉄で通勤していたんですけど、それがいやだな、と思って。海や山に近いところに住みたかった。そのころ仕事百貨をよく読んでいて、4年前にここに来ました」

「教室のなかにいるよりも、外に出られるのがよかったですね。あとは相手が毎日変わるのもいいです。英語は少し不安だったんですけど、相手の話していることを理解しようとするのは、楽しくもあります」

暮らしは不便じゃないですか?

「暮らしは大満足です!まったく不便だと感じないし」

自転車で5分のところに住んでいるので、ランチは家に帰るから、お弁当をつくらなくてもいい。車があれば、買い物にも不自由しない。ルームメイトは自転車だけで生活しているんだとか。

大変なところを挙げるとしたら「体力的なところ」。

1日に午前中1つ、午後にも1つ、合計2つのツアーを担当することが多い。

それがどちらもサイクリングツアーで、しかも日差しが強かったり、雨が降っていると体力が奪われてしまう。

「温度のちょうどいい時期は最高ですよ。お客さんにも楽しんでもらいたいと思うし、わたしも楽しんでいます。今日も緑がきれいだなあ、と思える仕事です。わたし、緑がないと息苦しくなるんですね」

「この風景が毎日見られるのは素晴らしいです。感動して涙が出るほどじゃないですけどね。これが日常ですから」

大変な日があっても、あまり辛いと感じないのは「時間に余裕がある」こともあるのだとか。

朝早いときは8時に出勤して、9時からのツアーに備える。掃除や準備をして、ツアーに出発。午前中は12時半に戻って、片付けをしたら、一時帰宅。食事をして、また職場に戻って、14時から午後のツアー。遅くなっても19時に帰られることが多いそう。

「先生のときは時間に追われていましたから。今は時間に余裕があるから、習い事もできるし、ランニングもできます」

充実した毎日を送っている佐々木さんがいる一方で、新卒2年目の西邑さんは模索する日々が続いている。

札幌出身で、大学では英語を専攻し、2年間休学してカナダに留学したり、自転車で日本縦断もしたのだとか。

就職活動はどうだったんでしょう?

「最初は大手の旅行会社を受けていました。面接を受けているなかで、だんだんと自分のやりたいことが見えてきました。自転車の旅で、日本の田舎に価値があると思っていたので、何にもない静かな田舎の暮らしみたいなものに惹きつけられましたね」

「それでインバウンドの求人サイトを見ていたら、ここを見つけたんです」

第1印象はどうでしたか。

「入社する前は、すべてに期待値が高かったです。田舎に暮らすことも、社会人になることも、ガイドになることも、ものすごく期待してしまった」

「地元の人とすぐに溶け込めるかと思ったけど、それはとても甘い考えでした。仕事もそんなに甘くない。慣れるのに2、3ヶ月かかりました」

ガイドはどんなギャップがあったんでしょう?

「まず自分は人前でうまく話せるタイプじゃない。あとは留学もしていたけど、英語ですね。ガイドの英語というのは、主体的にこちらからコミュニケーションしていかないといけないものですから」

それでも1年以上、働いているのはなぜなんでしょう。ギャップがあれば、辞めてしまうことも多いですよね。

「そうですね。自分のためでもありますけど、社会に対する恩返しかな、と思います」

恩返し。

「佐々木さんに言われて、腑に落ちたんですけど、『仕事って、社会の穴を埋めるものだ』って。穴を埋めないと、次の世代の機会にもつながらないって」

新卒で働くには、新しい価値観がたくさん溢れているから戸惑うかもしれない。

でもここでしか経験できないものがある。一緒に働くのも素敵な人たちばかり。この環境だからこそ学べることは多いと思う。

仕事に戻った西邑さんの目に、光が宿っていたのが印象的だった。

いろんな思いを持って働いている人がいる。

とくに新しい何かを求めて入った人が多いように思う。

最後に山田さんが話していたことを紹介します。

「ガイドの仕事というのは、ロボットに代わりはできないし、外国人を相手にするから語学の勉強にもなる。それに地域の人たちとのコミュニケーションも求められる。ぼくらは機会を提供する会社になったらいいなと思っています」

「会社のコーポーレートミッションに、新たなライフスタイルの提案者かつ牽引者である、というものがあって。仕事はライフスタイルの一部だと思うし、美ら地球を経て次のチャレンジにつながる機会になったらと思います」

あまり期待しすぎるのは注意が必要だけど、実践できる場所であり、新しい世界につながる職場。

もちろん、ずっと働くのもいい会社だと思いました。

(2018/6/29 取材 ナカムラケンタ)

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