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家を建てること。店舗やオフィスをつくること。
経済的にも物理的にも、人生においてそうそうない、大きな選択が必要になる機会です。
そんな選択の過程に立ち会うのが、営業や販売の仕事。心からよいと思うものを扱えたなら、それは感謝とうれしさを巡らせる仕事になっていくと思います。
五割一分(ごわりいちぶ)は、建築設計、インテリア・家具の販売、グラフィックデザインを3本柱とし、それらが響きあう空間設計をかたちにする会社です。
富山市にありながら、仕事は日本各地。県内を中心に個人住宅を多く手がける一方で、ネッツトヨタ富山、カローラ埼玉の社屋、GINZA SIXや虎ノ門ヒルズ内のテナントなど、商業施設の仕事も年々増えています。
特徴的なのは、建築とインテリアや家具、商業施設においてはグラフィックまで、一貫して五割一分のチームで表現する仕事であること。
そこでは設計だけでなく、お客さんとの信頼関係を築く営業と、専門知識に基づくインテリア空間や家具の提案も、大きな役割を担います。
本社オフィスのワンフロアにインテリアショップを持ち、全国の家具店への卸販売も行なっている五割一分。
心地よい環境から、仕事を日本各地に展開していく。
建築営業とインテリア・家具の提案販売の担当者を募集します。
東京から新幹線で約2時間半。路面電車に乗り換えて、けやき並木を歩いていく。
木々に接するようにたたずむビル。裏手には小川が流れ、桜並木が続いている。桜の時期には花びらが飛んできそう。
社屋の2階フロアは明るいインテリアショップ。
ピエール・ジャンヌレの椅子。ポール・ヘニングセンの照明。ピエロ・リッソーニのソファ。やわらかく光を透過するカーテン。
居るだけで元気になれそうなフロアの一角が、営業・インテリア担当者のオフィスにもなっている。
「働くことが、自分自身の暮らしの豊かさにつながる仕事です」
「自分たちが本当に良いと思うのなら、移ろうことなく、いつでもスタンダードな椅子をお勧めすればいい。特別であることより、タイムレスな価値を大切にする会社ですね」
まず話を聞かせてくれたのは、建築営業とインテリア・家具の提案を担当している沖田さん。
五割一分は、もともと個人住宅の建築を請け負ってきた会社。建物の中の「暮らし」までつくりたいと、家具も扱いはじめ、グラフィックも請け負うように。
空間の全体像を構築し、内装や家具、アートまで含めて、時を経ても色褪せないタイムレスな価値を提供し続けている。
「今でいうところのクリエイティブディレクションを、知らず知らずのうちに続けてきたのが当社かもしれません」
この空間で働くなかで、自然と得られるものは大きいと思う。
社員数は、設計が7人、インテリア・家具提案が5人、グラフィックが6人、そのほか経理などを合わせて20人。
住宅は沖田さん、商業施設は代表がそれぞれに営業的役割を担っている現状から、社員を増やして仕事の範囲を広げていきたいと思っているそう。
ここでの「営業」とは、具体的にはどういう仕事ですか?
「おおまかに言うと、建物をつくりたいと思っている方を設計プランナーにつなげるまでの全てです」
住宅の場合、まずは内覧会を企画し、来場者を案内して後日のアポイントメントにつなげる。
家づくりの要望とコスト感をとりまとめて、現実的な着地点を探り、土地探しの手伝いや住宅ローンの事前審査も仲介。設計段階に入ってからも、設計士とお客さんとのパイプ役を担いつづける。
住宅担当の沖田さんはインテリア・家具提案も行なっているため、設計案と合わせてそれらのプレゼンテーションもするのだそう。
竣工写真を撮り、記事も書く沖田さん。営業という言葉のイメージより、多岐にわたるクリエイティブな仕事だと感じる。
「電話、訪問等の一般的な営業活動はほぼしません。成果、目標はもちろん定めていきますが、基本的には、訪ねてくださったお一方お一方との出会いを大切に、生涯で一番大きなお買い物をご一緒させてもらう。そんなふうに思っています」
「何を提供させてもらっているかと自問自答すると、家や家具ではなく『美しい暮らし』なんだと思います」
商業施設など対法人の場合も、お客さんを実際的な設計までつなげる役割は同様。規模が大きくなるぶん、予算の着地点を探りながら、設計の前段階でも、ある程度のイメージを形にすることが必要になる。
どんな場をつくりたいのか。そのためには、どういった資金計画やスケジュール設定が必要か。お客さんと一緒に夢を膨らませつつ、実務に落とし込んでいく仕事といえる。
「僕は営業とインテリア・家具提案の両方に携わっていますが、同じく両方でもどちらかだけでもいい。住宅か商業施設かに関しても同じ。何をどれだけの比重で担当していくかは、入社後にみんなで考えていけばいいと思っています」
今でこそお客さんから厚い信頼を寄せられる沖田さん。ただ、約十年前に入社した当初は、インテリアや家具の知識はほとんどなかったそう。
「知識はあとからついてくるので、今なくてもいい。ただ建築や家具じゃなくても、小説でも映画でも音楽でも、何か熱中したことのある人がいいと思う。そういう人はいずれ掘り下げていけるでしょうから」
「美しいものを求めている、強く希求している人。五割一分のお客さんになり得るような人が向いていると思います」
タイムマネジメントやスケジュール管理、各種の調整力。バランス良く全体を見通す力や、人の言葉に耳を傾ける力、謙虚さも必要になる。
とはいえ、条件的に必ず満たさなければいけないものがあるわけではない。志を同じくできれば、あとは出会ったその人次第で、能力や人柄がどう生きるかを柔軟に考えていきたい。
「休日に関しても仕事がしっかり回っていれば、シフトの組み方次第で、子どもの運動会だから休むとかは全然大丈夫。ちょっと抜けて髪切ってきます、ということでも全く構いません。いろいろと柔軟な職場だと思いますよ」
五割一分では現在、現社屋から車で10分ほどの神通川沿いの敷地に、社屋の新築移転を計画している。
五割一分のチームで、より多くの仕事を残していきたいと考えているのだそう。
川沿いの気持ちよく風が抜ける場所に、自分たちが本当に良いと思うものを通して、共感する人が集まってくる。話すこと、伝えることから縁がつながって、自ずと営業がかなえられていく。そんな場になると思う。
また、東京の代々木にも店舗がある五割一分。年々増えている東京方面からの問い合わせに対応しきれていないのが現状だそう。
希望があれば、行く末次第で東京勤務の可能性も。自然の恵みにあふれた富山に拠点を持ちながら、東京で働く。場合によっては、理想的なデュアルライフがかなえられるかもしれない。
「自分がつくりたいと思っていた空間が既につくられていた、しかも富山で。そこにインパクトがありました」
三重県出身の伊藤さんは、前職の同業他社での仕事を通じて五割一分を知り、強く惹かれて入社。今年で5年目になる。
「僕は昔から、建築設計とインテリア・家具提案は一緒にあるべきで、分けて考えられることではないと思っていました」
伊藤さんの仕事は、2/3が商業施設などのインテリア・家具のプランニング、1/3がストアでの店頭販売。
店頭販売といっても、基本はヒアリングからはじまる提案で、親身に相談に乗りながら、LDKや家全体のコーディネート提案へとつなげていく。
ただ、お客さんが五割一分をよく知らない場合、はじめの段階では「理解されにくさ」を感じることが多いそう。
「うちで扱っているものは、永く使う事を前提とした“良いもの“です。良いものは高額でもあるので、最初は腰が引けてしまわれがちです」
デザイン、アートに伴う価格や付加価値のわけ、背景、ヒストリー諸々について話をしていく。
なぜこのアイテムが相応しいか伝えることで、そのものたちの伝道師でありたいという。
「良い家具は、メンテナンス性も含めて世代を超えて永く使えるものが多いです。五割一分が提案するのはスタンダードなものが主ですから、流行も関係ありません。長い時間で考えると、決して高くないはずですよ」
「家具は、洋服のように季節や流行に合わせて買い替えるものではありませんが、まだ日本では『生涯使える家具を選ぶ』という歴史が浅く、マーケットが成熟していないように思います。その認識の違いからお話することが多いですね」
「設計はできなくても、インテリアを選ぶことはできそうな気がしますよね。でも、実は難しくて」
隣で言葉を重ねるのは、入社して4年の西野さん。インテリア関係の会社にいくつか勤め、直近は五割一分の取引先の家具メーカーで働いていた。
今は店頭での提案販売のほか、五割一分が国内販売元であるインドのphantom hands社(ピエールジャンヌレ作品)等の販売プロモーション、 全国にある卸先の家具店さんとのやりとり、東京店のフォロー、Webサイトの更新など、多岐にわたる仕事をしている。
「丁寧に厳選されたプロダクトだけを、美しい空間の中で設えているショップは、都内にも意外とないんですよ。私は富山出身ですが、地元に帰りたかったわけではなくて。もし五割一分が北海道や九州にあったなら、そこへ行っていました」
お話から、五割一分が提供するものが好き、という気持ちが素直に伝わってくる。西野さんだけでなく、社員の多くは、自宅用の家具を自社ストアで揃えているそう。
「そこに価値を感じているからだと思います。タイムレスな造形に加えて高い品質も伴いますので、日常の手入れをしていくなかで、自分にとって唯一無二になっていくのがうれしい」
「北欧では、おばあちゃんから椅子を引き継ぐなど、世代を超えて家具を伝えていく文化があるそうです。日本ではまだインテリアに消耗品のイメージがありますが、私たちは愛着という付加価値も提供したいと思っています」
単に消費されず、長い時間のなかでも魅力を失わない、むしろ増していく価値を伝えること。
「新しい事務所は、面積は大きくなりますが、家具でフロアを埋め尽くすのではなく、置くものは必要最小限にして。丁寧にお話をうかがいながらご提案をしていきたいですね」
「五割一分は「特別」を探求してはいません。普遍的で、日常にそっと寄り添ってくれる「美しい暮らし」をつくり続けていくのだと思います」
(2022/5/18 取材 籔谷智恵)