求人 NEW

空間と企業を
ちゃんと輝かせるための
編集と伴走

白を基調としたシンプルなサイトに、写真がタイル状に敷き詰められている。

カーソルを合わせると、物件のキャッチコピーと基本情報が浮かび上がる。

「一点ものを射止める」「始まりは1脚の椅子から」「SmileSmileSmile」。

ひとつをクリックする。

物件の写真や場所、賃料などの情報が整理されていて、「#怪しげ」「#面白味あり」といったハッシュタグもついている。

続く本文には、空間に入った瞬間にどう感じたか、光の入り方や床・壁の手触り、そこでどんな働き方が実現できそうかなど。実際に訪ねないとわからない、書き手の感覚がたっぷり含まれた文章がつづられている。

このサイトは「tokyo workspace」。デザインオフィスに特化した物件紹介サイトです。

これまで、不動産プロデュース会社である「CityLights Tokyo」の一事業として展開されてきたこのサービスが、今年の夏、ひとつの会社として独立することになりました。

今回募集するのは、企画営業のメンバー。

物件の発掘から現地での写真撮影、そして提案から契約まで、すべてを一貫して担当する。エディターであり、カメラマンであり、不動産屋でもあるような、変わった仕事です。

 

平日のお昼。明治神宮前駅から渋谷方面へと向かってキャットストリートを歩く。

TOKYO WORKSPACE のオフィスがあるのは、アパレルショップが立ち並ぶ通りに面したビルの最上階。

このビルだけが頭一つ抜けているおかげで、風も通るし、窓から遠くまで見渡せる。気持ちがいい。

迎えてくれたのは、代表の津久井さん。

ハウスメーカーの営業やITベンチャー、外資系スポーツメーカーを渡り歩き、8年前に日本仕事百貨の記事を読んで、この会社に飛び込んだ。

そこから現場で経験を積み、執行役員を経て、新会社の舵取りを担うことに。

「僕らが扱っている物件は、渋谷区、港区、目黒区を中心とした、ファッションやトレンドというキーワードが似合うエリア。自分たちで物件を発掘して、誰よりも丁寧に紹介したい。そのスタンスはこれからも変わりません」

「今回の募集は新会社としての立ち上がりのタイミング。これから一緒に会社にドライブをかけてくれる、勢いと熱のある人と出会いたいんです」

これまで掲載した物件情報は2,500件超。サイトも10年以上にわたって、順調に続いている。

なぜ、このタイミングで分社化するのだろうか。

「ひと言でいえば、職人的な部分が強くなりすぎたんです」

「僕らの仕事は、自分で物件を見つけて取材して、写真を撮ってテキストを書いて、お客さんにご案内して契約するまで、ほとんどを一人で完結させます。プロとしての自覚を持ち、切磋琢磨してクオリティを高めれば高めるほど、脈々と受け継がれてきた暗黙知みたいなものが増えてしまって」

写真の撮り方、言葉の選び方。場数を踏んで培われる感覚や勘所は、なかなか共有しづらく、会社としての新陳代謝がうまく進まないという葛藤があった。

「サイトがすごく好きだし、ずっと続けていきたい。でも、職人技すぎると運営できる人がいなくなってしまう。だから一度整理して、僕らが大切にしてきたものをきちんと言語化して、仲間を増やすことにしたんです」

改めて言語化したキーワードが「編集」と「伴走」。

「編集は、ただ物件情報を右から左へ流すんじゃなく、僕らなりのフィルターを通すということ。自分がその空間に足を踏み入れたとき、どう感じたか、どこに惹かれたかを咀嚼して、アウトプットする。それが基本の考え方です」

もう一つの「伴走」は、営業としてのスタンスを表している。

「営業って、どうしても売り込むというか、『どうしますか?』と対面して引っ張る形になりがちですよね。でも僕らは、お客さんと横並びで一緒に走るイメージなんです」

良い点だけでなく懸念点も伝え、判断材料を揃えて一緒に考える。

人気の物件でほかの入居希望者と競合したときには、お客さんがいかにその空間にふさわしいかを伝える紹介状を書いて、オーナーへ提出することもある。

深く入り込むからこそ、入居後もオープニングパーティーに呼ばれたり、次の移転時も指名されるような関係性が生まれる。

「エリアを限定しているからこそ、ここでは負けないという自負もあるし、『自分にしかできない仕事がしたい』という思いのある人にとっては、やりがいのある仕事だと思っています」

一方で、地道な厳しさも。記事を書き上げても、サイト掲載前に他社で契約が決まり、徒労に終わることも多い。

またお客さんの多くは企業の経営層で、オフィスの移転という会社の未来を左右する決断に関わるため、責任とプレッシャーも大きい。

「営業である以上、数字から逃げられません。ただ、僕たちが求めているのは、ちゃんと自分がいいと思ったものをいいと言える、判断軸を持っている人なんです」

「僕らはどこまでいっても黒子です。オフィスを輝かせて、そこに移転されるお客さまを輝かせる。そのために頭をひねり、地味な作業をひたすら積み重ねていく。その積み重ねを誰よりも丁寧にすることで、良い空間を探すパートナーであり続けたいと思っています」

 

新会社には既存のメンバー4人が転籍し、さらに紹介で一人が加わる。

そのひとりが、諏訪部さん。写真は苦手とのことで、今回はお話だけ聞かせてもらう。

建築やデザイン・写真などが好きだったこともあり、CityLights Tokyoに入社し今年で11年目になる。

「僕たちが日々ふれる物件って、建築家が設計したような有名な建物以外にも、例えば名もないなんの変哲のない建物なのに、意図せずつくられた空間がすごく個性的だったり、光が入ったり、偶然の窓先の抜け感がすごかったり。路地を歩いている時に、ふと出会った風景のように、偶然の産物的な出会いも多いんです」

「よーく目を凝らすと見つかる、隠れた魅力を見つけるのが好きで。『こいつをどう撮って輝かせてやろうか』と思案するプロセスのなかに、この仕事の醍醐味を感じています」

出社は、朝10時半。

不動産業者の膨大なデータベースから、物件を探し出す。同時に、メールの返信や内覧スケジュールの調整を進めていく。

そして昼前からは、カメラを抱えてまちへ飛び出す。

「撮影したいのは、その空間が本来持っている、素の佇まいです。ただ『物件写真を撮る』こととは大きく考え方が違います」

室内の照明はすべて消し、自然光のみで撮影する。

ミリ単位で角度を調整しながら、1つの物件で500枚以上撮ることもある。

「写真は一発勝負です。時間にも限りがあるので、初めて見た空間のどこを切り取れば一番この空間がよく映るか、一瞬で判断して撮らないといけない」

新しく入る人は、まず自社オフィスの撮影から始める。

毎日撮った写真は、社内でフィードバックを繰り返し受ける。社内ではこれを「入学」と呼び、基準を満たして卒業するまでひたすら基礎を叩き込む。

また、卒業後に待っているのは、サイトで「紹介したい」物件を探すことと、許可をとり撮影に伺うこと。ここも地味なようで重要な作業。

そして撮影後には、記事の執筆が待っている。空間の光や風、手触りなど、事実の羅列ではなく、自分の実感を頼りに言語化していく。

同時に大切にしているのが、「この空間にハマるのはどんな人だろう」と想像を巡らせること。

業種や、職種。ほかにも、来客が多い仕事ならビル自体のデザインを気にするだろうなとか、この扉を開けたときの第一印象はどう響くか、など。

その人がここでどう働き、どんな時間を過ごすのか。そこまで解像度を上げて想像して、自分なりの言葉で提案していく。

「最初は、文章が出てこなくてみんな苦しみます。明確な正解がないので、何度も何度も書き直す。不動産業界に入ってきて、そもそも文章を書く基礎がない状態から、サイトならではのトーンを掴まなければいけないし、きついプロセスの連続です」

コツは掴んできましたか?

「いや、まだまだ掴み切れてはいないですけど、ハマったと思える時はすごくすっきりします」

「テキストはクリエイティブな要素の強い部分なので、本当に難しくて。今でもずっと格闘しています。でも結局は、物件を見る目。それを養うために、どれだけ前のめりになって楽しめるか、なんですよね」

高い壁を前に、過去には挫折してしまう人もいた。決して甘くはないなかで、諏訪部さんがこの場所で働き続ける原動力を聞いてみる。

「代わりがないんですよね」と、諏訪部さんは答える。

「同じような業界で、ここまで物件にこだわりを持って、クオリティを追求している会社はほかにない。僕らが扱う物件と同じく、うちの会社もある意味一点ものです。プロ意識を持ち、お客さまに感謝されながら、しっかりと自分で収入を上げていくことができる。大変な部分を差し引いても、魅力だと思いますよ」

 

編集と伴走。2つのスタンスを両立する上で、メンバーそれぞれのバックボーンが大きな強みになっている。

岩渕さんは、アパレル業界に10年ほど身を置いて、店舗での販売から海外ブランドの国内セールスまで経験してきた。

「アパレル時代に展示会のディスプレイを組むなど、空間にはもともと興味がありましたし、CityLights Tokyoが提案する物件の感性や感度に惹かれたんです」

偶然引き寄せられる様に自分の担当物件に、アパレル関係のお客さんからの問い合わせがくることが多い。

「昔からこのエリアのたくさんのお店を訪れたことがあって。物件情報が出た時に、ここってこんなお店だったなという記憶から、空間のポテンシャルに気づきやすいのかもしれません」

あるアパレルブランドの店舗探しでは、当初お客さんは青山エリアを希望していた。けれどヒアリングを重ねるなかで、エリア以上に建物の強さのようなものを重視しているように思えた。そう思って、青山以外の物件も提案してみることに。

「外観からして天井が高そうだなと思って中に入ったら、天井を抜くと6メートルくらいの高さになる物件だったんです。それに、共用部が建築当初のままのヴィンテージ感あるいい雰囲気で」

「ブランドの雰囲気を理解できるように、いろんな記事を読んだりSNSを見たりして。自然とそのブランドを好きになって、『こんな物件だったら良さそうだな』と考えて提案しているんですよね」

条件に合う物件をいくつも並べるような提案ではなく、相手のことを深く考え抜いた上で、最適なものを提案する。

「結果、お客さんもそれをすごく気に入ってくれて。オープン直後の週末に見に行ったら、入場制限がかかるほどの大盛況でした。世界的に著名なデザイナーさん相手にでも、自分たちのフィールドでしっかりと提案して喜んでもらえることは、やはりこの仕事のやりがいの一つだと思います」

どんな人と一緒に働きたいですか?

「物件にも相性があるので、不動産の経験だけで固まっている人より、違うジャンルを経験して、自分なりの面白さを持っている人がいいかもしれません。そのほうが深みも増すんじゃないかな」

 

磨いても磨いても、絶対的な正解を探るのはむずかしい。だからこそ、一人ひとりが自分の感覚をちゃんと活かして、試行錯誤できる。

エリアと、物件と、感覚を研ぎすましていく。この環境にわくわくできる人を、待っています。

(2026/04/14 取材 田辺宏太)

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