求人 NEW

創造性を刺激し
ビジネスを変えていく
デザインの学校

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直感、ひらめき、インスピレーション…。

何か新しい物事を生み出す力は、“天性”や“センス”といった言葉で抽象的にまとめられがちなところがあると思います。

でも、その力をもっと言葉にして、分解的に理解したり、伝えたりできないか?

そんな問いをきっかけに、人の創造性や豊かに生きることについて、向き合い考え続けてきた人たちがいます。

OFFICE HALOのみなさんです。

主に取り組んでいるのが、ビジネスパーソンを対象としたデザインの学び場「WEデザインスクール」。

ビジネスの現場におけるデザインの重要性が語られる一方で、学びはじめる場がない。そんな人たちに向けて、実践的なデザインリテラシーを育むための講座を開いています。

今回はこのWEデザインスクールの講師と、法人営業の担当者を募集します。

たとえばデザイン事務所で働いていて、副業として講師を務めたい人。あるいはフリーランスのデザイナーとして働いている人も、勤務日数や時間帯など、働き方は柔軟に調整できるようです。

 

JR目黒駅から、目黒川方面に坂道を下っていく。

川を渡り、大通りから脇道に逸れて住宅街を進んでいくと、白い建物が見えてきた。

元印刷工場だという建物のなかには、カフェとシェアオフィスがあり、OFFICE HALOもここに入居している。

とは言っても、講座やミーティングの時間以外はどこで作業をしてもいいそうで、お気に入りのカフェや自宅で働く日も多いらしい。

まず最初に話を聞いたのは、代表の稲葉裕美さん。ゆるやかでありながら溌剌とした空気を持った方だなあ、というのが第一印象だった。

稲葉さんがOFFICE HALOの立ち上げ当初から掲げてきたのが、「クリエイティブと社会を架橋する」というビジョン。

その発端は、高校生のころまでさかのぼる。

「もともと法学部にいこうと思っていたんですよ。“世の中を変えたい”っていう熱があって。弁護士や政治家になりたいと思っていた時期もありました」

それと同時に、ぼんやりと思い続けていたことがあった。

「雑誌を見ては『この家具いいなあ』って思うとか、自分で何かつくってみるとか。アートやデザインは昔から好きだったんですよね。ただ、身近に触れる機会や学ぶ場はほとんどないし、自分とは縁遠いものと漠然と思い込んでいたんです。そういう人って多いんじゃないかな」

アートやデザインで食べていける人は、幼いころから才能やセンスを発揮して、強い意志をもってその道を突き進むのかもしれない。

でも本当に、意志や才能だけの話だろうか? 身近に触れたり学んだりできる環境や仕組みさえあれば、より多くの人が暮らしに、そして仕事にアートやデザインを取り入れつつ生きていけるんじゃないか。

それは、ほかならぬ稲葉さん自身が求めていた生き方でもあった。

武蔵野美術大学でデザイン教育やアートマネジメント、文化政策などを学んだ稲葉さん。当時の仲間とともに、2014年7月にOFFICE HALOを立ち上げた。

「デザインに関しては、本当にいろんな情報や言葉が飛び交っていて、混乱が広がりやすい状況にある。だからこそ体系立てて、基礎から順に学んでいくステップをつくることが重要だと思っています」

当初はWebメディアや旅しながらデザインを学ぶ旅行社など、さまざまな業態を考えたそう。

今の時代性にもっともフィットしていて、個人や社会の変革にとって有効な方法は何か。あらゆる可能性を検討したうえで、最終的にスクールという形を選んだ。

建築のスペシャリストとまちを巡るツアーや、現代アートの見方講座など、身近な例から学ぶおとなのアート&デザインの学校「CORNER」にはじまり、ビジネスパーソン向けのプログラムとして、武蔵野美術大学デザイン・ラウンジと共同で2017年にスタートしたのが「WEデザインスクール」。

初回から大きな反響があったという。

「いろんな業界の方が受講してくれて。インフラを支える大企業の方もいれば、保険、ホテル、化学品メーカーとか、行政の方もいらっしゃるし。IT系、通信、大学の先生とか。デザイン会社の方や美大に通っていた方も、学び直しで通ってくれています」

講座は平日の夜と土日に開催。仕事終わりに受講する人も多い。

具体的にはどんなふうに進んでいくのだろう?

「みなさんのお悩みって、ほとんど共通していて。社内外に向けたデザインの説明ができない、デザイナーへの発注がうまくいかない…。これらはすべて、“どんな基準でデザインを判断したらいいかわからない”ってことですよね」

ああ、そうですね。明確な基準やボキャブラリーがないから、抽象的に「こんな感じで…」と表現するしかない場面もたしかにあります。

「授業では、既存のデザイン事例を分解的に読み解くことで、どこがどうよいのかを丁寧にお伝えしています」

「大事にしているのは、勘みたいなものでできているかのように思われがちなデザインに対して、実はこれだけの論点や判断軸を持てるんだよ、とお伝えすること。デザインリテラシーというのはつまり、“見る目”なんです」

平面のグラフィックデザインにはじまり、パッケージやサービス、ひとつの事業全体のデザインまで。段階を踏みながら視野を広げ、視点を増やしていく。

なんとなくいいなとか、しっくりこないなと感じていた理由が“見えてくる”。それだけで自ずと解決していく課題も多い、と稲葉さん。

「受講後にクリエイティブ業界に転職された方もいらっしゃるし、新しくデザインの企画を立ち上げて賞をとった方もいます。ただ、必ずしも全員がデザイナーにならなくてもいいと思っていて」

休日に行った美術館のレポートを書いたり、ときには半休をとって一緒に展示に足を運んだり。

同じプログラムを受けたことで、受講生同士のつながりが生まれ、自主的なコミュニティが育っているという。

「世界の見え方が変わったっていう感想も、よく耳にします。日常、まちを歩いていても、目に入ってくるものが変わったと」

「デザインって、普段の自分の生き方や価値観が滲み出ちゃうものだと思うんですよね。わたしたちも、よりよく生きることとか、人間としてのよいあり方って何かとか、ランチしながらよく話します。そういうことを真剣に考えるのが好きな人には向いている仕事だと思うなあ」

講座以外の時間はどこで働いていても自由だし、定時勤務の日が多いとのこと。日常の生き方とデザインは密接に関わっているからこそ、健全に働ける体制づくりにも力を入れているそうだ。

 

とはいえ、デザインとビジネスを橋渡しするという、まだまだ開拓されていない分野。大変なこともきっとあるだろう。

外部から講師として関わっている田中奈津子さんにも話を聞いてみる。

「大変なのは、各講座で伝えるべき観点やメッセージを咀嚼して、自分の言葉で話せるようにすることですね」

「講座のスライドや内容はすでに設計されたものがあるので、1からつくる必要はありません。わたしもデザインを教えた経験はなかったんですが、安心してはじめられました」

とはいえ、目の前の受講生と生のやりとりを重ねていくのが講座というもの。想定外の質問が飛んでくることもある。

「デザインやアートに関する新しい考え方やトピックも出てきますし、歴史をおさらいすることもあります。プログラムの内容も、日々どんどん変わっていく。常に学び続けることが大切だと思います」

普段はデザイン事務所のプロジェクトマネージャーとして、デザイナーとクライアントの間で調整役を担うことが多いという田中さん。

ほかにも、本の装丁をしている講師の方は、自身の手がけた本を題材にしたり、タイポグラフィや文字組みの例を多く取り入れたり。それぞれの現場での経験が、プログラムにも反映されている。

「講座のために学んで身につけたことが本業で役立つこともあります。ここでの出会いが仕事につながったらいいなという想いもあって」

たしかに、副業として講師の仕事に携わる場合でも、いろんなメリットがありそうだ。日々学ぶことで自分自身の感性を磨きながら、本業のプロモーションにもなる。受講生のなかには「身近にデザイナーがいない」という人も多いので、仕事につながる可能性も高い。

 

教育現場での経験はあったほうがよいけれど、未経験でも大丈夫。グロービス経営大学院で長年講師を務めている林浩平さんが、社外取締役という立場からサポートしてくれる。

過去には教材の開発や教員育成にも携わってきた林さん。

これからWEデザインスクールの取り組みを広げていくためには、マーケティングの視点も必要になってくる。そのために今回、講師と同時に募集したいのが法人営業のスタッフなのだそう。

「すごく理想を言えば、その会社の文脈に応じて研修の中身をチューニングして、一連の組織開発プログラムとして提案できる人が来てくれたら最高です。いわゆるソリューション営業ですね」

これまで専任の担当者がいなかったこともあり、大々的な広報はしてこなかったものの、企業内研修のニーズは確実にある。

だからといって、むやみに案件を増やせば質は落ちていく。

「たとえ要望をたくさんいただいたとしても、健全な問題意識がないお客さまにプログラムを提供しても、価値が出ないんですよ」

健全な問題意識、ですか。

「その会社は何に困っているのか。その解決にあたって、我々のデザイン教育プログラムは本当に効果的か。しっかりと見極めていく必要があります」

「たくさんの企業と関わるなかで、それぞれの業界特有の課題や組織のあり方も、だんだんとわかってきます。デザイン分野に精通し、クリエイティブなコンサルティング力を蓄えることにもつながる環境なんじゃないかな」

講師にしても、法人営業にしても。共通して求められるのは、本質を捉えるために物事をよく見て、言語化していくこと。

それは時間も労力もかかるアプローチだけれど、着実にデザインとビジネスを橋渡しすることにつながっていると思う。

「こういう事業って、種まきみたいなもので。いつ花開くかわからないけど、粘り強く続ければ着実に広がっていく。それは教育ビジネスの難しさであり、醍醐味でもあると思います」

代表の稲葉さんの「わからない」という気持ちからはじまった、デザインの見方を知る学校。

言葉だけで読むと理屈っぽく見えるかもしれませんが、身近な例をもとにデザインが“見えてくる”体験は、とてもワクワクするものでした。

一緒に楽しみながら、橋を架けていく仲間を求めています。

(2019/12/26 取材 中川晃輔)

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