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村まるごとホテルの
とびらをあける
kadoyaに遊びにおいで

多摩川の源流にある、山梨県小菅(こすげ)村。

人口およそ700人の小さな村に、「NIPPONIA 小菅 源流の村」があります。

道の駅はショップ、温泉施設はスパと、村全体を一つのホテルに見立てたプロジェクトは、2019年のオープン以来、地域の新たな観光モデルとして、全国に広がりを見せています。

そんな小菅村から、「kadoya」という新しい施設開業のお知らせが届きました。

コンセプトは、「村のとびらをあける」。kadoyaをハブとして村人と観光客がつながり、村により一層の活気が生まれていく。村まるごとホテル構想における、ロビーのような空間を目指しています。

主な機能は、カフェ、全7室のマイクロホテル、コインランドリー、キッズスペースの4つ。

今回は、kadoyaのオープニングスタッフを募集します。

都市から近く、移住者が人口の2割を占める小菅村。自然や暮らしを楽しみながら、仕事も充実させることができる場所だと思います。

 

新宿駅から中央線に乗って高尾駅へ。そこから車で1時間ほど北西に進む。

山道を登っていくと、小菅村の標識が見えてきた。

窓を開けると、蝉の声や、川の流れる音が聞こえてくる。

さらに進むと、青い暖簾のかかった木造の建物と四角いグレーの建物が見えてきた。ここがkadoya。

とびらを開けて中に入ると、コーヒーのいい匂いがふわっと香ってきた。

お店がオープンする朝8時はいつも忙しいそう。10時すぎの店内は、ゆったりとした空気が流れている。

はじめに話を聞いたのは、プロジェクトマネージャーとして開業準備を支える谷口さん。

日本仕事百貨がきっかけで小菅村に移住して8年。元ゼネラルマネージャーとして「NIPPONIA小菅 源流の村」など複数の宿泊施設を立ち上げ、統括してきた人だ。

今も小菅村に暮らし、アドバイザーとしてkadoyaに立ち寄っては、スタッフやお店の相談に乗ってくれている。

「kadoyaは、ぼくがずっとつくりたかった場所かもしれません」

「単に自分の夢を叶えたいってわけじゃないんですけど」と笑いながら教えてくれる。

「NIPPONIAを立ち上げたときは事業を軌道に乗せることに必死でした。そこから3年で、ありがたいことにお客さまも順調に増えていって」

人口の何倍もの人が海外や首都圏から訪れ、村出身の若者がUターンでホテルに就職するなど、数々のうれしい変化が起きた。

「売上が安定して数字から解放されたときに、プロジェクトを俯瞰できて。村に住まわせてもらって、村のためにやっているのに、村の人が使える場所がないことに気づいたんです」

ホテルのマネージャーや料理人、ガイドから食材の生産者まで、村人と一緒に運営しているNIPPONIA 小菅 源流の村。観光客へのサービスは充実したが、村民に向けた活動はできていなかった。

そこで、オープン5周年を迎えた2024年から、日ごろの感謝の気持ちを伝える「村民感謝祭」をはじめた。

「村の方がすごく喜んでくださって。感謝祭は毎年で続けながら、日常的にこうした機会がつくれないかなと思っていたんです」

そんなとき、kadoyaの構想が立ち上がる。

「ここはもともと『かどや旅館』という場所で。観光客も泊まるし、横では村人が宴会をひらいている。いろんな人に親しまれていたんです」

コロナによって団体客や宴会が減り、2021年に廃業。建物が競売にかけられているところを役場が見つけて購入した。

その後、事業者向けの公募を経て、さとゆめが指定管理者に。

村民がほしい機能を考えるワークショップを3回実施。出てきたアイデアは、カラオケ、床屋、ビアガーデン、マルシェなど、100個ほど。

最終的にはマイクロホテル、カフェ、ランドリー、キッズスペースの4つに絞り開業した。残りのアイデアは、イベントとして実現していく予定。

「未就学児の子どもが遊んだり、雨の日にコインランドリーを利用してくれたり。村のおばあちゃんも女子会で使ってくれています。ぼくが見たかった景色が、次々に実現されていますね」

コンセプトは「村のとびらをあける」。

村に住む人、訪れる人、関わる人が同じ空間で過ごして、自然に言葉を交わすことで、小菅村との接点が生まれる村のロビーを目指している。

「施設の至る所に、自然と会話が生まれるきっかけを散りばめていて。たとえば、入り口に置いている名札もその一つです」

「カフェを愛するひだまり娘」「クールな関西人」など、名前の横に肩書きのようなものが書かれている。

「こういうものが書いてあると、話しかけていいんだって思えますよね。愛嬌とか、人間味を持ちつつ、料理や接客、清掃などサービスの品質にもこだわっています」

カフェは東京にあるONIBUS COFFEE監修のスペシャリティコーヒーを提供。スタッフは全8回の研修を受けるほど、力を入れている。

「民宿と高級ホテルって全然違いますよね。でも、どちらもいいサービスだと思うんです。ぼくらが目指しているのは、ふたつの両立で」

「民宿のような親しみやすさがあると地元の方は来やすい。ただ、観光客の人が求めているのは、単純なサービスのクオリティだったりする。kadoyaではそのふたつを混ぜることで、村に新たな景色を生んでいきたいと思っています」

どんな人にkadoyaで働いてほしいか聞くと、「村民との関わりを楽しめる人」と谷口さん。

「おいしいコーヒーが淹れられたらいいか、というとそれも違くて。村の人と一緒につくり上げてこそのkadoyaなので。行事にも参加してほしいし、そこで拾ったニーズをkadoyaで形にしていってほしいです」

 

「NIPPONIAでは、外の人と出会える。kadoyaでは村の人と深く関われるので、この二つをうまく混ぜあわせて、村を盛り上げていきたいですね」

スタッフの神谷さんは、まさに村の方と一緒にプロジェクトを進めている方。

「ずっと古民家に興味があって、そうした場所で働くのもいいなって。日本仕事百貨に載っていたNIPPONIAの記事を読んで、勢いで転職しました」

大阪から小菅村に来てみて、いかがですか?

「最初は地域になじめるか少し不安もありましたが、皆さん本当に温かくて。干渉しすぎず、ちょうどいい距離感で接してくれるんです。自分はあまりグイグイ行くタイプではないのですが、無理に自分を変えなくても自然体でいられるのがありがたいですね」

「ある村民の方が、ぼくが『畑いいですね』とぽろっと言った言葉を覚えてくださって。その人の畑をたまに手伝っています。都会では絶対体験できないことが、転がり込んでくるので、日々楽しいです」

kadoyaは、現在3名でカフェやホテルの運営を分担しながら働いている。

神谷さんは、NIPPONIA 小菅 源流の村のマネージャー業務を引き継ぐことになったため、kadoyaの専任スタッフを募集することになった。

食事は、スモーブローと呼ばれる北欧の伝統的なオープンサンドやスイーツなど。軽食がメインではありつつ、夜は近くのスパイスカレーのお店から卸してもらっているカレーも出す。

メニューの調理はもちろん、コーヒーやお酒も提供する。お酒の仕入れなども新しく入る人が担うことになる。

未経験からでも大丈夫。カフェやホテルなど、サービス業の経験があれば心強いし、なくても一つずつ覚えていけば良い。

「ここからは中身を整えていくフェーズ。新しく入る方の力がほんとうに必要で。必要なサポートはぼくらができるので。村の暮らしを楽しみつつ、アイデアをどんどん形にする意欲がある人に、来てほしいですね」

 

マネージャーをつとめる関口さんにも話を聞く。

山梨出身で、大学で看護を学んだのちに新卒でkadoyaへ。明るい人柄で場も和む。

「学生のころ、谷口さんが講義に来てくれて。当時は仕事に対してモヤモヤしていた時期だったんです。それでNIPPONIA 小菅 源流の村でインターンすることにして」

その後も、村民感謝祭のたびに小菅村を訪れていた関口さん。kadoyaの構想が立ち上がったとき、立ち上げのスタッフとして声がかかった。

「kadoyaができる、しかも小菅村に。将来カフェをやりたいなと思っていたので、早めにカフェの経験ができるのもいいかなって」

「あとは学んだ知識も活かせると思って。小菅村は高齢者が多いのに病院がないんです。kadoyaをオンライン診療の場所にする話も出ていて、自分の能力をどう活かせるんだろうってワクワク感もあります」

昨年の夏ごろから準備に携わり、今年の6月にカフェが先行して開業。マイクロホテルも先日はじまったばかり。

「立ち上げは大変でしたけど、それ以上にみなさんの優しさを感じて。桃を差し入れてくれたり、ご飯をご馳走してくれたり。そういう気持ちのやり取りがあってうれしいなって」

カフェは朝8時から。午前中は関口さんの担当で、お昼から遅番の二人がやってくる。カフェ、ホテル運営に加えて、スタッフは村の案内役でもある。

「『白糸の滝はどこですか』とか、村のこともすごく聞かれるので、自分自身もっと知っていきたいなって。週末はよく村の人に遊びに連れていってもらっています」

毎日のように来てくれる常連さんがいるという。頼むものはいつも同じで、バナナブレッドとオーツミルクのラテ。

「先日すごく忙しかったときに、その方が来てくださって。『手伝おうか』って、配膳をしてくださったんです」

「ひと段落したとき『オープンしてから、ちょっと変わっちゃうんじゃないかなって思っていたけど、いつも通りのこの空間があってくれてよかった』って言ってくれて、そんな時間を提供できたんだって。うれしかったですね」

村にも住んでいる関口さん。暮らしでは、趣味の料理を楽しんでいるそう。

「この夏、初めて梅仕事をしたんです。シェアハウスの庭に梅の木があって、小菅村のお母さん直伝のレシピを教えてもらって、梅シロップと甘い梅干しを仕込んで。自分でつくったものって、愛着が湧くんですよね。丁寧に、大切にいただこうって」

野菜の酢漬けも教わった。塩で揉んで、洗って、酢と唐辛子を入れて、冷蔵庫で1日寝かせる。鹿肉をいただいて、ハーブで臭みを抜いてつくった料理が驚くほどおいしかったそう。

「漬物も、浅漬けの素を入れることしか知らなかったんですよ。きゅうりも味噌をつけて食べるくらいで。ネットに書いていない方法や材料を、村の方は知っているので。ここでしか知れないっていうのが、すごく面白いし、村の魅力をもっと伝えていけたらと思っています」

 

取材の最後に、関口さんに施設を案内してもらう。

ホテルの一室のカーテンを開けると、川で子どもたちが遊んでいた。

村民に近く、お客さんにも近い。自然の近くで穏やかに、仕事にも真摯に向き合う。

仕事と暮らしのバランスを保ちながら、どちらも充実させていく。

そんな生き方を叶えるうえで、kadoyaはとても良い選択肢だと思いました。

東京からも近いので、気になった人は小菅村に遊びに行ってみてください。

村のとびらをあける人を、みなさんが待っています。

(2026/07/23 取材 櫻井上総)

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