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建築家とつくる
豊かな居住空間

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

マンションやアパートの間取りや外観って、どれも似ていてつまらない。

そうに感じる人に、知ってもらいたい仕事があります。

株式会社アーキネット。「建築家とつくるコーポラティブハウス」という集合住宅のあり方を提案している会社です。

入居希望者が集まって組合をつくり、建築家と一緒に家を建てる。万人向けにつくられる分譲マンションとは異なり、間取りや内装も自分たちで決めることができる魅力があります。

今回は、そんなコーポラティブハウスのプロデューサーを募集します。

建築にまつわる特別な知識、資格はいりません。土地の仕入れや物件の企画、組合員の意見のとりまとめなど。プロジェクトマネージャーとして、豊かな住まいをつくっていきます。

暮らしや建築に興味がある人、人と関わることが好きな人におすすめしたいです。

 

中目黒駅から渋谷方面に歩くこと15分。

アーキネットのオフィスは、大使館などが並ぶ高級住宅街の一角にある。

坂道は多いけれど、渋谷駅や代官山駅も歩いて15分ほどで行けるから、通勤は便利だろうな。

さっそく3階の打ち合わせスペースへ。壁一面に窓が広がるこの部屋は、開放的で気持ちがいい。

「この窓、サッシが埋め込まれているでしょう。こうすることで、外と一体感が生まれる。こういう細かい建築家の工夫で、空間はすごく豊かになるんです」

そう教えてくれたのは、代表の織山さん。

さっそく、募集中だという吉祥寺の物件の模型を見せてくれる。

壁が平面ではなくて、いくつもの部屋が外側に張り出している凹凸のある建物。

「いろんな場所に窓をつけて、多面的に光が入るように設計されています。だから、人の表情もよくわかる」

「普通のマンションだと南側だけに窓があるでしょう。そうすると、人の表情が分かりづらい。だからみんな夫婦喧嘩をするんだよ(笑)」

ふとしたときの笑顔や、少し落ち込んだ表情。互いの顔がより鮮やかに見えるようになれば、相手の些細な変化にも気づきやすくなる。

設計って、ただ素敵な空間をつくるんじゃなくって、人の暮らし方をデザインする力があるんだな。

「世の中には才能に溢れていて、日々努力を怠らない建築家がたくさんいる。でも、そういう人たちが世間に作品を出せる機会がすごく少ないなと思っていて」と、織山さん。

分譲マンションなどの一般的な住宅設計の場合、広告費やディベロッパーへの中間経費を確保するため、設計の費用を抑えるのが一般的。さらに、売れ残りを防ぐため、万人に受け入れられやすい画一的な設計になることが多い。

約30年前の都市居住のシステムでは、建築家の能力を活かせる場が少なかった。そんな問題意識から、もともと働いていたコンサルティング会社を辞め、アーキネットを設立した。

織山さんが新しく提案したのが、「建築家とつくるコーポラティブハウス」という仕組み。

まず、敷地や周辺環境に合わせた設計を建築家が提案し、アーキネットがホームページで入居者を募集。その案に賛同した入居希望者が集まって組合をつくり、事業主として直接建築家や施工会社と契約して集合住宅をつくる。

建築家と入居希望者が直接契約を結ぶことで、販売にかかる広告費や仲介料などの費用を削減し、その分を設計に割けるように。

建築家の力を存分に活かせるから、分譲マンションなどでは利用しづらい旗竿地や高低差のある土地を活用でき、土地の購入費の削減にもつながった。

「たとえば北向きの家も、ちゃんと光が入るように窓の位置やつくりを工夫すれば、眩しくなくて景色も楽しめる空間になる」

「建築家のつくる豊かな空間を残していきたいと思うんです」

各世帯の居住スペースはそれぞれの入居者と建築家が話し合いながら、自分の暮らしに合わせて設計する。

「一緒に仕事をしている建築家はみんな第一線で活躍している人たち。入居者本人も言葉にできていないような潜在的なニーズまで汲み取って空間をつくるから、出来上がった家を見て感動して泣いちゃう人もいるんですよ」

100人いれば100通りの暮らし方がある。だからこそ、画一的な空間ではなく、それぞれが心地よいと感じられる空間をつくることが、豊かな暮らしにつながっていく。

これまでにアーキネットでは、約130棟のコーポラティブハウスを竣工。一緒に仕事をしている建築家は70人ほどにのぼる。

最近では、アーキネットで建てた家で育った子どもが、大人になって家を建てるときに相談をくれることも。

「僕は、この仕組みを社会の当たり前にしていきたいんです」

与えられた選択肢の中から家を選んで買う。そんな都市居住の当たり前を変え、人や土地に合った多様な住まいのかたちを広めていく。

アーキネットの仕組みが当たり前になれば、暮らしはもっと豊かになっていくんだろうな。

 

実際に現場で働くプロデューサーは、どんな仕事をしているんだろう。

教えてくれたのは、入社して6年目になる石川さん。

「まずは、土地を探すところからはじまります」

「毎朝、不動産商社用の物件検索サイトをチェックしたり、土地の仲介業者さんから土地を紹介してもらったり。土地探しは巡り合わせもあるけど、最終的には人と人だなって思います」

人と人、ですか。

「紹介できる土地を持っていなかった仲介業者さんにも、定期的に電話で『元気ですか』って連絡をするようにしていたんです。そしたら、数年後に良い土地が出たときにすぐに連絡をくれて」

「そのときに、『石川くんは、僕が全然土地を持ってなくてダメだったときも連絡してくれたから。それがうれしくて』って言ってもらったんです」

住宅を建てるために欠かせない土地探し。実際に人に会いに行ったり、定期的に会話をしたり。積極的にコミュニケーションをとれる人が向いていそう。

土地が見つかれば、次は住宅の企画。住宅の企画では、どんな人に向けた集合住宅を建てるかというターゲットを絞るのがポイントになる。

土地周辺の人口の推移から、住民の年齢層、周辺の建物やスーパー、公園の場所などを細かく調べて、どんな人に向けた家を建てればいいかを考えていく。

「たとえば今担当している本郷の住宅は、弁護士や大学の先生など、専門職の人をターゲットにしました」

「ここに住む人は、本をいっぱい持っているだろうとか、緊張感のある仕事だから家に帰ったらのんびりしたいだろうなとか。実際の暮らしを思い浮かべながら、建築家に情報を共有して設計してもらいます」

企画のあとは、入居希望者の募集。狙ったターゲットに届くように写真や文章を考えて広告をつくり、入居希望者を集める。

希望者が集まると、いよいよ組合の運営。プロデューサーは全体の進捗管理をしつつ、建築家と各入居者のやりとりをサポートしていく。

共有部の仕様や外壁の塗装など、入居者全員に関わる事項については組合員が納得するまで話し合うことになる。

それぞれ意見が違う人たちをまとめるのは大変そうだけれど、意見が大きくずれることは案外少ないのだとか。

「企画の段階からターゲットを絞っていることもあって、価値観が似た人が集まりやすいんだと思います」

「ちなみに、一番白熱するのは建物名称を決めるときなんですよ(笑)。そこの価値観までは、絞れないみたいです」

アーキネットでは、土地選びから竣工まで、1人の担当者がメインでプロジェクトを進める。居住者とも何度も会話を重ねることになるため、関係性も深まりやすい。

「最近うれしいことがあって。以前担当した住宅の居住者さんたちから『共有部でバーベキューするからおいでよ』って誘ってもらったんです」

「お申し込みいただいてから、お引き渡しまで、ずっと一緒に家をつくってきたからこそできる関係があるのかなって思います」

土地の選定から、広告、企画、組合の運営など、性質が異なる幅広い業務を手がける仕事。新しく入る人はまず、先輩と一緒にそれぞれのステップを経験しながら、やり方を覚えていってほしい。

ほかにはない仕事だから、転職してくる人も全員が最初は未経験。だからこそ、惹かれるものがあればまず飛び込んでみるのもいいかもしれない。

この仕事には、どんな人が向いていると思いますか。

「腐らない人ですかね。100件、200件とか土地を見ても、なかなかいい土地に巡り会えないときもある。それに、せっかく企画しても人が集まらなければ住宅は建てられない」

「苦しい時期もあるけれど、今回はこんな経験ができたなとか、ポジティブに物事を考えられる人がいいかなと思います」

 

隣で頷きながら話を聞いていたのは、入社16年目になる保坂さん。

「大体、一つのプロジェクトは2〜3年のスパンでやるんです。だから、すぐ目に見える成果がほしい人よりは、自分で小さな目標設定をしていける人のほうがいいんじゃないかな」

以前はSEとしてプロジェクトマネジメントをしていた保坂さん。大きな目標に向かって計画を立て、一つひとつ達成していく。そんな働き方が今の仕事でも活きている。

保坂さんはどうしてこの仕事を選んだんですか。

「もともと人間とか空間が好きだったんです。当時はシステムをつくっていたけれど、これを建築に置き換えたらどうなるだろうって思って」

「コーポラティブハウスっていう仕組みは知っていました。そのなかでもアーキネットは不動産価値ばかりを押し出すんじゃなくて、人間にとって本質的に心地よい空間をつくることを大切にしていて。そこに共感して入社しました」

入社して感じたのは、社員の意見がすごく反映される環境だということ。

「いい意味で、会社としてのシステムが完成しきってない。だから、スタッフみんなでいろんなものをつくりあげていけるんです」

たとえば、契約書の雛形をわかりやすいようにアップデートしたり、コーポラティブハウスの魅力を伝える説明会を企画したり。社員発信で、毎日のように改善が行われている。

「本当にちょっとずつ、0.1パーセントの改善をみんなが続けていって、すごく大きな改善になっていることも多いんです」

「それができるのも、提案に対して否定から入らない社風だからじゃないかな。まずやってみようっていう姿勢が気持ちいいなと思います」

業務の改善だけでなく、ターゲット決めや入居募集者を集めるときの宣伝文の書き方など、スタッフがそれぞれの得意分野を活かして互いにアドバイスすることも多い。

ゆくゆくは一人でプロジェクトを担当することになるけれど、チームとして支え合っていける環境があるから、新しく入る人も安心だと思う。

ひとつの住宅ができるまでに、土地の仲介業者や、建築家、入居者など、たくさんの人たちとやりとりをして、それぞれの思いをまとめていく。

道のりは長いし、やるべきことも多いから、ときには大変に感じることもあるかもしれない。

でも、その先には人々の豊かな暮らしがある。そんな実感が持てる仕事だと思いました。

(2024/1/16 取材 高井瞳)

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