エンジンやモーターを搭載した乗り物で、スピードやタイム、技術を競うモータースポーツ。
世界最高峰の四輪オープンホイールレースのF1、日本ではSUPER GTなど、人々を熱狂させる世界がそこにはあります。
ISKが運営するレジャー施設は、そんなモータースポーツの奥深さを誰もが身近に味わえる入り口です。

モータースポーツ文化を日本で広めるため、子どもから大人までレーシングカートを楽しめるレジャー施設を全国に5ヶ所展開中。
遊園地のゴーカートとは少し異なり、最高時速60kmにもなるモーターマシンを操ることができます。
今回は、サーキットの運営を担うスタッフを募集します。
タイムを縮めて思い切りよろこぶ子どもや、本気でレースに挑み涙を流す大人の姿。
誰かの心が震えるような、ピュアで熱い瞬間を一緒に分かち合う。自分の好きが、誰かの笑顔をつくる仕事です。
大阪湾に浮かぶ人工島、舞洲。
最寄りのバス停で降りて、ざらざらとした潮風を浴びながら歩くと、遠くからブオンブオンとモーター音が聞こえてくる。
少しして、開放的な場所に広がるISKのサーキットを見つけた。

受付には、平日にも関わらずたくさんの人がいる。
子どもから大人まで、ランキングが書かれた紙を眺め、身振り手振りでレースを振り返るグループの姿もある。タイムを競っていたのだろうか、とにかくみんなが楽しそうだ。
そんな光景を見守っていたのが、代表の池田さん。お客さんの熱気を邪魔しないよう、受付の隅っこで話を聞くことに。

池田さんがレーシングカートの事業に出会ったのは約30年前。それまでは電卓の訪問販売や、ヘルメットメーカーの営業などを経験してきた。
BtoBの世界で長く生きてきた池田さんにとって、直接エンドユーザーと接するこの事業は新鮮なことばかりだった。
「最初、びっくりしたんですよ。どんなお客さんも、走り終えてカートを降りた瞬間に、初めて見るようなものすごくいい表情になって、『また来るわ』とか『ハマってもうた』って言って帰っていく。とにかく表情が変わるんです。一体なんなんだろうなと、考えましたよ」
お客さんを毎日観察していると、ふっと湧いたように答えに気づく。
それが、「感動」だった。
「カートって、走行している間は誰も何も教えてくれないんです。運動神経も経験も、あろうがなかろうが関係ない」
ヘルメットを被り、マシンに乗り込めば、そこは自分だけの世界。
失敗を悔やんでいる暇もなく、次のコーナーが迫ってくる。その瞬間々々、目や耳、体から感じる振動のなかで、直感的な判断を繰り返す。

「感情が、うわー! って昂る。自分自身に対する『アメイジング』な気持ちが爆発するんですよ」
アメイジング?
「カートを降りた瞬間に、集中から解放されて、『こんなことができた!』とか『次はもっとうまくやれそうだ!』という、自分自身の変化や成長に、驚きと達成感がある。それが一気に溢れ出すんです」
「この感動は、ほかのスポーツに比べてもあまりない。絶対に、日本の文化にしたいと思ったんですよね」
独立してISKを立ち上げたのが、1997年。 はじめてみると、さらにその奥深さに気づく。
「たとえば、さっきまで1周45秒だったのが、42秒に縮む。自分の成長が数字になって一目でわかるんですよね。一緒にサーキットを走る仲間も、みんな同じように1分1秒を削るために必死で走っている」
「お互いに自分を高めていくことを共有しているから、誰もマウントをとらないんです。ベテランはみんな、初心者が上手くなっていくのを一緒になって喜んでくれますよ」
常連客が、今日初めてカートに乗った子どもに一生懸命アドバイスをする。教えられる側もそれを素直に聞き入れ、すぐに試そうとする。
心から好きなものを共有しているからこそ生まれる、あたたかい連帯感。
文化も広まり今では関西を中心に、5店舗に拡大。
大阪舞洲店で店長を務めるのが、河添さん。
代表の池田さんいわく、「おっとりしているんですけど、みんなをまとめる力は抜群なんですよ」とのこと。

日に焼けた肌が似合う。たしかに話してみると、とてもおだやか。
「車やレースが好きで、車の専門学校に通っていたんです。そこにはプロのレーシングチームの人がいて、タイヤメーカーと『こんなタイヤをつくってほしい』って喧嘩までするようなシビアな話を聞いたんですよね。半分冗談だったのかもしれないですけど、それを聞いたときに、自分はそのレベルでは働けないなと感じてしまって」
そんなとき、たまたまISKのアルバイト募集を見つけて、面白そうだと働きはじめたのがきっかけ。
卒業と同時に正社員となり、岐阜の店舗の立ち上げなどを経て、現在は舞洲店を任されている。アルバイト時代を含めると、勤続13年になるベテランだ。
「イベントでレースの運営もやったりするんです。プロじゃなくても、モータースポーツを面白く伝える役割の方が、自分には向いてるし、何より楽しいなって思ったんですよね」

店長とはいえ、仕事は現場の最前線。
朝出勤すると、カートのガソリン補充やタイヤの空気圧チェック、タイム計測器のセットなどを行う。営業が始まれば、受付や、お客さんへのルール説明を担当する。
コース上でスピンしてしまったお客さんの救出に向かうこともある。
最高時速60km、ジュニア用でも50kmほどのスピードでカートが駆け抜けるコース。救出に向かうには、そのコースを自分の足で横断する。
「高速道路を歩いていくイメージです。走っているほかのお客さんもいるから、視界が狭まっていて僕らに気づかないことも多くて」
カートの重さはガソリンが満タンに入った状態で200kg弱。ジュニア用でも150kgある。どうしてものときは、体全体を使ってカートを引き出さなければいけない。

大型連休などの繁忙期は、受付から乗車まで数時間待ちになるほど多くのお客さんが訪れるため、スムーズに案内できるよう、テキパキと動く必要がある。
また最近では、海外からの観光客も続々増加。シンガポールでも今とても流行っていて、サーキットを目当てに訪れる人も絶えないんだとか。
主にイスラム教徒の女性が着用するヒジャブがタイヤに巻き込まれないよう、着用での乗車は危険と知らせるポスターも貼っている。
海外の方にもルールや危険性をきちんと伝えるため、多言語表記でマニュアルをつくるなど、一つひとつ工夫をしているところ。

日々の営業に加えて、お店で開催されるレースイベントの企画運営も大切な仕事。
大人やジュニアの個人戦のほか、数人のチームでドライバーを交代しながらバトンを繋ぐ、耐久レースのようなイベントも企画する。
直近で開催した大人のチーム戦は、募集を開始して3、4日であっという間に定員の12チームが埋まるほどの人気ぶりだった。
レーサーやスタッフ同士で相談し、ルールから自分たちでつくり上げていく。
「成功したり失敗したりもありつつ、自分たちが提案した内容が、お客さんにものすごくハマったときは本当にうれしいんですよね」

体力的にハードで、一瞬の油断が事故につながる環境。河添さんが働き続けられるのは、お客さんが本気で喜ぶ姿を見られるからだという。
「この間のジュニアのレースで、5年通って初めて表彰台に乗った子がいて。よっしゃ!って帰ってくるのを見たりとか。3年通い続けて初めて年間の成績を競う大会でチャンピオンになった大人の方が、泣いて喜んではったんです」
「ここは誰もが本気で悔しがり、本気で喜ぶことができる場所。それを見るたび、僕らも絶対に手を抜いたらいかんなって思うんですよね」
サーキットでは、タイム計測を終えたばかりの子どもが、ちょうどピットへと戻ってくる。
待機していたのが、スタッフの兼田さん。

大きく片手を空へと突き上げて、「ここに止まってほしい」という合図を送る。両手を前に突き出して手のひらを向け、スピードを落とすよう促す。
車体が完全に停止したのを確認すると、兼田さんはすぐさま身をかがめてお子さんの元へと寄り添う。カートのシートは地面にとても近いため、乗り降りする際には少しコツが必要になるようだ。
ハンドル周りをサポートし、ふらつくことなく安全に車体から降りられるまで、声をかけながら丁寧にサポートする。

レースの合間に、話を聞かせてもらうことに。
「以前、『ここだよ』って合図をしたら、逆に自分に向かってハンドルを切ってきて、間一髪でかわしたこともありました。ほかにも、フルスピードのままピットに突っ込んできて、『危ない!』って叫んだり」
「前に人がいたら減速してくれるだろうっていう、僕らが普通だと思っている常識が通用しないケースもあるんです。だから、常に周りをよく見ておかないと危険ではありますね」
慣れていない人や初めての人は、合図の意図を汲み取れず、パニックに陥ってしまうこともある。事前に丁寧に説明することを忘れない。
両親の影響もあり、幼いころから大の車好きだった兼田さん。
愛車は、2005年式のルノーのルーテシア。「ほぼ自分と同い年なんです」からはじまり、溢れるように魅力を話す姿からも、車への愛情がよく伝わってくる。
高校を卒業して、前職はJAFのロードサービスで働いていた。「もっと車に深く関わる場所に身を置きたい」という思いで、ISKに転職したのが1年前。
いまは現場の安全管理にくわえ、受付での接客なども幅広く任されている。サーキットを走り回った結果、入社してから10キロほど痩せたそう。
カートに乗りに来るお客さんとの距離の近さと、深いつながりを実感する日々。
舞洲店には、元プロのレーサーが子どもたちの育成のために足を運ぶこともある。本気でプロを目指す子どもたちにとって、ここは大切な練習場にもなっている。
プロが目をかけてくれる環境は、レンタルオンリーのカート場としてはとても珍しいという。

「常連さんや、将来プロのレーサーを目指して練習に来る子どもたちとか、車好きって共通点があるんで、すぐに顔なじみになるんですよね。たまに、仕事終わりに一緒に夜ご飯を食べに行くこともあるくらいで」
「前職も接客はあったんですけど、ここはやっぱり距離感が近いというか。ただのスタッフとお客さんで終わらないんですよね。好きなものが同じだから、気も合うんだと思います」
ほかのスタッフにも、元自衛官など、いろんな経歴や経験をもつ人が集まっている。
その誰もが、ただただ車やモータースポーツに惹かれて。そして安全に真剣に楽しく、モータースポーツを盛り上げている。
遠い世界だと思っていたモータースポーツを、日常にする。惹かれるものがあれば、想いをぶつけてみてほしいです。
(2026/06/15 取材 田辺宏太)