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自分の手がけたものが、社会に何を残すのか。社会になにかしらのインパクトを与えている、と思えるのはどんなときか。
人によっては、自分で作った音楽やアートかもしれない。大きなビジネスを生み出すことかもしれない。
デザインという手法で、世の中に問いを投げかける。「こんなものの見方ができる」と、従来の枠組みにとらわれない発想の転換を提案する。
軽やかに、でも核心をつく。ROLEの活動にはひとつの軸が通っていると感じます。

高岡に拠点を置き、伝統産業をはじめ地域との関わりも深い、株式会社ROLE。
デザイン事務所ではあるけれど、「こういうデザインをしてほしい」ではなく「どうしたらいいだろう」と漠然とした相談から始まる依頼がほとんど。
クライアントの課題感を根っこまで掘り下げて考えるうちに、新しいプロジェクトの立ち上げに至ることも多いといいます。
3年前には日本仕事百貨を通じてプロジェクトマネージャーを初募集。
新たな力を得て、当時描いていたビジョンを次々と形にしてきました。今回募集するのは、同じくプロマネとしてクライアントの課題に寄り添い、道筋を提案していく人です。
独立や起業も視野に入るほど、いろいろなことが学べる職場。
まずは気軽に4年ほど。経験を積みに、留学のように高岡へ拠点を移してみませんか。
富山県・高岡市は、日本一の銅器の産地として知られるまち。
400年以上にわたり、仏具や花器、銅像、建築装飾といったさまざまな金属工芸を生み出してきた。
駅を降りると、うっすらと雪が積もった立山連峰が見える。駅前は明るく整備されていて、少し離れると昭和の面影を残す路地裏や、歴史を感じさせる建物の姿が。
ROLEのオフィスがあるのも、そんな昔ながらの雰囲気が漂う一角。

扉を開けるとパッと目に入ってきたのは、いくつものアート作品。
事務所の手前をギャラリースペースにしていて、定期的に展示会を開催しているのだという。

企画を手掛けているのは、ROLEで代表を務める羽田さん。
美大で木工を学び、卒業後はギャラリーへ勤務。
年間30を超える展覧会 のフライヤーやキャプションなどをすべて自作していた経験を元に、10年前にROLEを立ち上げた。

「チラシの注文であっても、訴えかけたいサービスや商品が成立しているか、そこから考えるのが独立当初からのスタイルです。結果として新たなプロジェクトにつながることもよくありますね」
たとえば、東京のアパレルブランド「ALL YOURS」と共同で立ち上げたアップサイクル・プロジェクト「ROLE YOURS」。
きっかけは約3トンの不要着を回収したALL YOURSから、Tシャツをテーマにした企画の相談を受けたこと。
環境や消費に対して、どうすれば着る人が意識的になれるか。考えて思いついたのは、回収したTシャツの表裏をひっくり返すことだった。
「なんで裏になっているんだろう?と立ち止まるところに、何か考えさせられるメッセージがあると思いました」
「ぼく自身が子育てをするなかでの、肌あたりを良くするために縫い目を表にしているベビー服への気づきが着想になっています。裏返すことで、機能が増すのがおもしろいなと」

ROLEのギャラリーでの反応も良く、環境問題に意識を持つ飲食店のユニフォームにも採用。数百着の発注を受けた。
さらに、「やれ紙」でつくったROLE YOURSのフライヤーに当時の高岡市長が注目。
「やれ紙」とは印刷時に膨大に発生するテスト印刷紙のこと。版権の観点から再利用が難しかったものの、市長との直接のやりとりから解決策が浮上。
「やれ紙」を使った市職員の名刺や封筒といった、新しい高岡市のブランディングツールが生まれた。

「どちらも、もったいない精神でやっているわけではなくて。手に取った人たちが、目に見えて自分の活動を意識できることがおもしろいと思うんです。社会に対するひとつの表現として、問いを投げかけている感覚ですね」
思わず目に留まる仕事が仕事を呼び、テレビ東京の番組広告やサントリー美術館の告知ツールなど、県外からの依頼も増えている。
そんななかでも、羽田さんが学生時代から肝入りで関わり続けているのが高岡の伝統工芸だ。
クラフトフェア、クラフトツーリズム、商品や展示会の企画、ZOOM配信など。十数年にわたって「高岡伝統産業青年会」の職人たちと活発に活動してきた羽田さん。
さらなる未来を描くべく、2022年からは立体駐車場を利用したパッケージ型オープンファクトリーイベント、「ツギノテ」をはじめた。
「オープンファクトリーは全国的に開催されているんですが、100の工場がオープンしていても、実際にまわれるのは多くて6、7軒。であれば、工場のハイライトが一ヶ所に集まった場所をつくって、たくさんの職人に会ってもらおうと思いました」

高岡駅近くの立体駐車場に、120ほどのものづくり企業が集結。製品販売、技のデモンストレーション、修理のビフォーアフター、新商品の市場調査、素材に触れるWSと、各ブースで行われることは、千差万別、百花繚乱。
2024年の来場客数は2日間で約5000人。そこに各事業者が「今見せたいもの」を持ち寄ることで、仕事の依頼があったり、子どもたちとのやりとりが生まれたり。産地の未来につながる関係が生まれている。
特に印象的だったと羽田さんが教えてくれたのが、地元の高校生と老舗和菓子屋と、熱中症を解決するために企画した塩羊羹。慣れ親しんだ塩羊羹を「命を救う塩羊羹」と再定義して、会場で試食販売をしたところ評判に。
同じものでも、文脈が変わると見え方がまったく変わることに気づいた。
「ものづくりが社会課題とあわさることで、需要が生まれる。そこに産地の新しい活路があるんじゃないかと考えて、『ツギノテ』のみんなと今後の展開を考えています」

デザインという手法で、さまざまなプロジェクトを世の中に投げかけているROLE。
背景には、人口減少や地方の過疎化、気候変動など、難しい社会環境に直面せざるを得ない次世代の子どもたちに、ポジティブな選択肢を示し続けたい想いがあるという。
「諦めたり我慢したり、それが普通になっていくのは嫌だなって」
「伝えていきたいのは『これからのつくりかた』。それはつくること自体を捉え直すことでもあるし、未来をつくっていくことでもある。選択肢をつくりだす環境やマインドを自分からつくっていく、そういうメッセージになればと思って活動しています」

今回募集するのはプロジェクトマネージャー。3年前にはじめてプロマネを採用したことは、ROLEらしい仕事のやり方を、さらに強くすることにつながった。
「プロマネに入ってもらったのはめっちゃいいことでした。いろんなことがAI化されていくなかで、人が求めるのは血の通った相談相手や、自分だけでは見つからない『視点』だったりする。そういうなかで、マネジメントの重要性がすごく増してきていますね」
新しくプロマネとして入る人は、羽田さんとともにさまざまなプロジェクトに関わっていくことになる。
「アイディアをどんどん出してくれたら、もちろんいいけど、そうじゃなくても全然いい。どう実現するか、コミュニケーションのなかでどう膨らませていくかが仕事の大半だから。それを一緒にやっていってもらえたら」
実際の仕事について、現プロマネの桑原さんにお話をうかがう。
桑原さんは、美大卒業後、イッセイミヤケに就職。よりものづくりに近い現場で働きたいと、未経験でROLEにプロジェクトマネージャーとして入社した。
「ここにきてから、ずっとワクワクしていたように思います。留学のような感覚で来たので、なんでもやりたいと思ってやってきました」

「プロマネの仕事は、クライアントとの打ち合わせからはじまります。何をするか、どう進めるのが良いかも相手によって違うので、寄り添いながら組み立てていくのが大切ですね」
たとえばと教えてくれたのは、金属やプラスチックの板を刻印加工する企業との仕事。
自社商品の開発を目指してブランドを立ち上げたものの、デザインを外部に委託したため製品への思い入れが薄く、販売に苦戦していた。
打ち合わせを重ねるなかで出てきたのが、自分たちの言葉で自信を持って説明できる自社商品をつくること。
「方向が見えたら、社内のデザイナーと案を考えたり、社長の承認を得るためにどのように伝えるかクライアントさんと考えたり。デザイン制作以外、本当になんでもやっていますね」

3年間働いてみてどうでしたか?
「いろんな案件を同時に進めていくので、全体を見ながら仕事を円滑に進めていく視野の広さや、柔らかい相談を具体的なプロジェクトまで形にする力が身についたと思います」
「和菓子のプロデュースから、展覧会のアートディレクション、高岡の伝統工芸イベントまで。自分から提案すれば、関わりしろはなんでもある。求めれば、何でも身につく環境だと思いますよ」
ROLEで働くのは3年間と決めていた桑原さん。卒業後の進路は、いま模索しているのだそう。
「自社の仕事、自社のプロジェクトを形にしていきたい、とも思うようになって。真剣にクライアントと向き合ってきたからこそ、内部までは立ち入れないもどかしさを感じることもありました」
「そう気づいたのも、やりきった感覚があるからこそ。率直に意見を言える環境だったことで、自分の『こうしたい』が出てきたようにも思います」
「新しく入るプロマネは、一緒に仕事を進めていくことになります」と紹介してもらったのがデザイナーの菅田さん。

「羽田さんってはじめは人見知りな印象で、『あれ、歓迎されてない?』って少し戸惑いました(笑)。でも関わるうちにすごく純粋な方だなとわかって」
「子どものように目を輝かせながら企画をして、お客さんに真摯に向き合う姿を見て、本当に多くのことを学ばせてもらっています」
多様なプロジェクトに携わる経験は、将来、独立して仕事をする際にも活きてくると思う。
「とはいっても、はじめは仕事の進め方など、分からないことも多いはず。一人で抱えないで気軽に相談してほしいです。物おじせずに、思っていることをきちんと伝えられると、すぐになじめると思いますよ」

長く働くというプレッシャーは感じず、まずは4年ほどを目安に、気軽に来てみてほしいそう。「高岡に新たな視点を持ち込んで、いろんな経験を持ち帰ってほしい」と羽田さんも話していました。
相談に対して、その根幹から考え、斬新で機能的なアウトプットをし続けてきたROLE。その根っこは変わらずに、寄り添う力も求められるようになってきました。
さらに活動を広げていくために、チャレンジ精神に溢れた人を求めています。
(2025/06/17 取材 櫻井上総、籔谷智恵)