求人 NEW

考え続ける
木村さんと一緒に
都市型ワイナリーをつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

毎日1本は栓をあけるほど、ワインが好きな木村さん。

2000年に株式会社デンカシンキを立ち上げ、長年、太陽光発電システムの設計・施工やメンテナンスなどに取り組んできました。

今年で52歳。現場の経営は引き継いで、新しい挑戦を始めます。

「BLUE WAX WINERY」。

木村さんが来年の春、地元愛媛・松山にオープンさせる都市型ワイナリー兼レストランの名前です。長野や北海道など、国内のさまざまなワイナリーに出向いては、将来自分でワイナリーをつくりたい、と想いを膨らませてきました。

場所は松山を代表する巨大アーケード、大街道。厳選したワインのセレクトと、自分たちで醸造したワイン、そして蕎麦や一品料理など和食とのペアリングも楽しむことができます。ゆくゆくは自家農園でブドウの栽培も。

今回は、シェフとソムリエを募集します。

レシピの考案やオペレーションなど、一からお店をつくっていきます。どちらも経験や資格があるに越したことはないけれど、料理とワインが好きで、木村さんたちと一緒にワイナリーをつくってみたいと思う気持ちが何より。

柔軟な考えで動き続ける木村さん。ワクワクすると思います。

 

古くは松山城を中心に発展してきた松山。

俳人・正岡子規の生まれ故郷であり、夏目漱石の「坊っちゃん」の舞台となった文学のまちでもある。中心地には、2021年に30年ぶりの大規模改装をしたばかりの松山三越。近くには道後温泉もあり、さまざまな魅力がギュッと詰まっている。

松山三越の目と鼻の先にあるのが大街道。

長さ483mの巨大アーケードには、さまざまな飲食店が立ち並び、訪れたときも市内の若者や観光客でにぎわっていた。

この一角にBLUE WAX WINERYがオープンする。

地下1階、地上2階、屋上付きの3階建てワイナリー。地下はワイン樽の貯蔵庫と音楽を楽しめるカウンターバー。地上は吹き抜けのレストランで、およそ50席が並ぶ。さらに屋上では、ブドウを育てようとしている。

どうしてこの場所でワイナリーを開こうと思ったんだろう。

木村さんに話を聞くため、向かったのは株式会社NINOのオフィス。BLUE WAX WINERYのブランディングを担当しているデザイン会社だ。

案内してもらった部屋に入ると、木村さんが迎えてくれる。少し強面に見えるけど、温かみがあって謙虚な方。

「ずっと考えてるところはあったんですよ。ワイナリーをやりたいなって。でも松山を離れて、人脈もまったくない長野とか北海道でやるのは難しいなと思っていて。そんなときに深川ワイナリー東京の存在を知りました」

深川ワイナリー東京は、東京都江東区にある都市型ワイナリー。

都心のビルの上でブドウの生育に挑戦したり、世界初の空港内ワイン醸造所を立ち上げたり。本格的なワインづくり、そしてビジネスでも第一線で活躍している都市型ワイナリーだ。

代表の中本徹さんも、まったく別分野の事業からワインづくりを始めた方。彼の著書を読んで、都市型ワイナリーであれば、地元の松山でも始めることができるのではないかと感じた。

「自分が行きたくなるような、味にこだわった日本ワインのお店をつくりたいと思っています。まだまだ日本ワインって美味しくないイメージがあると思うんですよ。ちょっとジュースみたいで甘いというか」

「でも、本場の長野とかで飲むと全然違うんですよね。自分もそれで日本ワインが好きになって。そんな日本ワインの良さを広めていきたいと思っています」

ワインづくりや経営については、深川ワイナリー東京の中本さんに直談判して、コンサルティングのお願いをすることに。仕入れるブドウは、長野の生産者を訪ねた。

「以前から長野で購入しようと決めていました。ワイナリー巡りをしているときに、信州ワインバレーっていう長野ワイン特区があることを知って。ここは酒造免許取得に対する年間製造量の条件が低いので、小規模ワイナリーも事業を始めやすく、ワインづくりが盛んなんです」

そのなかでも、木村さんが選んだのは千曲川ワインバレーという地区。降水量が少なく日照時間が長い、水はけがよくワイン用のブドウ栽培に適している地域。

土地の雰囲気と、何よりもそこでつくられるブドウ、そしてワインが好きだった。

「20軒ほどワイナリーがあるんですけど、飛び込みで回って。なかなかオーナーさんと会うこともできなかったり、会えても人気で卸せる量がなかったり。そんななか出会えた大規模な農園さんから、ありがたいことに卸してもらえることになりました」

思い立ったら行動されることが多いんですね。

「やり方を知らないだけだと思うんですけど、ツテもないしコネもないから、直接動いたほうが早いイメージがあって」

「まわりの社長さんを見て、きちんと計画もされてるんでびっくりするんですけど。本当にやりたいなと思ったら行動できるんです」

 

「木村社長って、打ち合わせ時に毎回考えがアップデートされているんですよね」

続けて話してくれたのは、NINO代表の二宮さん。グラフィック、Webデザイン、内装設計など、クリエイティブにまつわることを幅広く手がけている。

「木村さんはずっと考えていて。それでいて、どんなことも1回話を聞いてくれるんですよね。芯はあるけれど、まわりの意見を冷静に取り入れて進めていく。そんなスタイルがいいなと思って」

「僕らはそんな木村さんの今の考えや気分を、デザインで可視化していくスタンスでやっていこうと思ったんですよ」

気分を可視化する?

「たとえば、新しくお店をつくるときってコンセプトをバチっと決めて、それをデザインに落とし込むことが多いと思うんです。でも、今回はそういうふうに進めていなくて」

「ロゴもいろいろと変わったんです。はじめはもっと抽象的なデザインだったけど、木村さんって手の指を口元に当てて考える癖があるんですよね。それを擬人化しようと」

NINOは、木村さんの自然体な感じをワイナリーに落とし込んでいきたいと考えている。連携している建築チームとも相談して、構造はできるだけシンプルに、期間や予算のなかで木村さんが納得いくまでアップデートできるように進めているのだとか。

コンセプトありきではなく、人を中心に置いたブランディング。日本ワインと聞くと高尚なイメージもあるけれど、顔が見えると親しみも湧いてくる。

工場のような雰囲気に惹かれるという木村さん。内装は無骨な感じをイメージしつつ、間口を幅広くして気軽に入りやすいお店にする予定だ。

「これだけ資源が多様な地域ってなかなかないと思うんです」

すぐそばには穏やかな瀬戸内海と、黒潮が流れ込む太平洋。養殖業も盛んで、魚介類が豊富。標高1400メートルの四国カルストでは、にんにくを育てている人もいる。

「各エリアに食文化が根付いていて。この場所が食材のハブになる可能性もあると思っています。新しく来られるシェフの方も、和食に限らず、スイーツづくりができる人などが来ても面白い化学反応が起きるんじゃないかな。今から楽しみです」

 

「いつも二転三転してしまって本当に申し訳ないんですけど(笑)」と、木村さん。

今回募集するのは、シェフとソムリエ。お店としては、単に日本ワインを飲んでもらうだけでなく、醸造の過程やブドウの産地など、ストーリーも丁寧に伝えていきたい。

「ちょっと前まではコースで考えていたんですけど、今はそばと一品料理を考えています。日本ワインの特徴は、繊細さというか。やっぱり和食が合うと思っていて。いろいろとメニューを考えている最中なんです」

いいなと思ったものはメモしているようで、何回もスクロールしないと見切れないほどの量が書き記されている。

シェフは和食の経験が必要になるけれど、アイディアは木村さんと一緒に壁打ちしながら決めていけるといいと思う。

「料理の知識を持った人が来てくれれば、その人の話はやっぱり受け入れていきたいと思っています」

「ソムリエの方は、お店も仕切ってくれる店長さんをイメージしていて。ただ、資格をこれから取りたいって方でも構いませんし、経験のある方に入ってきてもらってもいいですし。ワイン好きな方が来てくれたらなと」

 

最後に話を聞いた富阪さんは、ワインのことについて相談に乗ってくれると思う。

デンカシンキでは、オール電化設備や、太陽光発電設備の定期的なメンテナンスなどの仕事を担当。BLUE WAX WINERY立ち上げを機に一から醸造にチャレンジすることになった。

「何年も前から、社長がワイナリーをつくりたいっていう話をしていて。醸造担当は外部の人で決まりそうだったらしいんですけど、最終的に断られてしまったので社内にも声がかかったんですね。社長の夢なら叶えるしかないと思って、手をあげました」

今は深川醸造所で修行をしている最中。自社でつくるワインや、醸造所の設備についても準備を進めている。

8割はブドウで決まると言われるワインづくり。

「簡単なのかなと思ってたんですけど、想像以上に頭を使うなって」

「温度であったり、酸素の量とかいろいろと管理する必要があって。ある程度のマニュアルを覚えたら、実際に自分の目や鼻や舌で感じて判断していくしかないんですよ。あとはタイミングですかね。最終的に商品にするところが、一番大事です」

瓶詰めでわずかに入る酸素と、コルクから入る微量の酸素がワインと反応して熟成が進んでいく。瓶詰めの工程が独特の香りや味わいに影響するので、最後まで見極める必要がある。

今のところ、年間2万本以上の生産を予定している。長野の農園では、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールにシャルドネなどを育てているので、それらのブドウを使ってワインをつくっていく予定。

「自分がつくったものを出せる機会ってそうそうないじゃないですか。それがいろんな人の手に渡って飲んでもらえるっていうのは、いいですよね。今まで経験したこともないですし、手料理を食べてもらう人の感覚に近いのかも。楽しみです」

富阪さんは、どんな人と働きたいですか。

「料理とワインに興味がある人で、柔軟性のある人ですかね。社長から新しいアイディアが出てきて、そこにチャレンジしたいとか、自分から前向きに案を提案できる人だと面白いんじゃないかなと思います」

 

このプロジェクトに関わっているNINOのメンバーが、「木村さんは冷静だから、いいプロダクトができると思う」と話していました。

自分がやりたいと思うことを形にしたい。でも右も左も分からない。

それなら、知っている人に聞きに行こう。動いて、助けてもらいながら進めていく。余白があるから、そこにみんなも関わりたいと思うのかもしれない。

木村さんたちと一緒に考えて、松山から日本ワインを広めていきませんか。

(2024/10/08 取材 杉本丞)

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