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その不動産屋さんは
入居者さんと手を振り合い
入り口でアイスも売っている

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

自分ひとりで深めていける力もある。

人と関わるから、広がっていく面白さもある。

埼玉県戸田市。ベットタウンとして今も人口が増え続けるこのまちに、平和建設株式会社という不動産屋があります。

代表の河邉政明さんは、アパレル業界から不動産業に携わるようになり、コツコツとできることを増やしてきました。

今は、顔の見えるつながりを育むような取り組みにも力を入れています。

「関わる人たちと一緒に、少しずつアイデアを形にしていったら、人と人とがつながってきたというか。面白いコトが起きていくんだねって」

話を聞くなかで、河邉さんたちの周りにいるまちのいろんな人たちの姿が、思い浮かぶようでした。

今回は、賃貸仲介や物件管理を中心に、不動産に関する幅広い役割を担う人を募集します。

日々の積み重ねが少しずつ、まわりの人たちの暮らしを楽しくしていく。そんな仕事だと思います。

 

池袋駅から埼京線に乗ること15分。最寄りの戸田公園駅に着く。

駅の東口から通りをまっすぐ進んでいくと、5分も経たずに平和建設株式会社の看板が見つかった。

40年前から、この地域に根差して不動産業を営んできた平和建設株式会社。

不動産屋というと、入り口のガラス面にずらっと物件広告が貼られている印象だけど、それがない。目に入ってきたのは「アイスキャンデー」の旗。

写真を撮っていると、こちらに気づいた代表の河邉さんが招き入れてくれた。

入り口右手には、アイスボックス。

「これ、取引先の大家さんから『ここでアイス売ってみたらどう?』って提案されて、置いてみたんです。そしたら小学生が列つくって来るようになって」

へぇ、それもOKなんだ。

空間全体は白が基調になっていて明るい。グリーンもあって気持ちいい。

「こっちの壁にいろいろ飾ってあるのは、自分らと関わりのある人たちがつくったものです。ポスターは、入居者の若い画家さんが描いてくれたもの。このギターも、うちの管理物件に入ってくれたギターメーカーの社長さんがつくったもので」

2015年に改修するまでは、"典型的なまちの不動産屋さん"という雰囲気だったとか。

どんな経緯で今に至るのか。少し場所を移動して、じっくり話を聞くことに。

もともとアパレルの仕事をしていた河邉さん。お父さんが始めたこの会社に入社したのは1996年のことだった。

「何もわからない状態から自分で始められたのは、賃貸仲介の仕事だけでした。親の代では不動産売買が事業の中心だったので、教えてもらえるわけでもなく」

「まずはどんな物件があるか覚えようと、戸田市内のいろんな物件を片っ端から見て回りました」

お客さんが来たら、条件に合いそうなものは全部見てもらう勢いで、1日がかりで案内した。

そんなことを続けた結果、街中で「あそこの物件は?」と尋ねられたら、家賃や広さ、間取りなど、その場で説明できるほどに。

何年もそれを続けていくと、入社間もないころに対応したお客さんから、住み替えや購入の相談をもらうようになっていった。

2010年に、代表就任。

「その翌年の東日本大震災を機に、古い物件の賃料は下落しはじめ、空室が目立つようになりました」

大手ハウスメーカーの新築物件が市場を占め、古くて耐久性が心配な物件は空いていくばかり。

これから、古くなった物件をどうあつかっていけばいいだろう。

そこで河邉さんは、JSHI公認ホームインスペクターの資格をとることにした。ホームインスペクターとは、住宅の劣化状態を調査し、中立な立場でアドバイスする専門家のこと。

「古い建物を安全・安心なものに直していくだけじゃだめで。時代に合ったデザイン性も必要です。2015年からは『NPO法人モクチン企画』という、建築やデザイン、ITまで多分野の専門家が集まるスタートアップの力を借りて。改修に力を入れ始めました」

モクチン企画では、今あるものを活かしながら古い物件の価値を高める改修アイデアをレシピ化し、提供している。それを用いてほかとの差別化や収益性の向上を目指し、活路をひらこうと考えた。

デザインレシピを活用してまず改修したのは、自社の事務所。訪れたお客さんや用事で立ち寄ったオーナーさんにも見てもらえるようにした。

「当初は以前とのあまりのギャップに怖さしかなかったけど、そのうち『アイス売ってみない?』とか、通りがかりのクリエイターたちが『こんなとこがあったんだね』って声をかけてくれるとか。思ってもみなかった反応が返ってきて。手探りだったけど、あぁ、やってよかったなって」

今度は、自分たちで購入した物件を改修することに。

築58年の平屋物件。見つけたときはボロボロの状態だったけど、住宅診断の結果、まだまだ使えることがわかった。

「モクチンさんたちにデザイン面のアドバイスをもらいながら、工務店さんとすり合わせて改修していって。そしたら、こんなに変わるのかってほど、人が住む家らしくなったわけです」

改修を終えて募集をかけると、さっそく連絡が。元メジャーバンドのギタリストで、ハウスクリーリング業を戸田市で始めたいという、ユニークな経歴の方だった。

形にしてみたら、届く人にはちゃんと届いた。

隣に並んでいた戸建物件も購入・改修し、自社で管理する物件の入居者さんたちが時間貸しで使えるフリースペースに。

直接の知り合いから、その知り合い、そのまた知り合いの…と縁がつながり、理容師やバリスタ、弁護士や会計士、カメラマンやシナリオライターなど、いろんな人が集うようになった。

「そのネットワークをさらに広めて可視化していこうと、『トダピース』というまちづくりのプロジェクトもはじめました。少なくとも自分の関わる人らの暮らしが、ちょっとずつ楽しくなればいいなと思ってやっています」

「新しいことも実験しながら、こっちかなと思う方向に進んできたって感じですかね」

 

今取材しているこの場所も、昨年4月にモクチン企画と共同で新築した賃貸物件。

2階建てで、1階部分にはアトリエスペースがあり、住む人の個性が道行く人から見えるような開放的なつくりにした。コモンスペースもつくって、そこは平和建設株式会社が運営している。

もともとは堅実なタイプだという河邉さん。それでも、これまで人と関わり一緒に形にしてきたなかで、可能性が広がっていく実感を得てきた。

だからこそ、あえて通ったことのない道も進んでいける。

「何かやってみるたび、新しい出会いや発見があったり、若い人から教わることがあったり。そういうのが面白いし、自分にとって財産になっているなと思います」

そう話すのは、奥さまの典子さん。

「ここには今、ジュエリー作家やデザイナー、音楽やライティングの仕事をしている人たちが入居してくれています。9月には、この場所を気にしてくれていたまちの人たちに向けたお披露目を兼ねて、入居者さんたちとマルシェをひらいたんです。そしたら想像以上ににぎやかになって」

その後も、知り合った若い画家さんの個展を開催したり、近所の小料理屋さんとクラフトビール屋さんがテイクアウトイベントを行ったりしてきた。

表に見えづらいだけで、まちにはいろんな個性を持った人たちがいる。

戸田市のまち自体は、どんな雰囲気なんだろう。

「私たちも入居者さんに聞いたことがあるんです。そしたら、“無色透明”って言った人がいましたね。個性的でもないし、通過点になりがちだけど、なんでも受け入れる要素があるって」

埼京線が開通してから転入者は増えていき、今では人口約14万人。子どもや若い世代も多く、平均年齢は40代前半と若い。ジェンダーレス制服を取り入れるなど、新しい試みをする学校もあるとか。

話をしながらお二人が、「あ!」と、窓の外に向かって笑顔で手を振る。

「3号室の入居者さん。きっとお昼ごはん買いに行ってたんだな」

 

不動産屋とひとことで言っても、平和建設株式会社の仕事は多岐に渡る。

今回募集する人は、入居者を決めるところから退居するまで、賃貸不動産の仲介営業や管理の全般に携わることになる。経験は問わないとのこと。

「管理の仕事でいえば、ものが壊れたとか、隣の部屋がうるさいとかってクレームもあります。でも、顔が見えてコミュニケーションのとりやすい関係ができていれば、“クレーム”は“相談”になると思うんです」

専門知識として、知っておかなければならないこともたくさんあるのだけど、それはいくらでも学べる。

大事なのは、人と接する姿勢。

「何かあったときの窓口になる僕らにできるのは、あいだに立ってコミュニケーションの橋渡しをすること。物件のオーナーさん、入居者さん、ご近所さんも。いろんな立場の人の話を聞き、それぞれの意図を汲み取ること」

「そして、理解度に合わせて噛み砕いて説明したり、受けた相談に対していい提案や答えを返せたり。周りの人たちにとって、通訳みたいな存在になれればいいな、なんて思いながらやっています」

 

これから入る人の先輩となる、幸坂さんにも話を聞かせてもらった。

以前は郵便配達員の仕事をしていたそう。

「担当エリアがうちの事務所周辺で。業界のことはよく知らなかったから多少不安な部分もありましたけど、土地勘を活かせるかなと思って応募しました。最初は覚えることがたくさんあって、先輩に教わったことは細かくメモしてましたね」

入社して3年。今はさまざまな仕事を任されている。

来店したお客さんの応対。入居時の契約書の作成。家賃管理や督促。更新や退去に関する業務。

ホームステージングと言って、部屋のレイアウトをイメージしやすいように家具やグリーンを設置し、写真を撮影することもある。

日々、いろんな問い合わせも寄せられる。

「物件のまわりの雑草とりや掃除、電球交換まで。できる限り、出向いて対応することも多いです。クレームを受けることもありますし、オーナーさんや入居者さんと話してたら1時間経ってた、なんてこともあります」

暮らしにまつわることは、なんでもやる。その分きっと、自分の実になることも多いはず。

河邉さんを中心にまちづくりの取り組みもされているけど、それはどんなふうに捉えていますか?

「普通の不動産屋さんがやらないようないろんな活動とか、地域のつながりとか、すごいなって見ています。イベントの立ち会いもさせてもらうけど、そういうのも本来なかなかない機会ですし」

「社長がいちばん忙しいので。動きやすいように(笑)。少人数だけど、それぞれ自分たちでできるところはやる意識で動けているかなと思います」

隣で、「ほんとに助かってます」と河邉さん。

アットホームな雰囲気がありつつ、近すぎる感じもしない。それぞれが自分の仕事を、実直に続けている。

きっと地道な仕事も多いけど、一つひとつの積み重ねは、顔の見える人たちとのいい関係性にもつながっているように感じました。

(2020/12/17 取材 後藤響子)
※撮影時はマスクをはずしていただきました。

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