求人 NEW

自然と調和する
美しく、おいしく
誠実なケーキ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

なんて美しいケーキなんだろう。

パドゥドゥのケーキをはじめて見たとき、そう感じました。

埼玉県さいたま市で35年続く洋菓子店、PAS DE DEUX(パドゥドゥ)。

自然や生きもののことを大切に考え育てられた食材を選び、ケーキや焼き菓子をつくっています。材料を無駄にしたくないという思いから、ケーキは原則予約販売なのだそう。

今回は、店舗スタッフとパティシエを募集します。

店舗スタッフの主な仕事は、お店での接客販売や売上・受発注の管理。本人の興味次第で、商品企画や広報などにも積極的に携わってほしいそう。

パティシエは、お客さんのよろこぶ顔を思い浮かべながら、一つひとつ丁寧にお菓子をつくっていく仕事。洋菓子に限らず、和菓子職人や料理人などの経験者であれば歓迎です。

パドゥドゥの大切にする考え方をぜひ感じてみてください。



パドゥドゥの最寄りは、大宮駅からJR宇都宮線で2駅の、東大宮駅。

昼過ぎに訪れたせいか、まちは静かな雰囲気。駅前のロータリーから真っ直ぐ道なりに歩いていくと、5分もかからずパドゥドゥの工房兼店舗に到着した。

なかに入ると、ギャラリーのような雰囲気のお店が広がる。

パドゥドゥの責任者で、ディレクターの河合由海(ゆうみ)さんが迎えてくれた。

パドゥドゥの創業者は、河合さんのお母さん。河合さんは服飾を学んだのち、藍染の仕事のかたわらお店を手伝っていたそう。

正式に後を継いだのは4年前のこと。

「母はもともとドイツやウィーンで修行をしていました。カラフルで華やかなお菓子ではなく、素材の味を生かしたシンプルな田舎菓子を学んできたことがベースにあるみたいです」

安心・安全な食材を厳選して、素材の味を大切にしたお菓子をつくるパドゥドゥ。

材料のほとんどが国産で、平飼いされた鶏の卵や放牧で育った牛の牛乳、自然栽培の果物、添加剤不使用のハチミツなどを、顔の見える生産者さんから直接仕入れている。

「自由にのびのびと育った植物や動物からわけてもらう素材は、とても味が濃くて、力強いおいしさがあります。生きものを大切にしたものづくりをする生産者さんの力を借りながら、できる限り持続可能なかたちでお菓子をつくっていきたいと思っています」

昨年、リブランディングを機に予約販売メインのお店に切り替えたのも、そんな想いからだった。

もともとパドゥドゥは、ショーケースにケーキが並び、カフェが併設された一般的なケーキ屋さんだったそう。

お店の性質上仕方のないこととはいえ、生のケーキは基本的に賞味期限が当日なので、大量のロスが出てしまうこともあった。

「せっかくわけていただいた大切な材料や、パティシエが丁寧に仕上げたケーキを捨てることにずっと葛藤があって。悩んだ末に思い切って、店頭販売は焼き菓子と冷凍のケーキ中心、カットケーキやお誕生日用のホールケーキなどは事前予約制での受け渡しに舵を切りました」

「よく聞く言葉かもしれないけれど… 持続可能で、人も生きものもみんなが幸せに暮らせる世の中に、お菓子の力でできないかなって考えています」

自然や生きものに寄り添ったものづくりをしていきたい。

そう思う一方で、完全にそれを実現することはむずかしいとも感じている。

「本当に自然のことを考えるなら、何もしないありのままの状態が一番なんです。でもわたしたちはケーキをつくって販売するし、美しいデザインで見せるような文化的な部分も大切にしたい。相反する側面を持っている自然と文化、そのどちらも諦めたくないんです」

「どうすればうまく共存していくことができるのか、バランスの良いところで、自分たちなりの答えを見つけていきたいと思っています」

今回募集するスタッフも、その想いに共感してくれたらうれしいと話す河合さん。とくに店舗スタッフは、それをお客さんに伝える役割も担っている。

「お店での接客やディスプレイ、Webや電話の注文をまとめる受発注管理が主な仕事です。店頭の仕事に慣れたら、SNSでの広報や新商品の企画、それ以外にも興味があることにどんどん関わってほしいと思っています」

「毎日みんなで味見をして、意見を言い合っているお店なので。食べることが好きな人ならきっと楽しいと思いますよ」

現在、店舗業務は河合さんを中心に3人で回しているものの、今後は年内に東京・清澄白河にオープンする新店の準備で忙しくなるという。

新しく入るスタッフには、パドゥドゥの新たな中心メンバーとしてお店を支えていってほしい。

「たくさんのお客さまに届けるやり方とは違うけれど、ビジネスとして成り立たせることも大切にしています。新しく入る方とも、どんなふうにパドゥドゥのお菓子を伝えていったらいいか一緒に考えていきたいですね」

ちょうどいいバランスを探っていくパドゥドゥの姿勢は、お客さんの気持ちと自分たちの大切にしたいことを両立していく姿にも現れている。

「予約なしで当日ケーキを持ち帰りたい」「オンラインでもパドゥドゥのケーキを購入したい」という声が多かったことから、ラインナップに加えた冷凍ケーキ。

保冷剤なしで持ち帰りができ、アイスとしてもケーキとしても楽しめる。冷凍状態であれば1ヶ月ほどもつため、大幅なロスが出ることもないという。

お客さんに誠実に向き合いながら、自分たちらしいお菓子づくりを続けてきた。

「やっぱり一番は、パドゥドゥを選んでくださるお客さまのためにお菓子をつくっていると思うので。自分たちが大切にしたいことはあっても、お客さまの想いやご要望はとても大切なもの。ちょうどいいところを見つけていけたらと思っています」

想いはあるけれど、それを決して押し付けはしない。

だから、河合さんの話はすんなりと腑に落ちるのかもしれない。



ブランドも、まずは「きれい」「おいしそう」と感じてもらえることを目指している。

その大事な役割を担っているのが、ビジュアルディレクターとして関わってきた小林明日香さん。河合さんとは大学の同級生で、普段はプロップやインテリアのスタイリストをしている。

パドゥドゥでは、商品パッケージからWebサイト、店舗のインテリアまで「目に見えるものすべて」をディレクションしているそう。

「最初に声をかけてもらったのは、4年前になります。自分たちの大切にしたいこととお客さまに喜んでもらえることのバランスを考えながら、一緒にリブランディングに取り組んできました」

たとえば、焼き菓子のギフトケースもそのひとつ。

ケーキの梱包材などどうしても減らせないゴミがあるぶん、できるところから少しずつ環境によい取り組みをしていきたい。では、どうすればお客さんによろこんでもらえるかたちにできるだろう?

そんな背景から生まれたのが、「ずっと手元に残しておきたくなるような箱」だった。

「せっかくギフトで贈るんだから、箱自体にも魅力を感じてもらえるものを丁寧につくりたいと思って。上質な紙を使って、東京の蔵前で古くから続く箱屋さんに、手作業で貼り箱をつくっていただいています」

「実際にお客さまから『捨てられないです』って言葉をもらうこともあって、思い描いていたことができていると思うと、うれしいですね」

ケーキのデザインも、お店の内装も。お客さんの顔を思い浮かべて、ちょうどいいところを探りながら、自分たちの見せたいシンプルな美しさをかたちにしてきた。

「パドゥドゥのお菓子が、食べてくれた人たちにとって、きっかけになれたらいいなと思うんです」

きっかけ?

「もちろん、おいしいお菓子を食べて幸せになってくれることが一番うれしい。でも、その背景にあるものまで知ってもらえたら、新しい気づきがあるんじゃないかなって」

「わたし自身、この仕事に関わる前はオーガニックフードや食品の成分表示を、あまり意識したことがなかったんです。でも今は、おいしさの背景にあるつくり手の想いを知って、自分の選択が自然や環境にまでつながっていると思うようになりました」

自分がパドゥドゥに関わって感じたように、共感するお客さんを増やしていきたい。そのための最適な表現をいつも考えている。

「見せ方にはもちろんこだわっているけれど、表に出るデザインだけではなくて、おおもとの考え方に共感できて、同じ方向を向いてくれる人が入ってくれたらいいなと思います」

河合さんと小林さんが話していると、たえず笑いが起きるし、下の名前で呼び合う様子からも仲のよさが伝わってくる。

でもそれだけじゃなく、お互いが刺激を受けて、尊敬し合っていることもわかる。だから、一緒に理想のものづくりを追求できるんだと思う。



「本当に美しくて、おいしいケーキをつくる」と二人が絶賛していたのが、パティシエとして工房を統括する「じゅんちゃん」こと村上淳子さん。

もう一人パティシエがいるので、今回入る人も加えると工房は3〜4人のチームになる。

毎日どんな流れで仕事をしていますか?

「ご予約のケーキを午前中に仕上げて、そのあと仕込みとか、クッキーの生地づくりをしています。単調な作業ではあるんですけど、大きなお店のように分業制ではないので、やることは多岐に渡りますね」

フルーツの下処理やムースづくり、スポンジを焼いて、デコレーション。やることは多いけれど、予約制であらかじめ生産量が把握できていることもあり、体力的には無理なく働けているそう。

パティシエとしてのキャリアは20年にもなる村上さん。

さまざまなお店で働いてきたなかで、パドゥドゥのお菓子づくりはどんなところが特徴なのでしょう。

「一番の違いは、余計なものを入れないということ。いろんな味を複雑に組み合わせるケーキもあるなかで、パドゥドゥはどちらかというと引き算のものづくりです。素材の持ち味を引き出すためにも、できる限り材料を厳選していくことが重要なんです」

シンプルだからこその、むずかしさがある。

「プリンが一番苦労したかも…」と村上さん。

「パドゥドゥのプリンに使う材料は、牛乳、卵、砂糖の3つだけ。卵の水分量や牛乳の風味は季節によって変わるので、オーブンの温度を同じにしても仕上がりが変わってしまうんです」

そのときの気候や材料の状態によって、微妙に配合や調理工程を変えていく。

「キメの細かさと口どけの良さを、3つの材料でどこまで追求できるか。試作段階ではもう毎日のように食べていましたね。衝撃的なくらいおいしいのができることもあるんですよ」

レシピが完成してからも、必ず定期的に味を見て、よりおいしくするために材料や工程を見直しているという。

なんだか、日々実験を繰り返す研究者のような仕事ですね。

「パティシエって華やかに見えて、単純作業の繰り返しなんですよ。だから、毎日コツコツと安定して取り組める人がいいと思います。そのなかで、なぜこういう食材を使うのか、限られた材料でどう工夫していくか、探究心を持って取り組める方ならきっと楽しめると思います」



河合さんは、「まずパドゥドゥのファンになってもらえたら」と話していました。

お菓子はもちろん、その見せ方、背景にある想い、働く人たちの雰囲気。

パドゥドゥの感性に通ずるものを感じたなら、ぜひお店を育てていく仲間に加わってほしいです。

(2021/6/4取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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