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「暮らしたい」が先にある
源流の村で
顔の見えるおもてなしを

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

豊かな自然に、おいしい食べもの。足を伸ばして訪れたくなる場所には、それぞれ理由があります。

会いたい人の顔が浮かぶ、というのもそのひとつ。今回は、そんな場所を地域全体でつくり上げようとしている村を紹介します。

山梨県小菅村(こすげむら)。人口700人のこの村に、村全体をひとつのホテルに見立てた、地域分散型の古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」があります。

今回募集するのは、ホテルのサービススタッフと、併設するレストランのアシスタントシェフです。



新宿駅から特急あずさに乗り大月駅へ。大月駅からは車に乗り換え、山あいの道を30分ほど走っていくと小菅村に到着する。

人口700人ほどの小さな村でありながら、多摩川源流の豊かな自然とおいしい食を目当てに、年間約20万人もの人が訪れる人気の地域。行政と住民が一体となって、道の駅の立ち上げなどさまざまな村おこし事業を通じ、地域を元気にするための取り組みをつづけてきた。

それらの取り組みを2014年からサポートしてきたのが、株式会社さとゆめ。事業計画やアドバイスにとどまらず、地域の人たちと一緒に走り続ける“伴走型コンサルティング”をモットーに、日本のさまざまな地域でまちおこし事業をサポートしている。

今回募集する古民家ホテルも、さとゆめは立ち上げ前から関わってきた。まずはさとゆめ代表の嶋田さんに話を聞く。

「2014年に道の駅の立ち上げをお手伝いさせてもらったのが、小菅村に関わるきっかけでした。その後も村の特産品を使った商品開発やイベントの企画など、いろいろな事業に携わらせてもらいましたね」

道の駅や温泉など、それまでバラバラに運営されてきた施設の運営元をまとめて連携をはかったり、村の各施設で使えるこすげ村人ポイントカードの仕組みをつくったり。

計画するだけでなく、村人と一緒にかたちにしていくのが、さとゆめのスタイル。取り組みの効果もあり、観光客や移住者は年々増加しているそう。

そして村おこしの次のステップとして昨年8月にオープンしたのが、空き家を利用した古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」。

「細川邸という、村で一番歴史のある邸宅が空き家になっていたんです。かつてそこに住んでいたご夫妻は学校の先生をしていたそうで、習字を習いに集まったり、当時この家にしかなかったテレビを見に来たり、村の人の思い出が詰まっている場所でした」

このまま朽ちていくのを待つのはしのびない。なんとか建物を生かす方法はないか。

そんな村の人たちの声を聞き、嶋田さんが注目したのが、古民家を宿泊施設として再生するNIPPONIAだった。

NIPPONIAは、兵庫県の丹波篠山市に拠点を置く株式会社NOTEが展開している取り組み。各地に点在している古民家を、その歴史性を尊重しながらリノベーションし、土地の文化や歴史を感じられる宿泊施設として再生するというもの。

ただ建物をリノベーションするのではなく、村内の温泉施設はホテルの大浴場、物産館はホテルのショップというように、地域全体をひとつのホテルと見立てる分散型ホテルの仕組みをつくることで、人の流れを宿の外にも広げているのが大きな特徴だ。

道端での立ち話や、歩きながら見つけた風景。そのすべてが、訪れた人にとってかけがえのない体験になる。

村全体を巻き込んで進めてきたホテル運営も、オープンから約1年。お客さんからの評価も高く、今年の8月には新たに一棟貸しの部屋がふたつオープンするなど、事業も拡大してきた。

「古民家ホテルって内装の雰囲気に目が行きがちなんですが、ぼくたちのホテルの一番の強みは人の魅力なんだって、この1年間運営して感じることができたんです」

人の魅力。

「今は2年前に移住してきた夫婦がホテルのマネージャーをしてくれているんですが、そのふたりとの会話が楽しかったとか、となりのおじちゃんと散歩して心が和んだとか、シェフの話を聞いて料理がさらにおいしく感じたとか」

「一人ひとりの顔がちゃんと見える。それはホテルのスタッフだけじゃなくて、村人みんなが来る人を迎えてくれるからこそ成り立っているんですよね。その強みは、これからもっと伸ばしていきたいなと思ってます」



村人とのいい関わりがあってこそ、村全体がひとつのホテルになる。今回募集するホテルサービススタッフは、ホテルと村人をつなぐ大切な役割になる。

次に話を聞いたのは、マネージャーを務める谷口峻哉さんと谷口ひとみさん。

2年前、日本仕事百貨の記事を読んで応募し、夫婦そろって小菅村に移住してきた。

ふたりとも、以前は会員制の高級ホテルで働いていた。仕事はやりがいがあったけど、ひたすら高級志向を追い求めることに疑問もあったという。

「私はドアマンやベルボーイ、妻はセラピストとして働いていました。大きなホテルだったので、多い時には1日に700人くらいお客さまが来られて、ひたすらさばいていくような日々で」

「これから先もホテルの仕事を続けていくんだったら、もっとお客さま一人ひとりに関われる場所で働いてみたいって、ふたりでそんなふうに考えるようになったんですよね」

ひとみさんが体調をくずしたのもあり、ホテルを退職。その後、自然療法をきっかけに知ったオーストラリアを訪れたときに、自分たちの理想の暮らしに気づいたそう。

「オーストラリアって水と空気がおいしいし、人もすごくあたたかいんですよ。初対面でも気さくに声をかけてくれたり、重い荷物を持っていたらすぐ手助けしてくれたり。純粋にそういう場所で暮らしたいなって思ったし、暮らしたいって思える場所で働くことが大事だよなって、そのときに気づいて」

「それで日本に帰国したときに偶然読んだのが、日本仕事百貨の小菅村の記事だったんですよ。村全体がひとつのホテルっていうのも気になったし、なにより暮らしてみたいって思える場所だなって。ここで働くしかないじゃんっていうくらいの気持ちで応募しました」

選考が進み、二次面接ではじめて小菅村を訪れた。一緒に来たひとみさんも、第一印象でピンときたみたい。

「はじめて来た場所だったんですけど、直感で『ここだ!』って思ったんです」

「水も空気もきれいでおいしくて、なにより会う人みんなが優しく接してくれたんですよね。オーストラリアで感じたのと、同じような感覚があって。ここで暮らしたいなって素直に思えたのが、すごくよかったです」

オープン後は、スタッフや地域の人と一緒に試行錯誤の日々。掃除の方法やチェックインのオペレーション、散歩や焚き火といったアクティビティの充実など、ホテルの基礎を1年かけて固めてきた。

ひとみさんが9月いっぱいで産休に入るため、今回募集する人はひとみさんに代わるかたちで働くことになる。

「もちろん最低限の引き継ぎをしてからお休みに入ろうと思ってます。業務としては、チェックインの対応や清掃、レストランサービスなど多岐に渡ります。ただ、むずかしいことはあまりないと思っていて。接客の経験があれば、必ずしもホテルで働いていた経験はなくてもいいんじゃないかな」

「お客さんと明るく話せるっていうのはもちろん、村の人ともしっかりコミュニケーションを交わして、村人のひとりとして暮らすことがなにより大事だと思うんです」

村人のひとり、ですか。

「道で会ったら挨拶するとか、地域の行事にも積極的に参加してみるとか。言葉にすると簡単なことなんですけど、それって都会で暮らしていたらなかなか体験できないことだと感じていて」

「そういった関わりを心地よく感じて暮らすことができたら、小菅村の人も受け入れてくれる。その土壌があるからこそ、みなさんホテルのスタッフのようにお客さんに声をかけてくれるんですよね。なので、まずはこの村での暮らしを楽しんでくれるような人だったらいいんじゃないかな」



暮らしと仕事がゆるやかにつながっているような感覚。ある意味オンオフがはっきりしないとも言えるけれど、それが心地いいと感じる人も、きっといるはず。

最後に話を聞いたのは、宿に併設しているレストラン「24sekki」のシェフを務めている鈴木さん。

料理のコンセプトは、お店の名前にもなっている二十四節気。

1年を24の季節に分けた昔ながらの暦をもとに、毎月2回メニューを変え、年間24種類のフルコースを提供している。

和食がメインでありつつ、食材に合わせて洋風のテイストも取り入れる。野菜や魚など、地域で採れた旬の食材を味わってもらうことを大切にしているそう。

「小菅村へ泊まりに来てくださる方は、自然を求めて都会からいらっしゃる人が多いんです。料理からも季節を感じてもらえたらいいなと思ってます」

「たとえば今日だと、二十四節気のなかでは夏至にあたる日なんですよ。とうもろこしのムースからはじまって、小菅村産の山菜や椎茸を使った料理、あとは村でとれた川魚のお刺身もすごくおいしいです」

えっ、川魚ってお刺身で食べられるんですか?

「そうなんですよ。ぼくも最初はびっくりしたんですが、小菅村の養魚場で育てられているヤマメやニジマスは、きれいな源流水のなかでエサもしっかり管理されて育っているので、お刺身でもすごくおいしくて」

「料理の味に自信を持ってお出しすることはもちろんですが、素材のことをお客さまに直接お話しできるのも、やりがいのひとつじゃないかなと思います」

ほかにも、小菅村で育ったヒラタケは香り高く味もいいそう。野菜も地域の人が、無農薬で育てたものを使っている。

「ぼく自身、素材に対する向き合い方が、小菅村に来てすごく変わったなって感じているんです」

向き合い方?

「たとえば去年台風がひどくて、葉物野菜がぜんぜん育たなかったんですよ。そんなときにほうれん草を育てているおばあちゃんが、鈴木さんこれあげるよって、わざわざぼくに持ってきてくれて」

「昔だったらヘタを気にせず切って捨てちゃっていたのが、そのときはギリギリまで包丁を入れて、なんならヘタも何かに使えないかって考えたりして。素材を育ててくれる人の顔が見える環境だからこそ、そういう感覚になれたんだと思うんです」

目の前にある野菜が、どんな場所で、どんな思いで、そしてどんな人によって育てられているのか。それを直に感じながら料理をつくれる環境は、料理人にとってこの上ないものなんだろうな。

「小菅村の食材からは、村の人の愛情をすごく感じるんです。それって、見えない調味料だと思うんですよ」

「魚一匹でも、ほうれん草ひとつでも。育ててくれた人の顔が浮かぶからこそおいしい料理をつくりたいなって思うし、それが結果的にお客さまのよろこびにもつながる。そういうところに魅力を感じてくれる人が来てくれたらうれしいですね」



取材を終え、少しまわりを散歩してみる。川の音と鳥の声。そしてすれ違う村の人が、お隣さんと話すように自然と声をかけてくれる。

はじめて来た場所なのに、ふるさとに帰ってきたような不思議な感覚。

気になる人は一度小菅村を訪れてみてください。この空気感が好きな人は、きっと少なくないと思います。

(2020/7/7 取材 稲本琢仙)

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