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真珠のプロフェッショナル
想いを形にして届ける楽しみを
一粒一粒、積み重ねて

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。


生きた貝の体内で一つひとつ時間をかけて生成される、真珠。

特別な価値がありながら、フォーマルにもカジュアルにも使えるジュエリーとして、長年多くの人に愛されてきました。

世界で初めて真珠養殖に成功した地域が、三重県の伊勢志摩。その地で33年間、真珠のジュエリーを販売してきたのが、株式会社パールファルコです。

今回、商品のデザインから制作、販売まで、商品に関する一連の仕事をする人と、広報や店舗運営などの販売促進を担当する人を募集します。

パールファルコでは、各部署を横断して幅広い業務に関わります。たとえば、店頭での販売からジュエリーのデザインと制作、イベントの企画、そして経理や人事まで。スタッフ全員で手分けしてやっているそう。

まずは真珠についての基礎知識を身につけるところから。徐々にできる仕事を増やしていき、いずれは会社の中核を担う存在になってほしいと考えています。

真珠に関することなら、はじめから最後までなんでもやる。そんな真珠のプロフェッショナルになる仕事です。


名古屋駅から、近鉄に乗って2時間弱の宇治山田駅。駅前では、多くの人が伊勢神宮に向かうバスを待っている。

パールファルコ・伊勢店へは、そこからさらに車で10分ほどの距離。

はじめにお話を聞いたのは、副社長の牧戸さん。はつらつとした話し方が印象的で、初対面でも親しみやすい。

現社長であるお父さんが立ち上げたパールファルコには、2年前に入社。

前職では電機メーカーに勤めていて、シンガポールで働いていた。現在も家族でシンガポールに住んでいるため、日本には出張で月に1回ほど訪れるのだそう。

「学生のころから海外で働きたいと思っていて、家業を継ぐつもりはありませんでした。うちは2人姉妹で、妹も継ぐ予定はなくて。あるとき、両親が働けなくなったら会社はどうなるんだろうと考えたんです」

家業の将来をあらためて考えたときに、この会社の存在が自分にとって大きいものだったと気がついた。

「よくよく考えたら、この会社がなければ大学に行けなかったかもしれないし、両親を含めここのスタッフに育ててもらったんです。だから、会社を手放すっていう選択はできませんでした」

「私の経験が何か役に立つのであれば、この会社に育ててもらった恩を返したいなと思いました」

入社してから感じたのは、真珠養殖発祥の地であるにも関わらず、伊勢志摩の真珠のブランド力が弱いことだった。

「このあたりのお店は、旅行会社さんのバスツアーで立ち寄っていただくビジネスモデルが主流になっています。でもそれって、伊勢神宮っていう観光名所があるから存続できるものなんです」

首都圏からそう遠くなく、20年に一度の式年遷宮では観光客が溢れかえる。土地の利点があるから、“伊勢志摩の真珠”をわざわざアピールしなくてもビジネスが成り立っていた。

結果、後発の愛媛や長崎のほうが真珠養殖は盛んになっているし、伊勢志摩の真珠関連の会社は後継者不足に悩むようになってしまったという。

「それに海外では伊勢志摩という地域自体の知名度が低いんです。日本国内で十分だと思っていたから、インバウンドが強化されてこなかった」

「でも、伊勢志摩の知名度をもっと上げることも、海外に真珠の販路を拡大することもできると思うんです。そうやって地域が盛り上がっていけば、ここに住みたいと思う若い人も出てくるはず」

「せっかく私もシンガポールにいるし、伊勢志摩とアジアや世界を結ぶ、架け橋の一端になれるような仕事ができれば、と思っています」

今までの型にはまったビジネスモデルとは違う、新しいかたちを確立することを目指している。

「たとえば今は、海外でももっと伊勢志摩の真珠を知ってもらおうと『パールジュエリーグランプリ』という企画を行っています」

「シンガポールはもちろん、国内外の彫金やジュエリーを学んでいる学生さんやデザイナー、彫金師に真珠を使ったジュエリーをつくってもらい、店内に展示しています。私たちが想像していた以上の方に真珠に興味を持っていただき、新しいデザインがたくさん生まれました」

ほかにも新ブランド立ち上げのためのクラウドファンディング、シンガポールのマリーナベイ・サンズでの催事イベントなど、スタッフと協力してさまざまな角度から発信を続けている。

だからこそ、「伊勢志摩と真珠を海外に発信する」という同じ目標に向かって、自分が日本にいないときに中心となってくれるような人材を育てていきたいと考えている。

とはいえ、まず大切になるのは真珠そのものをよく知ること。パールファルコでは、働くスタッフ全員が、ジュエリーを販売できるだけの十分な知識を持っているそう。

「真珠のことがわからないと、どんな仕事も進めにくいんです。真珠を知らなければ広報文も書けないし、営業で売り込むこともできない。中途入社のスタッフも、自分の仕事に加えて真珠に触れる時間を毎日設けています」

これから入る人にも、まずは1年ほどかけて真珠のことを理解してもらい、そこから仕事を広げていってほしいと考えている。

「社員11人の小さな会社なので、なんでもできるというか、なんでもしなきゃいけない環境。働いている人たちは、本当にオールマイティーです」


実際に、スタッフの人たちはどんなふうに働いているのだろう。

牧戸さんに、「これから入る人も、彼女のようになってほしい」と紹介されたのが、入社9年目の山本さん。

「1日のなかで、売る仕事もつくる仕事も両方やります。お客さまはバスツアーで立ち寄られる場合が多いので、お立ち寄りいただいている30分間は販売をして、終わったらジュエリーのデザインや制作をして、またバスが立ち寄られたら販売して、という感じですね」

山本さんは商品企画部に所属していて、真珠の仕入れから商品企画・製作、販売まで一連の流れのなかで中心的な役割を担っている。

「自分たちでつくるだけでなく、他の部署のスタッフにつくってもらう商品を振り分けていきます。できあがった商品は、私たちがすべてチェックしてから店頭に並べます」

もちろん個人のお客さんも訪れるので、交代で接客もする。合間にイベントの企画を考えたり、事務仕事もするから、とても忙しそう。

「でも、もし商品を自分でつくっていなかったら、深いところまでお客さまに説明できていなかったと思います」

「たとえば真珠って、表面がつるっとしたものだと思っている方が多いですけれど、実際はえくぼと呼ばれる傷があったり、シワがあったりするんですよ」

商品づくりのときに傷の場所を確認して、お客さんにきちんと説明する。

「真珠は貝が長い時間をかけて生み出すものです。真珠の傷は、いわゆる傷ではなくて、人間の肌と同じように時を刻んできたという証なんですよって伝えています」

最近は店頭の仕事だけではなく、牧戸さんと一緒に出張で東京やシンガポールの催事などにも出向いている。

「シンガポールでは、海外のお客さまがどんな真珠が好きなのかを知ることができて、面白かったです。英語はもっと勉強しておけばよかったと思いましたけど…」

会社では、勉強会も毎月実施している。真珠のトレンドや、サイズ直しを依頼された場合の対応方法など、ベテランになった今でも勉強を続けている。

「大変なことも1つずつクリアしていく感じです。だんだんと、できることが増えていくとうれしいんですよ」


今まさに、ステップアップしている最中なのが、入社2年目の中森さん。山本さんのもとで働いている。

「もともとは調理師として働いていました。伊勢市の出身なんですけど、入社するまでは自分で真珠を買ったこともありませんでした」

入社したばかりのころは、苦労が多かったのだそう。

「連組みが、最初は本当に苦手でした」

連組みとは、真珠を一粒ずつ糸に通していく作業のこと。真珠のネックレスは、一粒通したら糸を結んで、また一粒を通して、という繊細な作業を繰り返してつくられる。

「コツを掴むまでは難しくて、結んでも緩んでしまうんですよ。できたと思って見てみると、ちょっと隙間が空いていたりして。真珠と真珠の間に少しでも隙間があるとお客さまには出せないんです」

日々繰り返すうちに上達していき、今は目標の20分以内で1本を組めるようになった。

真珠を選別するのも大切な仕事。たくさん仕入れた真珠を1粒ずつ確認し、傷の数や光沢でランク分けしたり、どのグレードのジュエリーに使うのかを決めていく。

最初のころは難しかったんじゃないでしょうか。

「もう、全部同じに見えました(笑)真珠を見る機会をたくさんいただいて、徐々に色目とか照りとか、違いがわかるようになっていきました」

今は受注対応や値段設定、SNSの更新など、さまざまな仕事を段取りよくこなせるようになってきた。焦らず、着実にできることを増やしていくのが、幅広い仕事ができるようになる近道なのかもしれない。

できることが増えていくと、それがやりがいにもなっていく。今の中森さんの楽しみは、自分でジュエリーのデザインができること。

「デザインはもちろん、それが商品になっていくのを見られるのも、うれしいです。それに『これは私がデザインしたんですよ』って伝えることもできるんです」

社内にはデザイナーがいないので、お客さんの声などをもとに、商品開発のスタッフがデザインを考える。金具の部分は彫金の担当の人がいるけれど、そこに真珠をはめる作業などは、デザインしたスタッフ自ら行うことも多い。

想いを込めてデザインしたものを、自分でつくって、最後には自分でお客さんに販売する。その一連の流れを体験できるのは、とても貴重だと思う。

「うまく伝わってますかね…」

そう不安げに言いつつも、中森さんは「これも写真に撮ってほしいです」「ショーケースから出したほうがきれいかな」と、次々に店舗を案内してくれる。自分がつくった商品に、愛着があるのが伝わってくる。

新しい取り組みを続けるパールファルコ。そこで働く人たちの仕事の範囲も多岐に渡っています。

できるようになるのか、不安になる日もあるかもしれない。けれど、お話を聞いていて感じたのは、目の前の仕事に一つひとつ丁寧に取り組むことが、何よりの近道だということ。

自らの手で、想いを形にして届ける。そんなものづくりの楽しみを実感できる機会も多いはず。

真珠一粒一粒で連を組んで、パールのネックレスをつくりあげるように。日々の仕事を楽しみながら積み重ねていくことができるのは、とても価値のあることだと思いました。

(2018/08/06取材 増田早紀)
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