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全部やるから
自由になる
まずはやってみる工務店

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「空間づくりでも、はじめてのプロジェクトでも。おもしろいじゃん、やってみようよってことがあったら、うちは諦めません。多少見切り発車でも、とにかくやってみようぜっていう感じがあるんです」

株式会社水雅(すいが)は、阿佐ケ谷にある工務店です。

大工職人の集まりとして15年前にはじまった会社は、スタッフを増やしながら、設計から施工管理、家具制作やコワーキングスペースの運営など、空間に関わるさまざまなことができる集団になりました。

20名のスタッフのなかには、設計を専門にしている人もいれば、大工として働く人、施工管理と大工を両方担う人も。それぞれのやりたい役割を、責任を持って果たしています。

全員に共通しているのは、おもしろそうだと思ったら自分でやってみること。

今回は設計・デザインの担当と、施工管理担当、大工として働く人を募集します。経験があるに越したことはありませんが、それよりも「やってみよう」という心持ちが大切なように思います。
 
 

最寄り駅は東京メトロの南阿佐ヶ谷駅。

住宅街を5分ほど歩いていくと、脚立などの道具が並ぶ2階建ての建物に、小さく「水雅」と看板がついているのを見つけた。

1階は工具や資材を置くスペース。インパクトドライバーの音を聞きながら階段を上がると、左手にコワーキングスペース、右手に水雅の事務所がある。

ラジオが流れる事務所で話を聞かせてくれたのは、設計士の伊藤さん。

伊藤さんは設計事務所での経験を経て、もっと現場も見てみたいと考えるようになり、4年前に水雅にやってきた。

「当時は職人の集まりという感じで、良くも悪くもピリッとした空気がありました」

「最近は他業種から入ってくる人も増えて、昔より話しやすい感じになっているんじゃないかな。口数が少ない人が多いのは、今も変わっていないかもしれません」

そう話す伊藤さんも、落ち着いた印象の方。

最近、水雅ではどんな仕事をしているんですか。

「リノベーションの相談が増えました。住宅が多いけれど、依頼があれば飲食店でもビルでも、なんでも。おもしろいことをしたいっていうお客さんが多いと思います」

おもしろいことをしたい。

「デザインとか業態とか。このあいだは、飲食の経験はないけれど夫婦でお店を始めたいという方の店舗をつくりました。はじめてのことだから、施工を進めていくうちに『やっぱりこうしたい』っていう変更が何度もあって。途中で要望があっても、割と柔軟に応えていくほうだと思います」

設計者の立場からすると、一度決めたものがどんどん変わってしまうのは、やりにくくないですか。

「私は割ときっちり図面を描いて、全部決まった状態で進めます。大工経験があって設計もやっている人は、あまり決まっていない状態でもスタートしているみたいで。大工も自社のスタッフだから、現場で相談しながら進めていくほうがやりやすいこともありますね」

今、水雅で設計を専門にしているのは伊藤さん1人。あとのスタッフは施工管理のほか、大工仕事やコワーキングスペースの運営など、別の仕事と兼務している人ばかり。

「設計といっても分業ではないので、ヒヤリングや現地調査をして、図面を描いて、プレゼンの資料を用意して、完成まで見届けて。設計に関わることは一通り、全部自分でやっていく感じです」

なかでも伊藤さんは、施主にプレゼンする前、どんな空間をつくるか考えるのが楽しいんだそう。現場に行って光や風の流れを確かめたり、お客さんと会って話したりする時間も大切にしているという。

「家を建てるときって、家族の節目を迎えていることが多いんですよね。家族がもっと仲良くなって、問題が緩和されるような家をつくりたい。カウンセラーみたいな設計士になりたいというのは、この仕事をはじめたときから変わらずに考えていることです」

「考えていることも、つくるものも、やってみたいことも人それぞれです。水雅らしさってあんまりないというか。みんな自分で考えて、それぞれに動いている感じがあって。会社っぽくないんですよね」
 
 

伊藤さんのあとに話を聞かせてもらった三浦さんは、自分でどんどんあたらしいことに挑戦している方。

施工管理の仕事を中心にしながら、大工仕事もできれば建築士の資格も持っていて、最近は雑貨も自分でつくっているそう。

「地元は富山です。高校を卒業するとき、近くに大工職人を育てる学校ができたんですね。なんとなくそこに入って、地元の工務店で4年くらい働きました。もともと音楽をやっていて、バンドの楽しさを忘れられなくて東京に出てきたんです」

少し照れくさそうに話をしてくれる三浦さん。30歳までバンドのボーカルとして活動したあと、創作料理を出す飲食店の店長を経験。前職の経験を生かして、お店は自分で施工した。

「音楽も料理も大工も、自分のなかでは共通するものがあります。自分で考えたり、手を動かしたりするのが好きで。毎日環境が違うなかで、そのとき一番いいものを考えてつくっていく。なにをするにも、突き詰めていくのが好きなんでしょうね」

その後、あらためて大工の仕事をやろうと考え、水雅に入社したのが10年前。面接で社長の田代さんと話したことを、今でもはっきり覚えている。

「新卒で入った工務店が、基礎から設計、施工まで全部やる会社だったんですよ。それで、ここは全部やりますかって聞いたんです。そしたら『いつかはやる』って。全員が大工仕事をしていた当時から、ずっと一緒に、できることを広げてきた感じがありますね」

建築業界では、効率をあげるためにも、大工、塗装、設備など、専門の職人が順に現場に入り、分業でつくっていくのが一般的。

その道を極めていくのもひとつの選択肢だけれど、三浦さんたちは常にあたらしい知識や技術を身に着けながら、できることを増やしてきた。

「今、僕は施工管理を中心にやっています。最初から最後まで、全部自分で把握できるから好きなんですよ。最終的にものができたとき、自分がつくったものだって言えるでしょう」

「いろいろやってるように見えるかもしれないけど、スペシャリストになりたいんです。空間づくりのことなら、自分に聞いてくれればなんでもわかるよっていうような」

先月完成したという住宅は、これまでに経験のない、むずかしい設計だった。

設計士とディスカッションを重ねて準備していたものの、いざ建てはじめると、うまくいかないことも少なくなかった。

「パーツのサイズが違って、つくり直すと2週間かかるって言われたんです。だけど僕の場合は自分で木を刻めるから、次の日にはできるわけですよ。自分でできなくても、自社の大工がいますから。そうやって現場で柔軟に対応することが多いかもしれません」

自分たちでできることを増やしていくと、もっと柔軟に、自由になる。三浦さんはそれを、とても楽しんでいるように見える。

最近は、空間づくりを通じた地域活性にも関心があるそう。興味を持つきっかけは、なんだったんでしょう。

「施工管理の仕事をしていると、ご近所さんと長くお付き合いするんですよ。僕が仲良くなっておけば、入居するお客さんもその後住みやすいじゃないですか。ご挨拶にもいきますし、顔を見ればお話もする。そうすると街全体がね、その完成を楽しみにしてくれるので。それが施工管理の大切な仕事だと思うんです」

「事務所の隣を日替りのカフェやコワーキングスペースにしてみたら、人が集まって、コミュニティができてきた。うちが建築でつくった空間をきっかけに、町ごとデザインするようなことができないかなって。まだまだ、考えはじめたばっかりなんですけどね」

具体的な計画があるわけではないものの、やってみたいと思ったことは、ミーティングやスタッフ同士の会話のなかで口にするようにしている。ふとしたタイミングでプロジェクトが動き出すこともあるという。

「思っていることを言いやすい雰囲気があります。『これやってみたいんだけど』って自分から言う人、多いと思いますよ」
 
 

最後に紹介する安達さんは、面接のとき「なんでもやってみたい」と伝えて入社した方。1年経った今は、施工管理を中心に、設計やコワーキングスペースの運営、観光にまつわるプロジェクトにも関わっているそう。

「前職では発展途上国などに水道設備をつくる仕事をしていました。やりがいはあったけれど、プロジェクトの規模が大きすぎて。もっと身近なところで、顔の見える範囲で仕事をしたいと思って、建築を選びました」

とはいえ建築はまったくの未経験。専門用語を勉強したり、現場で怒られたりしながら、必死に仕事を覚えてきた。

「入社したころは経験もないし、自分が口を出してもいいのかなって思っていたんです。だけど『どう思う?』って意見を求められることが多くて。自分が出した意見がお客さんに喜んでもらえると、やっぱりうれしいんですよね。家をつくるって、最初から正解があるわけじゃないんだと実感する日々です」

バルコニーの手すりのデザインを、一から考えることを任せられたこともある。

「ご夫婦とお子さん1人のご家族で。どんなものがいいか、考えるところからやってみてって。単に見た目がかっこいいものは山ほどあるけれど、このご家族らしいデザインってなんだろうって、いろんな角度から調べて考えました」

最終的に提案したのは、着物などで使われる「親子縞」をモチーフにしたデザイン。「親が子を守る」という意味が込められた伝統的な模様で、施主さんはとても喜んでくれたそう。

「ものづくりは好きだから、現場で手伝わせてもらうこともあります。覚えることも考えることもたくさんありますけど、一言でいうと、すごく楽しいです。自分がちゃんと向き合えば、やりたいことを汲んでくれる。それがすごく心地いいんです」

経験の浅いスタッフがなにかやりたいと言っても、「一人前になったら」と返されてしまうことが多いような気もする。水雅ではとてもフラットに、おもしろそうなアイデアはすぐに取り入れてみる雰囲気がある。

「もともと海外旅行が好きで、外国から来た旅行者と関わるようなこともやってみたいんです。工務店の仕事と直結しているわけではないんですけど、入社してすぐにミーティングを開いてくれて。大工の技術を活かしたワークショップみたいなものをやってみようっていうときにコロナが流行ってしまって。落ち着いたら、また考えていきたいですね」

やってみたいことができる。それはとても自由だけれど、その分、自分でやりきる責任を伴う環境でもあると思います。

今回話を聞かせてくれた3人からは、日々の仕事を重ねながら、自分の挑戦したいことも一つひとつ実現していく、バランスの良さと芯の強さを感じました。

肌が合う予感がしたら、ぜひ、話をしてみてください。

(2020/12/22 取材 中嶋希実)
※撮影時、マスクを外していただきました。
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