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食べものが
どこでどうつくられているか
人は知る必要がある

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

食卓に並ぶその食べ物は、どこで、どんなふうにつくられたものか。普段、どれくらい意識していますか?

たとえば牛肉。霜降りにするためにビタミンを制限した餌を与え続けると、失明など牛の健康を損なうことにもつながりうるそうです。一方、それは市場の需要に答える努力や技術だという考え方もある。何を是とするか、それぞれの立場や背景があるから、ひとつの“答え”を出すのはむずかしいように思います。

そのなかで、何を食べて生きるか。

選択肢のひとつを、真摯につくり続けてきた会社があります。

株式会社ドリームグループは、オーガニックスーパー「natural natural」や、オーガニック食品宅配「九州産直クラブ」を運営する会社。本部は福岡ですが、多数のグループ会社があり、福岡、東京、神奈川、ロンドンでの店舗経営や熊本での農場経営まで、食にまつわる幅広い事業を展開しています。

今回は、店舗の店長候補や魚調理スタッフ、宅配部門の配送スタッフ、ECサイト運営責任者、牛の飼育をする農場スタッフなど、幅広く募集します。勤務地も関東、九州、ロンドンとさまざまです。

ECサイト運営責任者のみ経験者を探していますが、それ以外は未経験も歓迎。

胸をはって食卓を支える仕事がしたい人。安心な食をキーワードに、多様なチャンスのある環境で経験を積みたい人。

きっと、やりがいを感じる仕事があると思います。

 

福岡市南区、桧原(ひばる)。

油山という山のふもとに位置するのどかなエリアでありながら、天神や博多などの繁華街にも車で30分ほどで行けるまちだ。

緑豊かな自然公園近くの住宅地に、ドリームグループの拠点はある。

事務所の会議室で待っていると、代表の吉田さんがひょいと現れた。予定にはなかったのだけれど、少しだけお話を聞かせてもらうことに。

思いの原点は、1970年代。

当時、福岡で大学生だった吉田さんは、水俣病事件など三大食品公害の被害者の支援活動に携わっていた。

「何百万の人たちが、食べ物で傷ついていくのを目の当たりにして。食べ物がどこでどうつくられているか、人は知る必要があるし、つくる人も、食べる人のことをわかっておく必要がある。そういう食べ物のあり方や流通の仕組みをつくらないと、大変なことになると思ったんだよね」

生産者と消費者が互いに顔の見えるお店をつくろうと、「natural natural」の前身となる「産直ショップ夢広場」を福岡で立ち上げたのが、始まり。

立ち上げから、約30年。

宅配や国内外の店舗経営、農場設立など幅広く展開してきたけれど、思いの根っこは変わらない。安心できる食べ物で、生産者と消費者をつなぎたい。

「まあなかなか大変ですよ、経営はね(笑)。やっぱり、商品の値段は高いですから」

たとえば、野菜。一般的なスーパーは入札競争で価格が決まるのに対し、ドリームグループの価格は生産者原価積み上げ方式。生産にかかる原価に、生産者さんが生活するための利益をのせてもらった価格で仕入れる。適切な価格設定だけど、スーパーよりは高くなる。

経営の大変さから、一時は世に多かったオーガニックのお店や宅配サービスも、大手スーパー等へ吸収合併されていったところが多いそう。

「だから簡単ではないけど、ちょっとここはがんばらなきゃと。安心できる食が大切だと思う人たちは増えているから。社会に誇れる仕事をしていこう、という志のある人に来てもらえたらうれしいね」

 

次に話を聞いたのは、宅配部門「九州産直クラブ」の立ち上げに関わり、その成長を支えてきた吉村さん。配送スタッフを経て営業担当、現在はカタログ商品の企画責任者を務める。

吉村さんの実家は青果店。自身も20代前半はそこで働いていた。

そんななか、身内にアレルギーを持つ子が生まれ、安心な野菜の情報を集めるように。無農薬野菜の仕入先について「夢広場」に話を聞きに行ったことで、代表の吉田さんと出会う。

「そしたら代表に、『宅配の産直クラブを立ち上げるから、1年うちで修行してみない?』と言われて。いつのまにか18年経ちました(笑)」

実家の青果店で働いていたときは、農作物の生産過程を知らなかった吉村さん。産直クラブの仕事を通して、いろいろな分野の生産者と出会っていく。

「たとえばお米も、除草剤を使わずに、ジャンボタニシをうまく活用して除草する生産者さんがいたりとか。労力は何倍もかかるけど、安全なものを食べてほしいという思いに触れて、僕も感銘を受けて」

「あと、うちには『走る豚』という看板商品があります。一般的な豚の飼育はぎゅうぎゅう詰めの病気になりやすい環境で、抗生物質を与えながら育てることが多いんですが、その生産者さんは放牧で豚を育てている。行ってみたら、広〜い運動場みたいなところで、豚が本当にのびのびしていて」

家畜のストレスをできる限り少なく、生きている間は健康で快適な生活をさせようというアニマルウェルフェアの考え方も、学んできた。

グループ会社として経営する熊本の農場でも、無農薬の牧草などを与え、牛のリズムに合わせて健康的なあか牛を飼育している。

農場スタッフも募集があるけれど、今はどんな人が働いているんだろう。

「30代の今村くんという人が、熱意を持って働いていますよ。彼はもともとご実家が牛飼いだったけど、一時期は離れて別のことをやっていた。でも縁あってうちで配達や営業を経験するなかで、牛飼いへの思いが蘇って。今は農場スタッフとして、充実した顔でがんばってますね」

自分のことのように顔をほころばせながら、吉村さんは言う。

「この会社に入ってから、何ひとつ嘘を言う必要がないんです。生産者さんと心と心でつながって、ありのままの情報を消費者の方にお届けして。子どもにも、パパはこういう仕事をしてるよって胸を張って伝えられる。それが一番の居心地のよさなのかもしれないです」

そんな吉村さんが、一番楽しく、学びが多かったと感じているのが、配送の仕事だそう。

配送の仕事は、週に1回、会員さんへ商品を届けること。1週間で300件前後の配達を担当する。

「やっぱり最前線で、会員さんの声を直に聞くのが配送スタッフだから。カタログ企画を考える上でも、その経験が土台になっていると感じますね」

今は紙カタログがメインだけど、オンライン注文の環境づくりも準備中。本格稼働に向け、社員としてECサイトの管理運営や制作を担える人を探している。

「宅配や店舗ともやりとりしながら、楽しんでオンライン販売を盛り上げていける方が来てくれたらうれしいですね」

 

続いて話を聞いたのは、萱田さん。

グループ会社では輸出の責任者を務め、ドリームグループでは会長室長として管理部門を統括。人手がなければ店舗間の鮮魚配送まで手伝うそうで、「もう、何でも屋です」と笑う。

福岡出身の萱田さんは、大学時代にイギリスに留学。ワーキングホリデーで再びイギリスに滞在し、縁あってロンドンの「natural natural」で働くようになった。

その後、東京で別の仕事をしていたら、ロンドンの責任者から「手伝いに来てほしい」と連絡が。5年間、ロンドンの店舗で経理や総務を担当した。

日本へ帰ってからの数か月は、店舗で店長として勤務。日本の商品について理解を深めた後、輸出部門を立ち上げたという。

店舗スタッフの仕事は、朝に生産者さんから届く野菜の選定や包装、陳列などがメイン。並行して接客やレジ打ちも行う。今回募集する方は、ゆくゆくは商品企画や仕入れなど、店舗運営全般に携わる店長として活躍してほしい。

一般的なスーパーとの違いは、どんなところだと思いますか。

「食へこだわりを持ったお客さんが来ることですね。知識のあるお客さんも多いので、それに応対できることは大切かなと思います」

たとえば調味料や加工食品のなかには、ラベルには非表示でありながら、製造工程で薬品を使うものもある。そこまで突っ込んだ質問が来ることもあるし、会社もそこまで調べて商品を仕入れている。最初から知識がある必要はないけれど、興味を持って学んでいける人がいいと思う。

もうひとつの特徴は、距離の近いコミュニケーション。

「一般的なスーパーより規模が小さいので、お客さんや生産者さんとの距離も近いです。農家さんが朝採り野菜を持ってきたり、パン屋さんがその日焼いたパンを持ってきたり。地元の、安心でおいしい食べ物をつくる人たちと、いろんなつながりが生まれていくと思いますよ」

 

最後に、事務所から車で30分ほどの店舗へ。

ショッピングモール内ということもあり、平日の昼過ぎにもかかわらず多くのお客さんでにぎわっていた。

ここで話を聞いたのは、魚調理スタッフの児島さん。

「朝、市場で大将が目利きしてきた魚を先輩がおろして、それを刺身の状態にするのが僕のメインの仕事です」

今ではすっかり魚調理の現場になじんでいる児島さん。でも「魚の仕事をやるなんて、まったく思ってなかったですね〜」と振り返る。

きっかけは大学のとき、「夢広場」でアルバイトを始めたこと。店舗スタッフとして働くなか、魚の大将に「ちょっとアジ開いてみん?」と声をかけられ、少しずつ手伝うようになった。

その後社員になり、10年ほど魚調理の経験を積んできた児島さん。うち5年はロンドン、その他は福岡、東京、神奈川の店舗を渡り歩いた。ここでもう少し技術を磨いたら、次はまたロンドンへ渡るそう。

「今となっては、もう魚以外は考えられないですね。やっぱり技術が身についてくると楽しいし、知識も技術も、もっと高めたいと思うようになって。今が一番、魚の仕事にちゃんと向き合ってる気がします」

「常連さんが多いんで、『この前のあれ、ほんと美味しかった』なんて言っていただくこともあって。励みになりますね」

どんな人と働きたいか聞いたら、「明るい人」。未経験でも、興味があればいい。

「まじめにこつこつやっていけば、必ずできるようになる仕事だと思うから。気軽に来てほしいですね」

「あ、魚屋って聞くと厳しいイメージがあるかもしれないけど、ここはみんな優しいので、心配いらないですよ。大将がよく冗談を飛ばす人なんで、僕らもよく笑ってます」

萱田さんや児島さんのように、国内や海外を軽やかに行き来しながらキャリアを重ねる人もいるし、吉村さんのように九州一筋18年、地元で信頼関係を積み重ねている人もいる。多様な生き方があって、おもしろい。

 

取材後、お刺身を買って帰った。

「身がぷりぷりしてるね」と新鮮さに家族が驚く。その顔を見て私は、またあのお店に買いにいってみようかなと思う。

何を食べて生きるか。

その問いに興味がある人は応募して、話の続きを聞いてみてください。

(2021/11/15取材 渡邉雅子)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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