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車やジュエリー、家や土地。
人生で大きな買い物は、信頼できる人から買いたい。
だからこそ、不動産という大きな買い物ながら、「この会社なら大丈夫」という口コミを中心にお客さんがやって来ているこの会社のことは、はじめて取材した7年前からずっと印象に残っています。
住まいの松栄(松栄建設株式会社)は、横浜・妙蓮寺にある不動産建築会社です。64年にわたり妙蓮寺エリアに深く根づき、賃貸や売買、建築を中心に住まいの仕事を手掛けています。
また「仕事で得たお金を、街に還元する」という考えで、街のWebメディアを立ち上げたり、シェアキッチンやワークルーム、キッチンカースペースをつくって運営したりと、街の人の生活が少しよくなるような仕掛けをおこなっているのも特徴です。
社長の酒井さんはこう話します。
「まだこわいイメージのある不動産業界だからこそ、まじめに仕事をすることに意味や価値があると思います。この仕事って、街の人の暮らしを支えられる、本当にいい仕事なんですよ」
今回は、主に不動産の売買を担当するコンサルティングスタッフを募集します。未経験の方も歓迎です。
渋谷から妙蓮寺までは、東急東横線の各駅停車で30分。
平屋の駅舎を出ると、踏切の向こうに商店街が見えてくる。
店主の元気な声が響く八百屋さん。本屋さんでは、子どもが立ち読みしている。おしゃれな雰囲気の立ち飲み屋さんは、ランチのお客さんでにぎわっているみたい。
松栄は、商店街を5分ほど歩いたところにお店を構えている。
店内は、隣の公園から届く木漏れ日が心地いい。子ども用に、ぬいぐるみがソファいっぱいに置いてある。
「このエリアは横浜にも渋谷にも出やすいし、商店街やスーパーがあって住みやすいので、ファミリー世帯にも人気です。僕が子どものころは、ドラえもんのような空き地があって、小学生が野球しているような場所だったので不思議な気持ちですね」
そう話すのは社長の酒井さん。
今年で64年目をむかえる松栄建設は、不動産の売買や仲介、建築などを手がける住まいのプロフェッショナル。
創業以来、お店を中心に半径数kmの範囲にしぼって仕事をしていて、地元では「松栄さん」と親しまれている。
「不動産業界って、ギラギラしたこわいイメージがあると思うんです。僕自身も、母親が倒れてうちに入るまで『絶対に不動産屋だけは無理!』って、CGデザイナーになったくらいでした」
「だからこそうちでは、強引な仕事は絶対にしない。お客さまに売り込むことはしないんです」
酒井さんとお客さんとのエピソードは、印象的なものがいくつもある。
たとえば、実家を売却したいけれど、私道や水道管が入り組んでいてどこの不動産屋にも断られてしまった、という方が相談に来たとき。
解決するには、近隣の方全員と私道の承諾書を交わし、水道管を市に譲渡するという時間も手間もかかる方法しかない。
酒井さんは周囲の家を一軒ずつ訪ねて、3年かけて全員から許可をもらい、売却までたどり着いたそう。
ローコストや高価格買い取りではなく、不動産のパートナーとして何でも相談できることを大事にする松栄らしいエピソードだと思う。
「眺めのいいところに家を買いたいという相談があれば、まず高台の土地を一緒に探すのがうちの仕事だと思っています」
「僕たちはプロの目線でメリットとデメリットをしっかり伝えて、お客さまが納得のいく判断ができるようにサポートします。だからうちでは営業ではなく、コンサルティングと呼んでいるんです」
妙蓮寺エリアに、長く深く根づいて商売をする松栄。いつしか酒井さんは、不動産建築で得た売上をこの街に還元するのが会社の役割だと考えるようになった。
最近では、街の人の声をもとに “チャリンコ圏内” の人が集まれるシェアキッチンをつくったり、狭く深くをモットーに、妙蓮寺エリアの人やお店を取り上げる『菊名池古民家放送局』というWebメディアを運営したり。
さらに酒井さんの個人的なつながりを活かしてお店を商店街に誘致するなど、街の人の「あったらいいな」を形にしてきた。
「大事なのは、ボランティアではないということです。不動産建築でいい仕事をして適切な対価をいただき、その利益をスタッフと街に還元する。そのうち街の価値が上がって、ここに住みたい、売りたいという人が松栄にやってくる。売上、まちづくり、集客という循環が松栄のビジネスモデルなんです」
「社員にはあえて『うちはお金を稼ぐことから逃げないよ』と言っています。何かよさそうなことをして終わりじゃなくて、いい仕事をして利益を出して、みんなで分配し、自分たちも物心両面で豊かに暮らすまでがセットです。最高益を目指すことや個人ノルマはありませんが、会社の予算は毎年しっかり立てています。全員でコツコツ頑張って稼ごうという会社です」
今回募集するスタッフは、会社のコアである不動産建築で、売買を中心に担うことになる。業界のセオリーよりも松栄の仕事のしかたを大切にしてほしいから、未経験者こそ歓迎したい。
最初の1~2年は、先輩たちの商談や打ち合わせに参加したり、調査や書類作成を手伝ったりしながら、一人前になるための知識や経験をつけていく。
宅建をはじめとする勉強もふくめて、一人前になるまでは3年はかかると酒井さんは考えている。不動産で一人前になったあと、建築分野を学び、両方を横断した仕事をしていくこともできるそう。
「僕が考える不動産のプロは、どのようなお客さまが来ても、相手の理解度に合わせてアドバイスができて、メリットとデメリットをすべて伝えられる人です。その場しのぎの仕事は決してしないでほしいので、『これくらいでいいや』という仕事ぶりへの厳しさはあると思います」
だからこそ、いい仕事をしたいという人には会社として誠実に応えていきたい。
「このあいだお話した会社が『月に1回、いい寿司屋に行けるくらいの会社にしたい』と言っているのがいいなと思って。うちは、子どもを私立学校や習いごとに通わせられたり、家を買えたりする収入をしっかり出せる会社であり続けたいと思っています」
「何より、不動産ってやればやるほど面白い仕事なんですよ。今も、賃貸で出会った方が子どもを連れて家の購入の相談に来てくれていて。すごくうれしいし、人の暮らしと生活を支える仕事って本当にいいなって思うんです」
売買と建築を手がける松栄では、家や土地に関するほぼすべてが仕事になる。
現在、売買を中心に担っているコンサルティングスタッフは3名。みなさん転職時には未経験で、松栄で一から知識や経験を培ってきたそう。
蜜澤(みつざわ)さんもその一人。もともとは松栄で家を購入したお客さんだった。
不動産購入では、検索サイトで見つけた土地や家を目当てにお客さんが来店するケースが世間一般では多いそう。
対して松栄では「このエリアで家を買いたいけど、何から始めたらいい?」という手前からの相談が主流。蜜澤さんたちがヒアリングしながら、お客さんの要望や考えを整理し、少しずつ具体的な条件に落とし込んでいく。
「お客さまの希望条件を100%満たす物件は、どれだけ予算を上げてもなかなか出てきません。お客さまが本当に大事にしたいのは何なのか、お話しするなかで明確にしていきます」
「たとえば、なんとなく南向きを希望条件にあげていたけど、家族が日中仕事や遊びで出かけているなら必ずしも南向きじゃなくてもいいかもしれない。相談するなかで、当初と全然違う、でも自分たちらしい希望条件になったというケースも珍しくないです」
松栄には他の不動産会社で断られてしまったケースなど、難しい案件も持ち込まれてくる。
そんなときには、自分で調査や勉強することはもちろん、先輩や司法書士、測量士、銀行など、社内外の人と連携して対応していく。
「僕もまだ仕事が一通りできるようになった、とは思っていなくて。お客さまの期待値も高いですし、日々身につけなきゃいけないこともある。現状に満足せず、どうやったらお客さまにわかりやすく説明できるか、常に考える姿勢がうちでは大事だと思います」
週に一度のチーム会議では、各案件の進捗報告や相談をおこなっている。
ただ、お客さんにどのような提案をするかは基本的に個人に任されているそう。裁量が大きいことは、裏を返せば各スタッフが責任をもって進めることでもある。
「不動産は大きなお金が動くので、第一に正直に。お客さまが判断できるようにメリットデメリットをお伝えするのはもちろんですが、全部の判断を委ねるのではなく、『この条件ならメリットのほうが大きいです』とか『賃貸のほうがいいと思います』とか、プロとしてのおすすめもアドバイスすることは意識しています」
予算やタイミングの都合で検討をやめたお客さんが、「もう一度蜜澤さんにお願いしたい」と戻ってくることもある。何かあったときに思い出してくれるのはうれしい、と蜜澤さんは話していた。
松栄はここ数年、SNSやYouTube、自社のWebメディアに力を入れていて、大きな集客ツールになっている。
今、その運営を担っているのが、入社して4ヶ月の広報担当・橘川(きつかわ)さん。
橘川さんの前職はシステムエンジニア。営業に同行するなかで、商品やサービスの魅力を伝えることに興味を持ち、広報への転職を考えるようになったそう。
「たまたま日本仕事百貨で松栄を見つけて、街全体を考えて仕事する姿勢が素敵だなと思いました。でも小さな会社に入る不安とか、『本当にここまでやれているの?』と疑う気持ちもちょっとありました(笑)」
「面接で酒井と話してみて、人柄で掴まれたというか、大丈夫だと思えて。転職先では自分が本当にいいなと思えることを仕事にしたかった。ここなら自分に嘘をつかずに働けそうだと思って、入社を決めました。まじめで誠実な印象は入社後も変わっていません」
数百人規模の会社から、13名 の松栄への転職。
意思決定のスピードや、柔軟な対応には驚くことが多いそう。
「予算内でお客さまの要望をなんとか叶えようと、知恵をしぼっている姿をよく見かけますし、接客スタイルもマニュアル通りではない、それぞれの個性があって。酒井は雑談から信頼関係をつくっていくのがうまくて、蜜澤はやさしい雰囲気で話しやすいし、街に詳しい。一つひとつの仕事をミスなく丁寧に進めるのが得意なスタッフもいます」
「担当や役職は違うんですけど、どの社員もこの仕事に誇りを持っているんだなと感じます。誰もしんどい顔をしていないんですよね。いい仕事をしている実感がそれぞれあるんだろうなと思っています」
取材を終えて、「駅まで街を案内しますよ」と酒井さん。すれ違いの方から声をかけられて、立ち止まって話すシーンを何度も見かけた。
松栄のスタッフは、こんなふうに日々街で声をかけられるそう。
半径数kmという目の届く範囲を大切に、街の人の暮らしと生活を支える。街のあちこちに、自分が関わった仕事や人が増えていく。
そんな日常に喜びを感じられる人に、きっとこの会社は向いていると思います。
(2024/07/05 取材 遠藤真利奈)