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分け合って、助け合って
すべての“働きたい”に
応えられる世の中に

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

子育てや介護、看病をしている人や、病気や障がいを持っている人。働きたくても、さまざまな理由で働けない人たちがいます。

そのなかには、フルタイムの勤務は難しくても、自宅で週に数日なら仕事ができるという人たちも。数人でチームを組んでひとつの仕事を分け合えば、お互いに助け合って働くことができる。

株式会社YPPがつくり出したのは、そんな在宅ワークのかたちです。

今回募集するのは、在宅での仕事を希望する人と、事務作業などの業務を外部委託したい企業をつなぎ合わせるコーディネーター。

業務の進め方を決めたり、作業する人の相談に乗ったりと、仕事の受注から納品まで一連の流れに関わる仕事です。


東京・人形町。YPPの事務所があるのは、駅から5分ほどの場所にある小さなビルの2階。

エレベーターを降りると、「お待ちしておりました」と書かれた黒板が目に入り、なんだかほっこりした気分になる。

インターホンを押すと、代表の五味渕(ごみぶち)さんが迎え入れてくれた。ほかに働いている人はまだいないみたい。

「社員はお客さまとの打ち合わせに出ていて、パートさんはこれから出勤なので、まだ事務所には人がいないんです。今日はこれから全体研修があるので、後でみんなに会えますよ」

五味渕さんがYPPを立ち上げたのは2005年。

それまでは、新聞社やIT企業での営業の仕事を経て、フリーランスで営業コンサルタントとして働いていた。

「わたしね、すごく仕事が好きだったんです。誰かの役に立って『ありがとう』と言われることで、長い間自分を満たしてきました。だから子どもが生まれて、家で育児だけの生活になったときにすごく孤独を感じて、外に出たくてしょうがなくなっちゃって」

出産して半年ほど経ったころに、営業コンサルタントの仕事を再開。

でも、以前のように働くことはできなかった。

「仕事をしたい時間に子どもは都合よく寝てくれないし、研修の講師をする日に40度の熱を出してしまって、実家の母に泣く泣く預けたこともありました」

「『来週の水曜日に打ち合わせできる?』って聞かれても、瞬時に思うのは『その日に子どもが熱出さないかな』っていうこと。約束をするたびに罪悪感もあったし、常にリスクを抱えるような気持ちでした」

転機となったのは、知り合いの会社の経理業務を手伝ったときのこと。

溜まっていた請求書や書類の整理をすると、「とても助かった」と言ってもらえた。

「事務の仕事って、営業や講師の仕事みたいに『絶対その人じゃなきゃダメ』ってことはないんだなと気づいて。作業を完了させられるなら誰がやってもいいし、何人でやってもいい。子育て中の人が働くのにちょうどいいんじゃないかと思ったんです」

その後、パートさんと一緒に事務代行の仕事をはじめ、YPPを立ち上げる。クライアントのデータ入力や集計作業などを担うようになった。

だんだんと規模が大きくなり、主婦のスタッフが増えると、家で仕事をしたいという要望が出てきた。

「当時は在宅で仕事をするなんて考えられない時代だったから、否定的な声もありました。『在宅のほうが仕事に穴が開かないと思います!』ってお客さまを説得してやらせていただいて」

「実際リモートでやってみると、本当にやりやすかったんですよ」

web上にデータがあるので、誰でもタイムリーに進捗状況を確認できるし、離れた場所にいる人と作業するという前提があることで、共有事項などを細かくデータ上に残すようになる。

誰かが急に作業ができなくなっても、ほかの人がすぐにサポートできるから、特定の人に依存せずに仕事を進められるようになった。

「最初のころは、コミュニケーション不足や共有漏れで、お客さまから叱られることもありました。でもその度に改良を重ねてきて、今は自信をもって『安定して業務をまわしたければテレワークで』とお伝えできます」

近年は、企業の経理や人事労務業務の一部代行など、継続的に受託する案件も増えてきている。

リモートでの仕事が当たり前なので、社内連絡も基本的にはチャットを使うそう。事務所にも個人の書類などは残されておらず、とてもきれいに整理されていた。

ここでコーディネーターの仕事をしている社員は、現在2人。

具体的にはどのような仕事なんだろう。

「まずは、お問い合わせいただいたお客さまにヒアリングをして、作業のやり方を考えます。作業に必要な時間を計算してお見積もりを出し、受注が決まったら、パートさんと協力して働ける環境を整えていきます」

「メンバー」と呼ばれる約700人の登録者に募集をかけ、現在のスキルを測るテストや、月に何時間ほど働けるのか面接を行う。

業務を担うメンバーが決まったらチャットグループや共有フォルダを作成し、作業方法を伝える。仕事がはじまってからは定期的に進捗状況を確認したり、困ったことがあれば相談に乗ったりと、きめ細かくサポートしていく。

「YPPはすべて業務委託で請け負います。作業はメンバーさんの力でやるとしても、最終納品責任はYPPにある。だからコーディネーターも責任を持って、一つひとつの案件に密に関わっていくんです」

クライアントの仕事を登録者に振り分けるような、単なるマッチングサービスではない。

密に連携して仕事に取り組むうちに、メンバーとは同僚のような信頼関係が生まれる。

「コーディネーターがうまく調整できないと、お客さまの求めているクオリティに仕上がらなかったり、メンバーさんの負担が予定より大きくなったりして、お互いの不満につながってしまいます」

「最初は先輩と一緒にやってもらうので、不安にならなくて大丈夫。だんだんと自分で仕切れるようになってきたら、複数の案件を担当として持ってもらいます」

2人ほどで完了させる案件もあれば、5人くらいのチームが複数必要になるような大きい案件もある。

「チーム内では、仕事は平等じゃなくていいんです」

平等じゃなくていい?

「仕事を均等に割り振るんじゃなくて、8割担う人、1.5割担う人、残りの0.5割担う人と、それぞれが無理なくできる分量に調整するんです」

「8割担える人がちょっと頑張れば、ひとりでできる仕事かもしれないけれど、それだと持続するのがつらい。逆に、0.5割しかできない人はダメなんてこともありません。いざというときに任せられる人がいるから、ほかのメンバーが安心して働けるんです」

子育て中の主婦だけでなく、親の介護をしている人や、病気や障がいを抱えていて体力に不安がある人、不妊治療のためにフルタイム勤務が難しい人もYPPのメンバーとして働いている。

ほかにも、限界集落に住む人やパートナーの海外赴任についていった人、開業したばかりで仕事がまだない人など、多様な人たちが在宅の仕事を希望している。

「家で少しだけなら働けるという人は、性別年齢問わず、たくさんいらっしゃるんですよね。仕事に穴を開けることの怖さから、責任感のある人たちが働くことを諦めている現状が本当にもったいないと思います」

「状況は違うけれど、分け合う必要のある人たちが集まっている。自分ひとりではできないってわかっている人同士だから、協力し合えるんだと思います」

自分も助けてもらったから、ほかのメンバーが急な事情で働けなくなったときには積極的に助ける。障がいを持つメンバーができる仕事を、チームみんなで考える。

そんなYPPの仕事をするなかで働く楽しさを思い出し、就職した“卒業生”たちも多い。

「仕事で救われる人は、少なからずいると思うんです。働くことで、心も身体も健康になっていく。そういう姿を見ていると、わたしたちはもちろん、同じチームのメンバーさんたちも、うれしいんだと思うんですよね」


コーディネーターとして働く、入社4年目の伊澤さんにも話を聞いた。

5月から産休に入る予定で、最近は体調を考慮して在宅で働く日もあるという。

「前職では化粧品販売の仕事をしていて、事務の仕事はほとんど未経験でした。だんだんと転職を考えるようになって、何かの役立つんじゃないかと、まずは簿記の勉強をはじめました。たまたまYPPを見つけて、ここなら資格が活かせそうと思ったんです」

簿記はもちろん、給与計算の仕組みや事務関連のツールの使い方など、入社してから身についた知識も多い。

特に、ほとんどの案件で役に立つのがエクセルの知識。

「最初は全然使えなくて、先輩にもビシバシ育てられて。エクセルの知識ひとつで簡単にできるはずの仕事に、すごく時間がかかっていました。身をもって必要性を感じたので、メンバーさんに仕事をお願いするときには、エクセルの機能も合わせてお伝えするようにしています」

仕事のなかで、重要であり大変なのは、メンバーさんたちが円滑に作業できる仕組みを整えること。

「ひとつの仕事を複数人で分担するので、誰がやっても同じように仕上がるやり方を考えて、作業の流れをつくる必要があります」

最近受注したのは、2万人分の書類のチェック作業という大型案件。一つひとつの書類に不備がないかを、エクセルのシートに入力していくので、膨大な時間がかかる。

完成までの所要時間を割り出し、それぞれのメンバーの作業時間と照らし合わせてチームを編成。適切な作業方法を考え、共有ファイルにまとめてメンバーに伝える。

「受注したからには、納期までに全部やり終える流れを最初の段階でつくらなきゃいけません。難易度やボリューム感も案件によって違うので、その都度やり方は変わりますね」

最終的に軌道に乗れば、メンバーが直接クライアントとやりとりをするようになる。それまでは、コーディネーターが間に入って質問を受け付けたり、進捗確認をしたり。

「メンバーさんはスキルだけでなくレスポンスの速さも性格もそれぞれなので、その人に合わせてコミュニケーションを工夫しています」

心配な人には細かく状況を確認するし、複雑な作業はテレビ電話でやり方を見てもらいながら説明する。チャットの文字ではきつい印象を与えそうな話は、電話でフォローすることもある。

裏方として、ひとつの仕事がうまくまわるよう日々サポートに徹する。

「地道な仕事だけれど、いろんな案件に取り組むので、吸収できることは多いです。それにうまく納品できると、お客さんからメンバーさんの仕事を褒められることも多くて。自分もそのメンバーさんを信頼して仕事をお願いしているので、お客さんも同じように感じてくれているのはうれしいですね」


働くことを諦めていた人たちに、活躍できる場所を。

YPPの考え方を他人ごとにできない人は、きっといると思います。今後ライフステージの変化を迎える、わたし自身もそのひとりです。

働きたくても働けないもどかしさを抱えている人や、そんな人たちのために力を添えたいと思う人に、この会社のことを知ってもらえたらいいなと思いました。

(2019/1/25取材 増田早紀)
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