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店員さんと会話しながら、実際に着てみて、じっくり吟味する。
そうやって選んだお気に入りの服は、日々手に取るときも、ちょっとうれしい気分になる。
買う瞬間がピークではなく、着るときのことを一番に考えて、洋服をつくり、販売したい。マイク・グレーのみなさんが大切にしていることです。
マイク・グレーは、「PONT DE CHALON (ポンデシャロン)」をはじめとする女性向けのアパレルブランドを中心に展開する会社。
ブランドとお客さんの架け橋となる、直営店のスタッフのことは「アンバサダー」と呼んでいます。
今回、ポンデシャロンの鎌倉店と吉祥寺店で、アンバサダーを募集します。
鎌倉駅の西口を出て、御成通りを由比ヶ浜方面へ歩いていく。
昔ながらの喫茶店、パン屋さん、洋服屋さん、八百屋さん… 小さな個人店が並ぶ風景は、観光客で賑わう東口よりもだいぶ穏やかで、なんだか落ち着く。
ポンデシャロンの鎌倉店は、駅から歩いて7分ほど。江ノ電と交差する大通り沿い、バス停の目の前にある。
朝10時。開店したばかりのお店へ。
挨拶をすると、スタッフさんが笑顔で迎えてくれた。
大きな窓からは風が吹き込んで、窓際の洋服がふわりと揺れる。真夏だけれど、爽やかな気持ちになる。
最初に話を聞いたのは、長浜さん。
鎌倉、吉祥寺、丸の内にある直営店3店舗を統括しながら、自身も卸営業を担当している。
「ブランドのイメージにあまり合わないでしょう、僕。だから普段はあまり出ないようにしているんですよ(笑)」
その言葉に、まわりのスタッフのみなさんが笑いながら反応する。
ポンデシャロンを運営するマイク・グレーは、もともとフランスのカットソーブランドの代理店として、日本国内向けに卸販売を行なっていた。
約30年前、代理店契約が終了することになり、卸先はあっても商品がないという状態に。
代わりとなる商品を自分たちでつくろうと、マイク・グレーの初代デザイナーがフランスの工場で商品開発に取り組んだ。
その工場の名前が、ポンデシャロン。ブランド名はここに由来する。
このとき生まれたカットソーは、今も定番商品として販売されている。
卸に加えてはじめたのが直営店。もっとも歴史の長いこの鎌倉のお店が、今年で10年目になる。
オンラインショップも充実しているものの、これからはあらためて直営店に力を注いでいきたいという。
「ECは、場所にも時間にも制限がないよさがあります。うちは、チャットでの接客も取り入れているので、買いものをするのに不自由はないかもしれない」
「でも、実際にものに触れて試着して、アンバサダーと直接コミュニケーションがとれる機会はお店にしかない。原点に立ち返って、お店でブランドの世界観を味わってもらいながら、満足度高くお客さまに洋服を提供していきたいと思っています」
長浜さんは、アパレルやECの会社を経て、マイク・グレーのデザイナーからの紹介で入社した。
これまでマイク・グレーでは、長浜さんのように紹介で入社するスタッフが多かったそう。知り合いに自信を持って紹介できる会社であることは、現社長の岩本さんがとても大切にしていること。
ただ、それだと少しずつしか人を集めることができない。今回は、記事を通して働く人たちの言葉に触れ、共感する人にぜひ来てほしいとのこと。
長浜さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?
「ただ洋服を売るのではなくて、お客さまの服選びの悩みを解決できるような、一歩踏み込んだ接客をしてほしいと思っています。そのために必要なのは、想像力。どんなライフスタイルの方で、何が悩みの原因なのか、想像し寄り添いながらお話ができる人がいいですね」
社内のコミュニケーションでも、お互いを思い合いながら仕事ができたらいい、と続ける長浜さん。
「意見は活発に出し合うんだけど、なんか働きにくいなって思う人は全然いなくて。僕だけじゃなく、みんなもそう感じていてくれたらうれしいし、そういう会社をつくっていきたいなと思っています。そのために、入社いただく方には会社やブランド理念などの研修を配属前に行い、いいコミュニケーションをとれるようにしています」
会社の根幹にあるのが、ものづくり。
ポンデシャロンのほかに、2つのアパレルブランドを展開している。
ひとつは、「道具服」というコンセプトで、素材にこだわった日常着を提案する「lelill(レリル)」。もうひとつは、リバティプリントが特徴の「sosotto(ソソット)」で、こちらは別の会社が企画生産を行ない、マイク・グレーは営業を任されている。
今回募集する鎌倉店と吉祥寺店では、ポンデシャロンとソソットの商品の一部を販売している。
デザイナーとして、日々ものづくりと向き合っているのが北田さん。
「ポンデシャロンは、フランスのファクトリー発という歴史があって。そのアイデンティティを残しつつ、ブランドの世界観に共感する人たちに届く洋服をつくっていけたらと思っています」
本来のフレンチテイストに比べて、ポンデシャロンは、ゆるやかで抜け感があるのが特徴。
「素材が柔らかくて、風が吹いているような開放感。鎌倉の風土があるんだなと思います。たとえばお友だちと舞台を観に行くとか、食事に行くときに着ていきたくなるような服。ポンデシャロンの明るい色や着心地のよさをまとって、ほんのちょっと日常がいい気分に変わったらいいなって」
ポンデシャロンの洋服は、北田さん含む3人のチームでものづくりの方向性を決めたり、シーズンごとの服をデザインしたりしている。
彼らが服に込めた想いを汲み取りながら、お客さんに商品のことを伝えていくのがアンバサダーの役割。
代表的な商品であるカットソーは、最初にフランスの工場でつくったものを年々改良しながら販売してきた。
現在は、日本国内で国産の素材を使って製造している。
「このネームタグ、端にロックをかけているからカサカサしないんですよね。切りっぱなしだと当たったときにかゆくなるじゃないですか。手間がかかる仕様なんですけど、着心地を重視しているところが好きですね」
タンクトップ、半袖、タートルなど、それぞれのシーズンに合うラインナップを販売。
定番商品とはいえ、前年と同じものをそのまま販売することはほとんどない。
「自分も着てみながら、襟ぐりはもう少し詰めようかなとか、毎回ちょっとずつ形やサイズ感を変えています。実は今年の半袖、もう少し丈が長いほうが喜ばれたんじゃないかなって、ちょっと反省があるんですよね」
「カットソーをベースに、上に羽織るカーディガン、下に履くスカート、重ねるワンピース、ってブランドを構成しているように思います。だから流行にもあまり左右されない服が多いですね」
「着心地がよかったからって、色違いでリピートしてくださるお客さまもいます。試着してもらうといいねって言っていただけることも多い。やっぱりこのカットソーは、ブランドの要となるアイテムだなと思います」
そう続けるのは、仲西さん。鎌倉店のアンバサダーとして2年働き、現在は都内の本社で広報PRを担当している。
学生時代にファッションを学び、卒業後はスタイリストのアシスタントとして4年ほど働いた仲西さん。
違う道に進もうと考えたとき、暮らしをガラッと変えてみようと、東京から鎌倉へ引っ越した。仕事を探すなかで出会ったのが、このお店。
「ファッションには携わって生きていきたいと思っていたので。販売は未経験だったんですけど、前職の経験も活かせるかなと思って応募しました」
服を扱うという共通点はあっても、まったく異なる仕事。最初は知らない人に声をかけることに緊張してしまい、適切な声のボリュームもわからなかった。
OJTで先輩の仕事を見ながら、たくさんのお客さんと会話をするなかで、自分なりの接客を見つけてきた。
入社して最初に声をかけた方は、仲西さんにとって大切なお客さんのひとり。
「いろんなお話を快くしてくださって。会話のなかで、ちょっと痩せてしまって、彩りのある服で気分を高めたいっていう理由で来店してくださったと話してくれました」
「そこがポンデシャロンのアイテムとすごくフィットした感じがあって。鎌倉店で勤務している間、ずっと通ってくださったんです」
「仲西さんに会いに来ました」「仲西さんにコーディネートを組んでほしくて」
2年間で、そんな言葉を何人ものお客さんから受け取ることができた。自分を目掛けて来店してくれることが、何よりうれしかった。
新しく入る人も、仲西さんのように一対一の顔の見える関係を、目の前のお客さんと丁寧に築いていってほしい。
販売の経験はなくても、目の前の人をよろこばせたい、目の前の人の力になりたい、という気持ちが根底にあれば、きっとできることだと思う。
今は、広報PRを担当。撮影用のリースの対応や、掲載誌のチェック、店舗の販促のポップづくりやSNSでの広報計画などにも取り組んでいる。
「店長にステップアップしていく道もあったと思うんですけど、自分はもう少しブランドを知ってもらうきっかけをつくりたいなと思って、手を挙げました」
今回アンバサダーとして入る人の将来のキャリアについても、仲西さんはいい相談相手になると思う。
お店を離れるとき、常連さんは寂しかったでしょうね。
「そうですね。でも、みなさん背中を押してくれて。『残念だけど、これから発信されるものは仲西さんがつくったと思えばいいのね』って。ありがたかったですね」
「鎌倉店は空間が広いので、ゆったりとした時間が流れていて。お客さまも私たちも会話を楽しみながら過ごせる空間なのが好きですね」
一方の吉祥寺店は、もっと活気のある雰囲気。おしゃれに積極的な方が多く、ファッションのことでお客さんと盛り上がることもしばしば。
商業施設にあるのでライバルとなるお店は多いものの、売り上げは着実に伸びていて、ブランドのファンが根づいてきている実感があるそう。
お客さんと丁寧にコミュニケーションをとって、気持ちよく買いものをしてもらう。それを一日一日重ねていく。それはどちらのお店でも同じこと。
「入社する前、一度お店に来たんです。社内の雰囲気はまだ知らなかったけれど、ものの素材感がよかったり、色使いがきれいだったり、自分がここに立って接客する想像をしたときに、気分が上がるなと思いました」
ブランドの成り立ちにも興味を持ってくれたらもちろんうれしい。でもまずは、このブランドが好きかも、この洋服なんだか気になる、と興味を持つことからはじまるはず。
ぜひ、仲西さんのように、お店を一度訪れてみてください。居心地のよさを感じられたら、きっと気持ちよく働いていけると思います。
(2023/8/22取材 増田早紀)