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何が生まれるかわからない
だから面白い
いざ、スクランブル!

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渋谷のまちが、生まれ変わっている。

あちこちで響く工事の音、次々にできあがっていく大きなビル。これほどの規模の開発は、100年に一度とも言われています。

そんな渋谷の象徴のひとつ、スクランブル交差点を見下ろす場所に、今年の11月に誕生するのが「渋谷スクランブルスクエア」。地上47階建て、高さ約230mの大規模複合施設です。

今回は、その15階にオープンする「Social Scramble Space / SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」の立ち上げスタッフを募集します。

QWSは“Question With Sensibility”の略。「問いの感性」を意味します。

学生やビジネスマン、クリエイターや研究者など、異なるバックグラウンドをもった人たちが集い、「問う」ことを起点に新たなムーブメントを生む未来共創拠点。

なんだかわからないけれど面白そう、自分も関わってみたい。そんなふうに、ワクワクしながら読み進めてもらえるとうれしいです。

 

向かった先は、100BANCH(ヒャクバンチ)

渋谷駅新南口から歩いて2分ほどに位置するこのスペースでは、昆虫食や人とAIの共存、異言語コミュニケーションなど、100年先の未来を豊かにするさまざまなプロジェクトが常に進行している。

運営しているのは、パナソニック、カフェ・カンパニー、そしてQWSの企画・運営にも携わるロフトワークという3つの会社。

もともと倉庫だという3階の広々とした空間で待っていると、ロフトワーク代表取締役の林千晶さんがやってきた。

年間200を超えるプロジェクトを手がけている千晶さん。きっと多忙だろうに、それを感じさせない軽やかな雰囲気が印象的な方。

お土産の生カステラをいただきつつ話を聞いた。

「渋谷がこんなにダイナミックに生まれ変わる工事は100年に一度と言われていて。その軸となる施設が『スクランブルスクエア』なんです。その15階、QWSを0からつくっていくスタッフはつまり、100年に一度のメンバーってこと。わたし自身もすごくワクワクしています」

広さおよそ2,600㎡のQWSは、大きく分けて4つのエリアで構成される。

フロアの中央に位置する「CROSS PARK」は、オープンに人々が行き交う広場のような空間。個人作業や打ち合わせだけでなく、ワークショップやトークセッションの場としても活用することができる。

イベントスペース「SCRAMBLE HALL」には、3面のスクリーンや音響・照明を完備し、200名規模のイベントやセミナーを開催することも可能とのこと。

ゆったり座れるソファや個室を備えた「SALON」では、打ち合わせやクローズドな商談での利用が想定される。レストランも併設予定で、食事を楽しみながら交流や対話を深めていく空間になりそうだ。

そして「PROJECT BASE」は、可動式のテーブルとホワイトボードを備えた自由度の高い空間。お互いの「問い」について議論し、プロトタイプを創る実験の場となる。

さまざまな充実した設備を備えて、今年の11月にオープンするQWS。

コワーキングスペースやシェアオフィスのような場所なのかと思いきや、どうやらそうとは限らないみたい。

QWSが目指しているものに近い取り組みって、何かありますか?

そう尋ねると、千晶さんは生カステラの入っていた袋を破いて広げ、図や言葉を書きながら説明してくれた。

「それはね、わたしたちがFabCafeをつくったときにもよく聞かれたことで」

FabCafeは、レーザーカッターや3Dプリンターなどを備えたカフェ。最先端のデジタル工作機械をクリエイターだけのものにとどめず、広く一般の人にも親しんで使ってもらえるようにとはじめた取り組みだった。

「誰でも銃がつくれるようになっちゃうんじゃないですか?とか、結局何をつくるんですか?とか。いろいろ聞かれたけど、わたしたちも想像のつかないものが生まれるのを楽しみにしているわけで。基本的には、『これに近い』と言えるものはないと思っています」

「だけど、あえて言語化するなら、スクランブル交差点のイメージはあるかな」

スクランブル交差点。

「たくさんの人がわーっと交差していくなかで、『ねえ、ちょっと聞いてよ』って声をかけたら『えっ?』って振り返る。そんな瞬間がたくさん生まれるような場所にしていきたいなあって」

日々、いろんな人がスクランブル交差点を渡ってゆく。数人組の若者や海外からの観光客、ストリートパフォーマーやビジネスマンなど。渋谷には、多様な人を受け入れる懐の深さがあると思う。

そうした人たち同士が、何かを求めて交差する。「問い」を持ち寄り、ときに渋谷のまちへと繰り出して実証実験を重ねるなかで、新たな可能性が芽生えていく。

 

「ただ、『問い』に対する“答え”を求める場所ではないと思うんです」

そう話すのは、QWSの企画をロフトワークと共同で進めている野村幸雄さん。

「“答え”を出す場所ではないし、それを教える場所でもない。そもそも“答え”はひとつじゃないと思っているので。それぞれの『問い』を起点に突き進んでいく人たちを応援する場でありたいんですよね」

「問い」は、なんでもいいという。日常の何気ない違和感かもしれないし、気になって仕方がないという、好奇心の対象かもしれない。

やりたいことや、モヤモヤをそのままにしておけない人たちが、答えはなくともまず向かう先がQWSであってほしい。

「渋谷はもともと、江戸の境界線上に位置していたんですよ。だからこそ、江戸の中心にいたらお縄になっちゃうような“変な人”も昔から住んでいて。多様なものを受け入れる土壌は、じつは江戸時代からあったんですね」

「今の、ある意味カオスな空気感はその名残。エッジにあるからこそ、いろんな要素が混在した面白いまちなんです」

そんなQWSに集う人たちをサポートする、独自プログラムの開発も進んでいる。

都内5つの大学と連携し、それぞれの知見やリソースを共有しながら「問い」を深め、探究していく体制が整いつつあったり。

ロフトワークが築いてきた2万人を超えるクリエイターとのネットワークや、市民主体の社会実験に取り組もうとしているリビングラボとの協働など、「問い」から生まれた可能性を社会に実装していくための、人のつながりがあったりする。

「“イノベーションを生む”という言葉が、最近は先行しすぎているような気もしていて。解決したいこと、やりたいことがあってはじめて、イノベーションは起こる。その起点になるのは、やっぱり『問い』だと思うんです」

「文系・理系とか、アート・サイエンスといった領域を横断して『問い』の感性を磨ける場にしたい。ここで同志を見つけて、新しい可能性を世界に問いかけるような。そういうムーブメントを起こしていきたいですよね」

 

ここまで、既存の取り組みに当てはめないように話を聞いてきた。それは千晶さんの話にあったように、「まだ見ぬ何か」をつくっていきたいから。

ただ、もう少し具体的なイメージを膨らませたい。そこで紹介してもらったのが、100BANCHスタッフの庭野里咲さんだった。

今回募集する人とぴったり同じではないものの、近い仕事をしている方とのこと。

もともとは、学生インターンとしてロフトワークに関わっていた。

「3ヶ月で一度やめたんです。自分には合わないかもしれないと思って」

「それから少し経って、『新しく100BANCHっていう場所ができるから、そこで働かない?』ってまた声をかけてもらって。就活もせず、アルバイトで働いて、あとは好きなことをして生きていこうと思っていました」

ひねくれてますよね、と笑う庭野さん。

任された仕事はコミュニティマネージャー。3ヶ月という短期間でプロジェクトを企画・進行する「GARAGE Program」のメンバーを中心とした、100BANCHのコミュニティを切り盛りしていく役割だ。

人と話すのも苦手な自分に、何ができるだろう…? 悶々とする日が続いた。

「覚えている限り、『いつまでにこれやっといてね』って言われたことは1回もなくて。根は真面目なので(笑)、何かやらなくちゃと思って、捨てられていたダンボールで名刺入れをつくったり、掃除をしたりしていました」

そんなある日のこと。

GARAGE Programのメンバーのひとりが、出かけるときに「いってくるね」と声をかけてくれたそう。

「わたしもとっさに『あ、いってらっしゃい』って言っていて。こういうコミュニケーションが大事なのかもしれないと、そのとき急に思ったんです。帰ってきたら『おかえり』を言おうと決めて」

そのあたりからようやく自分の役割が見えてきて、メンバーの人たちも、少しずつ100BANCHを自分の居場所と捉えてくれるようになっていったという。

ただ、“コミュニティマネージャー”という肩書きだけは、相変わらずなんだか違う気がしていた。

「コミュニティを管理しているわけでもないし、プロジェクトやビジネスの強みになるような人脈もない。それで先輩に相談したら、“エクスペリエンスマネージャー”って役職があるよと教えてくれて」

エクスペリエンスマネージャーは、場に出入りするすべての人が「ここにいてよかった」と思えるよう、あらゆる体験に心を配る役割。

施設の見学者を案内したり、イベントを企画したり、掃除や書類作成を行ったり、日々何気ないコミュニケーションをとったり。

やること自体は大きく変わらないものの、しっくりくる肩書きを見つけたことで、自分のやるべきことが明確になったそう。

「管理はしないので、“エクスペリエンスデザイナー”だなと思って。コミュニケーションはとくに大事にしていますね。ビジネスの話は正直よくわからなくて、うんうんって聞いてるだけのことも多いです。恋バナはどんどん突っ込みますけどね」

メンバーにとっては、一生懸命話を聞いてくれるだけで考えが整理され、次の一歩が見えてくることもある。的確なアドバイスや、積極的に人と人をつなげられるおせっかいな人でもいいし、それができなくとも、自分なりのスタイルを見つけられればいい。

ほかにも、メンバーとスタッフを交えて鍋を囲む「鍋BANCH」は毎月欠かさず開催し続けているし、得意なイラストを活かして手描きのコミュニケーションボードをつくったこともある。インターンやアルバイトスタッフとの関わりも大切にしている。

取材の日は、7月6日からはじまる2周年イベント「ナナナナ祭」に向けた準備もあり、あちこちで頻繁に話しかけられていた。

そんな庭野さん、このごろは肩書きがさらに進化したそうで。

「最近は“100BANCHのアイドルです”と名乗っています」

アイドルですか!

「わたし自身がアイドルのオタクなんですよ。エクスペリエンスデザイナーって発音しづらいし、アイドルの役割って、考えてみれば今の仕事に通じることがたくさんあるんですよね」

“アイドル”という言葉の定義のうちひとつに、「ファンと一緒に成長していく存在」というものがあるそう。

何もかも、最初からうまくできなくてもいい。逆に、既存の価値観や仕組みはどうにも馴染まない、という人だからこそ新たな価値を生み出せることもあると思う。

何が生まれるかわからない。だから面白い。

後にも先にもない、大きな一歩になると思います。

(2019/6/27 取材 中川晃輔)

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