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収益+主体性を引き出す
ふるさと納税のこれから
ベッドタウンで考えてみる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「ふるさと納税」の制度がはじまってから、実はもう12年も経つそうです。

最近では、まるでオンラインショッピングを楽しむように、気軽な感覚で寄付ができるようになった。

Webサイトでは、お米や野菜などの食べ物だけでなく、「体験」という形のないものも返礼品として紹介されていて、地域にはこんな豊かさもあったのかと、あらためて気づかされます。

一方で返礼品を出品する事業者にとっては、全国規模で消費者の感触を探れるオンラインマーケティングの場にもなっている。

寄付による収益を得るだけでなく、地域をより活性化していくためのきっかけとして、この制度をどう生かしていくか。

今は、各自治体がそれを考えていくべき過渡期にあるのかもしれません。

今回募集するのは、福岡県小郡(おごおり)市でふるさと納税の運営業務にあたる人。

都市近郊のベッドタウンであるこのまちから、今後、どうやって個性や魅力を発信していくか。

小郡は、ふるさと納税に関する業務を観光協会が担っているという、ちょっと珍しいまち。そのバックグラウンドも生かしながら、まちづくりに対する興味や意欲を持って取り組める人を探しています。

(取材はオンラインで行いました。現地の写真は提供いただいたものを使用しています)



今回の募集について連絡をくれたのは、小郡市観光協会の大石さん。

「僕は物心ついたころからずっと小郡市で育ちました。大学で関東に出たんですが、やっぱり福岡がいいなと思ってUターンしてきたんです」

しばらくは福岡市中心部で金融関係の仕事を経験したのち、4年前に観光協会へ入局。ふるさと納税の導入や、サイト立ち上げから関わってきた。

「最初は本当にゼロからはじめたんですが、今は70件くらいの事業者さんがいて、返礼品の種類も400くらい。寄付の受け付けサイトも5つまで増えました」

そのうちひとつのサイトをちょっと覗いてみると、明太子やもつ鍋など福岡県らしいものがまず目に留まる。

ほかに小郡市独自のものや、まちの特徴についても少し聞いてみたい。

「小郡は、東部に筑後平野の田園地帯が広がっていて、昔から米や麦などの生産がさかんでした。もともとの主幹産業は農業ですが、70年代以降は、福岡や久留米のベッドタウンとして発展してきたまちなんです」

「なので、観光コンテンツになるようなものは少ないかもしれません。だからこそ、ふるさと納税を通して自分たち自身で『小郡市の個性とはなんぞや』っていうことを掘り下げていかないといけないと思っています」

なるほど。全国有数の特産品や、強い個性があるまちというよりは、おだやかで暮らしやすいベッドタウン。

その雰囲気に、自分の故郷を重ねる人も多いはず。

これまで順調に人口も増えていて、住民も暮らしに満足しているのであれば、あえて外に向けた観光コンテンツを強化する必要はないのでは?

「データだけ見ると安定しているように見えるかもしれませんが、人口増加を支えてきたのが僕らの親世代であることを考えると、高齢化の問題は必ずやってくる。今からまちづくりに取り組んでいく必要はあると思います」

「ふるさと納税の業務は、寄付額を増やすことがゴールじゃなくて、僕はその先が大事だと思う。もっとまちの事業者さんの主体性を引き出す機会として、活用していきたいと思っているんです」

ふるさと納税は、普段エンドユーザーと直接やりとりをすることの少ない生産者にとって、全国の消費者のニーズに触れるチャンス。

商品紹介の写真や文章のつくり方、発送のノウハウなどを実践的に身につける機会にもなる。そうすれば、仮に制度がなくなったとしても、自分たちで発信していくことができる。

そのために、運営側に求められることはなんだろう。

「ふるさと納税の業務って最近は通販的な性格が強くなってきて、実績のある外部の企業に運営を委託している自治体が多いんです。そのほうが効率的に寄付を集められるかもしれないけど、その経費は外に流れるわけだし、事業者とコミュニケーションをとる機会も限られますよね」

「もともとはまちづくりのための制度だから、やっぱり地域にいる人自身が関わっていかないと、意味がないんじゃないかと思うんです」

そう話す大石さんは、実は観光協会のほかに、フリーでも地域に関わる活動をしている。

ライティングやオンラインショップの立ち上げ、チラシづくり、雑木林を耕して畑をつくる手伝いなど、地域の人のいろんな頼まれごとを請け負う「なんでも屋さん」状態なのだそう。

「どの仕事も、僕がすごいスキルを持っているわけではありません。デザインやウェブも、博多や天神に行けば、もっとうまくやれるプロはたくさんいる。田舎だから、僕が重宝されている面もあると思います」

都市部で働いていたときは、いろんな人と競合しながら常にピリピリした気持ちだったという大石さん。

今は、地域の人から必要とされることが仕事のモチベーションになっているという。

誰かと競い合って仕事を獲得するのではなく、目の前にいる人との信頼関係で仕事を続けていけるのは、地域で働く醍醐味なのかもしれない。

「まちづくりの仕事って全国にありますよね。だいたいどこの土地にも、美味い酒や豊かな自然、おもしろい人がいるんです。小郡もそうです。ただ、うちの場合はまだ余白が多いのが強みじゃないかと思っていて」

「地域を挙げてコミュニティスペースをつくったり、メディアをつくったりっていう活動が、まだあまり顕在化していない。ほぼまっさらな状態から、自分なりに『地域おこしとはこうあるべきじゃないか』っていう仮説を実践できると思います」



まっさらすぎるのは逆にちょっと不安だけど、ここには、既存の定型業務がある。まずは決まった業務をこなしながら、まちに馴染んでいくことができるのは、少し安心できるポイントかもしれない。

大石さんと一緒に働いている川津さんに、普段の仕事について聞かせてもらった。


ふるさと納税に関わるルーティンワークは、提携している5つのサイトに情報を登録し、寄付の受付を集計して各事業者さんに配送を依頼するという流れ。

事務所でのデスクワークだけでなく、週に一度は市内の事業者さんに直接伝票を届けに行く。

以前は卸の仕事をしていた川津さん。デザインやDTPの仕事に興味を持って観光協会に入ったものの、事業者さんと接する機会を通して、いろんなことに関心が広がってきているという。

「自然農法でお味噌をつくっている方がいるんですけど、そこで私もお味噌づくりを体験させてもらいました。27年間無農薬・無肥料で作り続けたお米や大豆は甘みが強く味が濃い!普通の塩おむすびやお味噌汁が絶品なんですよ」

「有機野菜や低糖質スイーツなど、手間をかけていいものをつくっている生産者さんはたくさんいて。そういう方達の声を聞くと、何かお手伝いができないかなと思いますね」

サイトに掲載する写真の準備を手伝ったり、返礼品のラインナップについて相談したりしていると、つい時間がかかってしまうことも。

通常業務の合間に手伝うだけでは、時間に限りがある。本当は、事業者にもう少し寄り添いながら進めていきたいと川津さんは言う。

「ご高齢のために、自分たちで梱包や発送をするのは難しいっていう声もあって。まちの若い人とつないで解決していく方法を探れたらいいのかなと思います。私ももっと交渉力や行動力をつけて、人を巻き込んでいきたいです」

まちの事業者と横断的に関わる立場だからこそ、つなぎ役としていろんなアイデアを試していくことも。

たとえば最近は、明太子とお米のセットなど、ふたつの事業者がコラボレーションした返礼品も考案中。

自らまちのなかに入っていけるという強みを生かしながら、声を拾っていく。

デザインやライティングを工夫して、サイトを改良していくのもいいし、コミュニケーションが好きなら事業者さんととことん話し合って、信頼関係を強めていくのもいい。

既存の業務を通じて感じたことに、自分の興味や経験を掛け合わせて、次の一歩を踏み出していくことが必要なのだと思う。



都会でも田舎でもないベッドタウンで、潜在化している魅力をどう生かしていくか。小郡が地元でなくても、その課題に親近感を感じる人もきっと多いはず。

とはいえ、自分の働く環境を選ぶには、もう少し小郡のことを知る手がかりがほしい。最後に、観光協会事務局長の高田さんにも話を聞かせてもらった。

「私は役所で28年働いたあとにこの仕事をはじめたので、地元のことより小郡のほうが詳しいくらいなんです。自然豊かで住みやすいまちなので、新しく入る人にも、愛着を持って働いてもらえたらいいなと思います」

小郡市の歴史や文化を知る手がかりは、ふるさと納税のサイトのなかにもある。

たとえば、手織り製品もそのひとつ。

「このあたりはもともと、久留米絣や絹織物の生産がさかんだったんです。昭和の初めごろまで、女の子たちはみんな、手先が器用になるように市内の七夕神社へお参りをする風習があったんですよ」

30年ほど前から、あらためてその文化を見直そうと七夕神社にまつわるイベントなどが行われるようになった。

一緒に取り組みを進めてきた織物作家の田篭みつえさんは、宝満川の河原に自生する麻の一種を使って、糸から紡いで織り上げた「七夕織」を独自に考案。

素材の風合いが感じられる名刺入れなどのアイテムは、ふるさと納税の返礼品にもなっている。

ほかにも返礼品を見ていくと、いろんな味の蜂蜜をつくる養蜂場など、いろいろと興味が湧いてくる。

ふるさと納税という入り口から芽生えた興味をどう伸ばしていくか。

良くも悪くも、まだノルマや明確な目標設定がない状態なので、自分から課題やテーマを見つけて取り組んでいける余白がある。

ただ、地域のなかに入っていくためには、アイデアを出すだけでなく、自分で考えたことを実行する責任感は必要だと思う。

まずは、地元の人と仲良くなるところから。自分から進んで、いいところを発見できる目を持った人なら、手応えを感じられる職場になるんじゃないかと思います。

(2020/8/31 オンライン取材 高橋佑香子)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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