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八王子の窓から
ずっと、そっと
まちを支える

教室の窓から見える景色。

そう聞くだけで、思い出が一気に蘇ってくるという人は多いはず。

今回紹介するのは、見えないところでそんな人びとの日常を支えていく仕事だと思います。

たなべ物産株式会社は、八王子で86年間、地域に根ざして仕事をしてきた会社。窓枠サッシや金属製ドアなどの建築資材を扱う仕事をしています。

なんと八王子市立の小中学校のほとんどで、たなべ物産がサッシの工事に携わっているんだとか。

建築会社との商談や見積もり作成からはじまり、製造工場や施工する職人さんへの依頼、現場の管理まで、すべての工程を社内で横断的に担っていく。

今回は営業や施工管理など、それぞれのフェーズに関わるスタッフを募集します。

社内外のさまざまな人と連携してひとつの案件を進めていくので、経験以上に「どうやって人と関わっていくか」ということが大切になる仕事。

現在働いている人たちも、ほとんどはサッシについてまったく知識のない状態から働きはじめています。



東京駅から中央線に乗り、1時間ほどで到着したのが西八王子駅。飲食店が立ち並ぶ駅前の繁華街を抜けると、すぐに住宅街が広がる。

駅から歩いて10分ほど。大通りから少し離れた静かな場所に、たなべ物産の本社を見つけた。

案内してもらったのは、2階にある会議室。会社の周囲には緑も多く、窓から見える景色が気持ちいい。

利便性も十分にありながら、自然にも恵まれているのは、多摩地域ならではの魅力だなと思う。

そんな雰囲気を感じながら、まずお話を聞いたのは、代表の田辺さん。専門的な内容も、一つひとつ丁寧に話を進めてくれる方。

たなべ物産は、田辺さんのおじいさんが昭和8年に創業した会社。

当時、八王子は有名な織物産地だったそう。たなべ物産は生糸を生産者から仕入れ、機(はた)屋さん向けに販売する卸の商売をしていた。

高度経済成長期に入り織物産業が下火になる一方で、八王子はベッドタウンとして開発され、人口が急激に増加。

時代の変化にあわせて、たなべ物産も建築資材業へと事業転換し、今に至っている。

「主に扱っているのは、建物の窓枠に取り付ける金属製のサッシです。僕の後ろにあるようなものですね。みなさん見たことはあっても、あまりよく知らないですよね」

「うちの会社は、個人の住宅よりもマンションや学校、病院など、法人の建物の仕事が多いです。なので、お客さんのほとんどは建築会社、つまりゼネコンさんになります」

建物全体の建築を統括するゼネコンからサッシに関わる部分を一任されるので、製造工場や施工する職人さんたちと連携して、最後の取り付けが完了するまで責任を持って対応する。

需要の大きい23区内に進出することはあえてせず、八王子周辺の多摩地域に根ざして仕事を行ってきた。クライアントも、多摩地域の会社がほとんどなんだそう。

「建物って、何十年も使われ続けるものですよね。それだけの期間があれば、不具合が起きるのは当たり前。地元に根ざした専門業がちゃんといないと、いざというときにすぐ対応できなくなってしまいます」

「うちがこの仕事をやめてしまったら地域の人が困ってしまう。続けていくことが地域貢献にもなると思っています。それくらいのプライドを持ってやっているんです」

とはいえ、人口が減少するなかで建築需要も少なくなり、業界を取り巻く現状は厳しくなりつつある。

たなべ物産も団地のリノベーションに取り組んだり、指定管理者として地域の庭園を運営したりと、新たな事業も展開している。

「どんな事業をやるにしても、先代のころから変わらないキーワードは『地域の発展とともに歩む』ということなんです。いろいろな場所に進出していくというよりは、多摩に根付いてしっかり商売をやっていきましょうと」

「僕はもちろん、社員もこのあたりに住んでいる人が多いです。自分が住んでいたり働いていたりする地域なんだから、盛り上がっていたほうが絶対にいいですよね。だから新しいことをやるときも、地域の発展につながるのか、という基準で考えたいと思っています」

同じ場所で、長く会社を続けていくのは、簡単なことではないと思う。

田辺さんは三代目の社長として、どんなことを大切にしてきたんだろう。

「経営者としては、ただ必死にやってきた感じで。特に何かを重要視してきたってことはないんです」

「社長になる前、営業をしていたときから大切にしてきたのは、『基本的にノーと言わないで、イエスで受ける』ってことですね」

イエスで受ける。なかなか大変なことじゃないですか?

「そうなんです。でもむずかしい要望にできませんって答えたら、そこで終わってしまう。とりあえず受け止めてチャレンジしてみると、努力するなかできっと自分の知らないところで能力が上がっていくと思うんですよ」

「結局失敗して、最後は謝って終わったってこともありました。でもそれもいい経験になるし。だから会社のみんなにも、何ごとも前向きに捉えて、自分が成長していく経験を積んでいってほしいなと思います」



これから入る人の先輩になる人たちからも話を聞いてみる。

まずは、営業の丹澤(たんざわ)さん。お隣の相模原に住んでいて、毎日車で通勤しているそう。

仕事はどんなふうに進んでいくんですか?

「まず営業は、日々建築会社さんをまわっています。昔から馴染みの会社がほとんどなので、話しやすい方が多いですね。お客さんも常に新しい案件を獲得しているので、その見積もり依頼をもらいます」

基本的にお客さんから話を持ちかけられるので、いわゆる飛び込みでの営業とは少し異なるとのこと。

営業が依頼を受けたら、設計図面などをもとに積算担当が見積もりを作成。

受注後は設計担当が細かな図面を起こし、施工管理が製造工場や協力会社とやりとりしながら現場での施工を管理する。

営業、積算、設計、施工管理。半年ほどの時間をかけて、その4つの職種でバトンを渡すようにひとつの案件が動いていく。常に20〜30件ほどは同時並行で進んでいるという。

専門的な仕事だから、競合はあまり多くないのでしょうか?

「それが実際はそうでもなくて、複数の業者で相見積もりという場合が多いんです。最終的な契約率は30%くらいですかね」

見積もりの差はどんなところに出てくるんでしょう。

「全体の大まかな建築図面にはサッシのことまで細かく記載されているわけではないので、実際に取り付けたときの状態をどう想定するかによって、内容は結構変わってきます」

構造上きちんと納まる仕様になっているか、法律上問題のない規格になっているか、一つひとつ細かく確認をして、見積もりをつくっていく。

価格だけでなく、その対応の丁寧さも受注に関係している。特に長い付き合いのお客さんだと、今までの仕事を評価して発注してくれるところも多いという。

「設計担当や施工担当が現場でいい仕事をしたことを覚えていて、あの担当者にお願いしたいからって依頼をくれることもあるんですよ。営業としては、現場のがんばりを受け取って、次の仕事をいただけるようにアピールしていくのは大切かもしれません」

それぞれの担当が、相手の立場に立った丁寧な仕事をしていくことで次の仕事につながっていく。仕事の姿勢そのものが営業活動になっている。

深く、長く。ちゃんと地域で信頼を得ることにこだわって、たなべ物産は仕事を続けてきた。

インテリアデザインの専門学校を卒業後、新卒で入社した丹澤さん。今年で働いて11年になる。

「建築業界といっても、正直サッシのことはまったくわからないし、仕事のイメージも湧かないまま入社しましたね」

積算と施工管理の仕事を経験し、営業としてのキャリアは7年ほど。

基本的にどの仕事も、先輩のもとで「やりながら覚える」スタイル。少数精鋭の会社だし、マニュアルだけですべての仕事が網羅できるわけではないから、教えてもらえるのを待っていると難しいかもしれないとのこと。

「どんなことにも受け身の姿勢ではなくて、自分からどんどん進んでいけるタイプのほうが合っているかなと思います。自ら動いて、積極的に学びとっていくことが大切になるんじゃないかな」



続いて話を聞いたのが、入社8年目になる施工管理の和智(わち)さん。今、社内では一番の若手なんだそう。

「地元が八王子なんです。都心まで満員電車で通勤するイメージが湧かなくて、この近辺で就職先を探していたら、建設業を営んでいた父親にたなべ物産を勧められました」

大学は法学部。まったく異なる分野だけれど、研修期間ですべての職種を経験し、仕事の流れを学んでいったという。

「今まで担当した物件はどれも覚えているので。たまに前を通ると、大変だったなとか、ちゃんとできてよかったなとか、思い出しますよね。最後に形に残るのが、この仕事のいい部分だと思います」

「ただ、普段仕事をしていると、無力さを感じることも多くて…」

無力さ、ですか?

「僕の仕事は、まず工場へサッシの製造を依頼して、納期通りに現場に届くよう手配すること。それと協力会社の職人さんに依頼して、現場で取り付けを行ってもらうこと。その調整や管理がメインなんです」

それぞれの間をつなぐ役割。自分が現場で力になれることは少ない。

「急ぎでやりたいと思っても、自分でどうにかできるわけじゃなくて。僕にできるのは、現場ごとの納期を毎日しっかり確認して、問題が起きていないか、協力会社さんとコミュニケーションをとって調整することなんです」

台風など天候の都合で施工日が変更になることも多いし、大規模な案件だと階層ごとに施工日が異なることも。

並行している数十件もの案件を、それぞれ意識しておかなければならない。想像以上に大変そうだ。

「新人のころはミスもあって。現場に職人さんが到着したけど、工場との連携不足でものが来なくて、職人さんに謝って帰ってもらったこともありました。間違いがないか何回もスケジュールを見直すくらい、慎重な人のほうが合っているかもしれませんね」
             

「ただ一番大事なのは、可愛がってもらえることだと思うんです」

可愛がってもらえる?

「たとえば職人さんだったら、『急ぎなので、どうにか一人来てくれませんか?』ってお願いしたときに『しょうがねえな』って来てくれるような。そんな関係性をつくっていけるといいなと思っていて」

「工場ともお互いさまの関係で。向こうが困っているときに柔軟に対応できれば、こっちが困ったときに助けてくれる。仕事だからっていう割り切り方をしていると、うまくいかない。信頼関係をつくっていくことが大事になる仕事だと思います」



多摩地域に根ざして86年。

働く人たちの仕事への真摯な姿勢があったからこそ、長く続くことができたのかもしれません。

自分の関わった建物のなかで、人びとの日常が営まれていく。

これからもたなべ物産は、一つひとつの仕事を積み重ねることで、このまちをそっと支え続けていくんだと思います。

(2019/10/10取材 増田早紀)

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