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旅の玄関口に立ち、
多様な人と通じ合う

東京の街を歩いていると、たくさんの観光客とすれ違います。最近は、ホステルやゲストハウスなども気軽に泊まれる施設も増えてきました。

今回ご紹介する仕事も、そんな多様な人が訪れる場の一つ。

ニッチリッチ株式会社は、主にホテルやホステルなど、中小規模の宿泊施設を運営する会社です。

都内にある複数のホステルには、外国人観光客をはじめさまざまな宿泊客が訪れます。

今回募集するのは、これらのホステルで働くフロントスタッフ。

近所のおいしいお店を尋ねられたときも、思ってもみなかったトラブルが発生したときも。

目の前の人にしっかりと向き合って、つながっていく場所だと感じました。



東京・上野。

地下鉄の駅を降りて、高架沿いに大通りを進む。少し歩いて路地に入ると、小さな喫茶店や飲食店などが軒を連ねている。

HOTEL UNOがあるのは、そんな通りの一角。

室内はライトとインテリアが暖色系で統一されていて、カジュアルな雰囲気。

あたりを眺めていると「こんにちは」という声が。挨拶で迎えてくれたのは、ニッチリッチ代表の細井さん。

丁寧で落ち着いた物腰と、はっきりとした話し方が印象的な方だ。

「私たちが運営するホステルは、1棟ごとにコンセプトが違います。今回募集するスタッフにも全店舗を回ってもらって、いろんな刺激を受けてほしいと思っているんですよ」

ニッチリッチが運営するホステルは、HOTEL UNOを含めて都内に3棟。

遊び心あるポップなデザインで、女性人気も高い「Hop Step Inn」、個室がありビジネス客も多く訪れる「STAYTO HOTEL」。

さらに来年の春には、新大久保にオープンする新築ホテルも加わる予定だ。

「新大久保のホテルは、カフェも併設する予定です。今日も会議でオーナーとコンセプトについて話し合うんですよ」

新しい挑戦に目を輝かせる細井さん。

もともとは料理人やウエイターとして、長くサービスの現場で働いてきたのだそう。

一つの転機となったのは、六本木のホテルで働いていたとき。自分の理想のサービスについて考えるきっかけがあった。

「海外のカジュアルなお店で働いていたこともあって、僕は肩の力を抜いた、いい意味でラフな接客をしたいと思っていました。でもそれは、ただフランクに接客するということではなくて」

「相手のちょっとした表情や仕草をよく観察して、常に先回りしてサービスする。それでお客さまとの距離が近くなって、ご飯に誘ってもらったりするのが楽しかったんです」

ところが周囲から聞こえてきたのは「接客として軽すぎるのでは?」という声だった。

「でも、目の前のお客さまは喜んでくれていて。必ずしも礼儀正しいサービスが一番いいとは限らないんじゃないか、と思いました」

細井さんが思い描いていたサービスは、欧米のホステルのように気軽で、お客さんとスタッフとの距離も近いもの。

けれども当時の日本では、そもそもそのような施設がなかった。外国人のお客さんは、高級ホテルかビジネスホテルにしか泊まれなかったそう。

どうして日本には、欧米のようなホステルがないのだろう。

次第に、こうした世の中の疑問を解決してみたいと思うように。ビジネススクールに入り、さまざまな人に会うようになる。

そんな出会いのなかで縁がつながり、11年前にとあるホテルの支配人を依頼される。

「やっぱりすごく楽しくて。ホステル業は天職だと思いました」

ところが、業績も上がってきたころで東日本大震災が発生してホステルは一度閉館。その後再び、オーナーから『もう一度立て直してくれないか』とリニューアルの相談を受ける。

「残っていたのは僕一人でした。でもどうせ失うものもないし、やるしかないと思って」

そうしてオープンしたのが、「STAYTO HOTEL」だ。

これを機に各所からホステル運営の声がかかるようになり、5年前にニッチリッチ株式会社を設立する。

「この会社では、本来のホステル文化を大切にしたいと思っているんです」

本来のホステル文化。

「そう。知らない土地に旅をして、知らない人たちとつながって、自分の生き方を顧みるような。僕らはその舞台を用意する黒子でありたい」

そのために何より心がけてきたのが、誰でも受容するという姿勢。

「さまざまなお客さまがいらっしゃいます。国籍や宗教、見た目の性別で差別してはいけません」

たとえば、と印象的だった一人のお客さんについて教えてもらう。

「以前、生まれたときの性別は男性だけど、性自認は女性というトランスジェンダーの方が、女性用ドミトリーを予約されて。部屋にお通ししたところ、同室の女性たちがフロントまで走ってきました」

聞こえてきたのは、どうして男性が女性用ドミトリーにいるのか、という戸惑いの声。

「今思えば、女性たちの気持ちもわかるんです。でも僕は『自分は女性だから、女性用ドミトリーに泊まりたい』という方の意思も尊重したいと思って」

トランスジェンダーの方、女性たち。それぞれに、新たに女性用ドミトリーを用意して対応したそう。

「どちらが悪い、というのではなくて。誰とでも分かり合うために、どんな人でも受け入れる場でありたいと思います」

こうした接客は、フロントスタッフの仕事の醍醐味。

とはいえ、接客以外にも清掃や事務作業など、お客さんの目に触れない地味な仕事も多い。

「一見退屈な仕事もあると思います。でも、工夫次第でどんどん効率を上げられる。まずは目の前の仕事にじっくり向き合って、どうすれば的確に動けるかを考えて実行してもらいたいですね」

「そうすると時間に余裕も生まれてきます。その先で、自分ができること、やりたいことに挑戦してみてほしい」

この会社は、人として成長する場でもあってほしいと細井さん。

いつかホステルを運営したい。今より効率的に仕事をしたい。小さくても目標がある人に向いていると思う。

「まだ成長途中の会社です。積極的に動いてほしいし、もしここで本当に頑張りたいと言ってくれたら、僕も甘やかさずに本気で関わります」

「自分はまだまだだと感じても、また頑張ろうという向上心と、いい笑顔がある。そんな前向きな方に出会いたいですね」



まさにそんなふうに働いているのが、フロントスタッフの平繁さん。やわらかな雰囲気をまとった方だ。

入社の経緯を尋ねると、少し考えてから話しはじめてくれた。

「大学に入ってすぐに、想像とのギャップから中退してしまって。どうせ自分なんてダメなんだ、って思うようになりました」

ひとまず外資系の保険会社に就職した平繁さん。働くなかで、留学への憧れが生まれてきたそう。

「自分の可能性を広げるためにも英語は必要だろうと。でもそれは言い訳に過ぎなくて、留学すればまだ何とかなるんじゃないかという気持ちでした」

そうしてカナダへと留学する。はじめての土地、人、文化。毎日が新鮮だった。

「世の中にはいろんな人がいて、自分もその一人に過ぎない。もっと気楽に生きていいんだな、と救われた気がしました」

ビザが切れたため一時帰国するも、もう一度カナダに行くお金を貯めようと選んだのがHOTEL UNOでのアルバイトだった。

「英語も活かせそうだし、面白そうという軽い気持ちでした」

実際に入社して、どうでした?

「思いの外やることが多くて驚きました。毎日、けっこう忙しいんです」

ホステルの朝は、夜勤からの引き継ぎと宿泊予定の確認ではじまる。チェックアウト時刻はとくに忙しく、落ち着いたらすぐに共用部分の清掃と事務作業へ。

午後は、外部委託している部屋清掃の見回りなどをしながらお客さんを待つ。チェックインの時刻になって、ようやくお客さんとの関わりが生まれるのだそう。

何事もなく一日を終えるためには、スタッフ同士の連携が欠かせない。

「たとえば、今は忙しいからあとでテーブルを拭こうと思っているうちにお客さまが席に着いて、不快な思いをするかもしれない。もし清掃できなければ、次のスタッフにお願いします」

「効率的に動かないと、みんなを苦労させることになります。その日やるべきことをチェックして、優先順位をつけてからシフトに入るようにしていますね」

細かなところまで気を配る姿勢は、接客でも変わらない。

室内の音響や窓からの景色など、一部屋ごとの特徴はすべて頭に入っているという。

「ただお金をいただいてお部屋の鍵を渡すだけなら、誰にでもできます。でもチェックインは、旅のはじまりで、サービスのスタートでもあると思う」

「来てくれたからには、いいサービスをしたいです。そう思うほどに、覚えることややるべきことも増えていく感覚ですね」

仕事に夢中になるうちに、社員となることを考えるように。晴れて登用されたのを機に、ホステルの近くに引っ越したのだそう。

「お客さまに、美味しいご飯やおすすめのお店などを聞かれることが多いんです。自分がいいと思ったものを紹介できたほうが僕も楽しいし、お客さまにとってもプラスかなって」

観光名所のほか、地元のお店やイベントなども。周囲を散策したり、本や新聞を読んだりと、アンテナを立てるようになった。

「とくに桜の季節はいろんな方がいらっしゃって、ずっとフロントでローカル案内をしていました。忙しかったけど、やっぱり楽しい時間でしたね」

ただ、ときには思わぬトラブルに遭遇することもある。

「以前、2名で予約された外国のお客さまがいらっしゃって。お一人が早めにチェックインして鍵をフロントに預ける、という約束をしていたようでした」

ところが、そのお客さんはフロントに鍵を預けるのを忘れて出かけてしまった。あとから来たもう一人は、スタッフが鍵を預かっていないことに驚き、怒ってしまう。

「僕たちはなにも伺っていなかったのでびっくりしました。まずは状況を把握して、どうやらお客さま同士で行き違いが生まれてしまったとわかって。丁寧に説明しながら『こちらも事前にできたことがあったかもしれない』と伝えました」

時間をかけて話し合い、最後には納得してもらえたそう。

「チェックアウトのときには『親切にしてくれてありがとう。また友達を誘って来るよ』って言ってくれて」

「トラブルが起きても、逃げずにしっかりと向き合えば気持ちは通じるんだと感じました」

もうすぐ働いて1年になる平繁さん。今はカナダに戻ることは考えていないそう。

「日本にいてもカナダにいても、楽しいことはあるんだなって再認識できた気がしています。もちろん場所ごとの良さはあるけど、自分の気持ち次第で居場所はできるんだなって」

「失敗して注意されることもあります。でも、そこで終わらせずにまた修正していけばいい。ものごとにちゃんと向き合えるようになったのがうれしいです」

いろんな場面が生まれる場だと思います。ハプニングも起こるだろうし、思ってもみなかった出会いもあると思う。

まずは、目の前の状況に真剣に向き合うこと。その先で、納得感のある仕事ができるのかもしれません。

(2018/10/01 取材 遠藤真利奈)

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