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お土産屋さんがベーグル?
だれかの日々のたのしみを
食からつくりたい

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

旅先でおみやげものを選ぶとき。友だちへの手土産を探すとき。

思い浮かべるのは、相手が喜んでくれる姿。

雑貨でも食べ物でも。だれかのために選ぶその時間は、とてもたのしい。

そんな瞬間がたくさん生まれるように。京都を拠点にさまざまなお店を展開しているのが、ピープルズです。

「カランコロン京都」や「ぼっちり」といった雑貨屋に加え、最近ではフード事業も展開。

京都市内に「ラビットベーグル」というベーグル屋を開いています。

今回募集するのは、このベーグル屋を中心としたフード事業を進めていく人。既存店の運営に加え、事業をさらに伸ばしていくための店舗・商品開発も担っていく予定。

人を喜ばせるのが好きな人にはぴったりな仕事だと思います。

 

秋の京都。新幹線を降りて地下鉄の乗り場へ。

この日はあいにくの雨だったけれど、駅にはたくさんの観光客の姿が。海外の人もたくさんいて、あらためて京都の人気の強さを感じる。

地下鉄で烏丸御池駅まで行き、そこから歩いて5分ちょっと。京都らしい路地を進んでいくと、目的のビルが見えてきた。

エレベーターで5階にあがると、ピープルズの文字が出迎えてくれる。

しばらくして来てくれたのが、代表の伊藤さん。

「最近エントランスを新しくしたんです。入り口って大事じゃないですか。だから気持ちが前向きというか、晴れやかになっていますね」

ピープルズは、「伊と忠(いとちゅう)」という、和装に合わせた履物を扱う会社から生まれた会社。

伊と忠は、京都で123年続く老舗企業。伊藤さんは、その4代目社長でもある。

新卒で勤めた会社を離れ、24年前に跡を継ぐために京都へ。当時は履物の事業のみで、呉服を取り巻く環境が厳しくなっていたこともあり、会社の経営も危うかったそう。

「ほぼ家業みたいなもので。お店は8店舗くらいあったんですが、従業員も少なかったです」

それでも、戻ってくることを決めたと。

「そうなんです。なんていうか… 自分で事業をやってみたかったんですよね。もちろん、履物の伝統を残していかないとっていう気持ちはずっと持ち続けています」

「ただ、それだけを発展させていくよりは、会社のなかで新しく起業できたらいいなと考えて」

会社を立て直し、経営も落ち着いてきたタイミングで伊藤さんが始めたのが、新卒採用。新しい事業をするための仲間を募った。

「あらためて京都のまちをビジネス目線で見たら、やはり観光客がとても多くて、そのマーケットが非常に大きいことを認識したんです」

「伊と忠の工芸品だと、敷居も値段も高い。もっと気軽に買えて、京都のDNAが息づいているようなお土産があったら面白いなと。それで立ち上げたのが『カランコロン京都』でした。それがうまくいって、別のブランドにも派生して。10年以上経ちましたが、雑貨の事業に合わせて会社も成長することができました」

会社が成長する上で大切にしてきたのが、新入社員でも自由にアイデアを出すことができる土壌を整えること。

1年目の社員でも、新しいブランドやお店のアイデアを臆せず出せるようにしていった。

「うちが掲げているのが『明日に愉しみを。人生に挑戦を。』なんです」

「若いうちに挑戦マインドを抑えてしまうと、数年経ったらもう失われてしまう。経験の浅いうちから挑戦する姿勢が当たり前になっていないと、新しいものを生み出せないし、会社の成長も止まる。これは当時から変わらず思っていることですね」

今回募集するフード事業についても、ピープルズにとっては大きな挑戦。

「食が好きだったのもあって、いずれやりたいとは思っていたんです。より強く思うようになったのは、コロナ禍に入ってからですね」

人流が止まり、多くの観光客で賑わっていた京都も、道ゆく人がかなり減少した。土産雑貨店も半分ほど閉めざるを得なくなってしまうほど、会社として厳しい時期だったという。

そのとき伊藤さんが気づいたのが、雑貨やお土産は生存していくうえで必須なものではない、ということ。

けれど、食べることはどんな状態でも人には必要。食をたのしむ気持ちは、いつどんな場所であっても変わらない。

「自分自身も食をたのしむことが増えたし、やっぱり食って強いなと思ったんですよ。それでコロナ禍を機に、一歩踏み出してみようと思ったのが強いきっかけです」

それで生まれたのが「ラビットベーグル」。2022年、河原町丸太町に一号店がオープンし、いまは市内に3店舗展開している。

ベーグルを選んだのは、お菓子やパンなどを扱いたかったのと、卵も牛乳もバターも使わないヘルシーさなどが理由だった。

「新しい事業なので、まずはベーグルを中心に安定した経営ができるように努めているところです。あとはフルオープンではないですが、豆乳ドーナツと焼き菓子のお店も別にオープンしていて」

ベーグルもドーナツも焼き菓子も、使っている素材はほとんどが国産。北海道の小麦や沖縄の塩など、素材にこだわった商品は、観光客のみならず、地域の人にも人気なのだそう。

今はフードなどの新規事業を、少数の社員が担当している状態。

パートやアルバイトの人はいるけれど、社員で新しい人が加わることで、現場のオペレーションを改善したり、新商品を開発したり、新しい動きにつなげていきたい。

新しく来てくれる人に対して期待していることはありますか。

「どうやろなあ…。経験はとくに求めていないんですが、食に興味があって、自分のたのしみにつなげられる人だといいんじゃないかな」

「あとはうちのカルチャーでもある挑戦マインドを持っていることも大切で。与えられた仕事をするだけじゃなく、挑戦しながら切り開いていく。簡単なことではないですが、社内のスタッフも同じようなマインドを持っているので、チャレンジしやすいと思います」

 

京都のDNAを雑貨という形で具現化してきたピープルズ。ベーグルという新しいチャレンジを始めるにあたっては、どんなことがあったのだろう。

社長と苦楽をともにしてきた、役員を務める塩崎さんに聞いてみる。

「新しい事業のために採用をしたって社長が話していたと思うんですが、そのとき入ったのがわたしで。だからずいぶん長い間会社にいますね」

雑貨事業の立ち上げに取り組み、その後も会社で新しいことにチャレンジするときには、担当に入って道を切り拓いてきた。

フード事業の立ち上げも、責任者として奔走したそう。

「新しい商品や事業の軸は、社長がアイデアを出すんです。それを形にして、まずは0から1の状態に持っていくのがわたしの仕事ですね」

「素材は小麦粉と塩とお砂糖だけ。ベーグルのつくり方も研究して。企業秘密の技術でつくっています」

塩崎さんは今もフード事業を担当しているので、新しく入る人も顔を合わせることが多いと思う。

「長期滞在していた外国の方が毎日買いに来てくれたことがあって。ニューヨークがベーグルの本場なんですが、その人が『ニューヨークでも食べたけど、世界中のどこよりここのが一番美味しい』って言ってくれて(笑)。そういうのを聞くとすごくうれしいですよね」

京都のまちの特徴は、日本中のみならず、世界中からさまざまな人が訪れること。

こちらから出向かずとも、いろんな人に商品を味わってもらうことができるし、ときにはこうして感想をもらうこともできる。

流れるように人が訪れる場所だからこそ、一期一会の出会いをたのしんでお客さんと接することができれば、やりがいも大きいと思う。

「うちの根っこは、たのしいことを提供したい、っていうことなので。そのためになにができるか、きちんと思いを持って動ける人が来てくれたらいいなって思います」

 

最後に話を聞いたのが、児玉さん。塩崎さんが0から1にしたものを「2、3」と、どんどん広げていく役割を担っている。

「今は新規事業の関係で徳島の鳴門に住んでいるんですけど、今の気分は… おうちに置いてきた猫が元気にしているかなというのがちょっと心配です(笑)」

カランコロン京都も、児玉さんが店舗の展開や新商品の開発など、事業を広げていったという。

印象に残っていることを聞いてみると、2023年の3月、京都駅直結の商業施設「ポルタ」内にラビットベーグルをオープンさせたことを話してくれた。

「ポルタのお店は、商業施設内の一角にあるので、店舗で製造することができないんですね。だからほかの店舗でポルタ店のぶんも製造して運び込む必要があって」

限られた時間のなかで、既存店での製造数を伸ばし、ポルタ店にまわさないといけない。

児玉さんはその課題を解決するために、まずは現場に入ってスタッフと一緒にベーグルをつくるところからはじめた。

つくり方から覚えていって、どのようにクオリティを担保しているのか、大変な作業は何かを探っていく。

「丸1ヶ月くらいは、ほぼ1日お店にいてベーグルをつくってました。そうすると、スタッフが作業のなかで大事にしていることが見えてくるんですよね。でも会社目線からするとそれがちょっとずれていることもある」

「それを整えていくのが、わたしの仕事です。『これ以上つくれません!』みたいな状態を、作業方法とか順番とか、いろんな工夫をして、ポルタへ配達するところまで製造体制を整えることができました」

新しく入る人も、児玉さんから学ぶことはたくさんあると思う。

スタッフと接するなかで気をつけていることはありますか。

「店長でもアルバイトでも、仕事のなかにたのしみをつくりながら働くことがすごく大事だと思っていて」

たのしみをつくる、ですか。

「たとえばベーグル一つでも、毎日手でつくるので少しずつ形が変わるんです。なので、きれいにつくることに楽しみを持てたら、今日はすごくきれいにできたね!って、スタッフで盛り上がれるのがいいなって」

「今日はこの商品を重点的に売るための接客をしようとか、POPを描こうとか。お店を俯瞰的に見れるわたしたちだからこそ、たのしみをつくりながら働ける工夫をすることで、本当にお店が明るくなるんですよね」

ふとスタッフのエプロンを見ると、小さいベーグルが。

これは余った生地を小さいベーグルの形にして、レジンで固めてアクセサリーにしたもの。

仕事ではあるけれど、仲間と一緒にたのしみながら働く。そんな土壌ができているのが感じられる。

「あとは新商品の開発とかも、やろうと思えばいくらでもできるっていうのも、うちのいいところだと思っていて。いろんなアイデアを持っている人だと、よりたのしいと思いますよ」

「ぜひ焼きたてを食べてみてください!」

そう言っていただいた季節限定のほうじ茶マロン味のベーグル。びっくりするくらいおいしかったです。

外はもっちりとした生地で、なかにはあつあつのマロンクリームが。ほのかにほうじ茶の風味がするのがくせになる感じ。

食べているときにも、会社にいる食いしん坊のみんなに食べさせてあげたいなと、自然に考えていました。

誰かに共有したくなるような、おいしくてたのしいものを。この京都から、ともに広げていく人をお待ちしています。

(2023/11/10 取材 稲本琢仙)

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