求人 NEW

森と川と、いのちと
共に生きる人たちと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

自然と密に関わりながら暮らし、働いて生きていきたい。

今回紹介するのは、そんな人にぴったりな仕事かもしれません。

舞台は福井県美浜町。若狭湾に面した福井県南部のまちで、その名の通り美しい海で知られています。

とはいえ、海に限らず、深く茂った山々と美しい清流もまちの魅力。

山間部にある新庄(しんじょう)地区で、自然と共に営まれてきた地域の仕事を受け継ぐ地域おこし協力隊を2名募集します。

ひとつは、イワナやニジマスなどの淡水魚の養殖と、釣り場の運営をする川の仕事。地域で長年培われてきた養殖の技術を継ぎながら、釣り堀やバーベキュー場のある施設の管理を担うことになります。

もうひとつ、山が舞台の仕事は、シカやイノシシなどのジビエを加工・販売する獣肉加工場の運営。赴任後にハンターの免許を取ることもできます。それと並行して、この地域一帯をフィールドにした自然体験の企画・運営も担ってもらえると嬉しいそう。

それぞれの仕事の大枠は決まっているものの、川と山、両方の仕事に関わってもいいし、自分の興味関心が強い部分に注力してもいいとのこと。もちろん、知識や経験がなくても大丈夫です。

このまちで自分ならどんな働き方をしてみたいか、想像を膨らませながら読んでみてください。



美浜町に向かうため、まずは新幹線と特急を乗り継いで隣町の敦賀へ。

駅前でレンタカーを借り、20分ほど車を走らせる間に、だんだん山との距離が近くなる。美浜の町の中心部は、建物が多く賑わっているものの、田んぼも広がる穏やかな雰囲気だ。

美浜町役場を訪れて、観光戦略課長の今安さんに話を聞く。

「美浜町は町の面積の多くを山が占めていて、その中心に位置するのが今回協力隊を募集する新庄地区です。地域の人たちはとても熱心で、町と協力しながらこれまでも地域の活性化に取り組んできました」

「住民主導で作成した地域活性化案が町の観光振興計画に取り入れられたり、まちづくりの有志団体がいくつも活動していたり。人任せにせず、自分たちの力で地域を守りたいっていう思いが強い地区なんです」

今までは広く町全体の活性化に関わる協力隊を募集してきたけれど、あまりうまくいかなかったという美浜町。

「新庄地区で、魚の養殖やジビエの加工に取り組む」というふうに、ミッションを明確にした募集は新しい試みなんだそう。

「広く町を任せるのではなく、より具体的なミッションを持って地域に根付いてくれる人を増やすことが大事だと思いました。魚がすごく好きとか、狩猟をやりたいとか、マニアックな目的でいい。仕事そのものに魅力を感じて、美浜の地域おこし協力隊になることを選んでくれたら嬉しいです」

今回募集する協力隊の活動拠点の一つとなるのが、“渓流の里”。

清流を生かした釣り堀と、淡水魚の養殖施設が整備されていて、休日は家族連れなどで賑わうそう。

徒歩圏内には民宿やカフェ、もう一つの拠点となる獣肉加工販売場もある。協力隊の2人は、このエリアで多くの時間を過ごすことになる。

「すでに施設があるので、初期投資が必要ないぶん、いろいろ挑戦できると思うんです。まずは現場の仕事を覚えるところから。町もバックアップするので、その後の定住を見据えて働いてくれる人に来てもらえたらなと思います」



具体的な仕事内容を知るために、役場から車で10分ほどの新庄地区を訪れる。

“渓流の里”周辺はすっかり山里の雰囲気で、川の音とそよぐ風が気持ちいい。

この施設を切り盛りしているのが、髙木豊さん。懐かしい思い出を振り返るように、施設の歴史を話してくれた。

「28歳のときに脱サラしてね。当時この山奥の仕事は炭焼きか、わさび栽培か、淡水魚の養殖しかなかった。それで養殖をはじめたんです。子どものころからよく釣りにも行っていたしね」

「20万匹くらい育てていたかな。販売するだけでなく、お客さんにも自然を体験してもらいたいと思うようになって、仲間5人を集めてはじめたのがこの渓流の里です」

敷地内にある養殖場では、イワナやヤマメ、ニジマスなどを育てている。

川を堰き止めた釣り堀に魚を放し、お客さんに釣りを楽しんでもらう。釣った魚は塩焼きにして食べることもできるし、バーベキューなども楽しめる。

「ただ、いつまで続けられるかなあ」と、豊さん。

「自分ではじめたから責任持って続けたいけど、最近は自然災害がすごくてね。ゲリラ豪雨があると、2トンの岩を流しちゃうような土石流がきて、釣り場が全部崩れちゃう。毎年、やられては直して。それさえなければ、ええとこなんやけどね」

この場所を守ってきた仲間は減り、だんだんと体力も衰えてきた。辛抱強く、自然と向き合うことも難しくなりつつある。

とはいえ、一緒に守ってくれる人がいるならもちろん続けていきたい。

「お客さんとのやりとりが、すごく面白いの。『また来るわ!』って言って帰った人が、本当に来てくれるし。『ぎょうさん釣れよー』ってバケツ一杯の魚を流してあげたり、釣れないって人にはちょっと竿借りて教えたりね」

「子どもさんが釣りしているときは、目が違う。生き生きしてるの。自然のなかで、まったく別の世界との駆け引きを楽しんでる。そんで釣れたときの、自然と一つになった感覚が忘れられなくて、やみつきになるわけ」

お客さんの話をしているときの豊さんは、すごく楽しそう。さっき会ったばかりだけど、この場所がなくなるかもしれないと考えたら、なんだか寂しく思えてきた。

ここで働くなら、どんな人がいいんだろう。

「養殖は未経験でもできるから大丈夫。雄雌の判断とか成熟度の鑑別とかは、教えたらできるようになるんです。でも魚や自然が好きじゃないと、この仕事はできへん。それはノウハウじゃないからね」

「1日に6回餌をやるとか、冬の寒い時期でも水に手をつけて卵を選別するとか、めんどくさい仕事も多いよ。でもうちの魚を食べた人たちは、全然味が違うって褒めてくれる。餌に添加物も入れていないし、水質とかも関係あるんやろうね。なかなか奥が深いのよ。食べてみる?」

そう言って豊さんは、ヤマメとイワナを塩焼きにしてくれた。

ふわっと柔らかい口当たり。川魚特有の臭みや雑味がまったくなく、おいしい。

今はここを訪れた人しか味わえないけれど、たとえば町内の民宿や飲食店に流通させるような仕組みをつくることができれば、もっと多くの人に届けることができるのかもしれない。

豊さんの養殖の技術を受け継ぎながら、自分なりにいろいろな方法を試して、事業を大きくしていけるように思う。



川や魚に深く関わるこの仕事に対して、もうひとつの山の仕事は、より広く地域と関わることになる。

訪れたのは、渓流の里から歩いてすぐの場所にあるカフェ。この地域一帯の活性化を担うNPO法人の代表・中村俊彦さんに話を聞いた。

俊彦さんはこのカフェや居酒屋の経営に加え、獣肉加工施設や自然体験館など、複数の施設の管理・運営を担っている。

「好奇心旺盛でなんでもやりたくなっちゃうんだけど、身体は一つだから手が回らないんだよね。協力隊の人には、まずジビエの加工施設を手伝ってほしいなと思っています」

この地域では、長年シカやイノシシなどの獣害に悩まされてきた。そこで、自身も狩猟を行う俊彦さんが中心となってはじめたのが、“BON1029”という獣肉加工施設。

ハンターが持ち込んだ獣肉を解体・加工・保存する場所で、ここでジビエの販売も行っている。

「今は獣肉を解体する人はいるんだけど、ラベルを貼ったり発送したりっていう商品管理を担える人がいなくて。仕方なく注文を断っちゃうこともあります」

協力隊はここを中心に活動し、商品管理や訪れる人への販売を担ってほしいそう。

狩猟に興味のある人は、俊彦さんに教わりながら免許取得を目指すこともできる。

「僕も、最初のころは会社員をやりながら狩猟を教わったの。20年くらい前に自宅の近くにたくさん鹿が出て、どうにかしたいと思ったのがきっかけでね」

「獣肉って食用になるのはごく一部で、9割くらいは処分されてしまう。動物も悪気があるわけじゃないし、無駄になる肉が減ったらいいなってこの場所をはじめたんです」

「ただ、ずっとこの施設につきっきりだったらつまらんでしょう」と、俊彦さん。

だから協力隊にはもう一つ、ここから歩いて10分ほど離れた場所にある自然体験館でのイベントの企画を任せたいそう。

古民家を改修したこの場所は、俊彦さんが管理・運営の責任者を務めている。ジビエ関連のイベントなどでたまに使うものの、企画の数が少なく、今は民泊利用がメインになっているそう。

ここを拠点に、新庄の山や川を活かした企画をもっと増やして、まちに人を呼び込みたいと考えている。

具体的にはどんな企画ができそうですか?

「たとえば前にやっていたのは、狩猟の学校。狩猟見学から、実際に解体して食べて、ツノでアクセサリーづくりもして。ハンターに興味を持って参加して、実際に免許を取ったって人もいたね」

「ただのアイデアやけど、山の中で"リアルサバゲー"なんてのもできると思う(笑)。山ん中歩いて、この場所ならではの面白さ見つけられるような、好奇心旺盛な人がいいのかなと思います」

3年の任期が終わったあとも、ここで任される仕事を続けていくこともできるだろうし、自分で新しいビジネスをはじめることもできると思う。

俊彦さんも、「やりたいことをやってもらうのが一番」と話していた。



最後に紹介するのは、隣の敦賀市から移住してきた山野正憲さん。「じょんさん」の愛称で親しまれている。

じょんさんは、古民家をリノベーションしたコミュニティスペースを運営している。

「地域の人たちと一緒にここを整備したのは2年前。今はみんなが集まってご飯を食べたり、イベントを開催したりする拠点になっています」

「僕は毎週木曜日に“じょんかふぇ”っていうのをやっていて。ご近所さんやFacebookの知り合い、誰かから話を聞いた人…いろんな人が来てくれるんです。一緒にお茶を飲んで話をして、みんなでワイワイ遊べる場所になっています」

この日も、近所に住む親子や隣町の地域おこし協力隊の方など、多くの人で賑わっていた。

じょんさんに移住の先輩としてアドバイスをもらえるだろうし、この場所をきっかけに知り合いも増えていくと思う。新しく地域にやってくる人の居場所になるはず。

「この地域は、人の素朴さみたいなものが魅力ですね。優しくて、温かくて、面白い。ノリが良くて、新しいことも『今度これやろっさ』って実現しちゃう。美浜の大人は面白いよって、この場所で見せていきたいですね」



豊かな自然に囲まれたまち、美浜町。

静かな清流と深い緑、そして地域に根付きながら生きる人たちがいました。

自然と、地域と共に生きる。そんな言葉が似合うまちだと思いました。

(2019/7/10,11取材 増田早紀)

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