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誰かの記憶にそっと寄り添う
まちに根を張る設計事務所

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「まわりを見ていると、なにかを熱狂的に好きな人っているじゃないですか。自分は最初からそうだったわけではなくて。やっていくほどに興味が生まれて、だんだんと好きになってきた実感があるんです」

「経験が幅を広げていきますから、今は建築を好きかどうかわからないと思う人も、きっと楽しんでいける。そんなポテンシャルのある仕事だと思います」

そう話すのは、創造設計舎の浜野さん。

創造設計舎は、建築設計監理の会社。北海道・十勝地方を中心に、保育園や学校、道の駅など、数多くの公共施設のほか、商業施設など民間施設の意匠設計に関わってきました。

今回は、設計担当と設計アシスタントを募集します。

未経験でも歓迎とのこと。建築に限らず、グラフィックや3Dモデル制作など、デザインに関心がある人だと相性がよさそうです。

自分が設計した建物が、まちの風景の一部になっていく実感が得られる環境だと思います。

 

羽田からとかち帯広空港へ。眼下には本州とは桁違いの大きさの畑がずーっと向こうまで広がっていて、北海道に来たんだな、と感じる。

着陸し、外へ出ると少しひんやりした空気。

車を走らせて、30分ほどで帯広駅周辺へ。ホテルやショッピングモールが広がる市街地の一角に、創造設計舎のオフィスを見つけた。

中に入ると、執務室の手前にフリースペースが。壁一面の本棚には、建築のほかに北海道の歴史、コミュニティデザインなど幅広い本が並べられていて、思わず見入ってしまう。

「今日はあいにくの天気ですね。本当は『とかち晴れ』って言うくらい、晴れの多い場所なんですけど」

そう話してくれたのは、浜野さん。道東出身で、入社18年目。新卒から入社し、副社長になった方だ。

「うちはもともと小野設計という名前で創業して、かれこれ50年ほど続けてきました。昔設計させてもらったお客さんから声をかけていただくことも多いですし、十勝の公共工事や民間工事など、ありがたいことに仕事が途切れないんですよね」

創造設計舎は十勝地方では一番の規模で、スタッフは全部で10人ほど。施設系の物件が中心で、基本設計から竣工まで数年かかるプロジェクトなどを、社内で細分化しながら請け負っている。

公共建築では学校関連、なかでも幼稚園、保育園の設計をすることが多いそう。

たとえば、と見せてくれたのは、ある保育園の玄関の写真。天井はきれいなブルーで彩られていて、大きな円の形に切り抜かれている。

「なにか特徴的なデザインをつくれないかなと思って提案したもので。学校とか保育園で見ていた風景って、一生思い出に残るじゃないですか。どんな空間で過ごしたかってきっと覚えている」

「公共建築って、前例に則った設計をして無難に納めることが多いんです。似たような建物ばかり増えていくことにずっと疑問があって。お金をそこまでかけずに、施設の色を出したデザインができないかと考えてきました」

たとえば、床の素材や壁の色ひとつでも空間の印象はガラッと変わる。

自分たちの提案ひとつで、記憶に残らなかったかもしれない場所が魅力的なスペースに変わっていく。

たとえば保育園だと、子どもたちがどんなふうに一日を過ごしているのか、どんな場所で遊ぶのが好きなのか。ヒアリングしたり観察したりすることで、初めて設計に落とし込めることもある。

「ある保育園では、狭いところに入りたがる子どもに合わせて、体を丸めて入れるような穴をつくりました。階段の裏にもかくれんぼできるようなスペースがあるんです」

「ただ、こういうつくりはオペレーションとの戦いというか。管理される方はこういうの、あんまり好きじゃなかったりするんですよね」

好きじゃない?

「なにかあってはいけないから、子どもたちの様子が見やすいほうがいい。階段下のスペースも、子どもたちを探しに大人が入れるかな?と、不安の声もあったんです」

「どのくらいの高さなら大丈夫なのか、調べながら調整していって。もちろん奇抜なことを好まない方もいるから、お互いに知恵やアイディアを出し合うなかで、より良いものを提案できればと考えてます」

休日は、設計を担当した施設にお子さんを連れていくことも多いという浜野さん。

案件のほとんどが十勝地方内ということもあり、顔を合わせたり、現場を共に見れたりする機会が多いので、お客さんとの信頼関係も築きやすい。

「竣工まで何年もかかってますから、自分の子どもを育てるみたいな感覚に近くて、引き渡しのときはいつも、引き渡したくないって思ってます(笑)。でも実際に使ってもらうことで命が宿っていくので。まちの人たちが楽しそうに過ごしている様子を見るとうれしいですね」

「最近は、施設運営を見据えての設計も増えているんです」と、紹介してくれたのは2022年4月に開業した「道の駅 おとふけ」。

「十勝の食の玄関口」をコンセプトに、まちの農産物を楽しめる飲食店が9つも入っている。基本計画から加わり、建設会社、施設を運営する会社と連携しながら設計を進めてきた。

「設計段階からコミュニケーションがとれているので、開業後も運営の人がフィードバックの連絡をくれるんです。自分自身も足を運んで見にいけるから、次はこうしようと振り返りもできる」

「本当、設計って設計で終わりじゃないんですよ。いろんな現場を見てインプットして、お客さんとやりとりするなかでどんどんいいものができていく面白さがあります」

案件のことを次々と話してくれる浜野さんは、心の底から楽しそう。本当に建築の仕事が好きなんだろうな。

今回募集する設計やアシスタントの仕事は、設計の知識や経験がない人でも歓迎とのこと。

「お客さんや関連業者とのコミュニケーションは多いし、3Dの設計図をつくる仕事も多くなってきている。ほかで培ってきた経験を活かすことができると思います。とくにデザインが好きっていう共通項があれば、きっと楽しめるんじゃないかな」

たとえば、グラフィックや服のデザイン、あるいは映像やプロダクトで3Dデータ制作の経験があるような人も、きっと設計に通じる感性を持っている。

下積みばかりで、ものづくりの実感を持ちづらいと感じている人がいたら、ここで力を発揮してほしい、と浜野さん。

まずは打ち合わせへの同席や図面を描くことなど、できることから始め、自分で考えて提案することを少しずつ積み重ねていく。設計経験のある人なら、どんどんプロジェクトを任せてもらえる環境だと思う。

ゆくゆくは設計のみではなく、その後の持続可能な活用方法を提案するなど、まちづくりの分野にも関わっていきたいと浜野さん。

地域に密着した企業だからこそ、つながりを活かしてできることもありそう。なにかアイデアがあれば、浜野さんも一緒になって面白がってくれそうだ。

「まずは十勝で設計って選択肢が生まれるとうれしいです。雪という制約はあるけれど、広大な土地や豊かな自然を活かしたランドスケープからの設計など、チャレンジできることが多い。それに、十勝にはおおらかで前向きな人が多いから、やれることはまだまだあるなと感じています」

 

未経験から設計の仕事を始め、今では主力メンバーとして活躍しているのが、入社5年目の漆原さん。この日はあいにく都合が合わず、別日にオンラインで話を聞くことに。

十勝と同じ道東の中標津町(なかしべつちょう)で生まれた漆原さんは高校卒業後、陸上自衛隊へ所属。原隊の十勝を拠点に、10年間所属していた。

「子育てしながら働くことを考えて、転職しようと。住むなら十勝がいいなと思っていたんです。北海道のなかでは雪もそこまで多くないし、とかち晴れっていうくらいですから、天気もいい。結果的に保育園も入りやすくて、子育てしやすい環境でした」

さまざまな職を経験するなかで、「一生もののスキルになる」と紹介されたのが、創造設計舎の設計の仕事だった。

「ゼネコンで期間限定の事務をしていたんですけど、そこの社長がすごく気にかけてくれて。お前にはきっと合っていると思うぞって、紹介してくれたんです」

最初はCADで図面を描くことから始め、クライアントとの打ち合わせ、工事監理、設計へと、少しずつ仕事の幅を広げつつある。

「大きな設計は代表や浜野が担当して、私はそのなかの一部の設計を担当させてもらうことが多いです。たとえば学校の改修だったら、現場を見て改修が必要そうなところを見つけて、図面に落として、浜野にチェックしてもらう、という流れですね」

「5年続けていても、同じ仕事はひとつもないですね。その都度ベストな対応を考えていくのは頭を使うけれど、飽きることはないのかなと思います」

建築の世界に飛び込んでみて、いかがですか?

「そうですね… わからないことが非常に多い状況で毎日過ごしているので、なにが楽しい! と感じるのか、日々仕事をしながら模索しているところですね」

「ただ、いま進めている看護学校の現場は、一緒に仕事をしている現場の職人さんも、施工管理の方も若手が多くて活気がありますし、明るい雰囲気にしたいっていうお客さんの声も直接聞いているので、ぜひ成功させたいなって。そういうことを感じながら仕事をできるのは面白いと思います」

正直に、いまの状況を教えてくれる漆原さん。

学生のうちから学んで就職する人も多い建築の世界で、一から知識や技術を身につけるのは、簡単なことではないと思う。一方で、みなさんの話を聞いていると、現場での経験は励みになるように感じる。

「設計って奥が深いというか。ひとつの建物を設計するにも、電気、設備、外構、道路… といろんな調整が必要なので、それぞれ知識を身につけていくのは大変だなと思います」

わからないことがあれば、なるべくすぐに調べる。自身でインプットにも努めつつ、社内メンバーに相談することも多々あるそう。

「みんな丁寧に教えてくれますね。いそがしそうだな、って尻込みするときもあるけれど、ひとつ止まってしまうと、その次に進んでいけないので。大きなプロジェクトを分担して進めているので、進むべきところがみんなとはっきり共有できていて、話も早いです」

「それぞれやり方も、考え方も少しずつ違うんですけど、だからこそ吸収できる部分もあると思っていて。自分では絶対に思いつかないアイデアも、素直に受け止めてみる。そうして設計の幅も広がっていくんだと思います」

漆原さんは、どんな人と働きたいですか?

「明るい人ですかね。建築の知識や経験がある人なら、いろいろ教えてもらいたいです。これから学んでいく人なら、仕事をするなかで自分の好きな領域を見つけてもらえたら。目標が明確だと、励みになると思います」

 

日々仕事をしていると、自分がやってみたいことや好きなものがどんどんクリアになっていくような感覚があると思います。

そこにもし建築という選択肢が浮かんでいたら、ぜひ応募してみてほしいです。

これから学んでみたい、という気持ちをあたたかく応援してくれる場所だと思います。

(2022/11/21 取材 阿部夏海)

※取材時はマスクを外していただきました。

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