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1%に魂を込める
タイムレスな価値を
空間設計に落としこんで

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「美しいか、否かなんてほんの些細な違いだよ」「いつも51対49でせめぎ合っているよ」

「だからつくり手は些細な1%に魂を込めて、1%に願いを託すんだ」

51%と書いて、五割一分(ごわりいちぶ)と読む。

その特徴的な社名は、ある陶芸家の言葉から生まれました。

「加えて、『美しい』をつくり出す背景には、綺麗ごとだけでは済まない現実もあって。51のクリエイトには49のビジネスが必要。ただその数字が反対にならないように。社名は、戒めでもあるんです」

そう教えてくれたのは、取締役の酒井さん。

五割一分は建築設計、インテリア・家具の提案販売、グラフィックデザインを3本柱とし、それらが響きあう空間設計をかたちにする会社です。

富山市にありながら、仕事は日本各地。県内を中心に個人住宅を多く手がける一方で、ネッツトヨタ富山、カローラ埼玉の社屋、GINZA SIXや虎ノ門ヒルズ内のテナントなど、商業施設の仕事も年々増えています。

特筆すべくは、建築だけでなくインテリアや家具、商業施設においてはロゴマークやwebサイトまで、一貫して五割一分のチームで表す仕事であること。求めている人には、理想的なクリエイティブの現場だと思います。

心地よい環境から、仕事を日本各地に展開していく。

美しい空間を提案する、設計士を募集します。

「僕らは欠員を満たしたいわけではないので、経験はまだ浅くてもいいから、フィーリングが合う人に来てほしくて」

「何もわからないからゼロから教えてください、だとさすがに難しいけど、うちの環境で働くことで、見えていなかった自分を見つけられることもあると思う。資格とか条件じゃなくて、志を同じくできる人を求めています」

 

富山駅から路面電車に乗って約10分。建物のあいまに見える立山連峰に、富山を感じる。

緑が気持ちのいいケヤキ並木を歩いていくと現れる、風景にとけこんだRC造の社屋。

インテリアショップと一体になったオフィスビルの扉を開けると、広々とした階段が3階まで続く。ふと立ち止まって感じるもの、一つひとつが心地よい。

「僕は毎朝オフィスに出勤するのが好きなんです。愛着あるデスクで、PCの電源を入れる瞬間に毎日ワクワクする。美術館で仕事するような感覚があって」

まず話を聞かせてくれたのは、取締役でアートディレクターの酒井さん。

「私たちが届けたいのは、『建築の造形美』や『グラフィックの美しさ』じゃない、体感される全体像が大事だということ。それで家具を扱いはじめて、グラフィックの部署もできました」

「使い捨ての消費型ではない、長い時間に耐えうるものを突き詰めていくと、自ずと落ち着くかたちがある。『タイムレス』を美学に、常にスタンダードなものを追い求めている会社だと思います」

高度経済成長を超えて日本全体が豊かさを感じ始め、通り一辺倒の住宅ばかりになっていた頃、そこにはない建築をつくり続けたことで認知され、少しずつ従業員を増やしながら現在の姿に。

富山県出身の酒井さんは当初、外注先のグラフィックデザイナーだったそう。現在はグラフィック部門の統括だけでなく、商業施設など対法人の設計依頼対応、取締役としての経営業務などを全般的に担っている。

「すごくフィーリングが合って、入ってもう16年になります。とても居心地が良くて。社としての方向性がある安心感のなかで、自分で考えて行動する社風。そのぶん責任もありますけどね」

「仕事や職場が嫌だって話を聞くと、うちに来たらいいのにって思いますよ。僕はこれからもずっと五割一分のチームでおもしろい仕事をしていきたい。長い時間をかけて育まれる信頼関係が大切だと考えています」

建築とインテリアとグラフィック、それぞれの部署がフラットな立ち位置で空間をかたちにしていく。調整役を担うのは主に設計士だけれど、立場に上下関係はない。

核には常に代表の角谷さんがいて、各々に任せながらも方向性を示し続けている。

今日は、いらっしゃらないんですね。

「今ここにいないのも『任せてるよ』ってことなんです。オーナーや役員のための事務所じゃないよ、みんなそれぞれが主なんだよと」

「ドアが重そうって見られるけど、なかに入ると実はフラットな会社なんです」

その五割一分では現在、オフィスビルの新築移転を計画している。

「今は約20人の会社規模ですが、志を同じくする人をこれからも受け入れたいと考えています。新社屋は『志す』自分たちの工房です。工房のみならず建物は残っていきますから、建てて終わりの自己満足ではなく、次世代の人たちに恥ずかしくないものを残していきたい」

新しいオフィスは、神通川沿いの敷地に、オフィス、インテリアショップと、飲食店などを併設した複合施設になる予定。

市街中心部から程近くにありながら喧騒を逃れられる場所で、社食にもなる飲食店で打ち合わせをしてもいいし、緑のある中庭で食事をしてもいい。

五割一分の空間を自身で体感しながら、人々が集う場の一角で設計をする。発見に満ちた、学びの多い職場環境だと思う。

何より、とっても気持ちが良さそう。

 

今回募集するのは設計士ということで、設計士の金定(かねさだ)さんにもお話をうかがう。

京都府出身の金定さんは進学で石川へ。建築系学部を卒業後、アトリエ系など数社の設計事務所で働き、五割一分へ入社して16年になる。

「アトリエ系だと、所長がラフに描いたものをどう収めるかの仕事がほとんどで。いざ資金面でショートして完成を見ない、なんて悲しい現場も経験してきました」

「五割一分では、個々の設計提案における設計士の裁量は大きいです。それだけでなくインテリアや資金計画まで、お客さまとの関わり合いは多岐に渡ります」

設計スタッフのうち、金定さんが主に担当するのは個人住宅。ただ、商業施設を担当することもあり、完全に分けられてはいない。

「必ず家具まで含めた設計提案をします。空間の中で、人の動線、家具の配置、使い勝手を考えなければ成り立たないと思うので」

専門のスタッフがいるため、今現在インテリアや家具の知識がなくても、相談しながら進めていくことができる。ただ、建築だけでなく、すべてにおいて興味をもって仕事に取り組んでほしい。

30年後、40年後も変わらずに愛着を持って住まい続けてもらえるか。日々続いていく暮らしにおいて、ストレスになるものがないか。

ヒアリングを重視することはもちろん、五割一分ではもう一歩踏み込んで、言葉にされていない施主の暮らしかたや趣向をしっかり共有してから設計に入る。

重要なのは施主の「普段の暮らし」を知ること。そのため、たとえば設計前には必ず施主の自宅に伺い、必要な収納量などを測りながら、現在の暮らし方について教えてもらう。

「ご自宅に伺うのは嫌がられますが(笑)、普段をお見せいただくと、リアルに打ち解けてもらえることが多いです」

「心地よい暮らしに、収納などのバックヤードは必然です。良い光を感じるにはただ大きな窓があればいいわけでなく、光と影、開口部と壁面の関係性が要。常に表と裏があって成り立つ、ということへの意識は強いですね」

訪れるお客さんは、五割一分だからこそ頼みたいという期待や想いを持っているものの、建築には初めて関わる方が大半。さまざまな方向からヒアリングを重ねていく。

「お客さまの潜在的なお好みまでご一緒したいんです。時が経って趣向が移ろっても、なお愛着を増してもらえるものか。ご夫妻で趣向の異なる箇所があるとしたなら、お二人に共有いただけるところに落とし込んでいくのも、僕らの仕事です」

 

「お客さまの潜在意識を共有することは、とても難しくもあり、とても大切な作業ですね」

そう話すのは、隣で話を聞いていた、同じく設計士で入社6年目の森下さん。

商業施設をメインに設計している森下さんは千葉県出身。公共案件・商業施設・集合住宅などを手がける東京の大手組織設計で10年ほど働いたのち、奥さんの出身地である富山へ移住することに。

関東でも仕事があり、富山の良さも体感できる、都市と地方の仕事や暮らしを両立できる職場を探すなかで、五割一分と出会ったそう。

「以前は設計士が300人くらいいる組織にいました。インテリア・グラフィック・建築が同じ場所で生み出される環境はとても新鮮ですね。さまざまな分野のデザインを見て知ることができるので、常に新しい発見があります」

「大規模設計になると、建築と内装は別々の会社が担当することが多く、一貫してデザインされた建築は少ないかもしれません。ここではプロジェクト規模に関わらず、すべてをチームでデザインします。それら全体の調整役を担うのが設計士。大変ではありますが、そこがおもしろさだと感じています」

家づくりにおいて大事なのが住む人の心地よさだとしたら、商業施設の設計では、心地よい空間であることに加えて「収益性」も大きな要素になる。

実際に森下さんが担当している商業施設では、建築のリニューアルが来店者数や売上額の増加に如実に結びついているという。

どんなイメージを持って設計しているのでしょう?

「大切なのは、人が集いたくなる場であることです。クライアントのご要望のみならず、ここに集ってくださるお客さまにとって、心地よい空間になりうるか。まだ見ぬ方々へ思い馳せる部分は、個人住宅とは異なりますね」

お客さんにどういった場所で過ごしてほしいか。商業空間では、施設としての意思がそこに表れる。

「いたずらに造形や質感だけを追い求めず、たたずまい、調和を意識します。ロードサイドが喧騒の中にあるなら、借景は期待できない。そういう場合は、内側に開く中庭を設けるなど、全体像から考えて提案していきます」

「敬愛する柳宗悦の教えには、『美しいものをつくりなさい、使えるものをつくりなさい、無駄なものを削りなさい』とあります。それを実践すると、ときには物足りなさを感じて、脈絡なく足し算をしたくなることもあります。そんなときに、先人の名作家具の力をお借りするんです」

心地よさを生み出す要素への造詣と経験値が社内で共有され、時を経てもなお生産され続ける家具を味方にする。

だからこそ、華やかでスタイリッシュに映るだけではない、心地よい空間がつくられていく。

森下さんも金定さんも、五割一分で自身が設計した家に住んでいるのだそう。

「僕はもちろん、家族がとても満足して暮らしているのがうれしいです」

美しいものをつくるには、美しい場所に身を置くこと。

美しいものと同じくらい、その裏側にあるものへの配慮が必要なこと。

表と裏の意識がある、筋の通った職場だからこそ、健全なクリエイティビティが発揮できるのだと感じました。

腑に落ちるものを感じたら、まずは扉をたたいてみてください。

(2022/5/18 取材 籔谷智恵)

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