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設計も大工も左官も
それぞれのcolourで
創造を楽しむ多能工集団

組織のなかで一人が一つの仕事だけでなく、いろいろな業務を担う。ゼネラリストや多能工と呼ばれる働き方は、ここ数年で多くの職種に広がっているように思います。

たとえば建築なら、現場でどのように手を動かしてつくっているのかを知ることで設計にも活かせたり、建物の構想から完成するまで、一人の担当がこだわりを持ってつくりあげることができたり。

広い視点で関わることによって、つくり手それぞれが活躍できる場を広げるのと同時に、受け取るお客さんにとっても、気持ちの良いものができるような気がします。

千葉県の房総半島を中心に、こだわりの強いお客さんの住宅や店舗、ガレージなどの空間をつくっているのが、建築空間創作集団colours。

一番の特徴は、設計・デザインから大工、塗装、左官、造園まで、外注せずに自分たちで行うこと。coloursのメンバーは、全員がいろんな種類の作業を行うことができる多能工として働いています。

今回は、coloursの一員としてものづくりを楽しみ、お客さんのこだわりをかたちにしていく仲間を募集します。



東京から総武線で千葉方面へ。

外房線に乗り換えて向かったのは、千葉駅から約30分の大網駅。作業中の新築物件が近くにあるとのことで、駅まで迎えに来てもらうことに。

「はじめまして!今日はよろしくお願いします」と、運転席から笑顔で迎えてくれたのは、奥野雅也さん。

coloursの母体である株式会社ビームスファクトリーで代表取締役としての仕事をしつつ、設計やデザインも担当している。

房総という場所、そしてデザイナーである奥野さんの好みから、最近はアメリカ西海岸のリゾートや海をイメージさせるような、本格的なカリフォルニアスタイルの要望が多いそう。細かい部分まで本場のテイストにこだわり抜いて施工する独自のスタイルは、本物志向のお客さんから支持されてきた。

「たとえば、道の左右に芝生を張ろうっていうときに、日本の場合は道路のコンクリート面に対して芝生を低くするんですよ。そうしないと、コンクリート側に土が出て汚くなっちゃうので」

「でもそれだと芝が痩せて見えちゃうんですよね。逆にアメリカだとコンクリートに対して芝生を盛り上げるんです。そうすると地面にボリューム感が出て、それがかっこいいんですよ」

細かいニュアンスまで理解してかたちにできるからこそ、こだわりたいお客さんが集まってくる。

いろんな工務店を回って「なんか違うなあ」と感じていた人が、「これなんだよ!」となるケースが多いそう。

「マーケットで見ると小さいですが、そのマーケットに対して満足させられる施工ができる工務店も少ないので、需要と供給のバランスはそんなに悪くないんですよ。だから仕事はほとんど尽きないですね」

話が一息ついたところで、作業中の現場に到着。

九十九里の海沿いの道から一本奥に入った場所で建設していたのは、屋根の大きな一軒家。

「外側はぐるっとガラス張りにするんです。そのガラスをどう納めるのかというのがすごく難しくて…。去年の夏にカリフォルニアまで実物を見に行きました」

「日本だとそれっぽく見えるようにつくられたものはありますが、ぼくらはクオリティを重視しているので。やるからには中途半端なものはつくりたくないんです」

coloursは一般的な工務店とは違い、一人ひとりが大工や塗装、左官などの作業を一通り担う。

「なんでもやるっていう面では、かなり特殊な集団だと思います。極端なことを言うと、造成されていない山を買って切り拓いて、設計して基礎をつくって家を建てるっていうところまで、一人でできるんですよ」

聞けば聞くほど、建築に対する熱量や自信が伝わってくる。奥野さんもこの建築スタイルに惹かれ、自分の家をつくってもらうために問い合わせたことがきっかけで、ここで働くことになったそう。

「以前は商社で働いていました。先代の親方に家を建ててもらおうとしたら、話してるうちにつくる側としてやっていかないかという話になって」

「昔からものづくりの仕事がしたかったので、やるならこれがラストチャンスだと思って懸けてみることにしたんです」

すごいチャレンジ…。商社マンから大工見習いって、苦労も多かったのではないでしょうか。

「ぶっちゃけると、最初の2年くらいは『やっちゃったかな…』って思ってましたね(笑)。仕事は楽しかったんですよ。ただ、商社マンのときは管理職のポジションだったのが、いきなり毎日誰かに怒られるみたいな日々になって」

「今は怒る人はいないんですけど、前の親方は“ザ・親方”みたいな人だったので、けちょんけちょんに言われましたね。この歳になってこんなに怒られるのかって(笑)」

はじめてのことばかりの環境でも、仕事の楽しさを胸に努力してきた奥野さん。その甲斐あって、2年目には一つの物件を監督として任せてもらえるほどになった。

先代の親方が引退した後は、奥野さんが会社を引き継ぎ現在まで続けてきた。社員は7名で、全員が先代のときから一緒にやっているメンバーだそう。



ここで現場から事務所がある拠点へ移動することに。

着いたのは、ビームスファクトリーが運営しているコワーキングエリア、BOSO C BASE。デザイン棟や木工場、鉄鋼作業場、カフェなどが並んでいる。

一通り中を案内してもらったところで、ほかのcoloursのメンバーと合流。話を聞かせてもらったのは、5年目になる鬼防(きぼう)さん。

「以前は住宅の基礎をつくる仕事を長い間やっていました。結婚して家を建てようっていうときに、先代の親方がおもしろい建築をしているというのを知って、お願いしたんです」

「おまかせでほとんどつくってもらったんですが、想像していた以上のものが完成して。やっぱり普通の住宅をつくる仕事とは違うなあと思ったし、こういう仕事ができたらいいなって」

その後、先代の親方からの誘いもあって入社。経験のあった基礎の仕事だけではなく、木工や溶接、左官など、さまざまな仕事をしている。

「普通は木工なら木工だけという感じで、一つのことに集中してやっていくんですが、coloursではいろいろなことを経験できます。おもしろいですが、そのぶん覚えることも多いですね」

「ものづくりが好きとか、いろんなことをできるようになりたいとか。そういった部分が肝になると思うし、必要なことなんじゃないかな」

建設業の経験がある人でも、ここでは知らないことのほうが多くなるかもしれない。どんなことをやりたいのか、ということが大切にされるけど、まずは現場で手を動かすことからはじめてほしいそう。

たとえば設計やデザインに興味がある人でも、最初は現場に入ることもあるし、逆に現場作業に興味がある人が、設計の部分に関わることもあるかもしれない。

「お互いに教えあう環境はあるので、見て覚えろという感じではないです。それぞれが意欲を持って楽しんでこそcoloursだと思うので」

鬼防さんには、印象に残っている一人のお客さんがいるという。

「少し前に2階建ての大きいガレージを建てたんです。お客さんは60歳くらいの人で、定年前の記念に念願だったガレージをつくりたいということで依頼してくれて」

「その人が、ぼくがつくった扉を見て『ああ…こんなに良いものつくってくれるなら、まだ仕事やめられねえな』って言ってくれたんですよ。すでにできたもので満足していたけど、扉を見たらもっとつくってほしくなったって。その笑顔を見たときは、たまらなかったですね」

すると横で聞いていた奥野さんが、「すごいね、そこシンクロしてるんだね」とひと言。

シンクロ?

「そのガレージをある雑誌社が取材に来たんです。そのときお客さんに『この空間の中で一番気に入っているのはどこですか』って聞いていて」

「そのとき答えていたのが、鬼防さんがつくった扉だったんですよ。『あの扉のおかげで、ガレージが車のショールームみたいに変わっちゃったよね』って。そう言ったんです」



自分たちのこだわりが、お客さんにも良いかたちで伝わる仕事は、きっと楽しいと思う。

ただ、それができるようになるまでは日々いろいろなことを吸収して学んでいく意欲が必要だろうし、ものづくりに対する“好き”や“楽しい”という気持ちも欠かせない。

最後にお話を聞いたのが、入社して4年目の阿部さん。

前職でも建設業の仕事をしていたけど、自分が好きな建築につくり手として満足いくまで関わりたいと思うようになった。そんなときに先代の親方が手がけた建築に惹かれ、ここで働くことを決めたそう。

「入る前はここまで自分で考えて、やらせてもらえるとは思っていなかったですね。前の会社では、言われた塗料を用意して、言われた現場に行って、時間になったら帰る、みたいな日々だったので」

「ここでは現場でどうするかの判断を自分で決めないといけないときもあって、最初はそれが大変だなと思いました。でも今は自分で考える余地があるからこそ楽しいと感じてます」

少人数かつ多能工の集団だから、個人の裁量が大きい環境でもある。いろんなことにチャレンジできる一方で、任せられることにストレスを感じてしまう人だと難しいかもしれない。

「一番印象に残ってるのは、お客さんとのやり取りから設計デザイン、現場作業まで、全部関わらせてもらったときですね。本当に大変で…(笑)」

「どんな長さにしたら納まりがいいのかっていう計算で悩んじゃって。答えがわからないけど寝なきゃと思って寝たら、朝起きたときには答えが出てたんですよ(笑)。夢のなかでもずっと計算してたような。物件が完成したときの達成感はすごかったですね」



取材を終えた帰り道、車の中で奥野さんがこんな話をしてくれた。

「2年くらい前に、『この仕事やりたくありません』って言ってきた人がいて。便所を壊す仕事だったんですが、ごめんねってぼくが代わろうとしたんです。そうしたら、別の人が『自分は仕事を取ってきてくれることに感謝しているので、どんな仕事でもやります』と言って、やってくれたんです」

「いやだったら、そう言ってくれていいんですよ。やるやらないじゃなく、やりたくないって主張できる環境をつくれていることがうれしかった。一方でぼくが仕事を取ってくることをリスペクトしてくれて、やりますって言ってくれる人もいて。だからそれぞれの個性があってのcoloursなんですよ」

coloursでは、お互いの個性を大切にしつつ、みんなで建築を楽しんでいるように感じました。

ここで時間を過ごすなかで、自分の個性がどう生きていくか、見つけることができると思います。

(2019/4/22 取材 稲本琢仙)

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