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「営業って、経験と勘と根性みたいな職種で、とにかく先輩の背中を見て覚えろって自分は育てられてきた。でも、それをどう伝えたらいいかわからなくて」
「同時に、この課題を感じているのは自分だけじゃないはずだと思ったんです。使命感を感じた、っていうのかな。そこから営業の仕事の体系化や見える化に取り組みました」
そう話すのは、マーケットヴィヴィッド(MV)代表の藤井さん。
MVは、主にボードゲームを使った企業向けの営業研修プログラムを提供している会社です。
営業ゲームと呼ばれるボードゲームを通して、目標達成に向けたPDCAサイクルを回し、組織全体での共通言語をつくる。それによって、効果的に営業教育ができる仕組みをつくっています。
現在はオンライン版もリリース。大手企業を中心に約2万人の受講実績があり、業績は好調。
今回募集するのは、営業担当、営業事務、研修運営サポート、企画アシスタントの4つの職種。
仕事や環境との相性を知るため、どれもアルバイトからのスタートです。将来的には、それぞれのライフステージに合わせて、アルバイトとして働き続けることも、正社員を目指すこともできます。
経験は問いません。ボードゲームや教育研修に興味がある人、MVの働き方に興味がある人にとって、面白い仕事だと思います。
地下鉄日本橋駅を出て、茅場町方面へ歩く。
昭和通りを越えると、MVのオフィスに到着。ビルの壁面は一面ガラス張りになっている。
打ち合わせスペースに案内してもらい、席に座る。
まずはどんなボードゲームなのか、少し見せてもらうことに。
サークルの形をしたゲームは、モノポリーのような感じ。サイコロの目に応じて駒を進めながら、止まったマスごとにイベントが発生する。
ゲームの鍵となるのが、4種類のカード。
たとえばマーケットカードは、景気・市場の状況、競合の動き、お客さんの業績や事情によって、営業活動に影響を及ぼすというもの。
「景気が悪くなって、自分の抱える案件がなくなる」といった内容が書かれていて、受講者はそれに対して、どのような対応をすべきか考えながら進めていく。
ゲームの勝利条件は、目標予算を達成すること。いかにして目標を達成するのか。研修中は、MVスタッフが進行役となり、ゲームを進めていく。
「カードの内容が営業のあるある場面なので、皆さんカードを引くと苦笑いですね(笑)。でも、まさに日々1枚1枚のカードのようなことが起きているわけで」
そう話すのは、営業部長兼研修講師の玉置さん。重みのある肩書きとは裏腹に、カチッとしすぎていない語り口。つくられた感じがしない方で、話を聞いていて安心する。
「研修は大手企業さんを中心に導入していただいています。ターゲット層も若手・中堅の営業担当だけでなく、管理職のマネジメント層や経営層にも研修を受けてもらうことが多いんです」
「というのも、教える側と教わる側で、共通言語を持つのって難しいじゃないですか。『もっと考えろ』『どこから考えればいいですか?』『それを考えるのが営業だ!』みたいに堂々めぐりになることもある」
頑張りたい気持ちはあるのに、何らかの足がかりがないと難しいですよね。
「カードの中には、上司に同行を依頼できるカードがあって。実際の場面では、上司に付いて来てもらう意味を考えずにお願いしてしまうことも多いと思うんですよ」
「でも、同行してもらうことが目的じゃない。勝率を高めるために来てもらうわけですよね」
ゲームでは、上司を連れて行けるのは1回だけ。回数を制限することで、部下はどこでカードを切ればいいのか、目的から逆算して考えるようになる。
上司も部下もゲームを経験することで、現場で共通言語を持てるようになり、意思疎通がしやすくなるのも狙いだという。
新卒で証券会社に入り、営業の仕事をしていた玉置さん。
そこで気づいたのは、営業が元気な会社は、ほかの部署にも元気が伝播していて活気があるということ。
人材育成の重要性を感じていたところ、たまたまMV代表の藤井さんと出会い意気投合。何度も話し合いを重ね、営業ゲームをイチから形づくってきた。
「前職の会社に研修を導入してもらったときは、すごく感慨深かったです。働いていた当時はしんどかったけど、自分の土台をつくってくれた会社でもあるので、そこでの研修実施は自分のマインドが変わるきっかけの一つになったというか」
どのように変わったんでしょうか。
「お客さまと一緒に効果を追いかけるのが営業、ってことですね」
効果を追いかける。
「それまでは、どちらかというと商品を売ることありきで考えていたので。研修を通してお客さまと一緒に成長していく感覚が新鮮でした。研修の効果は受講者の成果と成長なので」
MVでは、研修後にアンケートを取り、定期的にフィードバック共有会を実施している。ゲームで学んだことをどれくらい現場で活かすことができたか、みんなで発表し合う。
「研修で学んだことを実践できた人って、当初は2割ぐらいしかいない。でも、初めはそれでよくて。まずは一歩目を踏み出した人のエピソードをみんなで聞くんです」
教わったことを試したことで案件の受注ができた。失注してしまったけど、理由を特定できるようになったなど。効果や原因に気づけば、2歩目、3歩目につながっていくし、周りのモチベーションも上がっていく。
数年がかりで取り組んでいくと、研修の内容を実践する人も増えてきて、5割を超えると、会社の実績も雰囲気も変わっていくという。
今回募集する仕事のひとつは営業担当。
どこにゴールを置くかお客さんにヒアリングをし、そこから逆算して研修をつくりあげ実施していく。そのために、いかにお客さんと二人三脚になれるかが一番重要。
玉置さんが話していたように、単にサービスを売るのが仕事ではなく、サービスを通じてお客さんの変容を追いかけられるのが醍醐味だと思う。
「細やかなサービスを提供するために、会社としても横断的に仕事をすることが多いんです。だからチームワークが大事ですね。1日1回は雑談するようにしています」
続けて話を聞いたのは、営業担当の古川さん。
アルバイトから社員としてMVに加わった方で、新しく加わる人も働き方の参考になると思う。
広告媒体で営業として働いていていた古川さん。プライベートで続けていた芝居に専念するため、前職を退社する。芝居と生活を両立するため、アルバイトとしてMVに入社した。
当時は、営業事務と研修運営サポートを兼ねるような働き方だった。
「入ってみて、すごく丁寧に教えてくれるなって。業務をただ振られるというよりは、これが何のために必要な業務なのかっていうことを説明してくれる。自分で考える重要性を学びました」
研修運営サポートの仕事は、研修当日に使うワークシートの作成や備品の準備など。
営業事務は、営業が打合せに持っていく資料の準備や作成のサポート。お客さんへの事前メール連絡や、研修後のサポートなど、顧客接点も多い。講師に同行して研修運営の補助を担うことも。
「研修時に使うワークシートや、営業が訪問時に持っていくシートも準備するんですけど、どんな狙いで研修をやっているのか、その意図がわからないと、何をどう準備していいかわからないんですよね。研修の全体像が見えるまでは、少し時間が掛かるかもしれません」
「でも、自分の用意したシートが役に立ったよとか、研修で受講者がこんな風に取り組んだよとか言われると、達成感もあって。そういうところにやりがいを感じられる人だといいんじゃないかな」
準備物ひとつ取っても、これはなんのためにやっている仕事なのか、目的意識が強い人にとって、面白い環境だと思う。
古川さんは現在、営業担当として働いている。
仕事の進め方で気をつけているところはありますか。
「お客さまも真剣に人材育成を考えていますから、研修を通じて成果と成長につなげていただきたいんです。なので、新たに受注した案件で研修準備のお願いをするときは、狙いや背景は必ず関わるスタッフやアシスタントにも共有します」
「意図を知ることで単なる作業にならず大事な仕事になると思うし、知っておいてもらえると、ここ大丈夫ですか?みたいに、アラートをしてくれるんですね。一人だと漏れていたかもしれないので、いつも助かっています」
最後に話を聞いたのは、企画アシスタントの石川さん。
みんなからは「りりィ」の愛称で呼ばれている。
WEBサイトの改修や、営業が使う資料のブラッシュアップ。ほかにも、営業ゲームのカードの中身も時代に合わせて変えるなど、さまざまな仕事に関わっている。
「ゲームとは別に、営業支援ツールのひとつとして、営業の案件を管理するシステムがあるんですよ。これまでは体験版がなかったけれど、デモ版を作成して、研修でも具体的に使い方を見せられるようにしました」
「資料を使ってくれるのもそうだけど、自分のつくったものに対して、いいねとかフィードバックをもらえると何よりうれしいですよね」
さらにこの先には、新しいオンライン版ゲームの開発も待っているという。
日本仕事百貨を見て昨年の7月に入社したばかりだという石川さん。これまでは、イベントの企画をしたり、WEBディレクターの仕事をしたり。3度の転職を経験している。
入ってみていかがでした?
「社内では、『手段が目的化してる』って言葉をよく使うんですね。企画部だから、単に何かをつくることが仕事ではなくて、何のためにつくるのかを考えよう、みたいな」
ほかにも、「見える化」「逆算」といった言葉もよく出る単語。研修を提供する自分たちこそ、たくさんの共通言語を通して、より良い仕事をしていく。
「情報共有のスピードが速くなったと感じていて、今までは自分である程度組み立ててから出すことが多かったんですけど、抱え込まずに上司に相談するとか、行動の選択肢を増やせたのが大きかったです」
「日々無意識でおこなっていた仕事や行動を意識化できるのがいいなって。働いているときはそれだけ共通言語を使おうと意識していますが、忘年会のときとかは、そういうロジカルな話は禁止で(笑)。とにかく楽しく食べようねって」
取材を終えるともう夕方。帰ろうとすると、MVのみなさんがわざわざ席を立って見送ってくれた。
「ありがとうございました!」
勢いのある声に、つい元気をもらう。
なんで挨拶をするのか。やらされているんじゃなく、きっと自分のなかで言語化しているものがあるからこそ、伝わるものがあるんだと思う。
そしてそれができるのは、ボードゲームと日々の現場で、繰り返しPDCAサイクルを回せているから。
たくさん考えて試して、意識も行動も変えていく。どんなことにも通じる仕事だと思います。
(2024/02/26 取材 杉本丞)