美しい空間のアパレルショップや洗礼された雰囲気の飲食店。
まちや商業施設を歩いていて、ふと足が止まる空間に出会うことがあります。
優れた意匠はもちろんのこと、その裏には高い基準で空間をつくりあげる人たちの存在が欠かせません。
東京建築PLUSは都内を中心に店舗やオフィス、商業施設の内装・施工管理を行っています。

自分たちの事務所をまちに開いてみようとオフィスに本屋を併設したり、工事現場での労働環境を見直そうと夜間の施工管理を一部外注してみたり。
仕事の可能性を狭めず、柔軟に考えながら進んできました。
今回募集するのは、2つの職種。
ひとつは新規クライアントを開拓する営業、もうひとつは現場での工事を滞りなく進める施工管理。
どちらの職種も未経験から挑戦できます。
建築に興味があり、柔軟なコミュニケーションがとれることが大切です。
それがいい空間づくりにつながっていくと思います。
東京駅近くにできたばかりの商業施設。
待ち合わせ場所で待っていると、代表の中里さんが声をかけてくれた。
「いまは白山の事務所も本屋もリニューアル中なんですよ。本屋は来年6月までお休みです。それもあって今日は現場に来てもらうことにしたんです。施工管理のスタッフもこの現場にいるので、そちらに向かいましょう」
ビルの中に入ると、至るところでテナントの内装工事が行われている。
通路には傷防止シートが敷かれ、電動工具の音があちこちで聞こえてくる。

このビルの一角に入る酒屋の施工管理を東京建築PLUSが担っている。
「最近は私も現場に行くことが増えまして。職人さんと話したり、空間が形になっていくところを見たり。僕は現場が好きなので、最近はとくに幸せ感、高まってますね」
やわらかい雰囲気で、楽しそうに話す中里さん。工事の音にまけないように、録音機をいつもより近づけ、やや大きめの声で話してもらう。

高校と大学で建築を学び、卒業したあとはゼネコンに就職した中里さん。
「すごくアットホームな職場で、みんなと『今日の弁当は唐揚げかな』とか『今週のジャンプ読んだ?』とか他愛もない話をして。でもみんなプライドを持っていて、ピシッと仕事しているんです。あんなふうに、仕事に楽しみを見出しながら技術も身につけていきたいって思いましたね」
いつか独立したいと考えていた中里さんは、店舗デザインの会社へ転職。5年ほど働き、2013年に東京建築PLUSを立ち上げる。

長年リピーターを中心に、個人の設計事務所の案件が多かった東京建築PLUS。
近年は、建築資材の高騰を受けて施工費も高まり、お互い納得できる予算の調整がむずかしく、一昨年からは新たなお客さんの開拓に力を入れてきた。
「いまは大小あわせて年間60件ほどの案件があります。そのうち、一から空間づくりを行うのは20件ぐらい。個人の設計事務所が半分、もう半分がクリニックや商業施設のテナントさんですかね」
「安定した売り上げを見込むためにも、今後は来年、再来年の案件にもアプローチしていきたいんです。ただ、僕が現場と営業の両方をしているので、どうしても営業が片手間になりがちで。そこで専任の営業職を募集することにしたんです」
まずは中里さんとともに、クライアントに会いにいくことから。
「相手も施工の流れや概算などはわかっているので、そこまで難しくはなくて。あとはやっぱり雑談ですね。好きな建築家とか、最近気になっている空間なんかを話したりします」
中里さんは、どんな建築家がお好きですか。
「僕は、安藤忠雄さんやSANAAが好きですね。直島で安藤さんが手がけた地中美術館を観たとき、作品の魅力を引き立てる建築空間が、とにかくすばらしい」
「コンクリートの構造体に空いた穴から自然光が降り注いで、アートを引き立てている。こんな天才いるんだって、震えました。そういう話で盛り上がると、今後いい関係を築いていけそうだなって感じますね」
東京建築PLUSのサイトを見ると、手がけている空間に設計者の色やこだわりを感じる。
たとえば、シューズショップ「grounds STORE004」。
店内は、建築現場で使われる鉄パイプと足場板を中心に組み立てられた空間。
構成している要素はシンプルでありながら、縦と横があいまいに組み立てられていたり、ビニールカーテンで仕切られていることによって、店舗全体が一目ではわからなかったり。
ネオンライトのポップさと、鉄パイプや足場のモード感が調和して、引き込まれるような独特な雰囲気を感じる。

案件は入札で決まることが多く、見積もりやプレゼン資料も営業担当者が作成し、施工管理に引き継ぐ。
「気をつけているのは、きちんとコンセンサスをとること。資材の高騰で施工コストが上がりそうなら、事前に伝えておいて、それで問題ないか確認するとか。土台に信頼関係があると、コストや工期の変更も柔軟に相談しやすくなるんですよね」
価値観が近しい人と働けるのは気持ちがいいもの。
「新しく入る人も、建築や空間に興味があって、丁寧なコミュニケーションがとれる人がいいですね。東京建築PLUSの施工事例を見たときに同じ温度感で共感してくれる人がきてくれたらうれしいです」
ただ、会社として発展途上な部分もあると中里さん。
「せっかく受注できても施工管理スタッフの予定が埋まっていると、案件をお断りすることもあるんです。だから施工管理の人も新しく採用して、体制を整えていきたいと思っています」
今回募集するもうひとつの職種、施工管理で主任をつとめる林さんに話を聞く。
新卒で建築関係の会社に入り営業を経験。現場の職人と関わる楽しさを感じ、もっと近くで仕事がしたいと、7年前に東京建築PLUSに入社した。

「今回の現場は、酒屋さんの施工です。休み時間は職人さんと雑談することもありますが、やることは盛りだくさんですね」
林さんも取材中に搬入作業をしたり、たびたび電話対応をしたり。日々さまざまなことが起きるので、いつでも動けるような心持ちが大切。

施工管理の仕事は、お客さんとの打ち合わせから始まる。
要望をもとに予算を決め、施工図に落とし込み、図面ができあがったら、電気や水道、左官屋など、各分野の職人を手配。そうして現場に入り、空間をつくりあげていく。

「できるだけ施主さんの要望をギリギリまで受け入れられるように、東京建築PLUSでは、固まりきっていない状態で工事に入ることが多いんです。それでもいい空間を工期内につくるため、工事が始まる前の段取りはとくに入念に考えています」
たとえば、空間に納める丸みを帯びた特注家具のテーブルを製作するとき。
角の丸みはどれくらいをイメージしているのか。事前に職人さんにお願いして、角の部分を3パターンほど用意し、設計者さんのイメージとすり合わせることもある。
「いきなり当日の現場で問題が起こると、職人さんの士気が下がりますよね。わたしは電動工具を使ったり、実際の施工ができるわけじゃありません。だからこそ事前に解決策を用意して伝えるようにしています」
事前の準備と職人さんたちに、それをきちんと伝えるコミュニケーションが大切になる。
「設計士さんから預かる図面って平面で描かれています。もちろん施工をするときに、完成した空間の仕上がりをイメージするんですけど、できあがりを見ると感動することも多いです。設計士さんは、図面の時点でこの空間をこのイメージしていたんだ、すごい!って」

「何もないところから少しずつ空間が出来上がっていく。その全部が見れるのは大変なところでもあり、すごく楽しい部分ですね。だからここまで続けてこられたんだと思います」
今年で4年目になる長谷川さんも、建築空間に興味をもって入社した方。
前職では布のデザインや企画を担当。個人でカーテンの製作活動をきっかけに、だんだんと店舗の内装にも興味が広がるようになった。

「未経験でも挑戦できるところを探していたときに、日本仕事百貨の求人を見つけたんです。施工事例からも内装へのこだわりを感じて」
「入社初日は、『事務所の人が出払ってるから、ひとまず現場に来てください』と言われて先輩に同行しました(笑)。職人さんや業者さんともごあいさつして、いきなりの現場も楽しかったですね」
入社のタイミングによって、現場からはじまることもあれば、事務所で見積もりや図面作成からスタートすることもある。

「私は現場からのスタートだったので、どんな話をして進めていくのか観察して、聞こえてくる専門用語を調べたりしていました。休憩時間になると、職人さんにわからないことを教えてもらいながら、徐々に覚えていきましたね」
半年から1年ほどは先輩とペアになって、仕事に慣れていく。
担当者1人につき、1つの現場が基本体制。一から空間づくりをする大きな案件は年間3〜4件ほど。そのほかに内装の補修や家具の設置なども入ってくる。
印象深い案件をひとつ紹介してくれた。
商業施設に入るウェルネスブランド「TENTIAL新丸ビル」。

天井から下に向かって壁の一部が垂れ下がってみえるデザインにしてほしいとの依頼だった。
「垂れ壁っていうんですけど、普通は天井にくっついてるんです。でも今回は天井と接触させず、浮いているように見せたいと。施工事例がないデザインだったので、美しさはもちろん、安全性も担保するために試行錯誤しました」
出来上がりの想像もできるし、理論上は実現できそう。でも実際につくるとき、本当に安全性は大丈夫なのかを考えながら施工図を描いていた長谷川さん。
「社内で中里や林とも、壁の強度に問題がないか、やり方はこれで良いかなど何度も話し合いました。そのうえで安全性を優先した施工を設計事務所に提案することもあります」
長谷川さんは、垂れ壁を裏から柱で固定するように、施工図に落とし込んだ。それでも初めてのテナントでの施工だったこともあり、事前に一度サンプルを組み立て、安全を確認したうえで着工した。
「私たちは設計事務所の要望をどう実現できるかを考え、職人さんに指示を出して、スムーズに作業ができるようにする、いわば橋渡し役なんですよね」

「空間が出来上がったとき、一緒に頑張って完成できてよかったってみんなで言い合える。それがすごくモチベーションにつながってますね」
クライアントと信頼関係を築いていく営業職と、設計事務所と職人の橋渡し役となり現場を進める施工管理。
役割は違っても、目指す場所はひとつ。
よい空間を生み出すこと。
目の前の人と向き合い、柔軟に、ていねいなコミュニケーションが大切になります。
それが、世の中にない新しい空間をづくりにつながると思います。
「建築がすき」
そのシンプルな気持ちを胸に、あなたも一緒に歩みを進めませんか。
(2026年6月12日取材 小菅綾香)


