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循環する牧場
食べるリブランディング

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

畑を耕すところから、牧草づくり、乳牛の生育、乳製品の加工と販売まで。

すべて自分たちの土地で行い、自然にやさしい循環のなかで、大切に牛を育てている牧場があります。

栃木県那須塩原にある、千本松牧場。

総面積は834ヘクタール。東京ディズニーランドの16倍もの広さだといいます。

運営しているのは、ホウライ株式会社。保険や不動産と並ぶ主力事業のひとつとして、この牧場経営に取り組んできた会社です。

今回は、千本松牧場のリブランディングプロジェクトの一環として、チーズやスイーツの商品開発と製造を担当する人を募集します。

パティシエや菓子製造の経験がある人はもちろん、これまで趣味でお菓子づくりやチーズづくりに取り組んできたという人でも大丈夫。

フードコーディネーターやデザイナーとともに、牧場のブランドをつくっていく役割です。

 

牧場での取材に先だって、まず訪れたのは、東京・人形町にあるホウライの本社。

代表の寺本さんは、今回のリブランディングプロジェクトの旗振り役。3年前に代表に就任してから、牧場のブランド力向上に力を注いできた。

「千本松牧場は、明治時代に二度総理大臣をつとめた松方正義が開設した歴史ある牧場です。ホウライはその運営を引き継ぎ、牧場経営に長年取り組んできました」

「当時と比べて敷地は2分の1になりましたけど、それでも広さは東京の千代田区と同じくらいで、関東屈指の規模ですね。その敷地内で、牧場とゴルフ場を運営しています」

千本松牧場で飼育している乳牛は500頭。

自家製の堆肥を撒いて良質な土をつくり、主な餌となる牧草とトウモロコシを自分たちで育てている。

「本州の大規模牧場では、海外から輸入した飼料を用いるのが一般的です。千本松牧場は7割を自給できているし、それ以外で与える3割も遺伝子組み換えでない飼料のみ。これはとてもめずらしいことなんですよ」

それが実現できるのは、広大な土地と蓄積したノウハウがあってこそ。自然にも牛にも、人間にもやさしい循環のなかで酪農を続けてきた。

生乳は、メーカーに卸したり、低温殺菌して千本松牧場ブランドの牛乳として販売したり。

敷地内にある工場では、チーズやアイスクリーム、ヨーグルトをつくっている。

「自社牧場産100%の生乳を使うので、とても質がいい商品なんです。ただこれまでは、その価値をうまく伝えられず、価格競争に負けてしまっていた」

「せっかくつくり手との距離が近いんだから、素材そのものの良さや手づくりの温かさをしっかりと感じられる商品を増やしていきたいと思っています」

現在は、ロゴの変更や施設の改修など、千本松牧場全体でリブランディングを進めているところ。

その一環として、既存商品のパッケージ変更や味の見直しをすることで、この3年の間にも少しずつファンを増やしてきた。

これからは、手づくりのチーズやスイーツに力を注いでいきたい。そのために今回、商品開発や製造を担う人を募集することになった。

商品づくりを通じて、自らの手で千本松牧場のブランドを高めていく役割だ。

 

「ブランドがほぼゼロベースでできあがっていく様子を間近で見られるのが、この仕事のおもしろさだと思いますよ」

そう話すのは、“食のクリエイティブディレクター”として外部からサポートしている、株式会社TETOTETOの井上さん。今回はオンラインで話を聞かせてもらう。

千本松牧場のリブランディングに関わって1年ほど。これまで、どんな取り組みをしてきましたか?

「ひとつは、お土産の改良です。牛乳風味のポップコーンを開発したり、アイスクリームのレシピをブラッシュアップしたりしました」

これまでのアイスクリームは、香料などを使ってリッチな味わいに仕上げていた。

対して井上さんが提案したのは、素材の味を生かしたレシピ。現在のトレンドや、手づくり感を打ち出すブランドの方向性に合わせて考えたという。

「なるべく添加剤を使わない、シンプルなレシピを考案しました。それでも、素材がいいので十分おいしいんですよ。ホウライのみなさんと試食や話し合いを重ねて、形にしていきました」

さらに、チーズケーキの開発も進んでいる。井上さんのレシピをもとに、牧場でレストランのシェフが試作を重ね、現在はパッケージなどを決める最終段階だそう。

「ただ、今開発を担当している方はレストランが本業なので、そこまでスイーツに時間をかけられない。新たに商品を企画しても、販売するまでに時間がかかってしまうんです」

「今後はチーズケーキも、春はさくら、秋はカボチャとか、季節ごとに風味を変えていきたい。そうなってくると、主体的にフットワーク軽く動ける方が必要になります。お客さんの反応を見て、現場からもどんどん商品を提案してほしいですね」

現在牧場内では、既存の建物を改修して、スイーツとチーズ専門の工房を建設中。

新しく入る人はそこを拠点に、井上さんと連携してレシピの考案や試作、量産化に向けた体制づくりを担う。

商品の味に限らず、デザインや販促にまで関われるところは、大変ながら面白い部分。

発展途上ではあるものの、アイデア次第でいろんなことを実現できる環境だと思う。

「経験以上に、熱量がある人と働きたいですね。それこそ、自宅でチーズつくってるよ、くらいの」

「たとえば牧場の松林からとってきた酵母で天然酵母パンをつくりたいとか、お客さん向けに工房の外でコーヒーとスイーツを売りたいとか。もちろん社内での手続きは必要でしょうけど、自分次第でどんなことでも挑戦できると思います」

 

4月上旬、那須の千本松牧場へ。

バスタ新宿から、直通の高速バスで2時間半。新幹線を使えば、東京から那須塩原まで1時間で、そこからタクシーで20分ほど。思っていた以上にアクセスは良い。

牧場の入り口には、満開の桜並木。数百メートル続いていて、お花見をする多くの観光客で賑わっている。

桜並木に沿って、売店やレストラン、ヤギと触れ合えるスペースや乗馬体験の施設、さらに奥にはどうぶつふれあい広場、牛の放牧場やいちご狩り園、なんと温泉もある。

事務所を訪れると、ホウライのみなさんが出迎えてくれた。

「牧場内を全部ご案内すると1時間はかかるんです。今日は短縮バージョンにしましょう」

案内してくれたのは、牧場とゴルフ場を統括している専務の森さん。朗らかな雰囲気で、相談ごとも気軽に話しやすそうな方。

敷地が広大なので、スタッフは基本的に車移動。森さんの運転する車で、まずは畑から案内してもらう。

「ここが一番広い畑で、もうすぐとうもろこしを植え付けます。夏には3メートルくらいまで伸びるんですよ。収穫後のコーンは牛の餌になります」

はるか遠くまで広がる畑。まるで北海道の農場に来たみたい。

「ここ以外にも何ヶ所か畑があるんですけど、農場担当のスタッフは4人だけ。普通の農機具じゃ間に合わないから、大規模農園用の大きなトラクターで耕しています」

続いて牛舎を訪れると、牛たちが列を成していた。ちょうど午後の搾乳に向かっているのだそう。ここでは、毎日9トンもの生乳がとれる。

別の牛舎では、まだ子どもの牛たちが食事中。「大切に育てられているから、人懐っこいんですよ」と、森さんはうれしそうに教えてくれた。

排泄物の一部は、堆肥として畑の栄養に。乳牛にまつわるすべてが、この千本松の土地で循環している。

「長年近くに住んでいますけど、やっぱりこの自然環境は素晴らしい。上場企業でこの環境を得られるところはめずらしいんじゃないかな。社員寮も敷地内にあるので、仕事や暮らしを通じて自然を身近に感じられるのは魅力だと思いますね」

自然豊かな場所で暮らしたいと思っても、身ひとつで移住するのは少しハードルが高い。

安定した会社基盤のもとで、自然に触れながら仕事ができることも、メリットのひとつだと思う。

一通り牧場内を見せてもらったあと、乳製品工場へ。ここではヨーグルトとアイスクリーム、チーズ、ソフトクリームを製造している。

新しく入る人は、商品開発にまつわる仕事が主になるものの、日によって既存のチーズ製造にも取り組んでほしい。経験次第ではあるものの、イメージとしては商品開発7割、製造3割くらいの配分で関わってほしいとのこと。

なかを案内してくれたのは、平山さん。

高校で食品科学を学び、新卒でホウライに入社してから、ずっと製造の仕事を続けてきた。今はチーズづくりの責任者を担っている。

「今チーズ製造は週に一度だけで、売店に出すとすぐに売り切れてしまう状況です。これからもう少し種類も量も増やしていきたいので、新しく入る方の力を借りられたらと思っています」

長年販売しているヨーグルトやアイスクリームは、機械で大量生産する仕組みができている。

一方のチーズは、ほとんどの工程が手づくり。10年前まで製造していたことがあるので、当時のレシピを復活させ、昨年からつくりはじめた。

平山さんはあらためてチーズづくりを学び、現在はモッツアレラチーズ2種類とゴーダチーズを製造している。

日々どんな流れで仕事をしていますか?

「まず、朝一番で牧場から原乳を受け取って、低温殺菌します。少量ずつ65度で30分、これより高温にすると風味や成分が失われてしまいます。すごく時間がかかるので、6時からはじめてもチーズの成形に取りかかれるのは、10時くらいになります」

朝が早いのは牧場ならではのリズム。終わりは15時と早いものの、慣れるまでは少し大変かもしれない。

「殺菌後に乳酸菌や酵素を入れて固めるんですけど、100kgの生乳を使っても10kgしかチーズはできないんです。それ以外はホエーと呼ばれる液体。これも何か有効活用できたらいいなと思うんですけどね」

「指定通りにきちんとつくることに専念しているので、新たな商品のアイデアを出す時間はなかなかとれない」と話す平山さん。

とはいえ、新しく入る人は、平山さんから教わることも多いはず。自分のアイデアが量産可能かアドバイスをもらったり、製造数を増やすためのオペレーションを相談したり、力を借りる場面も出てくると思う。

新たな挑戦をはじめつつある、千本松牧場。

これまで積み上げてきたものを尊重しながらも、新たな視点での企画提案が何より求められる仕事です。周囲とのコミュニケーションを欠かさずに、応援してもらえるような存在になれるといいと思います。

まずは、千本松牧場を訪れてみてほしい。穏やかな人たちと、雄大な自然に囲まれれば、きっといいアイデアも浮かんでくると思います。

(2022/4/5, 4/11取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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