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やらなきゃ気がすまない
家づくりをまるごと
引き受けられる大工

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

もし自分で家を建てるなら、デザインも設計も施工も、内装や家具まですべて含めて、トータルで生活空間を考えたい。

ところが実際の現場には、各工程の専門家がいて分業で作業が進むので、全体のイメージを見通して家を組み上げるのはなかなか難しい場合もある。

担当者同士のコミュニケーションに時間がかかったり、複数の業者が関わることでコストがかさんでしまったり。

だったら、自分たちで全部やろう。誰かにやらされる仕事ではなく、納得できる仕事をしたい。

そんな思いで仕事をしているのが、阿佐ヶ谷にある工務店、株式会社水雅(すいが)です。

もともとは大工仕事だけを請け負う工務店でしたが、現在は社内に設計やデザインの担当者がいて、建物の設計はもちろん、家具や建具も含めて、家をまるごとつくることも増えました。

今回は、ここで働く大工と施工管理の担当者を募集します。

なんでもやらなきゃ気がすまない。そんな意気込みを持った若い大工さんたちに話を聞いてきました。



東京・杉並区。地下鉄の南阿佐ケ谷駅から、住宅街の中を歩いて10分ほどのところに水雅の事務所はある。

脚立などの道具やワゴン車の脇をすり抜けるようにして、入口へ。

扉に映画のポスターが貼ってある。この週末ここで上映会があるらしい。

一年半ほど前に訪ねたとき、この事務所の隣に、ワークショップやイベントができるスペースをつくるという話を聞いていた。

そのときはまだつくりかけだったけど、ついに完成して動き出したんだなあと、ワクワクしながら中に入る。

入口から階段を上って二階へ。踊り場を挟んで事務所と向かい側にあるのが新しくできた「いんにっさん」というシェアスペース。言葉の響きも楽しい「いんにっさん」というのは、材料を表す大工用語なのだそう。

そもそも工務店である水雅が、シェアスペースを運営するってどういうことなんだろう。企画や設計に携わってきたデザイナーの白石さんに話を聞かせてもらう。

「今後はいろんな人が “小商い”に使えるスペースにしていきたいなと思っていて」

「たとえば、これから料理教室やお店をはじめてみたいっていう主婦の方が、スタートアップ的に使ってもいいし。独立してお店を持てるようになったら、水雅で工事をお手伝いできるかもしれない。ここは棚や家具など、水雅でつくったものを試せるショールームでもあるんです」

あらためてぐるりと見渡すと、屋根の傾斜に沿った棚や、カラフルな板を組み合わせた天井、キッチンボードの細かいタイル細工など、内装や家具にも市販のものにはないこだわりが。

設計やデザインも社内で、大工さんたちと一緒にオリジナルでつくったものだという。

「そこに並んでいる机も、大工さんのアイデアから生まれたんですよ。全部が板材でできていて、組み立ても片付けも簡単なんです」

話しながら、白石さんはさっと組み立てて見せてくれた。

畳まれた机は、壁面の収納にぴったり収まるように設計されている。

なるほど。大工さんと一緒に、材料や工法、塗装まで相談しながら進めていけると、デザイナーとしてできることが広がっていきそうですね。

「そうですね。僕らは普段のクライアントワークでも、建具や家具までつくることが多いですから」

たとえば…、と広げてくれたインテリア雑誌には、水雅の手がけた家が掲載されていた。

「もともとここにあったおばあちゃんの家を取り壊して、その土地に孫世代の姉弟がそれぞれの家を建てるというご依頼でした。おばあちゃんの家で使われていた天井を新しい家の扉の装飾に使ったり、ふすまや柱をそのまま生かしたり。結構難しかったんですけどね…」

こんな家をつくりたいという施主のアイデアが実現しやすいのも、現場担当者との距離が近いからなのかもしれない。

「大工さんもデザイナーも垣根なく、アイデアを出しあってものづくりをしている感覚はありますね。やっぱり小さい会社なので、自分でこうしたいっていう意思を持って動いていく意識は必要なんです」

「それが厳しいと感じる部分もあるかもしれないですけど、やっぱりこの会社は、みんながお互いのチャレンジを望んでいるところがあるんじゃないかなと思います」



実際にアイデアをかたちにしていく大工さんたちは、どう思っているんだろう。

話を聞かせてくれたのは、水雅で働きはじめて10年目になるという浦野さん。

「俺が入ったころは、今みたいに設計からやるんじゃなくて大工仕事だけを受注する工務店みたいな感じだったんですよ」

社長をはじめ、専務や現場監督もみんな大工の経験者。設計やデザインの担当者以外は状況に応じて仕事を入れ替えることで、役割の垣根なく仕事を分担できているという。

「大工さんって、タイルの下地に何を塗るかとか、クロス屋さんのノリは何を使ってるかとか、ほかの業者のことはあんまり知らないっていうことが多いんです。でも、うちの場合は現場監督に聞けば教えてくれるのでやりやすいですよ」

分業制で、ほかの担当者の仕事だと思うと、なんとなく口出ししにくいような専門外のこと。

“知らずに済む”ことも把握しておけば、効率や精度が上がることもある。

そうやってなんでも自分たちでやっているうちに、普通の工務店だった水雅は、施工管理から設計・デザインまで一貫して手がける会社に成長してきた。

家だけでなく、ときには建具や家具まで自分たちでつくるそう。

住まいを丸ごとつくるとなると、大工さんはより幅広い技術を求められることになりませんか。

「設計やデザインの担当者から、無茶なこともよく言われます(笑)。たとえば、この前は屋根につける樋(とい)を外から見えないようにすごく細くしたいって言われて。強度を保ちながら細くしていくっていうのは難しいんですよ」

「ただ、うちの設計の人は大工仕事をわかっているから、本当に無茶なことは言わないし、会社に帰ったら顔を合わせて相談できる。あと、難しいほうがおもしろいし」

難しいほうがおもしろい。

「うん。どんどん難しいことをやらされるんですけど、それがおもしろい。マンネリじゃないっていうか、常に新作のゲームをやってるみたいで。ほかの人が難しそうなことしていると、いいなあ難しそうでって思うんですよ」

自分の仕事のことを、楽しそうに話してくれる浦野さん。

大工の仕事をはじめたのは30歳のときだったという。

「20代のころ鳶の仕事をしながら、ずっと大工やりたいなと思ってたんです。ただ、もう30近いし無理かなって思っていて。それでここの社長に『遅いですかね』って聞いたら、『年齢は関係ないよ』って言われて洗脳されたというか、信じてついていこうって思ったんですよね」

水雅の大工さんは、外注も含めると18人。平均年齢40歳前後という、業界ではかなり若いチーム。

浦野さんと同じように、ほかの業界から未経験で入社する人も多いという。

「最初は何もできなくて、現場から戻るといつも社長や専務に質問しまくってました。建設業界の経験がある人だと、理屈がわかるぶんはじめやすいっていうのはあるかもしれないけど、初心者でもやる気があれば大丈夫だと思います」

10年間、現場で働いてみてどうでした?

「俺、仕事っておもしろくないものだと思ってたんだけど、家つくるのはおもしろいんですよ。仕事なのにおもしろいってはじめてだった」

「最初はできないことが多いけど、仕事しながらできることを増やし続けていく。できるようになったら、今度はそのタイムを縮めていく。それが永遠のテーマっていうか、ずーっと追及していくんです」

技術が磨かれて、工期が短くなればコストダウンにもつながる。そうすれば、同じ予算で実現できるアイデアの幅も広がっていく。

続けていくほど、目に見えて成長できる仕事っていいなあ。



一方で大工というと職人仕事だし、修行期間が長いというイメージがある。

働きはじめのころはどんな感じなのか。新卒で入社して、現在3年目だという花田さんにも話を聞いた。

「最初は掃除からかもしれないですけど、未経験でも親方と一緒に壁や床を貼る作業ならできるんじゃないですかね」

力仕事もあれば、繊細な木工の仕事もある。頭を使って寸法を計算することもある。

「いろいろ覚えるのは大変なんですけど、人それぞれどこか得意だと思えるところがあるから、体が弱いとかは気にせず挑戦してほしい。経験年数関係なく、できることはどんどんやらせてくれる会社だと思うんで」

花田さんは働きはじめてわずか1年半ほどで、現場の「頭」を任されたという。

「頭」というと、その現場の大工さんたちをまとめるリーダー。大役ですね。

「やったことないことも多いし、不安がなかったと言ったら嘘になるんですけど、任せてもらえたことが純粋にうれしくて。やってやろう!みたいな感じでした」

花田さんが任されたのは、3〜4ヶ月ほどの工期でRC造のアパートをフルリノベーションする案件だった。

「もちろん技術的な面ではまだわからないこともあるし、先輩に教えてもらうことも多かったです。ただ、その現場の“頭”は自分なので、設計との打ち合わせや、ほかの業者とのスケジュール調整など、全体の状況を把握しておいて、それだけは自分が人に教えられるように整理していました」

先輩に教わりながら現場で覚えていく。みんな教わった経験があるから、後輩にも快く教えることができるのかな。

「仕上がりで見えるところだけじゃなくて、見えない部分もちゃんとやったほうがいいよ、みたいなことをよく言われます。そうじゃないと気が済まない性分の先輩が多いというか」

技術を教わるだけでなく、仕事に対する姿勢でも影響を受けることが多い。

水雅に就職を決めたのも、社長に出会ったことがきっかけだった。

「建築の専門学校でガイダンスがあって、いろんな会社が資料を持って来て説明していたんです。みんな堅苦しい説明をしているのに、水雅だけは社長が自分の体験を話していたんですよ。大工のつらい話とか。それがかっこいいなって」

つらい話を聞いたのに?

「でも最近、打ち合わせに来ているお施主さんを見ていて思うんです。やっぱり家づくりって、人生で一番大きな買い物だし、みんな家ができるのを楽しみにしているのが伝わってくる。そういう喜びを身近に感じられる大工の仕事って、すごいなって思います」

思い描いた住まいをかたちにしていく。

なんでもやる会社だからこそ、期待にまるごと応えられる。

簡単なことではないと思うけど、話を聞いているうちに、なんだか出来そうな気がしてくる。水雅の大工さんには、そんな頼もしさがありました。

(2019/4/22 取材 高橋佑香子)

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