求人 NEW

不動産とマーケットで
湘南を面白くする
イタズラをしかけよう

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「僕たちのやってることは、『藤沢駅前を、自分たちが面白いと思える場所にしたい』ってことにつきますね」

湘南の玄関口として知られる神奈川県・藤沢駅。

藤沢駅前にこだわって、不動産管理や、ユニークな生産者を集めたマーケットの企画運営など、さまざまな事業を手がけている株式会社角若松。

これらの事業に共通するのは、まちをワクワクする場所に変えていきたいという熱い思いと、遊び心です。

今回は、2つの職種を募集します。まずは、藤沢駅前のビル管理やプロモーションを行うプロパティマネジャー。もう一つは、駅前で開催されるマーケットの運営担当者です。

不動産管理の経験はなくて大丈夫。むしろ未経験で、固定概念のない人を求めたいとのこと。

仕事の一つひとつが、まちの未来につながっている。そんな実感を持って働ける職場だと思います。

 

鎌倉駅から江ノ電に乗り、稲村ヶ崎駅へ。

線路に沿って5分ほど歩く。踏切のない場所を渡った先には、155段もあるという階段が。

すこし息切れしながら、ひたすら階段を登っていく。

頂上には、木造の趣ある建物。藍染の暖簾をくぐって中に入ると、まず目に入るのが、海が見える会議室だ。

開けっぱなしの窓からは、優しい風が吹き抜けて気持ちがいい。

毎日こんな景色を見ながら仕事ができるなんて羨ましいな。

「階段、大変だったでしょう。遠いところからありがとうございます」

爽やかな笑顔で迎えてくれたのは、代表の増田隆一郎さん。

もともとは、藤沢駅前で飲食店を営んでいた角若松。隆一郎さんのお父さんの代に不動産業へ仕事を変え、隆一郎さんで5代目になる。

「藤沢駅前って、湘南エリアの中で一番文化的に遅れていると思っているんです」

文化的に遅れている?

「湘南エリアのインフラの中心だし、企業の支店があつまる場所でもある。工場やマーケティングから生まれたものに囲まれている駅なんです。便利だけど、面白みがないし、人口が減ったらそのまま廃れていってしまうと思っていて」

このまちにしかない、面白いものをつくっていきたい。そんな思いから2021年に始めたのが、MARKET 251。

藤沢駅前周辺のエリアマネジメントを担っている一般社団法人から企画運営を受託。駅前の広場を使って定期的にマーケットを開催している。

251には、無農薬野菜やいくつもの工程を重ねてつくったお菓子など、全国からこだわりの出店者が軒を連ねる。

ほかにも、パンやクラフトビールなどテーマを絞ったマーケットや、夜市も展開。今後もさまざまな企画をしていく予定だそう。

「僕たちは、マーケットでまちをデザインしたいと考えていて。たとえば、職人さんがこだわり抜いてつくった食が集まる場があれば、それに興味をもったお客さんが集まってくる」

「そんな積み重ねが、まちの『色』をつくっていくと思うんです」

大切にしているのは「自分ごと」としてとらえること。万人受けを狙うのではなく、自分たちが心の底から面白いと思える場づくりを目指している。

マーケットでも、DJブースをつくったり、大量のヨギボーを広場に置いてみたり。遊び心のつまった仕掛けがたくさんある。

次から次にアイディアを話してくれる。まちの人に楽しんでもらうのはもちろんだけど、なにより隆一郎さんが一番楽しそう。

自分たちが面白いと思えるものをつくる。そんな姿勢は、ほかの事業にも通じている。

たとえば、藤沢駅南口を出てすぐのところにある商業施設「フジサワ名店ビル」のプロモーション。

フジサワ名店ビルは、約60年前に建てられた常連に愛されている施設。一方で、新規のお客さんの呼び込みが課題で、売り上げも下がっていた。

角若松は、5年ほど前にビルのオーナーの一社となり、プロモーションを担当している。

「私も仕事で関わるまでは、自分が遊びに行く場所じゃないって思っていたんですよね。でも、実際に行ってみると、いろんな店が混在しているカオスな空間で面白くて」

一度もビルに来たことのない人に足を運んでもらって、このビルの面白さを知ってもらいたい。そんな思いから考えたのが、建物の上部から吊り下げる懸垂幕。

当時はコロナ禍の真最中。藤沢弁を使って「自粛は戦いだべ」というフレーズを掲げた。

新しい取り組みに、当初は反対の声も多かった。「汚い言葉使いのものを駅前に出すな」と苦情の電話がくることも。

「よっしゃー! って気持ちでした。わざわざ怒って電話するって、相当エネルギーがいること。それだけ心を動かせたってことだと思うので」

懸垂幕はSNSでも拡散。プロモーションの甲斐もあり、来館者数は増加傾向にある。

「向かいのビルに入っているハンバーガーチェーンが、『やっぱ藤沢だべ』っていうポスターをつくってくれたり、江ノ電で企画している壁画アートでも懸垂幕に似たデザインのものが出てきたり。うれしい影響がたくさん出てきています」

一つのビルの取り組みが、少しずつまちに広がっていくってすごいこと。

「まちづくりと言うのはおこがましいかもしれないけれど、これからもそういう仕事をしていきたいと思っています」

 

そんな角若松を支えているのが不動産管理事業。

プロパティマネジャーとしてその役割を担ってきたのが、弟の豪介さんだ。

パートナーとともに新しい事業を立ち上げるため、今年中に卒業する予定だそう。新しく入る人は、最初の3ヶ月間は豪介さんから仕事を教えてもらいながら業務を引き継いでいってほしい。

「うちでは、不動産の管理だけじゃなくフジサワ名店ビルのプロモーションや、マーケットの手伝いなど広くまちづくりに関われる。そういう会社ってなかなかないんじゃないかな」

現在の角若松の社員は4人。人数も少ないので、分担しながらもみんなで事業に取り組んでいるそう。

プロパティマネジャーも、名店ビルのプロモーションに加え、マーケットの企画会議に参加したり、当日の運営を手伝ったりすることになる。

業務の中心となる、不動産管理ってどんな仕事なんでしょう。

「パズルゲームの『テトリス』に似ているなって思いますね。いろんな種類の問題や業務が次々に降ってくる。それをうまくこなして、問題なく回っている状態をつくれるのが結構面白いですよ」

プロパティマネジャーは、ビルのオーナーからの委託を受けてビルの価値を最大化させる仕事。テナントを誘致するリーシングから、ビルの修繕計画の作成、警備や掃除の管理まで、仕事内容は多岐にわたる。

「結構、アイディア勝負な部分も多くて」

「たとえば、現場スタッフの管理。掃除や警備をする現場のスタッフさんって、ビルで働いてる人やビルの利用者さんたちから対等に見られないことも多いんです。そういう経験が積み重なると、『自分なんて』って思っちゃう人もいる。そういう方々に、どうしたらやりがいをもって働いてもらえるかはアイディア次第」

やる気を持ってもらおうと、スタッフを集めて、ビルが目指しているビジョンを共有。ビルにまつわるクイズを出して、みんなでお菓子を食べながら交友を深めたり、スタッフから提出された過去1年分の報告書を見せて感謝を伝えたりもしたそう。

「すごく喜んでもらえました。掃除ひとつとっても、相手の顔が浮かべば『もっと綺麗にしよう』と思ってくれると思うんです。それに、少しでも気になることや不審なことがあったら報告しやすい関係性もできる」

現場スタッフや、テナント、オーナーなど。たくさんの人と関わる仕事だから、豪介さんのように、ちょっとした気づきや工夫ができたりする人が向いていそう。

「プロパティマネジャーは、地味な仕事も多いんです。排水溝が詰まったとか、何かが壊れたとか。クレーム対応も結構ある。でも、ビルの外観が綺麗とか使いやすいとかって、いいまちにつながると思っていて」

ビルで過ごす時間がいいものになれば、おのずと人が集まるまちにつながっていく。角若松で働く人の視点には、やっぱりまちづくりがある。

 

マーケット担当の中野さんにも話を聞く。

笑顔が素敵で、柔らかい雰囲気のなかにもしっかりとした芯がある。そんな印象の方。

「新しいことの発見、出会い、学びが溢れていて。すごく楽しいです」

もともとは、海外のレストランを日本に展開する会社で20年以上働いていた。

「わたし、地元が藤沢なんです。幼稚園から高校までこの土地で過ごしてきて。いつかはこっちに戻ってきたいなと思っていたころに日本仕事百貨の記事で角若松のマーケットを知りました」

「藤沢でこんなマーケットやってるの? って、驚いて。すごく面白そうだなと。もっと話を聞きたいと思ってすぐに応募しました」

企画を考えたり、出展者を集めたり。日程調整や売り上げの管理など、マーケット事業にまつわることすべてに携わっている。

「企画のアイディアは隆一郎さんからぽんと出てきて。それを色付けしたり、具体的な企画に落とし込んでいくところを任せてもらっています」

先週は、初めてクラフトビールのマーケットを開催した。

「雑誌を読んだり、ネットで情報を探したり。売れそうっていうだけじゃなくて、こだわりをちゃんと持っていらっしゃる出店者さんにお声がけをするようにしています」

ここで隣にいた隆一郎さんが「ほとんどの出店者さんは中野さんが直撃して集めてくれたんですよ」と、一言。

直撃ですか。すごい。

「突然行くのでみなさんびっくりされます(笑)。遠いところに行く場合は事前に連絡しますが、お返事がなくてもどうしても出ていただきたいところは、直接会いに行っちゃいます」

普段から、まちを歩きながら気になるお店をチェックしているという中野さん。新しく加わる人も自分の感性を大切にしながら、出店者探しやマーケットのアイディアを出していってほしい。

「ちゃんと自分の意見を主張できる人が来てくれたらうれしいです。ずっと一緒に働いていると意見が似てきてしまいがちなので、どんどん発言して新しい視点を出してくれたら」

楽しそうに仕事の話をする姿が印象的な中野さん。この仕事のやりがいってなんでしょう。

「こだわりを持ってものづくりをしている生産者さんと関われるっていうことと、いろんな人に喜んでもらえることですかね。マーケットをやってると、何気なく歩いている人たちが『藤沢ってなんかいいまちだね』って話しているのが聞こえたり、『すごく楽しいからいつも来てるよ』って声をかけてもらったりするんです。それがすごくうれしいし、もっと頑張ろうと思います」

 

取材での、隆一郎さんの一言が印象に残っています。

「僕らのしていることって、まちにイタズラをしかけることだと思っていて。みんながワクワクするようなイタズラをどんどん仕掛けていきたい」

藤沢駅前は今後、どうなっていくんだろう。

話を聞きながら、このまちの未来を想像して、心が躍りました。

ともに面白いまちをつくっていきたいと思う人を待っています。

(2023/04/09 取材 高井瞳)

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