求人 NEW

工芸のあり方も
社内改革も
おもしろがってつくるもの

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

伝統工芸のまちで働く。

腰を据えて、淡々と、時間をかけて。そんなイメージがあるかもしれません。

歴史あるものを残していくためには、変わり続ける必要がある。

もしそう考えているなら、この会社はとても面白く映るはずです。

愛知県瀬戸市。

1000年以上の歴史を持つやきもののまちで、70年以上にわたり招き猫や干支置物をつくり続けてきた株式会社中外陶園。

近年は、やきものを見て、触れて、味わえる直営店や体験施設を会社のすぐそばに次々とオープン。ゆくゆくは全国にお店を広げていく未来も見据えています。

今回募集するのは、総務課長と、店舗スタッフ。会社の未来を内と外から支える2つの職種です。

全く違う仕事に見えて、どちらもこれからの時代に工芸を残していくために欠かせない役割。

70年と、そしてこれから。軽いフットワークで変わり続ける老舗企業を、ぜひ知ってほしいです。

 

名古屋から在来線を乗り継いでおよそ1時間。

尾張瀬戸駅の改札を抜けると、おだやかな川の両岸にせとものを扱うお店が軒を連ねている。高い建物は少なく、すれ違う人の流れもちょうどいい。

橋の欄干やお店の軒先にさりげなくやきものがあしらわれている。駅から10分ほど歩き、直営店のおもだか屋に到着。

「お久しぶりです。お店、完成してからははじめてですよね」

中外陶園の代表、鈴木さんが人懐っこい笑顔で迎えてくれた。

「おもだか屋を29年ぶりにリニューアルしたのが最近のトピックですね。中外陶園の世界観を直接お客さまに伝える場所にしたくて」

鈴木さんのひいおじいさんが1952年に創業した中外陶園。長年、干支の置物や招き猫など、縁起物や季節飾りをつくり続けてきた。

ただ、今の時代、それだけでは工芸を残していけない。

鈴木さんが4代目に就いてから、伝統技術を活かしながらも柔軟に変化を続けてきた。

「最近は、イラストレーターさんやデザイナーさんなど、多彩なクリエイターの方々と協働するプロジェクトにも、力を入れています」

たとえば、イラストレーターの福田利之さんとは「寒い国の生き物たち」をテーマにした置物を、画家のミロコマチコさんとは手跡を残した味わいのある置物や陶板を制作。

ほかにも数多くのクリエイターの世界観を瀬戸の伝統的な技法で立体化し、これまでにない新しい縁起物やプロダクトを次々と生み出している。

近年は会社のすぐそばに次々と拠点をオープン・リニューアル。

直営店のおもだか屋は、中外陶園の顔として自社製品がずらりと並ぶ。

となりには、5000体もの招き猫コレクションを展示する「招き猫ミュージアム」。目の前には、やきものの絵付け体験やギャラリー、コーヒーを楽しめる複合施設「STUDIO 894」がある。

すぐそばに工房も集まっていて、この一帯がまるごと中外陶園のビレッジのようになっている。

「お客さまにお褒めいただいたり、ご指摘をいただいたり。お客さまの声にこそ、ものづくりのヒントが全部あると思うから。メーカーとしてお客さまにより近くなっていくのが、僕らが次に進むべきステージだと思います」

事業を広げ、売上も伸びている。この日もお店には多くの人が訪れていた。

「おかげさまで社員も60人を超えて。ただ、それによって会社の成長痛みたいなものも感じているんです」

成長痛、ですか。

「10人や20人の組織だったころは、暗黙の了解というか、いつも通りやっといてで回っていたんですよ。でも今は拠点も増えて、働く人も多様になってきた。そうなると、一部の人しかやり方を知らないとか、ルールが明文化されていないことが、現場のひずみになってくるんです」

「地域に根差す企業の一つとして、見掛け倒しになってはいけないなと。来年で75周年を迎えようとしている今こそ、会社の環境整備にしっかり投資をしていきたい。そこで、総務の要となる人を募集することにしました」

現在、社内のバックオフィスは60代のベテラン社員が一人で担っている。今回加わる人は、その社員から総務と人事を引き継ぎ、組織の土台を整えていく。

 

そんな会社の変革期において、すでに社内で動き始めている人がいる。

2025年に入社して、今は企画広報・採用などを担っている梶田さんだ。

「前職は規定がガチガチに決まっている環境だったので、中外陶園に来たときは、少し戸惑う部分もありました。カチッとしたマニュアルに沿うというよりは、現場に合わせて柔軟に動くカルチャーなので、最初は社内の仕組みを掴むまで手探りの状態だったんです」

苦笑いしながら振り返る梶田さん。

「でも鈴木社長に聞けばちゃんと説明してくれるし、それは変えなきゃねって判断してからのスピード感が半端ないんです。変わることを面白がる感じに、ついていけるなと思って」

実際に、梶田さんが中心となって企画して最近形になったのが、行動ガイド。鮮やかな黄色の表紙に、電球のマークが描かれている。

「みんながよく使う10個くらいをピックアップして、困ったときに立ち戻れる教習所の教本みたいなイメージでつくりました」

ページをめくってみる。出勤・退勤のルールや休暇の取り方、会社設備の扱い方などが、やきものづくりの風景や店舗で働く写真とともにわかりやすくまとまっている。

挨拶や身だしなみに関するチェックリストや、Q&Aのコーナーもある。

中身のアイデアは社内で出し合い、外部のデザイン会社に依頼。梶田さんが間に入って調整し、この形に仕上げた。

今はさらに、就業規則そのものの見直しも進めているところ。

「これって今の法令的にもういらない部分じゃないですか?とか、鈴木社長と壁打ちしています。前職での経験もあるので、会社にある違和感を変えていくのは嫌いじゃないです」

ただ、梶田さんはあくまで企画の担当。それを実装していくのが今回入る人の役割。

たとえば、梶田さんがスタッフの声を聞いて、「独自のリフレッシュ休暇をつくりたい!」と発案したとする。

その休暇制度を導入した場合、労働基準法に抵触しないかを社労士と相談して確認。問題がなければ、社内にどう浸透させるかを考える。

さらに勤怠システム上で、どうやってその休暇を申請・承認させるか運用フローを設定し、毎月の給与計算にどう反映させるかという仕組みまでつくる。

現場から生まれたアイデアを、複数ある拠点のスタッフが無理なく運用できるシステムに落とし込んでいってほしい。

そのためには、社内で働くスタッフとの関係性づくりも大事だし、日々どんな困り事があるのかにアンテナを張ることも欠かせない。

「絡まった糸をずっと解き続ける仕事だから、しんどい瞬間もあると思います。でも、そういう根本の仕組みづくりが、結果的に職人や店舗スタッフが100%お客さまのほうを向ける土台になるので」

代表の鈴木さんも後押しする。

「もしダメだったら元に戻せばいい。そこの責任は僕がとるから、安心してほしい。まずはやってみよう、という姿勢を大事にしたいんです」

お店の次は社内改革。ここは、訪れるたびに新しい風が吹いている。

「同業の人から会社を褒められているようだと、たぶん時代に追いつかれてるなと。それよりも、何を考えてんのかようわからんって言われるぐらいが、ちょうどいいと思うんですよ。」

「工芸の世界で、この何年かで人数を増やしてっていう、時代に逆行したような成功のモデルができれば。うちがそのきっかけになれるなら、挑戦する意味もある。あえて今、工芸って面白いんじゃないかなと思います」

 

最前線の店舗でも、新しい仲間を求めている。

おもだか屋とSTUDIO 894を統括するのが、基(もとい)さん。

兵庫県三田市の出身。新卒で名古屋の繊維メーカーに入社して営業をしていた。つくる人と使う人、両方に関われる仕事ができたらいいなと、中外陶園にやってきた。

「移住するとき、会社とお付き合いのある不動産屋さんが部屋を探してくれて。手厚くサポートしていただいたおかげで、不安なく新生活をスタートできました」

「地元も田舎だったので、瀬戸の空気感はちょうどよくて。お休みの日はミニバイクに乗っていろんなところに行くんです」

2年ほどSTUDIO 894でスタッフとして働いたあと、今はSTUDIO 894とおもだか屋の2店舗を統括する立場に。

現場に立つだけでなく、売上の集計やギャラリーでの展示の入れ替え、外部ブランドとのやりとりなど、仕事は多岐にわたる。

今回募集する店舗スタッフは、おもだか屋とSTUDIO 894に加えて、招き猫ミュージアムの3つの施設を横断して働くことになる。

「スタッフは、本当にやることが多いんですよ。絵付け体験のサポートをして、コーヒーも淹れて、ギャラリーの案内もして。ミュージアムでは歴史ある招き猫の知識も必要になる。産地に買いに来てくれるお客さまや、昔からの常連の方に対しても説明しなきゃいけないから、最初は覚えることに苦労すると思います」

それに、少人数だからこそ自分の意見や企画を求められる場面も多い。

「たとえば、コーヒースタンドでシーズナルの新しいドリンクメニューを出すとなったら、SNSの投稿をしなきゃいけないから写真も必要になる。じゃあ、本社の開発チームにデザインを依頼しよう、とか。いろんな部署と連携しながら自分で企画を動かしていくんです」

売り場に並んでいるポップも、ほとんどがスタッフの手書き。イベントの案内も、自作のポスターが貼られていたり。

スタッフがのびのびと挑戦している様子がところどころから感じられる。

「自分が企画したものを、お客さまがめがけて来てくれたり、実際に楽しんでいる姿を見られるのはすごくうれしいですよ。それがこの仕事の一番のやりがいだと思います」

これから中外陶園は、瀬戸にとどまらず全国に直営店を広げていく構想もある。

ゆくゆくは店長候補になったり、基さんのように本社で企画やマネジメントに関わったりと、キャリアの選択肢は広い。

「たとえば招き猫ミュージアムは2階建てなんですけど、2階の展示をリニューアルする話があがっていて。構想やアイデア出しの段階から関わっていける可能性もあると思います」

ビレッジのような空間だからこそ、施設を横断した大規模なイベントを仕掛けることもできる。地域全体で開催されるせともの祭や招き猫まつりに関するイベントに合わせて、独自の企画を立ててみるのもよさそう。

歴史あるやきものの街に根付き、自社で工房から店舗までを持っている会社だからこそ、店舗スタッフとして関われる射程がとても広い。

「新しいこととか、逆に古いことを知ることに対して楽しめる人がいいですね。前向きに面白がってくれるなら、いろんなことに挑戦できる環境だと思います」

伝統を未来へつなぐために。古き良きものを大切にしながら、新しい風も楽しむ。

老舗の次なるステージを、一緒に楽しんでみませんか。

(2026/05/08 取材 田辺宏太)

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