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街に、仲間に、植物に
癒やしの輪を広げる
循環の種まき

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「まずは花を大切に育てる。そうすればおのずと広がっていくんです。お客さんも満足してくれるし、花を育てる人が増えれば将来的に地域がよくなっていくと思うんですよ」

そう話してくれたのは、秋田緑花農園の秋田茂良さん。

秋田緑花農園は、東京・東久留米市に続く農家です。

ゼラニウムやビオラなどの鉢植えを中心に、花や緑を減農薬で栽培。市場や花屋、農園に併設した直売所で販売をしています。

ほかにも麦を育てていたり、地域の人たちとともに庭のお手入れについて学ぶ場を開催するなど、さまざまな取り組みを積極的に行っています。

今回ここで募集するのは、パートやアルバイトとして植物を育て、管理、生産していく人。植物を栽培する知識があれば、生産技術改良や減農薬栽培の研究も一緒に取り組んでもらいたいそう。

花を手にする人、そして花のあるまちに住む人へ。日々、目の前の植物を大切に育てることは、巡りめぐって社会をよくしていく仕事なんだと思います。

  
新宿からは1時間ほど。まずは電車に乗って西武新宿線の田無駅へ。バスに乗り換え、地図がしめす場所に向かう。

住宅地に囲まれた農園のようなところに到着したものの、看板などの目印は見当たらない。少し不安になりながら敷地のなかへ入ってみると、日々掃除が行き届いているのが伝わってきて、とても気持ちがいい。

大きなビニールハウスにあっけにとられていると、茂良さんが声をかけてくれた。

茂良さんは秋田家の12代目。

おじいさんがシクラメンの栽培をはじめたことをきかっけに、花農家としてこの地で生計を立ててきた。

「僕自身は花市場で5年勤めて、17年前に戻ってきました。家族でやってきた農家なので、今も個人事業主として。花の生産からトイレ掃除まで、全部自分たちでやっています」

今はご両親と社員1人、そして3人のパートスタッフとともに、ここで花を育てている。

おだやかな口調で話をしてくれる茂良さん。花の生産を一通り覚えたころには、花農家を辞めようと考えていたこともあるそうだ。

「花を育てるためには、燃料もいっぱい燃やすしゴミも出る。当時はシクラメンもつくっていたので農薬もすごくて。自分の体調がおかしくなったこともあって、これはちょっと違うかなって。有機農法の野菜づくりでもやろうかと本気で考えた時期もありました」

大きな転機となったのが東日本大震災。

石巻に暮らす友人に救援物資を運んだことをきっかけに、仲間とともに育てたヒマワリを届ける活動をはじめたときのこと。

「花を持っていくと、絶望を感じて暗かった人たちが、ヒマワリの花をみたら明るい表情になるんですよ。人にはできない力が花にはあるんだなって、そこで教えてもらいました」

被災地に通うなかでもう1つ目に焼き付いたのは、瓦礫を手作業で片付けるところから、刻々と変わっていくまちの様子。

「人が動いて、人が社会をつくっていく。それを目の当たりにして、自分の仕事も少しでも社会や地域をよくすることを考えないといけないなって。花で人を癒やすっていうことを掘り下げて考えるようになりました。それで、すごく脱線しちゃうんですけどね」

脱線ですか。

「そう。地域の仕事に力を入れるようになってね。ヒマワリフェスティバルみたいなイベントを開催したり、地場産野菜をPRする活動に参加したり。地域をよくしたいってのめり込んじゃって」

これだ!と思ったら、一直線にやってみるタイプ。

地域の活動に追われるようになり、花の品質が悪くなったり、家族と過ごす時間が少なくなってしまうような時期があった。

「いいことをしているはずなのに、周りは不幸になっていく。これじゃ続かないと気がつくまでに、2、3年かかっちゃったんです。ようやく、自分が地域に出ていくんじゃなくて、自分が思いを込めて育てた花が広がればいいんだとわかって」

「手にした花がすごくきれいだったら、見た人はなにかしらを受け取ってくれる。その人が庭に植えて、また人の目にふれる。そうやって花の癒やしの輪が広がっていき、持続性のある大きな力になるんじゃないかと思うんですよ」

あらためて花と向き合うようになってからは、品種改良してオリジナルの花をつくるなど挑戦を繰り返す日々がはじまった。

「花を育てること、販売すること、お客さんの要望を聞くこと。そのすべてが地域を良くすることにつながっていると意識できるようなってからは、仕事がすごく楽しくなりました」

茂良さん自身が花を育てることに楽しみを感じるようになってからは「秋田さんの花は、いい気がある」と言ってもらえることもあるんだとか。

昨年11月からは敷地内に「タネニハ」という、気軽に立ち寄れる庭と直売スペースをオープン。

仲間のガーデナーと協力しながら、ボランティアで集まる地域の人たちが庭の手入れをしつつ花のことを学ぶ「タネビト」というワークショップを開催しているそうだ。

「自分ができることってたかが知れていると思うんです。そのなかでどれだけ広がりをイメージできるか。まだまだ小さい会社だけど、大切な思いを花に託して、広げていくことはできるんじゃないかって」

茂良さんがすべての仕事を通して大切にしていることは、相手に「癒やし」を与えられるかどうか。

「癒やしを与えるっていうと偉そうだし、胡散臭く聞こえるだろうけど。循環のはじまりをつくるっていうのかな。たとえば毎日、一鉢一鉢花に水やりするでしょ。そうするとわずかだけど、植物は成長という目に見える癒しを返してくれる」

「そういう循環が仕事のなかにたくさんあるんです。植物に対して、お客様や仲間に対して。相手が元気になってくれたらうれしいなと、心を込めて日々の単純作業を丁寧に素早く繰り返す仕事です」

花の事業は3年後に法人化をしようと考えているものの、利益を出すことを優先した仕組みができているとはいえない状況。今は茂良さんが別で経営している不動産会社から費用の一部を捻出しているそうだ。

相手にも自分にとっても「癒やし」を循環させていくために、生産性を上げていくためにも、1つひとつの作業に効率を考えて行動できる人に来てもらいたいと考えている。

「花づくりって、おおらかじゃないと務まらないんですよ」

花は生きものだから、100あればすべてが違うもの。天気だって晴れの日が続くこともあれば、雨の日もある。思い通りに進むことはない。

ときには毎日大切に育てた花に虫がついてしまい、廃棄することもあるそうだ。

「その苦しみたるや、想像を絶します。でもそこから、いろいろなことを学ぶんです。どうして虫がついてしまったんだろうって悔やんで引きずるんじゃなくて。ああ、虫がつくほどうまかったのかなって。明るく受け入れられる人と働けたら、楽しいだろうな」

750坪もの広大なスペースでは、常に1万2000鉢もの花を育てている。

  

日々の仕事ではどんなことをしているんだろう。

話を聞かせてくれたのは、昨年末に入社した松本さん。

10歳の息子さんがいるお母さんで、生花店で働いたり幼稚園の園芸担当のパートをした経験がある方。

それでも仕入れや育てることと、生産することには大きな違いがあるそうだ。

「花が好きという愛情に加えて、商品をつくっているという責任感が必要だと思います。水やりや温度の管理。植物に接する人として、プロ意識みたいなものをちゃんと持たないとって思うんですよね」

お花を育てると聞くと、のんびりとした日々を想像する人もいるかもしれない。実際の仕事は、時間と段取りとの戦い。

鉢植えに水をやったり、出荷の準備をしたり。植物を置く場所を変えるなど、肉体労働も少なくない。腰をいためないように、体調管理には気を使っているんだそう。

「でもね、作業しながら植物の変化や成長が感じられるんです。数日後に見ると成長していたり、花を咲かせていたり。同じゼラニウムでも、色や葉の質感が1つ1つ違う。そういうのを見てるだけで、なんだかうれしくなるんです」

相手は生き物。マニュアル通りに育てていても、思ったようにはならないそうだ。

「このあいだも私が見ていたところに虫が出て。そういうときでも、社長は『管理が悪い』と言って怒ることはないんです」

「それは僕が気づけていなかったっていうのもあるしね。その辛さはよくわかるから」と茂良さん。

虫も病気も、あっという間に広がってしまう。

細かなことでも気がついたらすぐに報告をして対応しなくては、商品として出荷できなくなってしまうこともある。

植物の変化に気がつくためにも、スタッフ同士でコミュニケーションをとるためにも「心を開いている」ことが必要なんだそう。

「作業をしていても、目の前の葉っぱに集中しつつ、日が照ってきたらハウスに通る風を調節するとか。常にいろんなことを考えているんです。いろんな感覚を張り巡らせながらやっている感じですね」

1つ1つを丁寧に教えてくれるから、経験や知識はとくに必要ではないそうだ。

松本さんのように植物が好きな方はもちろん、農薬の散布やポットへの土入れ、花の移動などは重い物を運ぶ作業もあるので、体力に自信があって植物に関わることを学んでいるような学生さんにも興味を持ってもらえたらうれしい。

「働いている人も関わる人も、本当にいい人ばっかりなんですよね。優しいおばさんがいっぱいいる職場だよ、って思ってもらえたらいいかな(笑)」

そんななかでも頼もしい上司であり、先輩になるのが茂良さんのお母さん。

76歳になる玲子さんはこの道50年の大ベテランで、スタッフみんなにとってもお母さんみたいな存在なんだそう。

「家族で農業をしてきた家ですから。仕事というかね、家のことをしたり、子育てをしたり。もう料理からなにから一緒です。生活の一部なんですよ」

家でも仕事でも家族と過ごす。お嫁にきてからは、ずっとこの生活を続けてきたそう。

投げ出したくなったことはないですか?

「お花は嫌いにならなかったんですよね。なんでもお花のため。お水をやらなくちゃかわいそうでしょう。お花がどういう状態なのか、水が欲しいとかわかるじゃない」

お花のことがわかるんですね。

「お花が好きで、慣れてくればね。いいものをつくろうとか、きれいに咲いてうれしいとか。自分がやったことが表れますから。好きなら、そういうところに出てくるんじゃないかと思いますね」

好きが伝わる仕事。

楽しい、という言葉では収まらない大変なこともあると思うけれど、お母さんの日々の積み重ねが、今日も誰かを癒やしているんだろうな。

まずはパートやアルバイトとして入社しますが、利益を生み出していけるようになれば、社員として働いてくれる人も増やしていきたいそうです。

いい循環をつくる種を、茂良さんたちと育ててみませんか。

(2018/3/18 取材 遠藤沙紀)

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